2023年WIPOとTIPOの特許出願受理動向の比較分析
J241024Y1 2024年11月号(J303)
経済部知的財産局(TIPO)は2024年10月24日に「2023年WIPOとTIPOの特許出願受理動向の比較分析」を発表した。2023年世界知的所有権機関(WIPO)が受理した特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願件数は約27万2600件(予測値)に上り、前年比で1.8%減少し、13年続いていた成長が止まった。一方、TIPOは5万854件受理し、前年比で1.2%増となった。
WIPOは知的財産権保護を目的とする国連の専門機関である。出願人はPCT国際出願制度を通じて特許を出願するだけで、(特許を取得したい)複数のPCT締結国へ国内移行して審査を請求でき、(各国の指定官庁が)特許権を付与できるかを審査して決定する。
一、 2023年WIPOとTIPOの特許出願は、それぞれ「コンピュータ技術」と「半導体」が最多
2023年WIPOが受理した特許出願の技術分野別にみると、「コンピュータ技術」が全体の10.2%を占めて最も多く、「デジタル通信」が9.4%、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」が7.9%でそれに次いでいる。TIPOは「半導体」のシェアが15.0%で最も多く、「コンピュータ技術」が9.1%、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」が6.1%でそれに続いた。WIPOの特許は35の技術分野に区分されており、「コンピュータ技術」にはAI、クラウドコンピューティング等の演算技術が、「デジタル通信」には5G/6G通信、衛星通信等の有線、無線及びデジタル画像通信が、「電子機械、電気装置、電気エネルギー」には照明、基本的電気素子、電気エネルギーを蓄積するための方式、電力給電または電力配電のための回路装置及び技術が、「半導体」には半導体装置、プロセス及び技術が、それぞれ含まれている。
各主要国(地域)のWIPOにおける特許出願の技術分野別内訳をみると、中国は「デジタル通信」(15.6%)、米国は「コンピュータ技術」(12.9%)がそれぞれ最多で、日本とドイツは「電子機械、電気装置、電気エネルギー」が最も多く、それぞれ11.3%と11.8%を占めており、韓国は「電子機械、電気装置、電気エネルギー」と「デジタル通信」が同率(11.2%)で最も多かった。台湾、中国、米国、日本、韓国はTIPOに対する特許出願のうち「半導体」が最も多く、それぞれの国における「半導体」の占有率は12.5%~25.7%であった。
二、2023年PCT特許出願はファーウェイ(中国)が七連覇、TIPOへの特許出願はTSMCが五連覇
2023年WIPO特許出願の公開件数を出願人別にみると、中国のファーウェイが6494件で七連覇を達成し、韓国のサムスン(3924件)、米国のクアルコム(3410件)がそれに次いだ。TIPOについては、台湾積体電路(TSMC)が1582件で五連覇を達成し、米国のアプライド・マテリアル(794件)、韓国の(747件)がそれに続いている。WIPOとTIPOの出願人トップ10にはいずれもサムスンとクアルコムが入っている。
三、2023年WIPO出願人トップ10の多くは「デジタル通信」を重視、TIPO出願人トップ10の多くは「半導体」の出願が最多
2023年WIPO出願人トップ10それぞれの特許出願公開件数を技術分野別みると、ファーウェイを始めとする6社が「デジタル通信」分野に積極的に出願している。ファーウェイについては「デジタル通信」が41.8%で最も多く、「コンピュータ技術」(22.7%)と「電気通信」(9.5%)がそれに次いでおり、三分野の合計は74.0%に達している。TIPO出願人トップ10については、TSMCを始めとする6社は「半導体」が最も多く、とくにTSMCは「半導体」が78.1%を占めている。
サムスンはWIPOで「デジタル通信」が最も多いのに対して、TIPOでは「半導体」が最も多く、ポートフォリオの重点が明らかに異なっている。一方、クアルコムはWIPOとTIPOのいずれにおいても「デジタル通信」が最も多く、ポートフォリオに大きな差は見られなかった。
四、2023年台北-新竹地区の出願人による特許出願が内国出願人全体の72.4%を占め、台北-新竹地区の発明者はWIPO特許出願の科学技術クラスターランキングで37位に
2023年のTIPO特許出願件数を県市別にみると、新竹市が4842件で最も多く、過去最高を記録した。台北市(3058件)、新北市(2989件)がそれに次いでいる。台北-新竹地区の出願人による特許出願件数は、内国出願人全体の72.4%を占めている。さらにWIPOのここ5年間(2019~2023年)の統計によると、台北-新竹地区の発明者はWIPOの「上位 50 のPCT クラスター(Top 50 PCT Clusters)」ランキングにおいて37位だった。(2024年10月)









