中帝海賊版の件 マイクロソフトが76億の高額賠償を受ける
2014-05-15 2011年
■ 判決分類:著作権
マイクロソフトが中帝科技所に対する刑、民事訴訟を提起した過程 | ||
時間 | 機関 | 取調べ、審査結果 |
2000.05.25 | 台湾高等裁判所 | 中帝責任者胡鍾琳に対し2年に処し、罰金40万台湾ドルを併科し、また刑事付帯民事で2億4,232万台湾ドルの賠償判決を下した。 |
2001.11.16 | 米国税関及び警察当局 | 台湾中帝及び碧盈科技の34億5,000万台湾ドル余りのマイクロソフト社ソフトの海賊版の件を摘発した。 |
2002.12.04 | 台北地検署での取調べを終り、起訴された | 中帝胡鍾琳及び碧盈責任者陳碧卿夫婦等6人が著作権法等に違反した罪としてそれぞれ懲役6-7年を求刑した。 |
2003.03.20 | 最高裁判所 | 中帝胡鍾琳の懲役1年10ヶ月、35万台湾ドルの罰金併科判決が確定した。 |
2007.01.31 | 台北地方裁判所 | 胡鍾琳(病気で死去)に対し懲役4年に処し、罰金40万台湾ドルを併科し、陳碧卿に対し懲役3年に処し、罰金35万台湾ドルを併科し、その4名被告にも35万~40万台湾ドルの罰金を判決した。 |
2010.05.18 | 台北地方裁判所 | 刑事付帯民事賠償事件で連帯して76億台湾ドルを賠償するよう中帝科技及び陳碧卿等に命じた。 |
前記当事者間の権利侵害行為の損害賠償等の請求事件について、原告が刑事付帯民事訴訟を提起し、本裁判所刑事廷の決定で移送され、2010年4 月20 日に口頭弁論が終結し、以下のように判決した:
四 判決理由の要約
(二) また被告陳碧盈、丙○○は前記のことで弁解したが、調べたところ、胡鍾琳が被告中帝公司が著作権法に違反し、IBM 社の業務を引き受けることができないので、改めて被告碧盈公司の名義で認証に参加したが、実際上、業務はすべて被告中帝公司が担当し、業務が単純なので、被告碧盈公司は被告丁○○に処理を委任し、処理に協力するための職員を招聘しなかったと証言した(本裁判所第1ファイル第251頁を参照)。よって被告丁○○は胡鍾琳の配偶であり、陥入れる理由がなく、且つ胡鍾琳の供述は前記証人の証言内容と一致しているので、当然信用できる。従って、被告丁○○は被告碧盈公司のすべての業務を処理し、また実際に商品の注文、運送の連絡事項を担当し、胡鍾琳及び被告中帝公司、碧盈公司の業務内容について知らない云云と弁解したことは、辻妻に合わないので、当然信用できない。また被告丙○○が弁解したことは、証人の証言内容と一致せず、信用できない外、胡鍾琳と小切手の争議があるので、陥入れられた云云と弁解したことは、立証していないので、また信用できない。この外、証人黄哲聖は胡鍾琳がものを「陳麗莎」に販売したことを知ったのは、他人の所から見たからであり、一見して、中帝胡氏の箱であると分かる云云と証言したが(本裁判所第3 ファイル第81頁を参照)、「陳麗莎」と前記の「陳呉莉莎」とが同一人物であるか否かについて、未だに証明しておらず、且つ証人黄哲聖は箱の外観から貨物の出所を判断したと証言したが、箱にある貨物の実際の注文または取引状況について当然調べることができないので、これで被告丙○○に有利な認定をすることができない。また被告丙○○は、証人金一中及び劉俊偉の証言で、ただ陳呉莉莎の委託で船荷証券を受取り、運賃を支払い、海賊版ディスクの製造、運送に参加しなかったと証明できる云云と弁解したが、証人金一中は2001年5 月及び10月の2回にわたり運賃はいずれも被告丙○○が現金を支払ったこと等と再三証言しており、もし被告丙○○は確かに単に臨時受託で船荷証券を受取ったのであれば、なぜ代わりに船荷証券を受取った外、現金で運賃を支払ったのか?且つ現在の国際貿易が頻繁で、売買代金または運賃等は、いずれも国際為替送金またはL/C(信用状)で支払うことができ、実際に現金で運賃を支払うことを他人に委託する必要もなく、前記証人の証言により、被告丙○○は船荷証券を取ったのみならず、現金で運賃を支払ったので、明らかに単に受託で船荷証券を受取り、且つ運賃を支払っただけではなく、更に証人金一中が被告丙○○が胡鍾琳の指示を受け船荷証券を受取ったもので、陳呉莉莎の国際電話での臨時委託を受けたのではないと証言したので、証人劉俊偉の証言が真実ではない。よって、被告丙○○は確かに前記違法に複製したディスクの製造、販売に参加した事実がある。以上をまとめると、被告の弁解には根拠がないので、信用できない。
(三) また原告は、被告丁○○と胡鍾琳が被告中帝公司と碧盈公司の名義で附表二、三に示す通りの原告が著作権を享有している物品を違法に複製、販売し、且つ附表四、五に示す通りの商標を模倣した商品を製造、販売した等と主張したが、前記証人の証言及び関連証拠が証明できる外、証人、即ち鈞富資訊股份有限公司(以下は鈞富公司と称する)の仕入担当経理黄麗珠も、被告中帝公司の胡鍾琳が1995年~2001年に鈞富公司に提供した模倣ソフトの仕入先について、この期間に連絡の時に被告丁○○と電話し、関連金額を問い合わせたので、被告丁○○が中帝公司の会計であることを知っていたこと等(本裁判所第2ファイル第93至105頁、第229至234頁を参照)と証言した。従って、これで被告丁○○、中帝公司、碧盈公司には確かに原告の著作権及び商標権を侵害した行為がある。
(四) 法人は、理事またはその他の代表権を有する者が職務の執行によって他人に加えた損害に対し、その行為者と連帯して賠償の責任を負う。故意または過失によって不法に他人の権利を侵害した者は、損害賠償の責任を負う。故意に善良の風俗に反する方法で他人に損害を加えた者もまた同じである。他人を保護する法律に違反したときは、他人に損害を加えた者は、損害賠償の責任を負う。但しその行為に過失がないと証明できる者は、この限りではない。且つ数人が共同で不法に他人の権利を侵害したときは、連帯して損害賠償の責任を負う。数人中いずれが加害者であるかを知ることができないときもまた同じである。また損害賠償は、法律に別段の規定があるか、または契約別段の定めがある場合を除いて、債権の受けた損害及び失った利益を補償することを限度とすると民法第28条、第184条、第185 条第1項、第216条第1項に明文で規定されている。故意又は過失により他人の著作財産権又は出版権を不法に侵害した者は、損害賠償の責任を負う。数人が共同で不法に侵害したときは連帯して賠償責任を負う。前項の損害賠償につき、被害者は民法第 216条の規定により請求する。著作権法第88条第1 項及び第2項第1号前段にそれぞれ明文で規定されている。商標権者はその商標権を侵害したものに対し、損害賠償を請求することができ、その侵害排除を請求することができる。侵害のおそれがあるときは、その防止を請求することができる;商標権者が損害賠償を請求するときは、次の各号に掲げる一を選択してその損害を計算することができる:三、押収した商標権侵害にかかる商品の販売単価の500倍から1500倍迄の金額を損害額とする。但し、押収した商品が1500個を越えるときは、その総額で賠償金額を定めると商標法第61条第1 項、第63条第1項第3号にもそれぞれ明文で規定されている。前記で調べたところでは、被告中帝公司は附表一に示す通りの物品の製造を担当し、被告碧盈公司は運送の委託を担当し、また被告丙○○は発注及び運送の連絡関連事宜を担当し、且つ被告植陽公司及び汶鴻公司の名義で運送の連絡事項を処理し、また被告丁○○は被告碧盈公司の責任者であり、被告丙○○は被告植陽公司及び汶鴻公司の責任者であるので、当然前記規定により附表一に示す通りの物品の原告の著作財産権を侵害した部分に対し連帯して賠償の責任を負うべきである。調べたところ、附表一に示す通りの物品の小売価格は原告が提出した米国地区の小売価格のカタログが証明になり(本裁判所第3 ファイル第182~189頁を参照)、且つ附表一に示す通りの物品の著作権が侵害された時、知的財産権の損害を受け、これらの権利は人々の知恵を集結し、長い間で研究・開発したもので、一時的な権利ではなく、被告の侵害行為は市場で当該物品を販売する価値を取得できないので、原告は、各ソフトの小売価格でその受けた損害、附表一に示す通りの金額を計算すると主張したことに、当然法による根拠がある。従って、原告が被告丁○○、丙○○、中帝公司、碧盈公司、植陽公司及び汶鴻公司に連帯して54,805,710.95ドルを支払うよう原告に請求したことには、理由があるので、許可されるべきである。調べたところ、被告中帝公司、碧盈公司が附表二、三に示す通りの物品を製造し、著作権を侵害し、また当該物品も原告の附表四、五に示す通りの商標権を侵害し、被告丁○○は被告碧盈公司の責任者であるので、前記規定により損害賠償の責任を負わなければならない。数量は既に1,500 点を超えており、その小売価格は原告が提出した小売価格表が証明になり(本裁判所第3 ファイル第154~168頁を参照)、また被告は同一の製造行為で同一物品の著作財産権及び商標権を侵害したが、著作財産権と商標権は異なる権利であり、その保護範囲は当然異なっているので、原告は被告がそれぞれその侵害した著作財産権及び商標権に対し損害賠償の責任を負わなければならないと主張したことに、当然法的根拠がある。よって、原告は前記規定により被告丁○○、中帝公司及び碧盈公司が著作財産権の侵害部分に対し連帯して附表二、三に示す通りの金額2,940,567,506 台湾ドルを賠償し、また商標権の侵害部分に対し総價で計算し、附表四、五に示す通りの金額2,940,567,506 台湾ドル、両者合計5,881,135,012台湾ドルを連帯して賠償しなければならないことを請求したことにも、当然法的根拠があるので、許可されるべきである。
(五) 商標権者の業務上の信用・名誉が侵害により損害されたときは、別途相当する賠償額を請求することができると商標法第63条第3 項に明文で定めている。原告は被告が違法に海賊版ディスクを複製、販売し、その信用評判を侵害した云云と主張したが、当事者は自分に有利な事実を主張する場合、その事実に対する立証責任を負うべきものと民事訴訟法第277 条前段に明文で定めている。本件原告が主張した前記事実は、既に被告に否認され、原告は、被告が違法に複製したディスクを製造、販売し、消費者はよいアフターサービスが得られず、原告の評判及び信用評判に対し疑いが生じたので、原告の信用評判に損害を与えた云云と主張したが、消費者は海賊版ディスクを購入したので、真正品と同一のサービスが得られないことは、一般人によく認知され、消費者はその購入したものが海賊版ディスクであるかについて知っているか否かはともかく、製品の品質が安定せず、合法的な業者のサービスを求めた時、もしその購入したものが違法に複製ディスクであると告知された場合、一般の状況は海賊版ディスクを販売した人が非難され、著作権者の信用評判に影響を与えない。且つ原告はインターネットでの討論内容を提出し、その信用評判が損害されたことを証明したが、調べたところ、その陳述内容「マイクロソフトから電話があり、私のXPに問題があり、海賊版である!!話を聞いた後、腹が立った。海賊版であるならば、なぜ以前更新の時にWGA 検証は全部合格したのか?と彼らに聞いた」、「あり得ない?海賊版には真正品のディスク、ラベルと使用マニュアルがないわけがない?」(本裁判所第4 ファイル第116~126頁を参照)、従って、消費者は原告が海賊版ソフトのサービス提供を拒否した措置に疑問を呈したのではなく、その使用したソフトが真正版であるか否かについて論争し、即ち、原告はソフトが真正版または海賊版であるかについて認定した時、合理的、安全、且つ技術水準に符合する検証方法を提供するか、またすべて「使用されたソフトが海賊版である」の言い逃れで、科技上の不平等地位を利用し、合理ではない義務を消費者に転換させ、負うべきアフターサービスまたは瑕疵担保責任を免除する。よって、原告は被告が違法に複製したディスクを製造、販売し、その信用評判に損害を与えた云云と主張したことは、明らかに根拠がなく、これで10,000,000台湾ドルの損害賠償を請求したことは、当然許可できない。
(六) 著作人格権を侵害した者は、損害賠償の責任を負わなければならない。財産上の損害ではない場合においても、被害者は相当の金額の賠償を請求することができる。また不法に侵害他人の身体、健康、名誉、自由、信用、プライバシー、貞操を侵害し、もしくは不法に侵害その他の人格的法益を侵害し、状況がひどいものに対し、被害者は財産上の損害ではないが、相当の金額の賠償を請求することができる。その名誉を侵害された者は、併せて名誉回復に適当な処分を請求することができると著作権法第85条第2 項、民法第195条第1項にそれぞれ明文で定めている。調べたところ、本件被告が侵害したものは、原告の著作財産権であり、著作人格権ではないので、原告は前記著作権法の規定により、経済日報に添付一に示す通りの謝罪文を掲載する費用を連帯して負担するよう被告に請求したことは、法に該当しない。また前記の通り、原告はその信用評判が損害されたことが証明できず、その他の名誉が損害された状況も立証しなかったので、民法第195条第1項の規定による前記謝罪文掲載の請求は、根拠がないので、許可できない。次に被害者は、判決書内容の全部又は一部を新聞紙、雑誌に掲載する費用を権利侵害者に請求することができる。且つ商標権者は、商標権侵害案件の判決書全文又は一部を新聞に掲載する費用の負担を商標権侵害者に請求することができると著作権法第89条、商標法第64条にそれぞれ明文で定めている。本件被告が前記原告の著作権及び商標権を侵害したと認定されたので、原告は前記規定により連帯して費用を負担するよう被告に請求し、本件民事最後事実審の判決書主文欄を、25センチ×19センチのサイズで、1 日経済日報第 1版下半分に掲載するよう請求したことには、根拠があり、許可されるべきである。また原告は改めて刑事判決の最後事実審の判決書全文及び事実欄を前記方式で新聞に掲載する費用を連帯して負担するよう被告に請求したが、著作権第99条の規定では、著作権法第91条~第93条、第95条の罪を犯した者は、被害者またはその他の告訴権者の申立てで、判決書全部または一部を新聞に掲載するよう命じることができるものは、罰則章に規定されており、その掲載するものは刑事判決である。また著作権法第89条でいう判決書内容の全部または一部を新聞に掲載することは民事判決である。商標法第64条は商標法第7 章の権利侵害の救済に規定され、民事権利侵害の救済であり、その掲載を請求できる判決書内容は民事判決であり、刑事判決を含まない。よって、原告は本件民事訴訟において、当然刑事判決の最後事実審の判決書全文及び事実欄を前記方式で新聞に掲載することを請求できないので、この部分の請求は、棄却されるべきである。
以上をまとめると、原告が被告がその著作権及び商標権を侵害したと主張したことには、根拠があり、また被告が権利侵害行為に参加しておらず、且つ会社が製造した商品が権利侵害物であることは知らなかった云云と弁解したことは、いずれも根拠がない。よって、原告は民法第28条、民法第184条、第185条第1項、第216 条第1項、著作権法第88条第1項、第2項第1号前段、第89条、商標法第61条第1項、第63条第1項第3号、第64条により、連帯して54,805,710.95ドルを支払うよう被告丁○○、丙○○、中帝公司、碧盈公司、汶鴻公司、植陽公司に請求し、5,881,135,012 台湾ドルを連帯して支払うよう被告丁○○、中帝公司及び碧盈公司に請求し、且つ起訴状写しが送達された翌日、即ち2003年8月12 日から返済日まで、年利率5%で計算した利息も請求し、更に本件民事最後事実審の判決書主文欄を、25センチ×19センチのサイズで、1日経済日報一面下半分に掲載する費用を連帯して負担するよう被告に請求したことには、理由があり、許可されるべきである。この部分をこえた請求は、理由がないので、棄却されるべきである。
本件の証拠が既に明確であり、双方のその他の攻擊防禦方法及び本裁判所で引用されなかった証拠は、判決の結果に影響を与えないので、逐一論じないことを、ここに併せて説明する。
訴訟費用負担の根拠:民事訴訟法第79条、第85条第2項。