ソフトウェアの使用許諾数量は契約書に明記すべき 米ブロードビジョンの契約書には未記載、愛立信に対する民事賠償請求第一審は敗訴

2014-02-26 2012年

■ 判決分類:著作権

I ソフトウェアの使用許諾数量は契約書に明記すべき
  米ブロードビジョンの契約書には未記載、愛立信に対する民事賠償請求第一審は敗訴

■ ハイライト
 ソフトウェアの使用許諾数量が契約書に明確に記載されていないと、権益を主張できない虞がある。米ブロードビジョンは許諾した使用ユーザー数が契約規定を越えたことを理由に、知的財産裁判所に対して損害賠償訴訟を提起したが、上記理由により、敗訴の判決を受けた。
 台湾愛立信股份有限公司(原名:台湾易利信股份有限公司、以下「愛立信公司」)は10年前、中華電信の委託を受けて「モバイルネット接続システム」を設置した。当時、愛立信公司は(米ブロードビジョンの)ディーラーを通じてブロードビジョンからソフトウェア著作物の使用ライセンスを購入した。ブロードビジョンは使用許諾について約定した50万ユーザー(電話番号)の上限を越えたとして、知的財産裁判所に500万新台湾ドルの賠償請求訴訟を提起したが、先日敗訴の判決を受けた。
 ブロードビジョンはこの件について、中華電信に対する民事損害賠償訴訟をすでに提起していたが、第一審、第二審ともに請求を棄却されたため、昨年、愛立信公司に対する訴訟を提起した。
 判決書によれば、中華電信は2002年2月愛立信公司に「モバイルネット接続サービス設備(ソフトウェアを含む)のアップグレード及び拡充プロジェクト」に関する企画と設計、さらにモバイルネット接続のトータルソリューションの提供を委託した。当時愛立信公司は慧訊国際股份有限公司(以下「慧訊公司」)を通じてブロードビジョンから「One-To-One機能」の使用ライセンスを購入し、同プラットフォームを用いてユーザーをサポートするモバイルシステムを開発した。
さらに判決書によれば、ブロードビジョンは愛立信公司と締結した使用許諾契約書の規定に基づき、中華電信のモバイルネット接続ユーザー数の上限を50万電話番号としており、50万ユーザーを越えたならば、合法的に購入し許諾された範囲を越えることになり、著作財産権の侵害にあたると主張した。
 ブロードビジョンが提出したデータによると、2005年末現在で中華電信のモバイルネット接続ユーザー数は延べ80万人以上に達している。
 裁判所が審理した結果、ソフトウェアの使用許諾数量は取次販売又は委任の法律関係に基づき、ブロードビジョンと委託された慧訊公司はいずれも50万電話番号という許諾上限に触れているが、慧訊公司と愛立信公司との契約書にはその上限が触れられていない。このため最終的にブロードビジョンに敗訴の判決が下された。全案件はさらに上訴できる。【2012年4月5日/経済日報/A22番/税務法務】

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】100年度民著訴字第1号
【裁判期日】2012年2月29日
【裁判事由】著作権侵害に係る財産権争議

原告 ブロードビジョン(中国語名:美国宏道資訊股份有限公司、英語名:Broad Vision, Inc.)
原告 慧訊国際股份有限公司
被告 台湾愛立信股份有限公司(原名:台湾易利信股份有限公司)

上記当事者間における著作権侵害に係る財産権争議事件について、本裁判所は2012年2月1日に口頭弁論を終え、以下のように判決を下すものである。

主文
原告の請求及び仮執行宣言申立をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告が負担する。

一 事実要約
原告はブロードビジョンが「Broad Vision One-To-One Enterprise: Version 6.0」コンピュータプログラム(以下「係争ソフトウェア」)を著作した著作権者であり、係争ソフトウェアは米国で著作権を登録していると主張している。訴外人である中華電信は2002年被告の愛立信公司に「モバイルネット接続サービス設備(ソフトウェアを含む)のアップグレード及び拡充プロジェクト」に関する企画と設計、さらにモバイルネット接続のトータルソリューションの提供を委託した。被告は原告の慧訊公司から係争ソフトウェアの使用ライセンスを購入し、両者は「愛立信・慧訊間の契約書」を締結した。そして原告の慧訊公司は原告のブロードビジョンに係争ソフトウェアの使用ライセンスを購入する注文を出した。
原告側の主張によると、「愛立信・慧訊間の契約書」には係争ソフトウェアの使用ライセンスについて、50万電話番号までという制限があり、2005年末現在で、被告が係争ソフトウェアの使用ライセンスを中華電信に販売し、中華電信に使用を許諾した範囲はすでに50万電話番号という上限を越え、少なくとも80万電話番号に達している。被告はすでに原告のブロードビジョンの著作権を侵害しており、民法第184条第1項、著作権法第88条條第1項の規定に基づき、損害賠償の責任を負うべきである。ただし、被告側は「愛立信・慧訊間の契約書」が係争ソフトウェアについて50万電話番号という使用許諾の上限を定めていることを否認した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:
1.被告は原告のブロードビジョンに325万新台湾ドルと起訴状送達翌日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきである。
2.被告は原告の慧訊公司に175万新台湾ドルと起訴状送達翌日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うべきである。
3.前二項の請求について、原告のブロードビジョンと慧訊公司は担保を立てるので、仮執行宣言申立の許可を請求する。
(二)被告の請求:
1.原告の請求を棄却すべきである。
2.不利な判決を受けた場合は、担保を立てるので、仮執行免脱宣言申立の許可を請求する。

三 本件の争点
1.中華電信と被告は係争ソフトウェアの使用に50万電話番号という上限があったことを知悉していたか否か。
2.被告と原告の慧訊公司の間で係争ソフトウェア調達について50万電話番号という上限があったか否か。
3.原告のブロードビジョンが作成した営業提案書(即ち「ブロードビジョン提案書」)は「愛立信・慧訊間の契約書」の一部であるか否か。
(一)原告の起訴理由:省略。判決理由の説明を参照。
(二)被告の抗弁理由:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
一.係争ソフトウェアはわが国の著作権の保護を受けるべきものである。
著作権法第4条第2号に、外国人の著作物は、「条約、協定又はその本国の法令、慣例により、中華民国国民の著作物が当該国家において著作権を享有できるとき」、中華民国で著作権を享有できると定められている。2002年1月1日に中華民国の管轄区域内において発効した世界貿易機関(WTO)協定の付録である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPs協定)」第3条第1項には「各加盟国は、知的所有権の保護に関し、自国民に与える待遇よりも不利でない待遇を他の加盟国の国民に与える」と定められている。調べたところ、わが国と米国はいずれもWTO加盟国であり、原告のブロードビジョンの係争ソフトウェアはわが国の著作権法の保護を受ける著作物に該当し、わが国で著作権法の保護を受けるべきである。

二.「愛立信・慧訊間の契約書」の内容の解釈
「意思表示の解釈については、当事者の真意を探求すべきであり、使用された辞句に拘泥してはならない」と民法第98条に定められている。いわゆる「意思表示の解釈」とは、当事者の意思表示について、約定が周到ではない、又は約定の用語が異なる若しくは前後で矛盾があることにより、当事者の真意と内容を確定するために解明が必要であることを指す。契約の文字がすでに当事者の真意を示し、探究する必要がないときは、契約の文字を顧みずに曲解してはならず、当事者が後から任意に意を翻し、当事者の意思表示を否認又は変更することを回避する必要がある。

(一)中華電信と被告は係争ソフトウェアを使用できる電話番号数量の上限を知悉していなかった。
「当事者が自らに有利な事実を主張するときは、その事実について立証責任がある」と民事訴訟法第277条に規定されている。中華電信と被告が係争ソフトウェアの使用許諾数量に50万電話番号という上限があることを知悉していたか否かについては、原告が被告に対して係争ソフトウェア著作権に係る損賠賠償請求の基礎事実となる。立証責任の原則に基づき、被告は立証してそれが事実であることを説明する必要がある。調べたところ、以下の通りである。
1.原告が提出した「ブロードビジョン提案書」の内容によると、第6頁には「Deployment System Software」の「Type User Profile Qty 500,000 」と記載され、また第25頁にも「Broad Vision would like to offer special price to Ericsson for CHT and final quotation is as following」と記載され、被告が中華電信のために企画と見積もりを行うことを目的に提供されたことが分かる。さらに原告が提出した「慧訊・ブロードビジョン間のライセンス契約書」添付資料Bの付款1の内容によると、係争ソフトウェアについて原告のブロードビジョンが製品の使用を許諾する範囲は、ユーザー数を算定の基礎とできることが分かる。このため、原告のブロードビジョンと慧訊公司との間において係争ソフトウェアの使用許諾数量は、「ブロードビジョン提案書」と「慧訊・ブロードビジョン間のライセンス契約書」の内容の拘束を受けるべきである。
2.本件の原告間で係争ソフトウェアの使用許諾数量について、取次販売又は委任の法律関係に基づき、たとえ「ブロードビジョン提案書」と「慧訊・ブロードビジョン間のライセンス契約書」の内容の拘束を受けるべきであっても、契約の相対性に基づき被告は「ブロードビジョン提案書」と「慧訊・ブロードビジョン間のライセンス契約書」の内容に同意しておらず、これらの提案書又はライセンス契約には係争ソフトウェアの使用許諾数量に関する制限があることを知悉していなかった。原告は上記約定内容を以って中華電信又は被告に対抗し、「中華電信又は被告は50万電話番号の使用制限を受けるべきであり、この制限を越える部分について侵権行為の責任を負うべきである」と主張してはならない。

(二)被告と原告の慧訊公司との間で係争ソフトウェアの調達に関する使用許諾数量は無制限だった。
被告と中華電信は2002年2月22日に「材料調達契約書」を締結し、中華電信は被告からその「モバイルネット接続サービス設備のアップグレード及び拡充プロジェクト」に関連するソフトウェアとハードウェアを調達し、さらに被告がシステムの取付、テスト、運営、訓練等の作業を担当した。被告と原告の慧訊公司との間で係争ソフトウェアの調達に関して50万電話番号という上限があり、中華電信の使用数量にも50万電話番号の上限がある云々、と原告は主張しているが、被告は「愛立信・慧訊間の契約書」には係争ソフトウェアの調達について使用できる電話番号数量を制限する等の内容は含まれていないと抗弁している。調べたところ、以下の通りである。
1.被告と中華電信との間の「材料調達契約書」の内容によると、中華電信はシステムの正常な負荷において、十分にシステムの最大ユーザー容量を発揮する権利を有するため、係争ソフトウェアについて50万携帯電話の上限はないことが分かった。
2.被告と中華電信との間で「材料調達契約書」を締結した後、続いて原告の慧訊公司から係争ソフトウェアを調達するため、被告と原告の原告慧訊公司は「愛立信・慧訊間の契約書」を締結した。「愛立信・慧訊間の契約書」第3条第1項後段には「乙(即ち、原告の慧訊公司)はそれが提供するサービスとソフトウェアが丙(即ち、中華電信)の規格要求(詳細は添付資料2の通り)に完全に適合するよう確保しなければならない」と約定されている。また、「愛立信・慧訊間の契約書」の添付資料2の「3.1 技術規格3.2 (2)」約款には「本案件が執行された後、買い手にはシステムの正常な負荷において、十分にシステムの最大ユーザー容量を発揮する権利があり、売り手は提供するすべてのソフトウェアにユーザー数の容量に制限を設定してはならない。また、当初のユーザー容量を越えた部分について、別途ソフトウェア使用料を売り手に支払うよう買い手に要求してはならない」と約定されている。まさに「愛立信・慧訊間の契約書」の添付資料2と「材料調達契約書」の内容は一致しており、「愛立信・慧訊間の契約書」第6条には「添付資料2の技術規格を契約内容の一部とみなし、本契約の効力が及ぶものである」と約定している。
3.原告の慧訊公司が「愛立信・慧訊間の契約書」の規定に基づき被告と中華電信の使用に供するにソフトウェアについて、システムの正常な負荷の下、買い手(即ち被告)は合法的に使用でき、ユーザーの数量に関する制限はない。ゆえに、原告の慧訊公司は事後、「愛立信・慧訊間の契約書」添付資料2の効力を任意に否認し、被告又は中華電信が使用する係争ソフトウェアの上限が50万ユーザーであると主張してはならない。つまり、被告は「愛立信・慧訊間の契約書」の内容に基づき、原告の慧訊公司に対して被告と中華電信との間で締結した「材料調達契約書」の条項に則り「愛立信・慧訊間の契約書」の義務を履行するよう要求する権利がある。原告の慧訊公司は中華電信と被告との係争ソフトウェア使用許諾条件を理解しており、係争ソフトウェアの使用ユーザー数制限があると主張してはならない。
4.原告の慧訊公司が被告に提出した見積書は、契約成立前の商談における文書にすぎず、契約前に失効しており、その内容を契約解釈の依拠としてはならない。従って見積書に記載された50万という文字は「愛立信・慧訊間の契約書」の内容の斟酌範囲に入れるべきではない。況してや原告の慧訊公司と被告との間の契約関係を解釈するには、「愛立信・慧訊間の契約書」を依拠とするべきであり、「愛立信・慧訊間の契約書」には係争ソフトウェアのユーザー数制限がないことを参酌し、上記見積書に記載されているユーザー数の制限は、その後の契約書に違反するもので、失効すべきでものであると認めるに足る。さらに、統一発票(領収書)は税務法規に基づき処理するための会計上の証明書類にすぎず、その目的は税法の規定に適合させることにあり、従って統一発票を契約関係解釈のために用いてはならない。ゆえに上記の見積書と統一発票は原告の慧訊公司と被告が「愛立信・慧訊間の契約書」を締結する以前の交渉のための文書であり、原告の慧訊公司と被告が最終的に確定し、拘束力を有する契約書類ではない。
5.被告が提出した知的財産裁判所98年度民著上字第17号民事確定終局判決を参酌したところ、被告と原告の慧訊公司との間で係争ソフトウェアの調達について50万電話番号の制限はなく、従って中華電信の係争ソフトウェア使用に対しても50万電話番号の制限もない。「ブロードビジョン提案書」も「愛立信・慧訊間の契約書」に含まれておらず、さらに原告の慧訊公司が被告に提出した見積書と統一発票は「愛立信・慧訊間の契約書」の一部ではなく、被告を拘束する効力はない。
6.原告の慧訊公司は原告のブロードビジョンのディーラーであり、慧訊公司は係争ソフトウェアを被告に転売する権利を有するが、契約の相対性原則に基づき、原告間の取次販売又は代理の関係は被告と原告の慧訊公司との売買関係を拘束できるものではないため、原告は上記の取次販売又は代理の関係を以って被告に権利を主張したり、被告を拘束したりしてはならない。さらに、原告の慧訊公司は原告のブロードビジョンの台湾地区代理店であり、原告の慧訊公司は原告のブロードビジョンから合法的に許諾を受けており、係争ソフトウェアについて再許諾する権限を有するが、被告は原告間の許諾関係の拘束に同意しておらず、「慧訊・ブロードビジョン許諾契約書」又は「ブロードビジョン提案書」のいずれも「愛立信・慧訊間の契約書」の一部または添付資料とすることができないことはきわめて明らかであり、被告は同意を否認しているので、原告は被告に対して係争ソフトウェア使用許諾に関する数量を制限してはならない。
7.被告が慧訊公司から係争ソフトウェアを購入した注文書には50万電話番号と明記されているが、発注日は2001年12月31日で、有効期限は2002年1月31日であった。「愛立信・慧訊間の契約書」の成立日(即ち2002年2月22日)以前のことであり、上記注文書の記載を「愛立信・慧訊間の契約書」の約款とすることはできない。従って原告は事前の注文書の記載内容を以って「愛立信・慧訊間の契約書」の一部としてはならない。

(三)「ブロードビジョン提案書」は「愛立信・慧訊間の契約書」の一部ではない。
「愛立信・慧訊間の契約書」第6条第6項の添付資料1は乙(即ち原告の慧訊公司)のビジネス計画書であり、添付資料1の第31頁の表には「The detail cost breakdown will be attached with Commercial proposal of Broad Vision. All the prices are included Tax (5%).  The payment term will follow ERT/CHT's Contract.」と記載されている。原告はそれが「ブロードビジョン提案書」が「愛立信・慧訊間の契約書」の一部であることを証明するものである云々と主張しているが、調べたところ以下の通りであった。
1.添付資料1の第31頁にある表の内容は、全契約の費用概要に関するものであり、係争ソフトウェアの使用許諾条件を約定するものではない。「ブロードビジョン提案書」は費用明細の説明書類にすぎず、「愛立信・慧訊間の契約書」の一部ではない。
2.原告の慧訊公司は被告と2002年2月22日に「愛立信・慧訊間の契約書」を締結し、原告の慧訊公司は原告のブロードビジョンから係争ソフトウェアを調達しているが、被告は原告のブロードビジョンから係争ソフトウェアを調達する当事者ではなく、「ブロードビジョン提案書」の拘束を受けない。被告は「愛立信・慧訊間の契約書」の内容に基づき、原告の慧訊公司に対して投資控除の資料を提供するよう請求する権利がある。原告のブロードビジョンが係争ソフトウェアのサプライヤとして被告に発行した統一発票を被告の仕入れに係る会計上の証明書類としているが、それは本件の税金申告の手続きにすぎないため、その統一発票は被告と原告のブロードビジョンとの間の売買契約ではない。
3.係争ソフトウェアの使用数量は、取引対象とその金額に関わるもので、それは「愛立信・慧訊間の契約書」の権利義務に関する重要事項である。当事者が係争ソフトウェアの使用許諾数量を制限するのであれば、「愛立信・慧訊間の契約書」締結の方式に従い、書面を作成するか、又は添付資料を引用すべきであり、被告と原告の慧訊公司の代表者又は法定代理人が署名捺印して確認することで、初めて本件取引の形式に適合する。当事者はこれを行わず、両社の従業員間で電子メールにより契約の一部内容を決定したことは、「愛立信・慧訊間の契約書」締結の方式とは大きく異なる。被告が「ブロードビジョン提案書」の内容の拘束を受けることに同意したことを証明し難い。

(四)以上をまとめると、原告が民法第184条第1項、著作権法第88条第1項等の規定に基づき、被告に対して原告のブロードビジョンに325万新台湾ドルと起訴状送達翌日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うこと、並びに原告の慧訊公司に175万新台湾ドルと起訴状送達翌日から支払い済みまでの年5%の割合による利息を支払うことを請求することには理由がなく、許可すべきではない。その仮執行宣言申立については、請求が棄却されたため、すでに理由がなく、併せて棄却すべきである。

三.前記論結に基づき、本件原告の請求には理由がなく、知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第78条により、主文の通り判決を下す。

2012年2月29日
知的財産裁判所第二法廷
裁判官 林洲富

五 関連条文

民法
第98条 
(意思表示の解釈)
意思表示の解釈については、当事者の真意を探求すべきであり、使用された辞句に拘泥してはならない。

第184条 
(一般不法行為の責任)
故意又は過失によって不法に他人の権利を侵害したときは、損害賠償の責任を負う。故意に善良の風俗に背いた方法を以って他人に損害を与えた時もまた同じである。
他人を保護する法律に違反し、他人に損害を与えたときは、賠償責任の責任を負う。ただし、その行為に過失がなかったと証明できるときは、これに限らない。

民事訴訟法 
第277条
(立証責任分配の原則)
当事者が自らに有利な事実を主張するときは、その事実について立証責任がある。ただし、法律に別段の規定があるとき、又はその状況が明らかに公平を欠くときは、これに限らない。

著作権法
第4条
外国人の著作物であって、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、この法律により著作権を享有することができる。ただし、条約又は協定にて別段の約定があり、それが立法院(国会)の議決を経て通過したものであるときは、その約定に従う。
一.中華民国の管轄区域内において初めて発行されたもの、又は中華民国の管轄区域外において初めて発行された日から30日以内に中華民国の管轄区域内で発行されたものであるとき。ただし、当該外国人が属する本国が同じ状況下においても中華民国国民の著作物を保護することが調査で事実であると認められた場合に限る。
二.条約、協定又はその本国の法令、慣例により、中華民国国民の著作物が当該国家において著作権を享有できるとき。
第88条
故意又は過失により他人の著作財産権又は出版権を不法に侵害した者は、損害賠償の責任を負う。数人が共同で不法に侵害したときは連帯して賠償責任を負う。
前項の賠償責任につき、被害者は次の規定により択一して請求することができる。
一.民法第216条の規定により請求する。ただし、被害者がその被害を証明できないときは、その権利の行使により通常の状況からして予期できる利益から、侵害を受けた後に同一の権利を行使して得た利益を差し引いた差額を以ってその受けた損害の額とすることができる。
二.侵害者に対し侵害行為により得た利益を請求する。ただし、侵害者がその原価又は所要費用を証明できないときは、その侵害行為により取得した全部の収入をその得た利益とする。
前項の規定により、被害者が容易にその実際の損害額を証明できないときは、裁判所に対して侵害の状況を斟酌して1万新台湾ドル以上、100万新台湾ドル以下の賠償金を算定するよう請求することができる。損害行為が故意に為され、且つ状況が重大な場合は、損害額を500万新台湾ドルまで増やすことができる。
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