営業秘密法一部改正案が立法院を通過、「取調べ段階の秘密保持命令」制度を導入

J200101Y4・J191231Y4 2020年2月号(J246)
    知的財産局の発表によると、立法院は2019年12月31日に三読会において営業秘密法一部条文改正案を可決し、「取調べ段階の秘密保持命令」制度を導入した。取調べにおける営業秘密の保護を強化し、取調べ段階の秘密保持命令に違反した場合は、3年以下の懲役に処し、二次的漏洩を防ぎ、企業の提訴意欲を高め、これは検察官の「速偵速結(速やかな取調べ、速やかな結審)」に役立つものとみられる。また改正案には、外国人の営業秘密に対する保護を強化しており、(支社登記のための)認可を受けていない外国法人も告訴、自訴、又は民事訴訟を提起してよいこと並びに互恵原則が含まれ、これにより海外からの投資を集め、産業の発展を促すことができると期待される。
    今回の法改正における「取調べ段階の秘密保持命令」制度の導入は、2017年2月に知的財産局が「営業秘密法の刑事責任条文新設に関する施行成果検討会議」を招集した際に、産業界から営業秘密侵害事件の執行成果はさらなる改善が待たれ、営業秘密事件の「速偵速結」を促進するために、裁判所の「秘密保持命令」を参考として、「取調べ段階の秘密保持命令」を導入し、企業の関連資料提供に対する意欲を高め、営業秘密の二次的漏洩を防ぐよう提言されたことに応えたものである。また「取調べ段階の秘密保持命令」制度は2018年3月行政院が中国大陸の対台31項目措置に対して提起した八大戦略の中の「営業秘密保護の強化」の一環でもある。「取調べ段階の秘密保持命令」制度の重点は以下の通りである。
一、検察官は事件取調べに必要と認めたときに、職権により取調べ段階の秘密保持命令を発することができる。  
二、取調べ段階の秘密保持命令を受けた者は、取調べの内容を取調べ手続き以外の目的で使用したり、取調べ段階の秘密保持命令を受けた者以外の者に開示したりしてはならない。  
三、取調べ段階の秘密保持命令は書面又は口頭にてこれを行い、かつ営業秘密の所有者には意見陳述の機会を与える。さらに、取調べ段階の秘密保持命令の取消又は変更の手続き並びに裁判所の秘密保持命令との連結等についても規定されている。  
四、取調べ段階の秘密保持命令に違反したときは、3年以下の懲役、拘留若しくは100万新台湾ドル以下の罰金に処し、又は併科する。  
    営業秘密法は2013年に刑事責任条文が新設されたものの、企業は営業秘密を窃取されたことを証明する必要があり、取調べ段階でさらに多くの社内営業秘密に関わる証拠を提出しなければならず、企業は取調べ段階における二次的漏洩により、より大きな秘密漏洩のリスクに直面し、競争相手に営業秘密を知られてしまうのではないかと懸念して、提訴の意欲が低かった。しかし、本法が改正されれば、二次的漏洩の懸念を効果的に解消でき、積極的に事実証拠を提出して、検察官による営業秘密侵害事件の取調べに協力するよう企業に呼びかけることで、即時に違法な秘密窃取を撲滅して、「速偵速結」の目標を達成し、わが国の営業秘密に対する保護環境をさらに整備できるようになるとみられる。(2020年1月)  
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