「専利法の一部条文改正案」、「商標法の一部条文改正案」が行政院院会で可決

J230309Y1・J230309Y2 2023年3月号(J283)

 知的財産局はニュースリリースにて、産業界からの提言に応え、海外と足並みを揃えるため、2023年3月9日の第3846回行政院院会※にて「専利法※※の一部条文改正案)」、「商標法の一部条文改正案」が可決されたと発表した。
(注※:日本の閣議に相当。※※:「専利」には特許、実用新案、意匠が含まれる。)
 今回の專利法及び商標法の改正では、迅速で専門的な専利・商標の救済制度が再構築されるとともに、商標代理人の管理制度が確立される。今後、立法手続が完了した後は、専利・商標に係る事件の救済にかかる時間とコストを大幅に削減でき、紛争の早期解決に役立つほか、商標代理業務の管理を着実に実施することで、商標登録出願人の権益を保障し、産業の発達に寄与して、より一層産業界の需要に即した知的財産権の保護環境を創り上げることができる。
 一、専利・商標に係る事件の救済制度を再構築する「専利法」及び「商標法」の一部条文改正案の重点は以下の通りである。
 (一)複審及び争議事件の審議を専門に担当する独立の部署を設置
 海外の専利・商標に係る救済制度を参考として、所管官庁内に「複審及び争議審議会」を設置し、専利及び商標に係る事件を専門に審議させるとともに、それに関連する権限の依拠を定めている。
 (二)専門的、効率的かつ厳密な審議手続を再構築
 専利・商標に係る争議事件の手続の保障を強化するとともに時間的効率についても考慮して、複審事件又は争議事件の審議は、審議員3人又は5人の合議体が行い、口頭審議、予備手続を導入するとともに、審議期間において適度に心証を公開する、審議の終結を通知する等の方法で、審議手続をより厳密に行う。
 (三)審議決定に不服がある場合、訴願手続を免除し、直接に提訴
 複審及び争議事件は所管の部署による審議を経て、厳密で専門的な審議手続により、当事者の手続の保障を確保する上で、救済の時間的効率を高めるために、審議決定に不服がある者は、訴願手続を免除し、直接に提訴できることを明確に定めている。
 (四)「複審訴訟」及び「争議訴訟」という特殊訴訟を創設
 所管官庁が争議事件について行った審議決定は、私権を争う行政決定手続に該当することを明確にしている。権利について争う場合、現行の行政訴訟から民事訴訟手続の準用に切り替え、相手方の当事者を被告として「争議訴訟」を提起しなければならない。複審事件の審議決定に不服がある者は、「複審訴訟」を提起することができる。また、救済制度の過度な複雑化や判決の抵触を避けるため、現行の行政訴訟を民事訴訟手続の準用に切り替え、終審裁判所を最高行政裁判所から最高裁判所へ変更する。
 (五)専利に係る争議訴訟事件は弁護士又は弁理士による強制代理を採用
 専利に係る争議訴訟事件は高度な技術の専門性と法律の専門性を有するので、知的財産事件審理法の改正に合わせ、当事者の権益を保護し、審理効率を高めるために、専利に係る争議訴訟事件は弁護士又は弁理士による強制代理を採用することを規定している。専利又は商標に係る争議訴訟又は複審訴訟の上訴審事件についても、弁護士強制代理を採用する。
 (六)意匠の新規性喪失の例外期間を12ヵ月に緩和
デザイン産業の発達に寄与し、海外との足並みを揃えるために、意匠の新規性喪失の例外期間(グレースピリオド)を現行の6ヵ月から12ヵ月へと緩和する。
 (七)商標の異議申立てを撤廃
 現行の商標異議申立てのうち97%の事件は相対的な不登録事由に係る争議であり、無効審判請求の事由と高度に重複しているため、異議申立てを撤廃する。また、異議申立てという公衆による審理制度に対する需要を効果的に低減する対策として、絶対的な不登録事由については、「何人」も無効審判を請求できるように緩和するとともに、商標登録出願の審査段階で第三者も情報を提供できることを定める。
 二、商標代理人を規定する「商標法」の一部条文改正案は、改正の重点が以下の通りである。
 (一)早期審査制度を追加することで、外界の商標権取得に対する切迫した需要に応える。
 (二)さらに商標代理人の資格条件を完備するため、商標所管官庁に登録・管理及び関連管理弁法の制定に係る権限を与えることで、商標出願人の権益を保障する。
 (三)適格な出願人の主体の追加、商標登録の取消請求や税関での権利侵害認定等に関する手続の簡素化により、規制緩和等の実務上の需要に応える。(2023年3月)

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