知的財産事件審理法改正案が立法院第三読会を通過、営業秘密侵害訴訟の保護をより強化

J230112Y9 2023年2月号(J282)

 知的財産事件審理法改正案が2023年1月12日付けで立法院第三読会を通過した。通過した改正条文は計77条(新設36条、修正41条)に上り、規範は現行法の僅か41条より大幅に増えている。今回の法改正における9つの重点は以下の通り。

 一、営業秘密侵害訴訟資料の保護を強化-営業秘密侵害事件はすべて知商裁判所で審理し、各措置で訴訟中の営業秘密の保護を強化

 修正の重点として、第一審知的財産民事事件は知的財産及び商事裁判所(以下「知商裁判所」)の管轄となること、専門的で、適切かつ迅速な審理という目標を達成するために一般営業秘密侵害罪の「第一審刑事事件」(付帯民事訴訟を含む)は知商裁判所第一審知的財産法廷で審理すること、国家安全法の規定に合わせて、国家コアテクノロジーを侵害した営業秘密刑事事件については、高等裁判所レベルに相当する第二審知的財産法廷を第一審の管轄裁判所とすることが含まれているほかに、最高裁判所に知的財産事件を専門に取り扱う専門法廷又は専門部署を設置して、専門的な審理の徹底を図ると規定されている。

 そのほかに、営業秘密の証拠書類において識別できないようにするためのコード名又は代替名、並びに証拠書類情報を知る権利を追加し、秘密保持命令制度を修正して、営業秘密の証拠書類の内容を保護する。また秘密保持命令違反罪については非親告罪とし、刑事責任を加重する。さらに「海外での秘密保持命令違反罪」を導入して、営業秘密訴訟資料の保護を着実に行う。

 二、知的財産事件の集中審理-審理計画制度の導入
 弁護士強制代理制度を運用する特定の事件である場合、又はその他の事情が繁雑である、若しくは必要である場合に、裁判所は当事者と審理計画を相談して定めなければならないとの規定を追加する。また訴訟機能を高めるため、審理計画違反事項に係る法律効果を規定する。

 三、弁護士強制代理の運用を拡大
 知的財産民事事件は法律の専門性が高いことを考慮して、当事者の権益を保護し、審理効率を高めるため、特定の類型の知的財産民事事件については弁護士による代理を強制する規定を新設する。

 四、専門家による審理参加を拡大-査証制度と専門家証人制度の導入
 裁判所が先進的かつ高度な技術性及び専門性を求められる訴訟事件における事実を発見するのを支援し、証拠偏在という問題を解決し、当事者の訴訟における武器対等を促進するため、日本の《特許法》規定を参考として、訴訟提起後に裁判所に対して中立な技術専門家を選任するよう申し立て、証拠集めを行わせる「査証」制度を導入する。また、専門的で、適切かつ迅速に当事者の紛争を解決することをめざして、商事事件審理法で採用されている「専門家証人制度」を準用する規定を追加する。

 五、紛争の一括的解決、裁判の不一致回避―司法と行政との情報交流制度を設立

 司法審理と行政審議との間の情報交流制度、及び知的財産所轄機関に対する諮問制度の設立、更に独占的許諾に係る訴訟告知義務及び知的財産権の有効性判断不一致にかかる再審(の訴えの)制限を追加することによって、裁判の不一致を回避する。

六、審理効率の向上―技術審査官の報告書をさらに透明化

 技術審査官が作成した報告書は、裁判所が必要であると認めた時、全部又は一部の内容を公開することができ、しかも当事者に弁論の機会を与えるものであり、それによって始めて裁判の基礎として採用することができる。また、被害者側による(権利侵害に係る)証明責任の負担を軽減し、権利侵害行為者に具体的な答弁義務を課す。

 七、審理のIT設備運用増進で、司法IT化を強化

 IT設備を運用した訴訟手続対象を拡大するよう修正するとともに、裁判書類正本を電子ファイルで送達できるとの規定を追加する。

 八、被害者参加制度を追加して、積極的に被害者の権益を保護

 被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法の被害者訴訟参加関連規定を準用する規定を追加する。

 九、実務上の争議の解決

 「訂正の再抗弁」制度及び「付帯民事訴訟手続き」等の関連規定を修正して、訴訟の紛争解決のための機能を強化する。(2023年1月)

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