三井料理店の商標は三井物産の商標と誤認混同をきたすため、登録不可

2015-08-04 2014年
■ 判決分類:商標権

I 三井料理店の商標は三井物産の商標と誤認混同をきたすため、登録不可

■ ハイライト
著名な「三井」日本料理飲食グループが2010年に「三井MITSUI及び図」をもって商標登録出願したが、知的財産局は三井料理店の商標と日本・三井物産の「三井」、「MITSUI」商標が類似を構成し誤認混同をきたすと認定し、その商標登録を拒絶した。三井料理店はこれを不服として行政訴訟を提起したが、その後最高行政裁判所は判決で三井物産が既に登録している「三井」、「MITSUI」の識別性が高いのみならず、既に多角化経営を行っていて経営項目に食品等も含まれているので、消費者の誤認混同を招きやすいと認定したうえで、三井料理店の商標は登録不可と判決し、その後確定した。

II 判決内容の要約

最高行政裁判所決定
【裁判番号】103年度裁字第1544号
【裁判期日】2014年10月30日
【裁判事由】商標登録

上訴人 三井日本料理レストラン有限公司
被上訴人 経済部知的財産局

上記当事者間における商標登録事件につき、上訴人は2014年6月25日に知的財産裁判所102年度行商訴字第154号行政判決に対して上訴を提起した。本裁判所は以下のように決定する。

主文
上訴を棄却する。
上訴審訴訟費用は上訴人の負担とする。

一 事実要約
上訴人は2010年11月19日に「三井MITSUI及び図」商標(以下、係争商標という)を、当時の商標法施行細則第13条所定の商品及び役務区分表第35類の「食品小売、飲料小売、農産物小売、水産物小売、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、インターネットショッピング(電子ショッピング)」等の役務に使用を指定して、被上訴人に登録出願した。被上訴人は審査を行ったうえで、係争商標と拒絶の根拠である日本・三井物産株式会社(以下、日本・三井物産社という)の「三井」、「三井物産」、「MITSUI」等商標(以下、拒絶査定根拠商標という)が類似を構成するとし、その指定または使用する役務も互いに関連性があり、拒絶査定根拠商標も係争商標の登録前に既に関連事業者または消費者に普遍的に認知されていて著名の程度に達していたので、係争商標は関連大衆による誤認混同を招く虞があると認め、登録を拒絶すべきだとして2013年6月18日商標拒絶第347635号査定書をもって拒絶査定の処分を行った(以下、原処分という)。上訴人はこれを不服として行政訴訟を提起したが、原審判決で棄却されたため、本件上訴を提起した。

二 判決理由の要約
(一)日本・三井物産社は日本で著名な企業グループであり、1952年台湾に支社を設立し、主に各種投資及び化学、石油化学、金属、建設、造船、食料等の各種製品の輸出入業務に従事している。その内、「三井」、「MITSUI」又は「MITSUI及び図」、「三井物産及び図」等商標は台湾で20件以上登録を許可されており、拒絶査定根拠商標の権利者の輸出入貿易ランキング、売上高、輸出成長率については、いずれも著名な雑誌において業績優良企業として挙げられている。拒絶査定根拠商標も経済部訴願決定書及び裁判所判決により著名商標と認定されているので、その表示する信用・名声及び品質も既に広く台湾の関連業者及び消費者に普遍的に認知されている著名商標である。

(二)係争商標と拒絶査定根拠商標が関連消費者を惑わせる部分はやはり漢字の「三井」及び英文字の「MITSUI」部分であり、関連消費者が異なる時に異なる地点で隔離して全体を観察した場合、同一系列の商標だと連想しやすく、更には二つの商標商品又は役務が同一の出所又は異なっていても関連がある出所からのものだと誤認しやすいので、両商標は類似を構成する商標である。

(三)更に日本・三井物産社のウェブサイトを参酌すると、その食糧本部の業務は既に係争商標が使用指定している役務を含んでいるので、拒絶査定根拠商標は既に著名の程度が相当に高い商標に該当する。その著名の程度により保護する商品範囲は自ずとより広汎であり、両商標の識別性の強弱、類似性及び商品又は役務の類似等の関連要素の強弱程度、相互の影響関係及び各要素等の総合的な要素を斟酌すれば、係争商標は既に関連大衆に誤認混同を生じさせる虞があると言える。

本件の上訴理由を見ると、原審の証拠取捨、事実認定について不適切だと指摘しているが、原審がすでに論断したことについて論断していないと空言しているのに、法規の不適用、適用法規不適切又は行政訴訟法第243条第2項に列記されている各号状況に合致することを具体的に表明していないので、原判決のなんらかの法令違背について既に具体的に指摘したと認定することは困難である。従って上記規定及び説明に基づき、その上訴も不適法だと認定すべきである。

2014年10月30日
最高行政裁判所第二法廷
審判長裁判官 劉鑫楨
裁判官 楊得君
裁判官 吳慧娟
裁判官 蕭忠仁 
裁判官 劉穎怡
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