営業秘密の窃取で不当利益は295万新台湾ドル超、IT企業の元エンジニアを起訴
J260525X4 2026年6月号(J322)
台湾安華高科技股份有限公司(Avago Technologies Taiwan Limited、以下「アバゴ台湾」)の元エンジニアであった李〇〇は職務上の立場を利用して、未公開とされている顧客からの注文、財務予測、機密扱いの会社上層部会議内容等を長期にわたり不正に窃取し、それらの資料を教材にまとめて対外的に有料の講座を開き、295万新台湾ドル超の利益を得た疑いがあるため、台北地方検察署は事実証拠が明らかであると認め、(李〇〇を)起訴した。本件は知的財産及び商事裁判所にて審理が行われる。
起訴状によると、李〇〇は2012年8月から2025年3月までの間、アバゴ台湾に勤務し、その親会社は米国のブロードコム(Broadcom Ltd.)である。李〇〇はフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)、半導体ソリューション部門(SSG)のエリアセールスエンジニアを歴任し、主に商品のプロモーション、顧客の案件処理、及びカスタマーリテンションを担当して、会社の内部業務とビジネス情報に精通していた。
検察側の調査によると、李〇〇は在職期間中に、会社従業員ハンドブック、倫理規定及びビジネス行動規範、インサイダートレードのコンプライアンスポリシー、専有情報(機密情報)及び発明に関する契約等の文書に署名し、さらに会社と秘密保持契約も結んでおり、企業秘密に対して秘密保持義務があることを明らかに知りながら、依然として私利私欲のためにリスクを冒した疑いがある。
李〇〇は会社から配給されたノートパソコンを使って内部の顧客注文分析システムにログインし、顧客の商品注文、財務予測、製品開発の進捗状況及び顧客リスト等の機密情報を違法に複製、ダウンロードした。さらに会社のクラウドストレージシステムにログインして、ブロードコムの社長兼CEOであるHock E. Tan氏と半導体ソリューション部門社長のCharlie Kawwas氏が主催する上層部会議の動画やプレゼン資料を密かに録画したりダウンロードしたりした。その後それらをスクリーンショットしたり、撮影したりして、関連する内容を教材とした。2024年1月から2025年3月までの間に2社からのオファーを受け、「ブロードコムの専門家(原文:博通專家)」という名称で、台北市の多くの場所で集中的に有料講座を開催し、その回数は85回に上った。
李〇〇は講座において直接ブロードコムの内部プレゼン資料を再生し、CEOが幹部会議で述べた内容を公に述べた。これは親会社の営業秘密を教材としたものであり、これにより得た講師料は295万8000新台湾ドルに上った。アバゴ台湾は告発文を受け取ったため、内部調査を行ったところ、機密漏洩を発見した。同社は証拠を収集して、法務部調査局新北市調査処に捜査を求めた。
検察側は、李〇〇が私益を貪り、従業員の忠実義務に重大に違反し、それが漏洩したビジネス情報は高い市場経済価値を有しており、会社も早くから合理的な秘密保持措置を採っており、営業秘密法の「営業秘密を知悉又は保持し、許諾を受けずに使用又は漏洩する」罪及び刑法の背任罪等の罪を犯した疑いがあると認めた。二つの罪には法条競合の関係にあり、より重い刑で処断すべきである。一方で、犯行事件が集中し、法益侵害が同じであることを考慮して、(検察側は)接続犯の包括一罪として処断するよう裁判所に請求した。(2026年5月)









