WIPOグローバル・イノベーション・インデックス(GII)2025年版:新指標「VC取引件数」を加えた世界イノベーション・クラスタ・ランキングのトップ100で「台北-新竹」は41位
J251002Y1・J251002Z1 2025年11月号(J315)
世界知的財産権機関(WIPO)から、2025年版「WIPOグローバル・イノベーション・インデックス(GII)」のイノベーション・クラスタに関する研究報告が公表された。世界イノベーション・クラスタ・ランキングはWIPOが3項目の核心的な指標である、「特許協力条約(PCT)特許出願件数」、「科学論文発表件数」、そして2025年に新設された指標「ベンチャーキャピタル(VC)取引件数」に基づいて、イノベーション活動が地域に集中する状況を示すものである。
2025年版GIIでは、世界140近くの経済圏のイノベーション・パフォーマンスに対して格付けを行い、その強みと弱みを示している。世界イノベーション・クラスタ・ランキングでは「深セン‐香港-広州」が「東京-横浜」(2位)を抜いて首位を奪取した。「サンノゼ-サンフランシスコ」は3ランクアップして3位に浮上し、4位には「北京」(中国)、5~7位にはそれぞれ「ソウル」(韓国)、「上海-蘇州」(中国)、「ニューヨーク市」(米国)がランキングされている。「ロンドン」はベンチャーキャピタル取引件数が世界3位だったため、総合ランキングでは21位から8位に浮上している。また「ベンガルール」(インド)も同じ要因で56位から21位に急上昇している。「台北-新竹」は世界のクラスタ・ランキングトップ100で41位であった。
世界イノベーション・クラスタ・ランキングのトップ100は33の経済圏に分布しており、クラスタが最も多かった国には中国(24個)、米国(22個)、ドイツ(7個)、インドと英国(各4個)、カナダ、日本、韓国(各3個)が含まれている。
中国とインド以外に、低中所得グループでトップ100にランクインしている経済圏には、ブラジルの「サンパウロ」(49位)、エジプトの「カイロ」(83位、唯一アフリカからのランクイン)、イランの「テヘラン」(63位)、マレーシアの「クアラルンプール」(86位)、マレーシアとクラスタをシェアする「シンガポール」(16位)、トルコの「イスタンブール」(58位)、メキシコの「メキシコシティ」(79位)が含まれている。
各指標(メトリクス)別ランキングにおいてそれぞれのイノベーション・クラスタが占める割合は以下の通りであった。「科学論文発表件数」のトップ3は「北京」(世界全体の4%)、「上海-蘇州」(2.5%)、「深セン-香港-広州」(2.4%)、「PCT特許出願件数」のトップ3は「東京-横浜」(10.3%)、「深セン-香港-広州」(9%)、「ソウル」(5.4%)となっている。「VC取引件数」(2019~2023年)については世界のイノベーション・クラスタトップ100が16.9万件近くを占めており、「サンノゼ-サンフランシスコ」(6.9%)、「ニューヨーク市」(4.5%)及び「ロンドン」(4.4%)が他のクラスタをリードしている。
人口密度で計算すると、「サンノゼ-サンフランシスコ」(米国)と「ケンブリッジ」(英国)がイノベーション密度の最も高いクラスタとなっており、それに「ボストン-ケンブリッジ」(米国)、「寧徳」(中国)及び「オックスフォード」(英国)が続いている。「寧德」が世界4位に躍り出た要因は、寧徳時代新能源科技(CATL, Contemporary Amperex Technology)によるエネルギー技術分野における特許出願件数の大幅増加にある。
全体的にみて、「PCT特許出願件数」と「VC取引件数」は「科学論文発表件数」に比べて、地理的に集中する度合いが高く、世界のイノベーション・クラスタトップ100が前者2指標における総件数の70%をそれぞれ占めているが、「科学論文発表件数」については50%に止まっている。さらに世界のイノベーション・クラスタトップ10についてみると、「PCT特許出願件数」の40%、「VC取引件数」の35%に貢献しているが、「科学論文発表件数」はわずか16%を占めるにすぎない。(2025年10月)









