台北地方裁判所が商標権侵害のストリートウェア業者に刑罰の判決

J240318Y2 2024年4月号(J296)

 ストリートウェア業者の黄〇〇と顔〇〇は共同で、LV等の著名商標を「ブートレグ(bootleg)」する方法で自社ブランド商品を販売し、2021年に摘発され、送検されていたが、なお被疑侵害品を販売し続けていた。2023年、黄〇〇と顔〇〇は商標法違反で起訴されたが、両名は著名商標の「パロディ」であり、消費者を誤認混同させることはないと主張していた。台北地方裁判所は、両名が「便乗行為」により利得を上げたと認定し、それぞれ懲役6月、懲役5月に処し、いずれも罰金に転換でき、さらに上訴できるとの判決を下した。
 判決書によると、黄〇〇は堅仕德創意設計有限公司(Gansta Creative Design Co., Ltd.)の代表者であり、LV、Gucci、Chanel等の著名商標をベースにしてデザインを加え改作して、例えば人間や人形などの図案を衣類、スーツケースなどの商品に用いて、米斯美客有限公司(MF production co)の代表者である顔〇〇に出荷し、ストリートファッション「MF BY G.C.D.C」の名称で、店舗又はネットショップにて販売していた。
 仏ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton Malletier)社は、同社のLVブランドの商標権が侵害されていると判断し、顏〇〇の「MF旗艦店」(訳注:旗艦店はフラッグショップの意)とネットショップで商品を購入して証拠を集め、BURBERRYブランドを経営する英バーバリー(Burberry Limited)社とそれぞれ告訴を提起し、黄〇〇と顔〇〇が商標を模倣したと主張し、それぞれ鑑定書を補充証拠として提出したほか、同事件に係るその他の企業も追随した。
 警察は2021年5月11日、黄〇〇と顔〇〇が共同で経営する場所等において、合計2543点の模倣品を押収し、経済部知的財産局での対比に送られた後、両名が著名商標を改作した文字又は構図のデザイン全体は、消費者に商品の出所が正規品メーカー又は正規品メーカーから使用を許諾された、加盟関係にある業者等であると誤認させるに十分であり、加えて正規品メーカーにも同類の商品があるため、消費者は確実に混同する可能性があると認定された。
 しかしながら、被告人両名は、「MF」商品の図案は「二次創作」であり、本件8社(商標権者)のブランドとは関係がなく、商標権者の同意を得る必要はなく、しかも両名は著名商標の「パロディ」に対して明確な区分性があり、消費者に誤認混同を生じさせるにはいたらないと主張した。
 裁判官は審理した結果、次の通り判断した:戯謔又は冗談は言語、文化上の等の要素と密接に関連しており、台湾人は外国人の良くあるジョークにどのようなユーモアや笑いどころがあるのかを理解できるとは限らないが、商標が消費者に商品や役務の出所を誤認混同させるか否かは、往々にして見た時「一瞬の反応」であり、よって「パロディ」の判断基準は、消費者がユーモア、諷刺又は批判、嘲笑等の娯楽的な意味を有すると「すぐに察知」できるかであり、原作と明確に識別することとは全く関係ない。
 裁判官はさらに次のよう指摘した:本件商品には前述した「パロディ」の特徴が見られず、文化的貢献や社会的価値により商標権保護を犠牲にしなければならないという必要性はなく、逆に両名は著名商標を利用して「便乗」行為を行い、自らの商品をさらに多く販売することを目的とし、企業が心血を注いで確立した商品イメージが被害を受け、さらには消費者を混同させ、公正な取引秩序を妨げ、わが国の知的財産権保護に関する国際的な評判に影響を及ぼすことを無視している。よって、商標法の商標権侵害等の罪により、黄〇〇を懲役6月に処し、罰金18万新台湾ドルに転換でき、顔〇〇を懲役5月に処し、罰金15万新台湾ドルに転換でき、また本件は上訴できる。(2024年3月)

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor