「権利不要求宣言の審査基準」改訂を公表、2023年8月1日から施行

J230531Y2・J230502Y2 2023年6月号(J286)

 経済部知的財産局は2023年5月31日付けで「権利不要求宣言※の審査基準(原文:聲明不專用審査基準)」の改訂を公表し、2023年8月1日から施行すると公告した。
(※訳注:「不專用」は「ディスクレーム」、「専用権放棄」とも訳される)
 権利不要求宣言制度は長年にわたり施行されてきたが、昨今はネット販売等の新たな形態のビジネスモデルが生まれており、商標の表現形式や使用態様も多様化し、商標について「商標権の範囲に疑義が生じるおそれ」の有無の判断は、実務上認定が容易ではなく、2022年9月1日付施行の「商標識別性の審査基準」改訂に対応して、「権利不要求宣言の審査基準」改訂案を作成した。改訂の重点は以下の通り。
 (一)商標図案における識別性(識別力)のない部分について、「商標権の範囲に疑義が生じるおそれ」の有無を判断する際に考慮する要素を明確に規定する:
 1.図案における識別性のない部分が、指定商品又は指定役務に関する説明(記述)ではあるが、出願人が創造して使用している、又は事業者があまり使用していない文字の組合せであり、出願人が当該部分について単独で権利を主張できると誤解する可能性があり、かつ商標図案における当該部分が商標権を取得しているか否かについて消費者や競合同業者に疑義が生じ易いとき、権利不要求宣言を行わなけれなならない。
 2.「記述的(文字)」及び「普通名称」以外のその他の識別性のない標章、例えば、氏、標語、熟語、流行語等の記述的ではない文字であり、事業者が通常好んで使用する、又はこれを以て専用権を取得したがるときに、これらの標章に識別性がないと判断された場合は、出願人が当該部分について権利を主張できると考えることがないように、原則的に権利不要求宣言を行わなければならない。
 3.二以上のアラビア数字、型番、記号等で、識別性がないとの認定を受けたものは、原則的に権利不要求宣言を行わなければならない。但し数字が示す意味が明確であり(例えば規格、数量、時間、年代等)、かつ業界で慣用され、商標権の範囲に疑義が生じるおそれはないと認定できるときは、この限りではない。
 4.識別性のない部分が図案の中に表示される位置、字体のサイズ又は占める割合が、出願人が当該部分について商標権を取得したいか否かの判断に影響する可能性がある場合、例えば、商標図案における識別性のない部分について、デザインを施したり、かつ特に拡大したり目立たせたりしているために、当該部分の文字又は図形が権利を取得しているか否かに疑義が生じるおそれがあるときは、権利不要求宣言を行わなければならない。
 (二)権利不要求宣言を行う必要がない状況を明確にする:
 1.図案における識別性のない部分について、当局が「権利不要求宣言を行う必要がない例示事項」として公告したものは、商標権の範囲に疑義が生じるおそれがなく、権利不要求宣言を行う必要がない。
 2.審査において、識別性のない部分がすでに同業者又は公衆が指定商品又は指定役務を描述するのに通常使用している、又は商品又は役務の特性を直截的に描述しているもので、商品又は役務の直接的かつ明らかな説明であり、商標権者及び同業者にいずれも商標権の範囲について疑義が生じないと判断できる関連の事実証拠が十分にあるならば、権利不要求宣言を行う必要がない。
 (三)数字、標語、熟語、流行語等の識別性のない事項についての権利不要求宣言の要否判断原則を追加し、事例で説明する。とくに市場においてよく見られ慣用されている祝福や宣伝広告のための用語又は数字については、商標権者がそれらの用語又は数字の専用権を取得していないことに対して、消費者及び競合同業者に疑義が生じないならば、権利不要求宣言を行う必要がない。
 (四)会社名、ドメイン名又は記述的アイコン等のような商習慣上、記載される「純粋な情報に関する事項」については、商標の一部分に該当せず、商標登録出願における商標権の範囲を明確にするために削除すべきであり、具体的な事例と説明も追加する。(2023年5月)
 

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