「金莎」商標争い FERRERO社が「繊女」に勝利

2015-04-09 2014年
■ 判決分類:商標権

I 「金莎」商標争い FERRERO社が「繊女」に勝利

■ ハイライト
著名な菓子製造会社であるイタリアFERRERO社が、蘇という男が「金莎繊女」商標を登録出願して許可を得たことに対して、行政訴訟を提起した。知的財産裁判所合議法廷は、確かに二商標が類似していると認定し、蘇の金莎が「茶葉;コーヒー飲料;ココア飲料;チョコレート飲料」等に使用を指定している区分において、その中の「ココア、チョコレート飲料」の登録を取消したが、依然としてあった「コーヒー飲料」の類似については、知的財産局でこの部分を取消す処分をして「異議成立、登録を取消すべき」との審決を下すべきだと判決した(自由時報2014年2月20日A9版)。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】102年行商訴字第112号
【裁判期日】2014年02月13日
【裁判事由】商標異議

原告 イタリア・FERRERO S.P.A.(費列羅公司)
被告 経済部知的財産局
参加人 蘇祥銨

上記当事者間における商標異議事件について、原告が経済部による中華民国102年7月22日経訴字第10206102690号訴願決定を不服として行政訴訟を提起したので、本裁判所は参加人に被告の訴訟に独立参加するよう命じた。本裁判所の判決は次のとおりである。

主文
訴願決定及び原処分の、登録第1477175号「金莎繊女」商標を「コーヒー飲料」商品に使用指定している部分について「異議不成立」と決定した部分を取消す。
被告は、登録第1477175号「金莎繊女」商標の「コーヒー飲料」商品における使用指定について、「異議成立、登録を取消すべき」と決定すべきである。
原告のその他の訴えを棄却する。
訴訟費用は被告が二分の一を負担し、その他は原告の負担とする。

一 事実の要約
参加人は以前「金莎繊女」商標を当時の商標法施行細則第13条所定の商品及び役務区分表第30類の商品に使用指定して被告に登録出願し、被告による審査を経て登録第1477175号商標(以下、係争商標という)として登録を受けた。その後原告がこれに対して異議を申立てたので、被告が審理を行い、異議不成立との処分を下した。原告がこれを不服として訴願を提起したところ、経済部は原処分の係争商標を「ココア飲料;チョコレート飲料」商品に使用指定した部分について異議不成立とした処分を取り消し、被告により別途適法な処分を下すよう決定し、その他の部分の訴願を棄却すると訴願決定した。原告は当該訴願決定を不服とし、本裁判所に行政訴訟を提起するとともに、原処分及び訴願決定における、係争商標を「茶葉、紅茶、綠茶、コーヒー飲料、米、オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品に使用指定した部分についての、原処分及び訴願決定を全て取消すよう声明した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:1.原処分及び訴願決定における、登録第1477175号「金莎繊女」商標を「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品に使用指定している部分についての異議不成立及び訴願棄却処分の取消し。2.被告が登録第1477175号「金莎繊女」商標を「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品に使用指定した部分について、異議成立の処分をすべきである。
(二)被告の請求 原告の訴えの棄却。

三 本件の争点
本件の主要な争点はやはり、双方商標を比較した際に、係争商標を「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品に使用指定している部分が、登録査定時の商標法第23条第1項第13号即ち現行商標法第30条第1項第10号の規定に違反していて登録許可してはならない事情があるかどうかである。

四 判決理由の要約
(一)係争商標名称である「金莎繊女」は、中国語「金莎繊女」4文字を字体に組成した表現において、一切の図形アイディアや意匠デザインが加えられていないので、単純な文字商標に該当するはずである。また別途の平面レイアウトにおいて、「金莎繊女」4文字はそれぞれ「金莎」、「繊女」の二部分に分かれており、なお且ついずれも左横書きで、上下並列であり、右側揃えの形式で表されている。字体のサイズについては「金莎」の2文字が明らかに「繊女」の2文字より大きくなっている。一方、商標異議の根拠である商標名称は「金莎」で、その文字に使用されている字体も、一般の中国語印刷字体であり、商標設計者の創意や意匠デザインが一切加えられていないので、単純な文字商標に該当するはずである。双方の商標を比較すると、いずれも同一の中国語である「金莎」の2文字であり、なお且つ双方商標の中国語「金莎」部分に使用されている字体も一般によく見られる中国語印刷体で、商標設計者の創意や特殊な意匠は一切加えられていない。つまり、その外観、観念及び読音は全て同一である。原告が製造している係争商標の表示があるのチョコレート類商品は、積極的な広告と販売促進により、確かに消費者の間で相当な知名度があり、市場でも安定した販売量を維持している。即ち、商標異議の根拠である中国語「金莎」の2文字は、確かに関連消費者に熟知されていて、なお且つ相当程度の識別性を有しているので、もしそれと係争商標の「繊女」等その他文字を並列すれば、関連消費者も観察重点を中国語「金莎」の2文字部分におくはずである。なお且つ商品の製造者も常に同一文字において異なる文字の前後を結合させることで異なるシリーズの商品と区別し、商品製造者による異なる消費者群を販売ターゲットとした訴求を達成する。そうすると、関連消費者が双方商標を観察したときに、当然その表示のある商品が同一の製造者又は関連のあるものからだと誤認する可能性があり、関連消費者に誤認混同を生じさせることになる。

(二)本件で双方商標が使用指定している商品の類別が類似しているかどうかを比較する際には、異議の根拠である商標が展延して指定している「キャンディ、チョコレート、ビスケット」等商品、及び係争商標が訴願機関により訴願を棄却された部分即ち「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」等部分について比較しなければならない。係争商標が使用を指定している「コーヒー飲料」商品部分については、異議の根拠である商標が使用を使用している「チョコレート菓子」商品の区分と比べると、その製造方法、販売ルート等の要素において共通点或いは関連があり、一般的社会通念及び市場での取引状況に基づけば、それらが同一又は類似の商品でないとは言い難い。また、係争商標を使用指定している「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品について、それと異議の根拠である商標が使用を指定している商品を比べると、前者は製造方法及び色あいにおいていずれも異なっている目覚まし用ドリンク、又は穀物等植物により製造された製品、又は中国式の伝統的な点心及び点心製作用の原料であるので、両者の機能はいずれも異なっており、当然類似商品ではない。

(三)以上をまとめると、係争商標の「コーヒー飲料」商品に使用を指定した登録は、異議の根拠である商標と比べると、同一又は類似の商品に該当するので、双方商標図案の類似の程度も、関連消費者に双方商標が表示する商品が同一の出所からのシリーズ商品だと誤認させたり、又は両商標の使用者の間に関係企業、許諾関係、加盟関係又はその他類似関係が存在すると誤認させる虞がある。よって、被告によるこの部分についての異議不成立処分には誤りがあるはずであり、訴願決定が当該部分について同一の理由を以って訴願を棄却したことも、不適切である。従って原告が、訴願決定及び原処分の係争商標が「コーヒー飲料」商品に使用を指定した登録部分について取消しを請求し、当該部分について被告に異議成立の審決を下すことを命じるよう求めたことには理由があるので、許可されるべきである。しかし、「茶葉;紅茶;綠茶;コーヒー飲料;米;オートミール、小麦粉製品、穀類粉、タピオカ、八宝粥」商品については、異議の根拠である商標と比べると、同一又は類似の商品ではなく、双方の商標図案は確かに類似しているが、双方商標が使用を指定している商品区分が機能、用途においていずれも異なっていて、当然類似商品ではないので、関連消費者に双方商標が表示する商品が同一の出所からのシリーズ商品だと誤認させたり、又は両商標の使用者の間に関係企業、許諾関係、加盟関係又はその他類似関係が存在すると誤認させるまでには至っていない。よって、原告のこの部分の訴えには理由がないので、棄却すべきである。

上記の論結によれば、本件原告の訴えの一部には理由があり、一部には理由がない。よって知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第104条、民事訴訟法第79条に基づき主文のように判決する。

2014年2月13日
知的財産裁判所第二法廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 曾啟謀
裁判官 熊誦梅

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