漢方薬特許審査基準 早ければ年内にも運用開始へ

J071016Y1 2007年11月号(J99)

   「漢方薬草特許審査基準」の草案に関する公聴会は10月末から11月半ばにかけて四回開かれる予定で、大した意見が出なければ年内にも運用を始める見通しとなった。

   同草案によると、いわゆる「漢方薬草」には植物、動物、鉱物、藻類、きのこ類等の天然物が含まれるほか、抽出物(エキス)または組成物についてもいう。今後、漢方薬に関連する、医薬品、飲食物、化粧品、薬用材料、医療機器または装置、およびその製法、処理方法や用途などについての特許出願はこの基準に基づいて判断する。

   知的財産局によると、1979年~2006年までの漢方薬特許出願件数はわずか109件、平均で年間3~4件の登録にとどまり、うち薬物、物の特許が七割、方法特許が三割という割合となっている。しかしここ5年間、漢方薬関連特許出願が活発になり、登録件数は2桁にまで増えている。

   同局関係者の話では、漢方医薬の基本理論は西洋医薬と異なり、成分が比較的不明確で、特定構造をもつ単一の活性物質を分離することが容易ではないため、化学物質を活性成分とする西洋医薬品の審査基準を適用することができず、今までは一般の審査基準に基づいて審査を行ってきたという。

   西洋医薬市場では、特許医薬品は価格や権利主張において優位に立っている。漢方薬特許発明制度もこの現状に鑑み、漢方薬領域のイノベーションを奨励するために設けられたのであって、産業上の利用可能性、新規性、進歩性の有無によって特許の保護を与えるかどうかを判断する。例えば、女性の生理をスムーズに調整し、月経痛を和らぐ効用があるといわれる漢方薬の「四物湯」(日本ツムラの「中将湯」のような婦人薬)の成分は関連業界や需要者の間でよく知られているため、製法特許の出願ができないが、「加味」四物湯なら、効果の増進で進歩性ありと認められ、組成物の製造方法についての特許取得はありうる。

漢方薬草特許審査基準の骨子

漢方薬草の定義

植物、動物、鉱物、藻類、きのこ類等の天然物またはその抽出物(エキス)または組成物

出願対象

漢方薬草に関連する、医薬品、飲食物、化粧品、薬用材料、医療機器または装置およびその製造方法、処理方法、用途

出願の種類

漢方薬草の組成物、抽出物(エキス製剤)、剤形、漢方薬化粧品、漢方薬医療器材

方法

漢方薬の製造、抽出、調合の方法または品質管理方法、品質制御技術

用途

医療用途および非医療用途

情報源:知的財産局

2007.10

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor