立法院で法案可決、「知的財産及び商事裁判所」が設立され、二審二級制を採用

J191218Y9・J191217Y9 2020年1月号(J245)
 司法院の2019年12月17日付ニュースリリースによると、「商事事件審理法」と「知的財産及び商事裁判所組織法」が立法院(第三読会)を通過したという。これにより時代を画する新制度が制定され、重大商事事件の紛争を迅速かつ専門的に解決できるようになる。その特色を以下に述べる。  
壱、「商事事件審理法」(全7章、計81条)を制定
 一、ハイテク審判を採用:すべての書状はネットを通じて伝送し、裁判所はネット遠隔尋問を利用して事件を審理でき、直接裁判所に行く代わりにネットを活用することで、当事者は裁判所を便利に利用できる。 
 二、専門裁判所を設置:知的財産及び商事裁判所(以下「商事裁判所」)は高等裁判所の階級に相当し、重大商事事件に対して二級二審制を採用することで、紛争を迅速に処理して、判決を早めに確定できる。 
 三、弁護士が事件を代理:事件の争点に焦点をあて、無為な争いを減らすことで審判効率を高めることができるように、重大商事事件は弁護士資格を有する者が代わりに手続きを行わなければならない。  
 四、強制調停手続きを採用:訴訟に係る労力を減らし、素早く争いが終結できるように、重大商事事件は先ず調停を行わなければならず、商事専門の学識を有する商事調停委員が当事者による紛争の自主解決に協力する。
 五、専門家証人及び当事者による照会制度を導入:当事者は専門家証人に意見提供を請求して、審判の専門性を強化でき、また事項を列挙して相手方に照会したり、説明を請求したりして、審判の進行を速めることもできる。  
 六、秘密保持命令:手続き中の文書、検証物又は鑑定に必要な資料が営業秘密に関わる場合、所持者は裁判所に対して秘密保持命令を申し立てることができ、これにより真実の発見と営業秘密の保持を両立する。
 弐、「知的財産裁判所組織法」を「知的財産及び商事裁判所組織法」に改正し、新設される商事裁判所と現存の知的財産裁判所を合併して知的財産及び商事裁判所とする  
 一、商事裁判所は3人の合議体による審理を行い、二級二審制を採用して、商事事件審理法第2条第2項に定められる重大商事事件の審理を担当する(改正条文第2条、第3条、第6条)。また知的財産法廷と商事法廷を分けて、専門的な審理を実現する(改正条文第9条、第10条、第15条)。さらに商事専門裁判官は商事を専門とする弁護士、中央研究院の関連する研究者、又は公務員から選んで任務に当たらせることができる(改正条文第14条)。
 二、商事調査官を配置する。会計、投資、財務分析、経済及び金融市場等の専門人員が裁判官のために商事専門資料及び問題の収集、分析、判断に協力する(改正条文第16条、第17条)。
商事事件審理法、知的財産及び商事裁判所組織法が施行された暁には、時代を画する審理の新制度を通じて、商事裁判所で重大商事事件を迅速かつ専門的に結審できるようになり、わが国の経済商事環境は最適化され、国家競争力が高められることだろう。(2019年12月) 
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