知的財産局が各国のAI専利戦略分析を公表

J251023Y1 2025年11月号(J315)

 人工知能(AI)の技術はまさに世界を変えようとしており、各国のAI技術の発展は政府が注目し続けているテーマとなっている。企業がAI技術の研究開発と応用を強化し、AI関連専利戦略をより万全なものとすることを奨励するために、知的財産局(知財局)はAI専利技術の全体、及びその中のAIハードウェア(AI hardware)、知識処理(Knowledge processing)、機械学習(Machine learning)、進化計算(Evolutionary computation)、マシンビジョン(Vision)、自然言語処理(Natural language processing)、スピーチ(Speech)、計画と制御(Planning and control)という8領域の技術について、知財局の世界専利検索システム(GPSS)を用いて近年のAI専利出願動向を分析して、調査結果を公表した。同局はこれを通じて企業がAIに関する今後の潜在的な発展の機会と課題を理解する一助となることを期待している。
一、各国はAIコア技術の専利(特許)を希求し、積極的にAI応用の研究開発にリソース投入
 2025年6月、日本特許庁により公表された「AI関連発明の出願動向調査」レポートでは、各国のAI専利(特許)技術全体の競争概況が示されている。その中で中国はAI専利技術全体の出願件数で他国を圧倒的に引き離している。米国は莫大な研究開発と資金の支援を通じて、画像処理、自然言語処理、大規模言語モデル(LLM)などのAIコアの専利で優位な地位を維持しているが、2020年から減速し始めており、同レポートでは、一部の企業が営業秘密で技術の優位性を保護するため「クローズ戦略」の採用を考慮している可能性を指摘している。韓国のAI専利出願は安定して成長しており、スマートフォン、医療画像診断、リテールにおける応用に集中している。日本のAI専利は近年やや減速傾向にあるが、医療診断及び医療画像への応用に重きを置いている。
二、機械学習、マシンビジョンはAI専利戦略における人気の領域
 知財局も類似の結果を見出している。世界のAI専利出願動向の分析において、AI技術全体の出願件数は直近10年で大きく成長しており、2020年にはすでに3万件を突破している。領域別にみると、機械学習とマシンビジョンが各国にとってAI専利出願における人気の領域となっている。台湾においては、AI技術全体の専利出願件数の推移が世界と同じ傾向にあり、2017年から大幅に成長し、2021年は2014年比で9倍近くに成長しており、また同様に機械学習とマシンビジョンの出願件数が占める割合が最も多い。AIの領域毎に統計期間内の専利出願件数を合計すると、さらに機械学習とマシンビジョンの人気が突出し、世界、台湾にかかわらず、この2領域の合計は全体の半数を超えている。総体的にみて、AI技術の成熟にともない、AI技術はすでに研究室から離れて各業界へと浸透しており、今後は人々の生活に深く入り込み、人間のニーズに応え、問題解決をサポートするようになるであろう。
三、台湾AI専利出願は増加し続け、その地位はますます重要に
 AI専利技術の全体、及び機械学習とマシンビジョンの各領域について出願受理官庁別に出願件数をみると、トップ10に大きな差はなく、1~3、6、7位の出願受理官庁は全く同じであり、台湾はAI専利の技術全体の出願件数については9位であり、機械学習とマシンビジョンについてはそれぞれ8位と9位で、世界のAI専利戦略において、台湾も重要な選択肢の一つとなっている。近年、台湾におけるAI専利出願件数は増加し続けており、台湾におけるAI専利戦略はますます重要となるに違いない。
四、世界のAI専利出願件数トップはIBM、台湾のトップでは鴻海
 世界AI専利技術について各国の参入者のうち、米国の出願人は5社あり、それぞれ1、3、5、9、10位を占め、中国の出願人は計3社で、それぞれ2、6、7位を占めており、両国のAI専利技術は高度な総合的競争力を有することが分かる。台湾においては、主な技術参入者(出願人)は鴻海(Hon-Hai)、工業技術研究院(ITRI、以下「工研院」)、中華電信(Chunghwa Telecom)、資訊工業策進会(III、以下「資策会」)及び英業達(Inventec)等5つの企業と法人であり、それぞれ1、2、4、7、9位を占めている。ここから台湾の企業又は研究機関がAI専利技術に相当な関心を持ちリソースを注ぎ込んでおり、台湾産業が将来前進し続ける原動力となる可能性があることがわかる。
 機械学習の各国参入者についてみると、米国は計6社で、それぞれ1、3、4、7、9、10位を占め、首位の米国IBMは2位とは大きく水をあけており、米国はAIモデルの開発と演算力に関してはなお主導的地位にある。台湾についてみると、台湾の主な技術参入者が、1位の工研院、6位の中華電信、8位の鴻海であり、工研院、中華電信及び鴻海は近年積極的にAI技術の研究開発に力を入れ、成果が徐々に現れてきている。
 マシンビジョンの各国出願人をみると、中国の出願人は計9社あり、出願件数は首位を占めている。韓国は4位に入っている。台湾についてみると、台湾の主な技術参入者は鴻海、工研院、中華電信、交通大学(National Chiao Tung University)(訳注:2021年の合併以降は陽明交通大学)及び資策会等5つの企業と法人であり、それぞれ1、2、6、7、8位を占め、ハードウェア機能に重点を置いたマシンビジョン領域が台湾にとって将来における発展の重点となっている。
五、研究開発を継続し、台湾技術の優位性を強化
 台湾は世界をリードする半導体製造力と、優れたシステム統合サービスの能力を備えている。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは講演においてバックスクリーンに提携パートナーのリストを掲示したが、それは半導体製造、システム組立及び統合、封入及びテスト、部品・コンポーネント等の領域に及んでおり、台湾は世界AIサプライチェーンにおいて重要な地位にあることがうかがえる。政府はすでに、半導体、AI、軍事産業、セキュリティ・サーベイランス、次世代通信という「五大信頼産業(Five Trusted Industry Sectors)」を今後重点的に推進する産業と位置付けており、台湾半導体産業の主導的地位の強化を推進し続ける以外に、各業界におけるAI応用側のニーズで、AIスマート応用にハイバリューな発展をもたらすとともに、AI技術をベースとして新たな産業チェーンとエコシステムを構築し、産業のAI化とAIの産業化を促進して、台湾のDX(デジタルトランスフォーメーション)と産業のレベルアップの達成を加速させる。
六、AI専利出願のガイドラインを公表
 知財局は今回のAIブームにおいて、AI関連専利出願に対する審査能力の向上に努め続けており、2025年には「わが国のAI関連発明事例集(原文名:我國AI相關發明案例集)」を編纂した。この中でAI関連発明の事例を用い、台湾AI関連発明の各専利要件の審査基準を詳しく解析している。この事例集については、知財局が産学研の各界で発明創作に従事する専門家を招き、2025年6月20日に開催した「わが国のAI関連発明事例集ワークショップ」において、討論や交流、そして修正に関する意見の提供が行われており、さらに2025年9月18日の広報説明会では産業界がAI関連発明の審査実務を理解し、AIに関する革新的技術の明細書を作成する質を高め、世界における専利戦略を強化する一助となるように、業界に対して宣伝と説明が行われた。(2025年10月)

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