日台間で「植物品種の審査に関する協力覚書」を締結、協力の新たな頁を開く

J241219Y1・J241219Z1 2025年1月号(J305)

 農業部(日本の農林水産省に相当)は2024年12月19日、台湾は日本と「植物品種の審査に関する協力覚書」を締結したと発表した。今後、双方が植物品種の特性検定(DUS試験)報告書について相互承認を行うことで、品種登録の出願・審査にかかる時間とコストを節約でき、双方の育種者の権益が互いに守られ、農業関連の知的財産権の発展が推進されることが見込まれる。
 農業部は次のように説明している。世界における貿易の自由化が進み、国際間で農産物の貿易が活発に行われるようになり、育成者権(原文:品種權)を通じて台湾の優れた品種を保護することが極めて重要となっている。育成者権は属地主義が採用されており、各国の審査を受けることが必要であり、それによって現地における権利の保護を享受できる。かつ育成者権の審査は植物の生育期間と植物の特性の調査等の作業に合わせる必要があるため、出願から育成者権取得まで往々にして2~3年以上かかる。育成者にとって、時間と金銭はいずれもコストであり、多くの国で育成者権を出願するならば、必要なコストはさらに嵩んでしまう。育成者が海外で育成者権を出願することを奨励するため、台湾は2019年にEUとコチョウランの特性検定報告書の相互承認に関する行政協定を締結したのに続いて、2021年にはベトナムと植物品種の特性検定及び保護に関する国際協力覚書を締結しており、2024年11月末現在で、台湾は合計17件の優良品種がこの種の提携枠組を通じて海外の育成者権を取得しており、大幅に時間と経費を削減できた。日本は台湾の農産物の輸出にとって最も重要なターゲット市場であり、農産物の交流を促進するため、双方による1年余りの協議を経て、ついに植物品種の特性検定報告書について相互承認を行うことで合意に達し、東京で開催された第48回日台貿易経済会議にて協力覚書が締結された。今後双方は引き続きこの協力について、承認する植物品種をさらに検討していく予定であり、これは双方の農産物に係る国際競争力の向上と産業(農業)の戦略展開にとって極めて重要だといえる。
 農業部によると、2024年11月現在で台湾の育成者権出願件数は計3265件であり、そのうち花卉が2735件(84%)で最も多く、次いで野菜が210件(6%)、果樹が171件(5%)、穀物が85件(3%)、その他が64件(2%)となっているという。育成者権は育成者の権益を保障し、品種の研究開発・改良を奨励するとともに、消費者により多様な農産物の選択肢を提供することもできる。また輸出向け農産物の海外における育成者権出願を奨励するため、農業部はさらに多くの国際協力の機会を模索し続け、台湾の優良品種を保護し、台湾農業の競争力を高めていくとしている。(2024年12月)

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor