太平洋SOGO商標権紛争、台北地方裁判所が太平洋崇光公司董事長に無罪判決

J181228Y2 2019年1月号(J233)
    遠東グループ(Far Eastern Group)が太平洋崇光百貨股份有限公司*(Pacific SOGO Department Stores Co., Ltd.、以下「太平洋崇光公司」)の経営権を引き継いだ後、「太平洋SOGO device」商標の権利を巡って紛争が発生した。豊洋興業股份有限公司(Pacific Department Store Co., Ltd、以下「豊洋公司」。太平洋建設によって設立され、略称は「太平洋百貨」)は、太平洋崇光公司の黃晴雯董事長と汪郭鼎松総経理が「太平洋SOGO device」商標を違法に使用したとして告訴し、検察官は両名に対する公訴を提起していたが、台北地方裁判所は2018年12月に両名に対する無罪判決を下した。
(*:太平洋崇光百貨股份有限公司は1986年太平洋建設股份有限公司(Pacific Construction Co., Ltd.、以下「太平洋建設」)と日本の株式会社そごう(Sogo Co., Ltd.、現在は株式会社そごう・西武)の合弁で設立され、その後コーポレート・アイデンティティが「遠東SOGO」と変更されているが、社名は変更されていない。)
    起訴状において以下のように指摘されている。そごうが所有する「太平洋SOGO device」商標に対して豊洋公司が知的財産局に無効審判を請求し、2014年10月9日に知的財産局から該商標は「太平洋PACIFIC」商標に類似しているという理由で「百貨店;スーパーマーケット;ショッピングセンター…」等一部の役務指定を取り消された。経済部は2015年7月13日に訴願決定書を以って原審決の結果を維持した。黃晴雯董事長と汪郭鼎松総経理は「太平洋SOGO device」商標の一部の役務がすでに取り消されているのを知りながら、2015年7月からも該商標を看板、広告グッズ、レシート、ショッピングバッグ、会社サイト等の商品又は役務に使用し続けており、両者の行為は商標法に違反している。
    判決書では、太平洋崇光公司は1987年には看板に「太平洋SOGO device」商標を営業上の標識として使用しており、該商標はすでに30年にわたって使用されていること、並びに「太平洋SOGO device」商標は「太平洋PACIFIC」商標の登録出願日以前に10余年にわたってすでに使用されており、其商標の知名度と百貨店の営業規模は「太平洋PACIFIC」商標及び太平洋百貨をはるかに超えており、消費者に誤認混同を生じさせる不正競争の意図はなく、善意の先使用に該当することが指摘された。
    さらに「太平洋SOGO device」商標は無効審判を通じて一部の役務の登録が取り消された後、そごうは手続きを踏んで行政訴願、行政訴訟等を提起していたが、(太平洋崇光公司が上記取消しの)確定を知らされたのは2017年3月になってからだった。太平洋崇光公司は該商標の終局判決を受けて、対外的にすべての「太平洋」の文字を「遠東」という文字に変更することを決議し、2017年9月にはコーポレート・アイデンティティ(CI)を「遠東SOGO」に変更している。このため、黃晴雯董事長と汪郭鼎松総経理には商標権侵害の犯意はなかったと認められ、無罪判決が下された。(2018年12月)
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