司法院が「知的財産事件審理法」改正案を可決 施行以来最大規模の改正に

J220624Y9 2022年7月号(J275)
    司法院は2022年6月24日に「知的財産事件審理法」、「知的財産及び商事裁判所組織法」等の改正案を可決した。知的財産事件審理法が施行されて14余年になるが、最大規模の改正となっている。今回の改正の重点には、営業秘密侵害訴訟の保護の全面的な強化、弁護士強制代理の採用拡大、専門家による審理参加拡大、専利及び商標の救済における対審制度の導入、司法IT化の強化及び被害者参加制度の追加等が含まれる。改正案は早急に行政院に送られて署名を経た後、立法院の審議に送られる。
    「知的財産事件審理法」改正案の要点10項目は次のとおり。
    一、営業秘密侵害訴訟の保護を強化
(一)営業秘密侵害に係る民事事件第一審が知的財産及び商事裁判所(以下「知商裁判所」)の直轄となる。
(二)営業秘密法第13条の1、第13条の2、第13の3第3項及び第13条の4の犯罪に係る刑事事件第一審を、知商裁判所での審理に改める。
(三)2022年6月8日に総統府から発布された国家安全法に合わせて、国家コアテクノロジーを侵害した営業秘密刑事事件については、知商裁判所の管轄とすることを追加する。
(四)「秘密保持命令違反に対する罰則」を強化し、「海外での秘密保持命令違反の罪」を導入して、営業秘密違反に係る刑事事件の審理保護システムを強化する。
(五)営業秘密の証拠書類において識別できないようにするためのコード名又は代替名、証拠書類情報を知る権利についての規定を追加する。
    二、弁護士強制代理の採用を拡大
当事者の権益を保護し、審理効率を高めるため、特定の類型の知的財産権侵害に係る民事事件は弁護士による代理を強制する規定を新設する。
    三、専門家による審理参加を拡大
(一)日本の特許法を参考として、訴訟提起後に裁判所に対して証拠集めを行う中立な技術専門家を選任するよう申し立てることができる「査証」制度を導入する。
(二)専門性を求め、妥当で、迅速に当事者の紛争を解決するため、商事事件審理法で採用されている「専門家証人制度」を準用する規定を追加する。
(三)裁判所サイトにて、当事者以外の個人、機関又は団体に対して、公開で書面での意見を求める「アミカス・キュリエ(法廷の友人)」制度を導入する。
    四、専利及び商標の救済に対審制度を導入
経済部が作成した「専利法一部条文改正案」及び「商標法一部条文改正案」に対応して、「専利又は商標の複審及び争議事件手続き」関連規定を追加する。
    五、司法IT化を強化
IT設備を運用した訴訟手続き対象を拡大するとともに、裁判書類正本を電子ファイルで送達することができると規定している。
    六、被害者参加制度を追加
被害者の権益を保障するため、刑事訴訟法の「被害者参加制度」関連規定を準用する規定を追加する。 
    七、知的財産事件の集中審理
弁護士強制代理制度を採用する特定の事件である場合、又はその他の事情が繁雑である若しくは必要である場合に、裁判所は当事者と審理計画を相談して定めなければならないとの規定を追加する。
    八、審理効率の向上
(一)技術審査官が作成した報告書は、裁判所が必要であると認めた時、全部又は一部の内容を公開することができ、しかも当事者に弁論の機会を与えるべきであり、それによって始めて裁判の基礎として採用することができる。
(二)(被害者側による)権利侵害行為に係る証明責任の負担を軽減し、権利侵害行為者に具体的な答弁義務を課す。
    九、紛争の一括的解決
司法審理と行政審議との間の情報交流制度の確立、独占的許諾に係る訴訟告知義務及び専利の有効性判断不一致に係る再審(の訴えの)制限によって、裁判の不一致を回避する。
    十、実務上の争議の解決
「訂正の再抗弁」制度及び「付帯民事訴訟手続き」等の関連規定を改正して、訴訟の紛争解決のための機能を強化する。(2022年6月)

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