制服も複製品が出現!競合業者が粗悪な中国製の制服を市場に紛れ込ませて拘留刑に

2019-12-26 2019年
■ 判決分類:商標権

I 制服も複製品が出現!競合業者が粗悪な中国製の制服を市場に紛れ込ませて拘留刑に

■ ハイライト
衣料品業者の童○○は台中市立崇倫中学の制服であるジャケットの製造に係る競争において、指定の色と大きく異なったため、合格メーカーの指定を受けることができなかった。しかしながら童○○は競合相手のジャケットをサンプルとして、中国メーカーに製造を委託し、洗濯表示ラベルにも競合相手の会社名を表示して、台湾に輸入し販売した。競合相手は粗悪なジャケットが市場で販売されているのを発見し、自ら証拠を集めた結果、事情が明らかとなった。知的財産裁判所は審理した結果、刑法の「虚偽表示商品を販売した罪」を犯したとして、童○○に対して50日の拘留刑判決を下し、確定した。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所刑事判決
【裁判番号】108年刑智上易字第19号
【裁判期日】2019年4月25日
【裁判事由】商標法違反

上訴人 童○○

上記上訴人は商標法違反事件において、台湾台中地方裁判所107年度智易字第86号の2018年8月27日第一審判決(起訴案件番号:台湾台中地方検察署107年度偵字第9094号)を不服として、上訴を提起していた。当裁判所は次のとおり判決する。

主文
原判決を取り消す。
童○○は虚偽表示商品を販売した罪を犯したため、50日の拘留に科し、罰金へ転換するときは、1日あたり1000新台湾ドルで換算する。
差し押さえられていない犯罪による利得1700新台湾ドルを没収し、全て又は一部が没収できない又は没収を執行するのが好ましくないときは、その価額を追徴する。

一 事実の概要
童○○は台中市に所在する「春安被服加工廠有限公司」の代表者であり、詠信服裝有限公司(以下「詠信公司」)とともに台中市立崇倫国民中学(以下「崇倫国中」)の制服であるジャケットを巡り競争する衣料品メーカーであるが、崇倫国中からジャケットの合格メーカーの指定を受けることができなったため、他人を欺くことを意図して、虚偽表示商品を販売する犯意に基づき、2016年10月末に詠信公司が製造し、崇倫国中の審査に合格しているジャケットをサンプルとして、事情を知らない涂○○を通じて中国大陸にある不詳の衣料品メーカーに(サンプルと)同じ崇倫国中のジャケット200着を製造するように発注し、ジャケットの内側にある洗濯表示ラベルには「詠信服裝有限公司,統一編號:00000000,地址:臺中市○區○○街000號,電話:(04)00000000」という虚偽の表示をして、中国大陸から台湾に輸入して販売した。その後、詠信公司の代表者である丁○○が粗悪な崇倫国中のジャケットが市場で販売されているのを発見して、上記事情をはじめて知った。

二 判決理由
(一)被告人童○○は詠信公司が製造した崇倫国中のジャケットをサンプルとして他人を通じて製造を委託したことは否認していないが、犯行については強く否認し、自分は2016年10月末に涂○○を通じて中国大陸の衣料品メーカーにジャケットの製造を発注し、完成品を2017年1~2月に受け取ったが、衣料品メーカーに洗濯表示ラベルを変更するよう指示することを忘れたため、誤って詠信公司の文字を洗濯表示ラベルに使用してしまった云々と供述していた。調べたところ、次のとおりである。
 (1)被告人は詠信公司が製造したジャケットをサンプルとして、涂○○を通じて中国大陸にある不詳の衣料品メーカーに(サンプルと)同じジャケットを200着製造するよう発注し、ジャケット内の洗濯表示ラベル上に「詠信服裝有限公司,統一編號:00000000,地址:臺中市○區○○街000號,電話:(04)00000000」という虚偽の表示を行った。中国大陸から輸入した後、そのうち60着は代理購入を委託されていた美麗登手藝百貨行の代表者である孫○○に渡し、そのうち2着は1着あたり850新台湾ドルで友人に販売し、洗濯表示ラベルを切り取ったジャケットを事情を知らない天威文具行の代表者である陳○○に渡して販売を委託しており、この部分は事実であり、先ずは認定することができる。
 (2)被告人は、中国大陸の衣料品メーカーに洗濯表示ラベルを変更するよう指示することを忘れたため、誤って詠信公司等の文字が洗濯表示ラベルに使用されてしまった云々と供述しているが、2014年3月20日付けで経済部から経商字第10302401700号公告で改正された「衣料品表示基準(原文:服飾標示基準)」第3点第1号に規定されている「衣料品に表示すべき事項:国産品の場合は、製造者の名称、電話番号及び所在地、輸入品の場合は、輸入者の名称、電話番号及び所在地」により、さらには被告人が取調べにおいて制服製造の経歴が約30年に及ぶと自ら述べていたこと(取調べファイル第77頁裏面を参照)により、被告人は経済部の上記衣料品表示基準の関連規定を詳細に知っていたはずであり、事情を考慮すると、被告人が中国大陸の衣料品メーカーに制服の製造を委託するときに、上記規定により正確な情報を表示するように一緒に指示すべきであったが、それを行わず、詠信公司の名称、所在地及び電話番号を表示し、人に該ジャケットが国内の詠信公司によって製造されたものだと誤認させたため、主観的にみて被告人には主観的犯意が明らかにあり、被告人による前述の抗弁は責任逃れの弁であり、採用するに足らない。本件の事実証拠は明確であり、被告人の前述犯行を認定でき、法に基づいて処罰を論じるべきである。

(二)被告人の行為は刑法第255条第2項の虚偽表示商品を販売した罪を犯している。被告人が他人を欺くことを意図して、商品に虛偽の表示を行った後に所持して販売したことについて、虚偽表示という軽い罪は販売という重い罪に吸収されるため、さらに論罪しない。
起訴状では被告人の行為が商標法第95条第3号の罪を犯していると認定されているが、商標法でいうところの「商標の使用」は販売を目的とし、さらには関連する消費者にそれが商標であると認識させる必要がある。前述の洗濯表示ラベルには係争商標(告訴人が登録している第1518165号「詠信及び図」商標)の図が使用されておらず、字のサイズがすべて同じである「詠信服飾有限公司」が表示されており、「詠信」の2文字が特に拡大されているものではなく、関連する消費者がこの洗濯表示ラベルの記載をみて、それを商標だとは認識せず、会社名の表示であると認知するため、被告人の行為は商標の使用ではない。したがって公訴の趣旨において被告の行為は商標法第95条第3号の罪を構成していると認定していたが、当裁判所は起訴の罰条を変更して審理を行うべきである。
(三)被告人が他人を欺くことを意図して、商品に虚偽の表示を行い、消費者にその産地と品質を誤信させて購入させたことにより、消費者の権益を損なっただけではなく、取引の秩序に影響を与えるとともに、告訴人に損失をもたらしたこと、ただしそれが販売したのは2着だけで、被告人が所持していた偽造表示の商品は損害が拡大しないようにラベルが切り取られていたが、孫○○にラベルを切り取ることを通知しておらず、美麗登手工藝行のジャケットにはなお虚偽の洗濯表示ラベルが残っていたこと、並びにその素行、犯行の動機、目的、手段、知識の程度、生活状況、今までに被害者からの理解と赦しを得ていないこと等の一切の情状を考慮して、主文第2項に示す刑のとおり量刑するとともに、罰金への転換の換算基準を告知した。

以上の次第で、智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、刑事訴訟法第369条第1項前段、第299条第1項前段、第300条,刑法第38条第2項前段、第38条の1第1項前段、第3項、第41条第1項、第255条第2項により、主文のとおり判決する。

知的財産裁判所第一法廷
裁判長 李維心
裁判官 陳忠行
裁判官 蔡如琪

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