専利訴訟において「専利貢献度」で損害賠償及び不当利得返済の金額を算定

2026-01-21 2025年

■ 判決分類:特許実案意匠

I 専利訴訟において「専利貢献度」で損害賠償及び不当利得返済の金額を算定

本件の説明:
 上訴人巨大公司は被上訴人凱薩克公司が巨大公司の所有する第M468467号実用新案「自転車シートポストの調整構造(原文:自行車座桿調整結構)」(以下、「係争実用新案」)を侵害し、被上訴人凱薩克公司は2014年から現在まで添付図2に示される係争製品を製造、販売し、また代理店、即ち被上訴人昇陽公司を通じて販売していると主張して、上訴人は係争実用新案の実用新案権について、争点に示されている規定に基づき、(上訴の)趣旨に示す通り、被上訴人が連帯又は不真正連帯で損害賠償責任を負うこと等を請求した。
 被上訴人は次のように主張した。上訴人が信義誠実の原則に違反し、且つ権利濫用の状況があり、被上訴人に権利を主張することはできない。被上訴人昇陽公司は凱薩克公司が凱薩克公司の特許に基づいて係争製品を製造していたため、代理販売をしたのであって、すでに注意義務を果たしており、権利侵害の故意又は過失はない。被上訴人凱薩克公司が製造する各型番の製品にはバージョンの差があり、賠償金額の算定は、上訴人が購入して対比分析を行った各型番製品に基づいて、それぞれ対応する設計バージョンと設計図公開日、及び凱薩克公司が係争製品について設計を「連結する」形式に変更した設計図公開日の前日を損害賠償の範囲とし、また被上訴人昇陽公司が係争製品を販売して得た利益及び専利貢献度(訳注:専利には特許、実用新案、意匠が含まれる)を考慮することが妥当である等。
 知的財産及び商事裁判所は本件中間判決においては、すでに係争製品は係争実用新案請求項5~8の実用新案権の範囲に含まれていると認定しており、凱薩克公司がたとえ凱薩克公司の特許を実施していても、なお他人の実用新案を侵害した責任を免れることはできず、且つ専利法第120条の第68条第3項準用規定に基づいて、係争実用新案訂正案が2022年6月11日に公告されていることから、出願日である2013年4月12日に遡って効力が生じ、係争実用新案の公告日は2013年12月21日となる。よって上訴人巨大公司は専利法第120条の同法第96条第2項準用規定に基づいて、係争実用新案訂正前の権利侵害行為に係る損害賠償を請求することができる。本件は口頭弁論を終えた後に主文四:被上訴人凱薩克科技股份有限公司、凱薩克公司代表者許栄裕は上訴人に対し、連帯して金2086万6540新台湾ドル及び2022年10月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員(専利法第120条の第97条第1項第2号準用で算定)を支払え、と判決した。

知的財産及び商事裁判所による判決趣旨の要約:

一、専利貢献度
 いわゆる「専利貢献度」とは、某専利が某製品の価値に対してもたらす貢献度をいい、係争専利の技術が該製品全体にもたらす効用の増進、該効能の増進が消費者の主要な購買意欲に対する影響の有無、市場における一般的な取引状況等の因子を総合的に考慮して決定すべきである。
 調べたところ、以下の通りである。
1.係争実用新案の技術は、自転車シートポストの調整構造であり、自転車に適用することで、使用者の身長や習慣により自転車のシートの高さを調整することができ、簡便な操作でシートの高さを調整できる機能を有し、自転車が元来有する自転車の機能を損なわないため、係争製品は係争実用新案の技術を実施していることで、製品の機能と使用における利便性を向上させるという価値を考慮すべきであり、係争製品の販売価格すべてを損害賠償金額の計算に入れることはなく、実用新案権者がその実用新案権の貢献以上のものを得て、不当利益を手に入れることがないようにする。
2.係争実用新案の請求項5に係る技術内容は、大きく三つの部分に分けることができる:第一の部分は伸縮シートポスト、第二の部分は長さ調整モジュール、第三の部分は第一端部(連動上げ下げレバーと連動てこレバーを含む)である。そのなかで第一の部分と第二の部分は自転車分野における習知の技術であり、第三部分が係争実用新案にとって係争製品の権利侵害を主張するための重要な技術的特徴である。また第三の部分の第一端部は第一の部分の伸縮シートポストに取外しできるよう取り付けることができ、第一の部分の伸縮シートポストと第二の部分の長さ調整モジュールのいずれからも独立したモジュールである。したがって、本裁判所は前述の第三の部分の第一端部は三つの部分の技術内容の一部分であり、係争実用新案の係争製品に対する貢献度は約33%として計算するのが妥当であると認定する。

 二、損害賠償及び不当利得返還の金額の算定:
1.権利侵害行為の損害賠償の部分:
凱薩克公司の「A1海外輸出」総額は1億6622万1,223.13新台湾ドル、「A2国内販売」総額は1億1807万8518.21新台湾ドルであり、前述の同業種利潤標準の粗利益率24%、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は凱薩克公司、凱薩克公司代表者の許栄裕に2251万6540新台湾ドルの損害賠償を請求できる。
2.不当利得返還の部分:
(1)凱薩克公司の「A1海外輸出」総額は1億527万9966.74新台湾ドル、「A2国内販売」総額は6720万8610.42新台湾ドルであり、前述の同業種利潤標準の純利益率10%の半額、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は凱薩克公司に284万6062新台湾ドルの不当利得返還を請求できる。
(2)昇陽公司の「B1海外輸出」総額は132万7860新台湾ドル、「B2国内販売」総額は61万3677.49新台湾ドルであり、同業種利潤標準の純利益率8%の半額、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は昇陽公司に2万5628新台湾ドルの不当利得返還を請求できる。
3.以上のことから、被上訴人凱薩克公司と凱薩克公司代表者の許栄裕は連帯して賠償すべき金額は権利侵害部分である2251万6540新台湾ドルである。凱薩克公司が返還すべき不当利得金額は284万6062新台湾ドルである。昇陽公司が返還すべき不当利得金額は2万5628新台湾ドルであり、凱薩克公司、凱薩克公司代表者の許栄裕と不真正連帯で支払う責任を負う。

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】110年度民専上字第6号
【裁判期日】2025年2月24日
【裁判事由】専利権侵害に関わる財産権争議等

上訴人 巨大機械工業股份有限公司(Giant Manufacturing Co. Ltd.)
被上訴人 凱薩克科技股份有限公司(Kind Shock Hi-Tech Co., Ltd.)
兼法定代理人 許栄裕
被上訴人 昇陽自行車国際股份有限公司(Shenyang Bicycle International Co. Ltd.)

上記当事者間の専利権侵害に関わる財産権争議等事件について、上訴人は2020年12月7日本裁判所109年度民専訴字第26号第一審判決に対して上訴を提起するとともに、訴えの追加的変更、請求の減縮を行い、本裁判所は2024年6月13日に中間判決をして、損害賠償及び不当利得の返還の部分について審理を続行し、2025年1月8日に口頭弁論を終え、次のように判決する。

主文
一、原判決における上訴人の後記第二項の請求部分を棄却した部分、及び当該部分の仮執行宣言申立てと訴訟費用に関する裁判(減縮した部分を除く)をいずれも取り消す。
二、上記取消部分:㈠被上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕は上訴人に対し、連帯して金165万新台湾ドル及び2019年12月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。㈡被上訴人昇陽自行車國際股份有限公司は、上訴人に対して金2万5628新台湾ドル及び2019年12月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。㈢上記㈠、㈡で命じた支払いについて、いずれか1名がすでに支払ったときは、その被上訴人はその支払い範囲内で、支払い義務を免除される。
三、その他の上訴を棄却する。
四、被上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕は上訴人に対し、連帯して金2086万6540新台湾ドル及び2022年10月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
五、被上訴人凱薩克科技股份有限公司は上訴人に対し、金284万6062新台湾ドル及び2022年10月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
六、その他の追加の訴えを棄却する。
七、第一、二審訴訟費用(減縮部分以外に、追加の訴えの部分を含む)は、被上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕、昇陽自行車國際股份有限公司が連帯して一万分の三を負担し、被上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕が連帯して一万分の二千六百二十六を負担し、被上訴人凱薩克科技股份有限公司が一万分の三百三十二を負担し、その余を上訴人が負担する。 
八、本判決の第二項:㈠部分については上訴人が55万新台湾ドルを以って担保を立てたとき、仮執行をすることができる。ただし、上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕が165万新台湾ドルを以って担保を立てたときは、仮執行を免れることができる。㈡部分については仮執行をすることができる。ただし、被上訴人昇陽自行車国際股份有限公司2万5628新台湾ドルを以って担保を立てたときは、仮執行を免れることができる。
九、本判決第四項については上訴人が696万新台湾ドルを以って担保を立てたとき、仮執行をすることができる。ただし、上訴人凱薩克科技股份有限公司、許栄裕が2086万6540新台湾ドルを以って上訴人に担保を立てたときは、仮執行を免れることができる。
十、本判決第五項については上訴人が95万新台湾ドルを以って担保を立てたとき、仮執行をすることができる。ただし、上訴人凱薩克科技股份有限公司が284万6062新台湾ドルを以って上訴人に担保を立てたときは、仮執行を免れることができる。
十一、追加の訴え及びその余の仮執行宣言申立てを棄却する。

一 事実要約
本院は権利侵害及び有効性に係る中間的争点について、2024年6月13日に中間判決をして、付表一に示される自転車ドロッパーシートポスト(以下「係争製品」)が係争実用新案の請求項5~8の範囲に入っており、係争実用新案請求項5~8には取り消すべき理由がなく、凱薩克公司が提出した証拠は係争実用新案の実用新案権の効力が係争製品に及ばないと証明するのには十分でないと認定した。上記中間判決の判断により、損害賠償及び不当利得の返還の部分について審理を続行し、最終判決をする。

二 両方当事者の請求内容
(一)上訴人の主張:
(上訴の)趣旨に示す通り、被上訴人が連帯又は不真正連帯で損害賠償責任を負うことを請求する。
(二)被上訴人の主張:
一、上訴、追加の訴え及び仮執行宣言の申立てをすべて棄却する。
二、不利な判決を受けた場合、被上訴人は担保を条件とする仮執行免脱の宣言を求める。

三 本件の争点
一、上訴人は専利法第120条の同法第96条第2項準用規定により被上訴人に賠償責任を請求することに、理由はあるのか。理由がある場合、金額はいくらが妥当なのか。
二、上訴人による損害賠償請求は消滅時効が成立しているのか。成立している場合、上訴人は民法第179条に基づく不当利得の返還を追加できるのか。理由がある場合、その金額はいくらになるのか。

四 判決理由の要約
(一)本件は被上訴人が指摘する権利失効の状況はない:
被上訴人は、上訴人が2014年にすでに係争製品の構造と技術的特徴を知っており、上訴人による注文購入行為は、凱薩克公司に係争製品の技術的特徴が係争実用新案を侵害せずに継続して生産していると正当に信頼させるに十分であり、民法第148条第2項規定違反により権利失効の状況に至っている云々と主張しているが、売買行為と実用新案権行使は異なる事項であり、なおこれを根拠として上訴人が実用新案権を行使しようとしなかったと認定するには十分ではない。

(二)債権者は損害賠償の法律関係に基づいて原状回復を請求することができ、同時に不当利得の法律関係に基づいて、それが受け取った利益の返還を請求することができ、これは学説上いわゆる請求権の併存又は競合であり、請求権を有する債権者は、二者のいずれかを選択することができ、請求権の行使がすでに目的を果たした場合、その他の請求権は消滅し、目的を果たせねかった場合はその他の請求権を行使できる。調べたところ、以下の通りである。
 1.実用新案権者は故意または過失によってその実用新案権を侵害した者に対し、損害賠償を請求することができる。凱薩克公司には係争実用新案侵害の過失があり、前記規定により、損害賠償責任を負わなければならない。昇陽公司は凱薩克公司が凱薩克特許に基づいて係争製品を製造していると信頼し、係争製品を代理販売した。上訴人は本件訴訟を提起する前に昇陽公司に権利侵害の事実を通知しておらず、起訴後に凱薩克公司は権利侵害行為をしたが、
昇陽公司には主観的に係争実用新案を侵害した故意又は過失があったとは言い難く、上訴人はそれに対する損害賠償請求には根拠がない。
 2.専利法第120条の第96条第6項準用規定により、同条第2項に定める請求権は、請求権者が損害及び賠償義務者を知ったときから2年間、行使しないときに消滅する。行為があったときから10年間を超えたときも、同様とする。また加害者が権利侵害行為を継続したとき、被害者の損害賠償請求権も継続して発生し、その請求権消滅の時効もそれぞれ継続して発生した時から起算しなければならない。本件上訴人は凱薩克公司が係争実用新案を侵害し、係争製品を製造、販売し続けたと主張しており、付表二に示される権利侵害の範囲を対比すると、係争製品一~五、七の部分について2019年11月8日から2年遡った2017年11月9日から損害賠償を起算し、係争製品六の部分については消滅時効が成立しておらず、2018年7月17日から損害賠償を起算し、付表二に示される最終日を基準とする。この期間は上訴人が権利侵害行為の法律関係に基づいて凱薩克公司に損害賠償を請求できる期間であり、その他の部分は2年で消滅時効が成立する。
3.民法第179條第1項前段に「法律上の原因なくして利益を受け、他人をして損害を受けさせたときは、その利益を返還することを要する。」と規定されている。被上訴人が、権利がなく他人の実用新案を実施してロイヤリティに相当する利益を得た可能性があることは、不当利得を構成し、上訴人は係争実用新案の実用新案権者であり、付表二に示される権利侵害の範囲において前記期間に権利侵害の法律関係に基づいて凱薩克公司に損害賠償を請求するほか、その他の部分も2年の時効が成立しているが、前記説明により、なお不当利得の法律関係に基づいて、凱薩克公司、昇陽公司に受け取った利益を返還するよう請求することができる。

(三)公司法(会社法)第23条第2項には「会社の代表者が会社の業務執行につき、法令に違反して他人に損害を与えたときは、他人に対して会社と連帯して賠償責任を負わなければならない。」と規定されている。許栄裕は凱薩克公司の代表者であり、凱薩克公司が係争実用新案を侵害した行為に対して凱薩克公司と連帯して賠償責任を負わなければならない。不当利得の部分については、凱薩克公司、昇陽公司が係争製品を製造、販売して利得を得た者はそれぞれの会社であり、会社代表者は当該不当利得の返還を請求できる対象ではなく、上訴人がこの部分について許栄裕、施和鋐に会社と連帯して賠償責任を負うよう請求することに理由はなく、許可すべきではない。

(四)専利法第97条第1項第2号には、損害賠償を請求するときは、侵害者が侵害行為によって得た利益によりその損害を算定することができると規定されている。本件の損害賠償額について、本裁判所は国内で販売された係争製品について、財政部財政資訊中心(Fiscal Information Agency, Ministry of Finance)からの返信書簡にある販売資料を以ってそれらの国内販売資料を推測し、前記資料を整理し損害賠償部分の金額と、不当利得返還部分の金額とに分けた。

(五)実用新案侵害行為そのものは法規範の評価において非難を受けるべき行為であり、実用新案権者によるイノベーションの成果を保護し、その成果が違法な略奪を受けることがないようにするため、権利侵害者が不法行為に従事する誘因を除去し、コスト及び費用の控除に対して、より厳格な立場を取るべきであり、権利侵害行為者の控除できるコストは権利侵害品の製造又は販売について直接支出した生産コストのみに限られ、間接コストを控除してはならず、それは会計学上の粗利益に相当し、純利益ではない。本件凱薩克公司、許栄裕が係争実用新案の侵害で得た利益は、営利事業の業種別所得基準及び同業種利潤標準(原文:營利事業各業所得暨同業利潤標準)に記載されている「自転車部品製造」の粗利益率24%で計算すべきである。不当利得の部分に関しては、一般企業がロイヤリティを支払った後も利益を得ることで商業取引行為に従事することができ、且つこの部分は権利侵害行為による損害賠償請求権の消滅時効が成立していることにより、上訴人は始めて不当利益の法律関係に基づく請求を行うことができ、それが得られる給付金額は侵害損害賠償より少なくなければならず、それによって公平の原則に適合することができ、この部分については、係争製品販売の純利益の半額をロイヤリティ計算の基準とするのが妥当である。本件凱薩克公司については営利事業の業種別所得基準及び同業種利潤標準に記載されている「自転車部品製造」の純利益率が10%であり、昇陽公司についてはそれが提出した営利事業の業種別所得基準及び同業種利潤標準に記載されている「非電動自転車及び非電動自転車部品の卸売」又は「自転車及び自転車部品の卸売」の純利益率が8%である。

(六)いわゆる「専利貢献度」とは、某専利が某製品の価値に対してもたらす貢献度をいい、係争専利の技術が該製品全体にもたらす効用の増進、該効能の増進が消費者の主要な購買意欲に対する影響の有無、市場における一般的な取引状況等の因子を総合的に考慮して決定すべきである。
調べたところ、以下の通りである。:1.係争実用新案の技術は、自転車シートポストの調整構造であり、自転車に適用することで、使用者の身長や習慣により自転車のシートの高さを調整することができ、簡便な操作でシートの高さを調整できる機能を有し、自転車が本来有する機能を損なわないため、係争製品は係争実用新案の技術を実施していることで、製品の機能と使用における利便性を向上させるという価値を考慮すべきであり、係争製品の販売価格すべてを損害賠償金額の計算に入れることはなく、実用新案権者がその実用新案権の貢献以上のものを得て、不当利益を手に入れることがないようにする。2.係争実用新案の請求項5に係る技術内容は、大きく三つの部分に分けることができる:第一の部分は伸縮シートポスト、第二の部分は長さ調整モジュール、第三の部分の第一端部(連動上げ下げレバーと連動てこレバーを含む)である。そのなかで第一の部分と第二の部分は自転車分野における習知の技術であり、第三部分の第一端部が係争実用新案にとって係争製品の権利侵害を主張するための重要な技術的特徴である。また第三の部分の第一端部は第一の部分の伸縮シートポストに取外しできるよう取り付けることができ、第一の部分の伸縮シートポストと第二の部分の長さ調整モジュールのいずれからも独立したモジュールである。したがって、本裁判所は前述の第三の部分の第一端部は三つの部分の技術内容の一部分であり、係争実用新案の係争製品に対する貢献度は約33%として計算するのが妥当であると認定する。

(七)損害賠償及び不当利得返還の金額の算定:
1.権利侵害行為の損害賠償の部分:
凱薩克公司の「A1海外輸出」総額は1億6622万1223.13新台湾ドル、「A2国内販売」総額は1億1807万8518.21新台湾ドルであり、前述の同業種利潤標準の粗利益率24%、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は凱薩克公司、許栄裕に2251万6540新台湾ドルの損害賠償を請求できる。
2.不当利得返還の部分:
(1)凱薩克公司の「A1海外輸出」総額は1億527万9966.74新台湾ドル、「A2国内販売」総額は6720万8610.42新台湾ドルであり、前述の同業種利潤標準の純利益率10%の半額、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は凱薩克公司に284万6062新台湾ドルの不当利得返還を請求できる。
(2)昇陽公司の「B1海外輸出」総額は132万7860新台湾ドル、「B2国内販売」総額は61万3677.49新台湾ドルであり、同業種利潤標準の純利益率8%の半額、さらに専利貢献度33%で計算すると、上訴人は昇陽公司に2万5628新台湾ドルの不当利得返還を請求できる。
 
(八)以上のことから、凱薩克公司と許栄裕は連帯して賠償すべき金額は権利侵害部分である2251万6540新台湾ドルである。凱薩克公司が返還すべき不当利得金額は284万6062新台湾ドルである。昇陽公司が返還すべき不当利得金額は2万5628新台湾ドルであり、凱薩克公司、許栄裕と不真正連帯で支払う責任を負う。

以上をまとめると、上訴人が権利侵害行為の法律関係に基づいて、凱薩克公司、許栄裕に対して上訴人に2251万6540新台湾ドル、そのうち165万新台湾ドルは2019年12月13日から、その他2086万6540新台湾ドルは2022年10月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払うように訴え及び追加の訴えをすること、並びに不当利得の法律関係に基づいて、凱薩克公司に対しては上訴人に284万6062新台湾ドル及び2022年10月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払うように、昇陽公司に対しては上訴人に2万5628新台湾ドル及び2019年12月13日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払うように訴え及び追加の訴えをすることには理由があり、許可すべきである。上訴の趣旨で原判決の当該部分は不当であると指摘し、取消して改めて判決するよう求めたことには理由があり、本裁判所は取り消し、主文第二、四、五項に示す通り改めて判決した。上記の許可すべきでない部分について、原審が上訴人敗訴の判決を下したことは、法に合致している。上訴の趣旨で原判決のこの部分が不当であると指摘し、取消して改めて判決するよう請求することに理由はなく、この部分の上訴及び追加の訴えを棄却する。

以上の次第で、本件上訴及び追加の訴えは、一部に理由があり、一部に理由がなく、主文の通り判決する。

2025年2月24日
知的財産第一法廷
裁判長 汪漢卿
裁判官 蔡惠如
裁判官 陳端宜

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor