表示若しくは表徴の「多重の合理的な解釈」とは、表彰する客觀的文義に対する大衆の解読であり、事業者自身の内部の主観的な詳細説明若しくは認知ではない

2014-05-15 2011年

■ 判決分類:不正競争

I 表示若しくは表徴の「多重の合理的な解釈」とは、表彰する客觀的文義に対する大衆の解読であり、事業者自身の内部の主観的な詳細説明若しくは認知ではない

■ ハイライト
行政院公平交易委員会による公平交易法第21条案件についての処理原則第7点第4号では、表示若しくは表徴が客観的に多重の合理的な解釈を有するとき、その中の一つが真実である場合、不実がないとみなす。但し、錯誤に導く意図が明確である場合、この限りではない。と規定されている。「多重の合理的な解釈」とは、一般大衆が「表示若しくは表徴」が表彰する客観的な文義の読解であり、事業者自身の「表示若しくは表徴」についての内的主観の詳細説明や認知ではない。本件係争テレビ広告の文字は、一般に普通の知識経験を有する一般大衆に係争テレビ広告により多重の合理的な解釈を生じさせるものである。例えば「弁当を買うだけで 49新台湾ドル要るが、弁当に飲料を組合わせれば僅か39新台湾ドル」、若しくは「39新台湾ドルで弁当と飲料が買える」、若しくは「弁当定価49新台湾ドル、今は僅か39新台湾ドルより」、若しくは「弁当が僅か39新台湾ドルより」などは、弁当と飲料を同時購入した総額が59新台湾ドル(若しくは65新台湾ドル)である、及び原告店頭で実際には39新台湾ドルの弁当を販売していないという解釈ができるものではない。原告はこのことについて消費者が弁当に特定品目の飲料を組合わせれば、59新台湾ドル若しくは65新台湾ドルで弁当と飲料が購入でき、本販売促進キャンペーンで値引きする10新台湾ドルを弁当に帰属させたものであり、これは事業者内部の価格決定の自由であって、主観的な内部価格戦略決定と係争テレビ広告の文義の解釈は一致しているとした。原告が係争テレビ広告は処理原則第7点第4号の規定に合致していて、公平交易法違反ではなく、原処分が行政の自己拘束の法理に違反している云云と主張したことは、採用することができない。

II 判決内容の要約

基礎データ

台北高等行政裁判所判決
【裁判番号】99,訴,251
【裁判期日】990520
【裁判事由】公平交易法

原   告 統一超商股份有限公司
被   告 行政院公平交易委員会
上記当事者間ににおける公平交易法に関する事件につき、原告が行政院2009年12月22日院台訴字第0980098650号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起した。本裁判所より以下のように判決を下す。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実の要約
本件の始まりは2009年4月8日、原告がテレビ、新聞等メディアで「国民弁当39新台湾ドルより」という広告(以下、係争広告)を出したところ、2009年4月17日に財団法人中華民国消費者文教基金会に消費者から多くの声が寄せられたことであり、原告の売場には39新台湾ドルの弁当がなく、実際には59新台湾ドルのセット価格であり、飲料商品を購入しなければ弁当の価格が49新台湾ドルなので、係争広告は39新台湾ドルで弁当と飲料が買えると消費者を誤誘導しており、不実広告の嫌疑があるとの指摘があった。被告が調査した結果、原告が係争国民弁当商品のテレビ広告で、商品の価格について誤解を招く表示をしたことを以って、公平交易法第21条第1項規定に違反したとして同法第41条前段規定により、原告に処分書送達の翌日より直ちに前項違法行為を停止するよう命じるとともに、過料50万新台湾ドルに処した。原告はこれを不服とし、訴願を提起したが棄却決定を受けたので、続いて本件行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告声明:訴願決定及び原処分の取消しを請求する。
(二)被告声明:原告の訴えの棄却を請求する。

三 本件の争点
係争広告は商品価格内容等について虚偽不実若しくは誤解を招く表示をして、公平交易法第21条第1項の規定に違反したのか、また、原処分は適法であったのか。

四 判決理由の要約
(一)弁当、飲料等商品の市場競争は多々あり、価格の高低が消費者が取引するかどうかを決定する重要な要素となっている。事業者は商品若しくはその広告で、商品の価格、数量、品質、内容等について、虚偽不実若しくは誤解を招く表示若しくは表徴をしてはならない。上記広告内容は、国民弁当及び茶裏王(商品名)飲料の原販売価格の多少及び二つを併せて購入しなければならないことについて標示若しくは説明をしておらず、また、テレビ広告情報の表現も、音声影像による瞬間的伝播変換であるという特性を有しているので、一般消費者が短い視聴過程において普通の注意を払っただけでは、係争広告が伝達した情報から十分に、国民弁当は茶裏王を組み合わせて買わなければならず、なお且つ実際には少なくとも59新台湾ドル以上の金額を支払わなければ購入することができないという取引情報を知ることは極めて困難である。係争テレビ広告が示す「茶裏王(種類限定)との組合せで国民弁当がたったの39新台湾ドルより」、「単独なら定価49新台湾ドル」の価格情報は、国民弁当が定価49新台湾ドルで、現在は国民弁当に茶裏王を組合わせればたったの39新台湾ドルよりであるという、定価より更に安価であるような誤った認知若しくは決定を一般的に普通の知識経験を有する一般大衆がにさせるに十分であると認定できる。被告は原告が係争テレビ広告で価格情報を明確且つ完全には開示していないとし、当該広告が示す内容では、39新台湾ドルよりの国民弁当を買いたいなら、少なくとも59新台湾ドル以上の金額を支払わなければならないという取引情報を一般消費者に知らせることができず、一般消費者に国民弁当の単一品目購入価格が39新台湾ドルであると認知させやすく、十分に一般消費者の誤った認知及び決定を招きやすい。よって、商品の価格が虚偽不実及び誤解を招く表示であり、市場の公正な競争秩序に有害である等の叙述には根拠があると言える。

(二)また、公平交易法第21条案件の処理原則第7点では、虚偽不実若しくは誤解を招く表示若しくは表徴の判断原則について定めており、上記の表示若しくは表徴が虚偽不実若しくは誤解を招くものであるかどうかの判断時は、「個別広告」上の全体内容を併せて観察するのであり、数個の異なる広告内容を合わせて観察するのではないとしている。本件係争テレビ広告には虚偽不実又は誤解を招く表示若しくは表徴があり、前述のように、原告の他の店頭に置いている書面広告、新聞広告、インターネット広告及び弁当上のシール文字が、係争テレビ広告の内容ではない以上、係争テレビ広告と合わせて観察することはできない。

(三)更に「表示若しくは表徴が客観的に多重の合理的な解釈を有するとき、その中の一つが真実である場合、不実がないとみなす。但し、錯誤に導く意図が明確である場合、この限りではない。」と、公平交易法第21条案件の処理原則第7点第4号に明記されているが、上記規定でいうところの「多重の合理的な解釈」とは、一般大衆の「表示若しくは表徴」が表彰する客観的文義に対する解読であり、事業者自身の「表示若しくは表徴」についての内的主観の詳細説明や認知ではない。原告は本販売促進キャンペーンで値引きする10新台湾ドルを国民弁当に帰属させたが、これは事業者内部の価格決定の自由によるものであって、原告の主観的な内部価格戦略決定と係争テレビ広告の文義の解釈は一致しているとし、係争テレビ広告は上記処理原則第7点第4号の規定に合致していて、公平交易法違反ではなく、原処分が行政の自己拘束の法理に違反している云云と主張したが、これを採用することもできない。

(四)次に、言論の自由は人民の基本権利(憲法第11条規定参照)であり、国家が与えるべき保障だが、憲法が保障する言論の自由は完全に制限がないわけではない。例えば、他人の自由の妨害防止、緊急危難回避、社会秩序維持若しくは公共利益増進に必要な場合、同法第23条規定により、法的に制限できないことはない。また、憲法第11条で人民の言論の自由が保障されているが、これは意見の自由な交換を保障し、人民が十分な情報及び自己実現の機会を得られるようにするものであり、これには政治、学術、宗教及び商業の言論等が含まれるが、その性質により異なる保護範疇及び制限の準則がある。商業言論が提供する情報は、内容が真実で誤誘導の性質がなく、合法的な取引を目的とし、消費者が経済上の合理的な選択決定をするのに役立つものであるとき、始めて憲法における言論の自由の保障を受けることができる。広告行為は取引機会を得る為に従事する経済活動であり、商業上の意見伝達性質を持つので、憲法第11条に定められた言論の自由の保護範疇に入るが、取引秩序の維持及び消費者権益の保護に基づき、より厳格な規制を受けるものである。そして、商業言論が提供する情報は,内容が真実で誤誘導の性質がなく、合法的な取引を目的とし、消費者が経済上の合理的な選択決定をするのに役立つものであるとき、始めて憲法における言論の自由の保障を受けるべきである。(司法院釈字第623号、第414号解釈主旨参照),

(五)以上により、本件係争テレビ広告を調べたところ確かに商品の価格内容等が虚偽不実で、誤解を招く表示若しくは表徴であり、原処分が原告の出した係争テレビ広告が公平交易法第21条第1項規定違反だとして同法第41条前段規定に基づき、原告に処分書送達の翌日より直ちに前項違法行為を停止するよう命じるとともに、過料を科したことは、法に於ける誤りがない。

(六)以上の叙述をまとめると、原処分の事実認定及び法律適用には誤りがなく、訴願決定を維持したことにも法的不一致はない。原告が起訴によりその訴えの声明のとおり判決するよう請求したことには理由がなく、棄却されるべきである。以上、論結として、本件原告の訴えには理由がないので、行政訴訟法第98条第1項前段の規定に基づき、主文のとおり判決する。

2010年5月20日
台北高等行政裁判所第五法廷
審判長裁判官 黄清光
裁判官 程怡怡
裁判官 周玫芳

五 関連条文抜粋
中華民国憲法 第 11、23 条(36.01.01)
行政程序法 第 36 条(94.12.28)
行政訴訟法 第 98 条(99.01.13)
公平交易法 第 21、41 条(91.02.06)
公平交易法施行細則 第 36 条(91.06.19)
行政院公平交易委員会による公平交易法第21条案件についての処理原則 第 4、5、6、7、8、9 条(99.02.25)
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