商標訴訟、米Sunrider社が勝訴

2015-08-04 2014年
■ 判決分類:商標権

I 商標訴訟、米Sunrider社が勝訴

■ ハイライト
 美商仙妮蕾德有限公司(Sunrider Taiwan LLC、以下「仙妮蕾德公司」)の「SUNBAR」商標と台湾の蓮荷国際有限公司(Lotus International Co., Ltd.、以下「蓮荷公司」)の「Sun Be Bar」商標が類似し、かつ同一の企業グループが所有すると消費者に容易に誤認混同させるか否かを争う商標訴訟に対して、知的財産裁判所は先日、仙妮蕾德公司に対する勝訴の判決を下し、知的財産局に対して蓮荷公司に許可したSun Be Bar商標の登録を取り消すよう命じた。
蓮荷公司は2011年5月に米菓など20種類近い商品での使用を指定して「Sun Be Bar」商標の登録を知的財産局に出願し、同局は商標の登録を許可した。
仙妮蕾德公司は、蓮荷公司の「Sun Be Bar」商標が仙妮蕾德公司の「SUNBAR」等商標と類似しており、商標法の商標登録不許可に係る規定に違反しているとして、異議を申し立てた。
 知的財産局は、両社の商標は類似しておらず、使用する商品も同じではないため、異議不成立及び異議不受理の行政処分を下した。仙妮蕾德公司はこれを不服として救済手続きを行った後、行政訴訟を提起した。
 知的財産裁判所の陳忠行裁判長、陪席裁判官の林洲富裁判官及び受命裁判官の曾啓謀裁判官等による合議法廷にて審理を行い、仙妮蕾德公司に勝訴の判決を下した。ただし、本件はさらに上訴できる。
 裁判所の主な判決理由は次の通りである。
1.二つの文字商標の外観が類似を構成するとき、たとえ観念において必ずしも類似するとは言えなくても、なお類似商標であると認めることができる。外観についてみると、「SUNBAR」商標と「Sun Be Bar」商標との間にはわずかに文字配列等の違いや増減があるのみで、なお類似を構成している。
2.識別力が強い商標ほど、商品の消費者の印象は深く、他人が少しでもその評価や信用に便乗しようとしたならば、購買者に誤認を生じさせる可能性がある。
3.蓮荷公司の商標の指定商品が米、小麦、ベビー用ブドウ糖、飲料、食用氷、調味用品で、仙妮蕾德の商標の指定商品と同一又は類似のものではないことのみから、両者の製造の主体又は主な用途に違いがあると認定することはできない。一般の社会通念と市場取引の状況に基づき、両者が使用する商品に同一又は類似の関係があると認定すべきである。
4.仙妮蕾德公司と蓮荷公司の商品はいずれもキャンディ、クッキー、穀物製板状スナック、パン、ハーブ健康食品で、キャンディ、穀物製板状スナック、パンという食品であり、現代社会において健康食品を食用する者は極めて多い。よって両者の商品は日常消費する食品に属する。これらの商品において類似の両商標を使用したならば、消費者に容易に混同を生じさせてしまう。(2014年7月18日 工商時報 A16面)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】103年度行商訴字第15号
【裁判期日】2014年6月12日
【裁判事由】商標異議

原告 美商仙妮蕾德有限公司(Sunrider Taiwan LLC、「美商仙妮蕾德國際公司」の名義で営業)
被告 経済部知的財産局
参考人 蓮荷国際有限公司(Lotus International Co., Ltd.)

主文
訴願決定及び原処分をいずれも取り消す。
被告は第1500092号「Sun Be Bar」商標の登録取消の処分を下すべきである。
訴訟費用は被告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2011年5月16日当時商標法施行細則第13条に定められる商品及び役務区分表第30類商品「米、小麦、オートミール、総合穀物繊維粉、ベビー用ブドウ糖、ロイヤルゼリー、プロポリス、キャンディ、米菓、クッキー、穀物製板状スナック、茶葉、茶系飲料、コーヒー、食用氷、酢、調味用香料、パン、プリン」での使用を指定して「Sun Be Bar」商標の登録を被告に出願し、被告は登録第1500092号商標(以下「係争商標」)として登録を許可した。その後原告は係争商標の登録は登録時商標法第23条第1項第11号乃至第14号を適用すべきとして異議を申し立てた。被告が審理した結果、異議不成立との審決が下され、原告は前記異議不成立処分の部分を不服として行政訴願を提起し(異議不受理の部分は訴願を提起していない)、経済部は2013年年11月28日に経訴字第10206108770号決定を以ってこれを棄却したため、その後原告は本裁判所に対して行政訴訟を提起した。

二 判決理由の要約
本裁判所が心証を得た理由:
(一)係争商標登録時の商標法第23条第1項第13号及び現行商標法第30条第1項第10号の部分:
1.商標が「同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの」であるとき、登録してはならないことは、係争商標登録時の商標法第23条第1項第13号及び現行商標法第30条第1項第10号に規定されている。本件に存在する関連の要素を以下の通り斟酌する。
(1)商標の類否及びその類似性の程度:
係争商標と引用商標登録第1039455、1040019、1051543号「SUNBAR」商標及び登録第525855号「欣妮吉SUNBAR」商標(以下「引用商標」という。第557052号登録商標はすでに満期のため消滅しており、引用商標として列挙しない)とを比較すると、両者の外国語にはいずれもSUNとBARの2単語が含まれており、係争商標はSunとBarの間にBeが配置され、引用商標は連結して「SUNBAR」という一単語が構成されているか、又は、「SunBar」と中国語「欣妮吉」が組み合わされて構成されている。両者の称呼はやや異なり、両者の外国語はいずれも固定の意味を有さず、前者を一連に称呼すると極めて痩せていることを形容する台湾語と同音であることによりそれを連想させ、一方後者は陽光のバー(酒場)、陽光の砂浜の意味であると聞くものに思われる可能性があるため、両者は観念において共通点がない。ただし、商標が消費者に与える第一印象は外観であり、二つの文字商標の外観が類似を構成するとき、たとえ観念(と称呼)において必ずしも類似するとは言えなくても、なお類似商標であると認めることができる(「混同誤認のおそれ」に関する審査基準5.2.6.1)。外観についてみると、係争商標と引用商標の間でわずかに文字配列、字数の違いや増減があるのみで、なお類似を構成している。係争商標と引用商標との主な違いは、係争商標が引用商標であるSunBarの中間に英語のBeを挿入していることである。しかしながら消費者の認知についてみると、特定の意味を有する語句であって始めて記憶や区別できる意味を有する。前置詞、助動詞、連結動詞、代名詞等は商標の認識における作用を有さない。よって係争商標は英語のBeで区別しようとしているが、消費者の認知において作用しない。況してや英語の商標の場合、その頭文字は見る者や消費者の注意を惹きやすく、また消費者が記憶しやすく、その識別力は明らかにより強い。これはわが国と世界の商標の実務において普遍的に認められている(同上審査基準5.2.6.5)。よって本件の係争商標と引用商標は頭文字が同じであるだけではなく、語尾も一致するため、極めて容易に混同を生じる。
(2)商標識別力の強弱:
本件の引用商標は固有名詞ではなく、それ自身で特定の意味を持たず、商品のいかなる情報も伝達していないため、識別力が最も強い創造的商標に属する。被告は原処分及び行政答弁書においてもこの点を肯定している。係争商標の外国語「Sun Be Bar」は極めてよく見かける単語の組合せであり、指定商品を直接説明する文字でもなく、識別力を有するものの、被告、経済部訴願審査委員会及び参加人は、係争商標は「消費者に非常に痩せている人の意味を連想させる」、「その台湾語『瘦巴巴(やせっぽち)』の意味を発見することは難しくない」、「なお同音である台湾語『瘦巴巴』は名称の重点である」と述べているが、同音である台湾語「瘦巴巴」を英語で表示する方法は引用商標図案「SUNBAR」に似ている「Sun Be Bar」に限らず、係争商標は記述的商標に属し、たとえ最も緩い基準で認定しても暗示的商標にすぎない。しかしながら係争商標が記述的商標、暗示的商標のいずれであるにかかわらず、先に出願して登録された引用商標が消費者に強烈な印象を与える状況において、関連する消費者がそれと極めて類似する係争商標を見たとき、係争商標と引用商標の商品が同じ又は関連する出所からのものであると極めて容易に混同を生じさせてしまう。よって引用商標の識別力は係争商標よりもはるかに強い。
(3)商品の類否及びその類似の程度:
係争商標は「米、小麦、オートミール、総合穀物繊維粉、ベビー用ブドウ糖、ロイヤルゼリー、プロポリス、キャンディ、米菓、クッキー、穀物製板状スナック、茶葉、茶系飲料、コーヒー、食用氷、酢、調味用香料、パン、プリン」商品での使用を指定しており、その中の「ロイヤルゼリー、プロポリス」を引用商標である登録第1040019号商標の指定商品である「ハーブ栄養補給食品」と比較すると、両者とも栄養補給食品であり、性質が類似している。また、係争商標が使用を指定する「オートミール、総合穀物繊維粉、キャンディ、米菓、クッキー、穀物製板状スナック、パン、プリン」を引用商標である登録第1039455、1051543、525855号の指定商品「穀物棒状スナック」、「ドライフルーツ」、「シロップ漬けフルーツ、キャンディ、クッキー、穀物製板状スナック、パン、ケーキ」等の商品と比較すると、両者はいずれもケーキ、パン、ドライ又はシロップ漬の野菜果物、キャンディ、クッキー等のスナックに関連するもので、これも性質が同じ又は類似する商品である。以上をまとめると、二商標は類似を構成し、類似の程度も低くない。

(二)係争商標登録時の商標法第23条第1項第14号及び現行商標法第30条第1項第12号の部分:
1.商標が「同一又は類似の商品又は役務について他人の先使用にかかる商標と同一又は類似であり、出願人が当該他人との間で契約関係、地縁、業務取引又はその他の関係を有することにより、他人の商標の存在を知悉していたもの」であるとき、登録してはならないことは、係争商標登録時の商標法第23条第1項第14号に規定されている。
2.調べたところ、二商標の図案は類似しており、その程度は低くない。また指定商品も同一又は類似しており、引用商標の識別力は係争商標より強いことは上述のとおりである。原告の主張によると、「Sun」はその著名な一族の紋章であり、原告の英語名の要部「Sunrider」には「Sun」が含まれている他、原告が出願又は登録した「Sun」と太陽の図案を含んだものは数え切れない。該「Sun」の文字と太陽の図案は即ち原告の一族の紋章であり、原告の姓氏は原告の主な標識を識別するもので、原告の「Sunrider」商標及び太陽の図は被告から著名商標と認定されている。さらに、原告は世界第五の規模を有する直販業者であり、我が国と世界における売上高は膨大で、かつ原告はここ十数年の間に観光業にも事業を拡大し、北京、台北に有名な王朝大飯店という名称の国際観光ホテルを経営しており、その英語名である「Sunworld Dynasty Hotel」も「Sun」から始まる。原告自身と関連企業による「Sun」の使用は極めて広い。原告は前記のような資料を提出して証拠としており、それらは原告の「SUNRIDER logo」、「SUNRIDER design」、「仙妮蕾徳及び図SUNRIDER」商標が著名の水準に達していることを証明できるだけであるが、本件の二商標の類似の程度は低くはなく、理由はいずれも前記の通りである。原告はグローバルな多角的経営を行う企業であり、健康と保険の市場において名声を有する。係争商標権者は保健食品の研究開発、輸出入販売等に係わる活動を行い、両者は同様に栄養保健食品産業に従事している。また、原告は創立当初、直販方式で販売を行っていたが、長年にわたり店舗販売に変更され、現在原告は台湾全土の各大都市にある加盟店は314店(2010年現在)に達しており、台湾では著名なコンビニチェーンに次ぐ規模を有する。例えば台北のフラッグシップショップ(敦化北路と南京東路の交差点にある王朝大飯店の隣に設置)は消費者に広く知られており、店内には各種商品が展示され、消費者はすべて店で直接購入することができ(本件の引用商品の商品を含む)、それは係争商標権者の販売方法と異なるところはない。これについて原告はさらにSUNBAR商標商品の外観の写真を提出したが、期日が表示されていなかった。ただし、提出された我が国と世界における登録資料、2007乃至2011年の我が国を含む世界におけるSUNBAR商品販売データ(異議ファイル第32乃至125頁、第132頁を参照)を参照したところ、引用商標は係争商標出願日以前に先に使用されていた事実があったと認定でき、参加人は原告とはすでに競合する同業者の関係にあり、引用商標の存在を知悉しており、かつ模倣を意図して、登録を出願したことが分かる。したがって、本件の係争商標の登録は登録時商標法第23条第1項第14号及び現行商標法第30条第1項第12号が適用される。
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