知的財産局が「2024年WIPOと台湾の特許出願受理に係る傾向の比較分析」を発表
J251117Y1 2025年12月号(J316)
経済部知的財産局(TIPO)は2025年11月17日に「2024年WIPOと台湾の特許出願受理に係る傾向の比較分析」を発表した。それによると、2024年WIPO(世界知的所有権機関)が受理したPCT(特許協力条約)特許出願は約27万3900件に達し、2023年比で0.5%と小幅に成長とした。一方、台湾(以下「TIPO」)は合計5万823件を受理し、2023年比でほぼ横ばい(-0.1%)となり、台湾の革新力は堅固であり、全体の研究開発力が安定成長していることを示している。
一、WIPOとTIPOが受理した特許出願は、それぞれ中国と台湾が最多
2024年WIPOにPCT特許出願を提出した国(地域)をみると、中国が7万160件で首位を守り、それに米国(5万4087件)、日本(4万8397件)、韓国(2万3851件)、ドイツ(1万6721件)が続いた。中国は昨年比で小幅増(+0.9%)に止まり、韓国は最大の成長幅(+7.1%)となったのに対して、米国、日本、ドイツは1.2~2.8%減少した。
台湾(TIPO)が受理した特許出願件数は、内国出願人が1万9586件で最も多く、それに日本(1万2307件)、米国(6817件)、中国(3472件)、韓国(3365件)、ドイツ(1035件)が次いだ。内国出願人の件数は前年比でほぼ横ばい(-0.2%)で、日本、中国はそれぞれ1.6%、8.8%減少し、米国、韓国、ドイツは1.3~8.5%増加した。
二、特許出願の技術分野はWIPOで「デジタル通信」が最多、TIPOでは「半導体」が安定して首位
2024年「デジタル通信」はWIPOへの特許出願が最多の技術分野となり、公開件数全体に占める割合は10.5%となり、「コンピュータ技術」(9.7%)と「電子機械、電気装置、電気エネルギー」(8.6%)を上回った。2020~2024年に「デジタル通信」の割合は8.3%から10.5%へと上昇しており、特許出願人が積極的に世界における特許戦略を展開していることが分かる。同時期に「電子機械、電気装置、電気エネルギー」も6.6%から8.6%へと急速に上昇し、世界におけるIT異業種融合という時代の動向を反映している。「コンピュータ技術」は2020年の9.2%から2022年の10.4%へと上昇した後、徐々に下降して2024年には9.7%となった。
TIPOをみると、2024年は「半導体」(15.1%)が安定して首位を守り、「コンピュータ技術」(8.2%)、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」(6.8%)がそれに次いだ。2020~2024年に「半導体」の割合は11.9%から15.1%へと急上昇し、台湾の世界半導体産業サプライチェーンにおいて重要な地位にあることを示している。「コンピュータ技術」は9.9%から8.2%と低下し、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」も成長が比較的遅く、台湾は今後なおAI、エネルギー等の新興領域における特許戦略の展開に注力する必要があることを示している。
三、国(地域)別にみると、WIPOでは「デジタル通信」、「コンピュータ技術」、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」が最多、TIPOでは「半導体」がトップ
主要国(地域)別にWIPOにおける特許出願の技術分野をみると、2024年に中国と韓国でその国(地域)の公開件数全体に占める「デジタル通信」の割合がそれぞれ18.0%、13.3%で最も高く、米国は「コンピュータ技術」(12.6%)が最も高く、日本とドイツは「電子機械、電気装置、電気エネルギー」がそれぞれ11.9%、12.1%を占め、集中していた。さらに分析すると、2024年中国、米国、日本、韓国の「デジタル通信」がいずれも2023年比で大幅に上昇しており、これは通信技術に核心的なブレークスルーがあり、主要国が次々と世界市場へ競って進出していることが分かる。また、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」は中国の上昇幅が最も大きく、世界のバッテリー及びエネルギー関連技術に対して積極的に戦略展開を行っていることが分かる。
主要国(地域)別にTIPOにおける特許出願の技術分野をみると、2024年にそれぞれの国(地域)の公開件数全体に占める割合が最も高かった技術分野が「半導体」だったのは、台湾(15.7%)、中国(10.5%)、米国(14.6%)、日本(15.4%)、韓国(29.1%)であった。またドイツは「基本的な材料化学」の占める割合が8.8%で最も高かった。総体的にみて、2024年米国と韓国が台湾における出願のうち「半導体」の占める割合は2023年より上昇し、中国は低下し、内国出願人(台湾)と日本は横ばいであった。一方で、中国が「コンピュータ技術」の割合が上昇し、「医薬品」が低下しているのに対して、米国は「コンピュータ技術」が低下し、「医薬品」が上昇しており、国によって特許戦略のポイントが異なる技術分野に置かれていることが分かる。
四、WIPO出願人の首位はファーウェイ、TIPO出願人の首位はTSMC
2024年WIPOが受理したPCT特許出願の出願人トップ10をみると、中国のファーウェイが6600件で首位を占め、南韓のサムスン(4640件)、米国のクアルコム(3848件)がそれぞれ2位、3位を占めた。中国のシャオミ(Beijing Xiaomi Mobile Software)は1889件で初めてトップ10入りを達成した。トップ10の2023年比成長率をみると、韓国サムスン(+18.2%)、中国シャオミ(+17.8%)の成長が最も目覚ましく、一方日本の三菱電機が9.1%減少した。
TIPOについては、台湾積体電路(TSMC)が1279件で連覇し、それに韓国サムスン(1013件)、アプライド・マテリアルズ(864件)が次いだ。オランダASML(355件)が初めてTIPO特許出願人トップ10入りを果たした。2023年比の成長率をみると、韓国クーパンの成長率(+85.4%)が最も目覚ましく、オランダASML(+37.6%)、韓国サムスン(+35.6%)も大幅に成長しているが、TSMCは19.2%減少した。
五、WIPOとTIPOの特許出願人はそれぞれ「デジタル通信」と「半導体」に焦点を合わせる
2024年WIPO出願人トップ10をそれぞれ技術分野別にみると、中国ファーウェイ、韓国サムスン、米国クアルコム、韓国LG電子、中国シャオミ及びスウェーデンLMエリクソンはいずれも焦点を「デジタル通信」に合わせており、「デジタル通信」の割合はそれぞれの企業全体の32.2~89.9%を占めている。シャオミの技術分野トップ3は同社全体の96.2%、LMエリクソンはその89.3%を占めており、高度に集中しているが、両社における「デジタル通信」が占める割合はそれぞれ89.9%、63.0%であり、特許戦略の違いが反映されている。
TIPOについては、TSMC、サムスン、アプライド・マテリアルズ、日本の東京エレクトロン、南亜科技(ナンヤ)はいずれも「半導体」の出願が最も多く、それぞれ43.3~79.9%を占めている。そのうちTSMCとナンヤの技術分野トップ3はそれぞれ同社全体の91.4%、93.7%を占め、9割を超えており、特許ポートフォリオが「半導体」に高度に集中している。また韓国のクーパンのトップ3も9割を超え(96.7%)、とくに「マネジメントのためのIT手法」に集中しており、他社とは異なる特許戦略がうかがわれる。(2025年11月)









