発電機特許はエネルギー保存の法則を遵守しなければならず、もし技術内容がこの自然法則に違反しているのであれば、専利法第21条の規定に違反するので、特許要件を有しないと認めるべきである。

2016-04-27 2015年
■ 判決分類:特許権

I 発電機特許はエネルギー保存の法則を遵守しなければならず、もし技術内容がこの自然法則に違反しているのであれば、専利法第21条の規定に違反するので、特許要件を有しないと認めるべきである。

■ ハイライト
発電機は機械エネルギー入力によって電気エネルギーが生じるもので、モーターは逆だが、いずれにしてもエネルギー入力からエネルギー出力まで常に減衰現象を伴う。これはエネルギー転換の過程において、銅損、ブラシ損失、コア損失、機械損失及び浮遊損失が生じるので、出力エネルギーは一般に入力エネルギーに相当するか、或いは入力エネルギーより小さい。よって、エネルギー保存の法則によると、エネルギーの接続がないか又は機械エネルギーの発電機へのエネルギー供給ができない場合、関連損失のため電気エネルギー減少が生じるため、バッテリーのエネルギーを消耗し尽くすとなる。特許出願人は明細書において製作した発電機は蓄蔵し戻し、充電する入力電気エネルギーはどんなときもバッテリーの出力エネルギーより大きいと説明したが、その内容は自然法則に違反し、且つどう蓄蔵し戻した入力電気エネルギーを常にバッテリーの出力エネルギーより高くすることについて、説明しておらず、推測だけを明細書の内容とし、操作方法と実験数字に欠けているので、発電機の出力電気エネルギーが常にバッテリー出力電気エネルギーより大きいと証明するには足りない。その特許技術の内容は確かにエネルギー保存の法則に違反し、査定時の専利法第21条の規定に違反するので、特許要件を有しない。

II 判決内容の要約

最高行政裁判所判決
【裁判番号】104年度判字第71号
【裁判期日】2015年02月05日
【裁判事由】特許出願

上告人 林岡嶔
被上告人 経済部知的財産局

上記当事者間の特許出願事件について、上告人が2014年6月25日付知的財産裁判所103年度行専訴字第14号行政判決に不服のため、上訴を提起した。本裁判所は以下のとおり判決する。

主文
訴えを棄却する。
訴訟費用は上告人の負担とする。

一 事実要約
上告人は2006年11月29日に「独立自主自由式和動複巻自動同期磁気エネルギー動力発電機」を被上告人に特許出願したが(以下、「係争特許」という)、被上告人は第95144089号の審査により、特許の出願の拒絶査定を行った。上告人がこれを不服とし、再審査及び面接を申請したのにも拘らず、被上告人は面接を行わずに2012年10月29日(101)智専三(二)04087字第10121172190号の特許再審査拒絶査定書により、特許出願の拒絶査定を行った。上告人が訴願審理を申請したため、被上告人が同年12月24日(101)智専三(二)01153字第10121496340号書簡により、前記の再審査拒絶査定書を取り消して再審査を行うと共に2013年4月11日に面接が実施された。上告人から同年7月12日に本件の特許請求範囲の修正本の提出があったので、被上告人は審査したが、2013年8月8日(102)智専三(二)01153字第10221053390号の特許再審査拒絶査定書により、特許出願の拒絶査定を行った。上告人は係る処分になお不服であったため、訴願、行政訴訟を順にそれぞれ提起したが、すべて棄却されたため、本件の上訴を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)上告人の主張:原判決を破棄し、原訴願決定及び原処分を破棄するよう請求する。
(二)被上告人の主張:上告を棄却するよう請求する。

三 本件の争点
係争特許の請求項第1項から第6項が自然法則に違反するか否か、及び専利法第21条の規定に違反したので、特許要件をしないか否かである。

(一)上告人主張の理由:省略。判決理由の説明を参照。
(二)被上告人主張の理由:省略。判決理由の説明を参照。

四 判決理由の要約
そもそも、発電機は機械エネルギーを入力することによって電気エネルギーを発生させるものであり(自動車の電気回生システムもこれに類似する)、一方、電動機はその逆である。ただし、いずれかの方式を採ってもエネルギー入力からエネルギーの出力までのプロセスは、常に減衰現象が発生する。それはエネルギー転換の過程において、銅損、ブラシ損失、コア損失、機械損失(摩擦損失と風力損失)及び浮遊損失(前述4つの損失以外の損失)が生じる。そのため、一般として出力エネルギーは入力エネルギーに等しいかまたはより小さくなる。よって、発電機に入力したエネルギーから銅損、ブラシ損失、コア損失、機械損失及び浮遊損失を差し引いた後が発電機が出力できる機械エネルギー量になる。同じ道理で電動機に入力した電気エネルギーから銅損、ブラシ損失、コア損失、機械損失及び浮遊損失を差し引いた後が電動機が出力できる機械エネルギー量になる。従って、エネルギー保存の法則によれば、外部からの電気エネルギーまたは機械エネルギー(例えば石炭、オイルなどを使用した駆動機械)を係争特許の独立自主自由式和動複巻自動同期磁気エネルギー動力発電機に与えない限り、直列または並列蓄電池セット20に蓄えていた電気エネルギーは直流電動機12及び交流発電機13の銅損、ブラシ損失、コア損失、機械損失及び浮遊損失などが電動機が出力する電気エネルギーを減衰させるばかりでなく、発電機が入力電気エネルギーが減衰するため、機械稼働によって発生する電気エネルギーも減衰されることから、蓄電池にフィードバックする電気エネルギーも少なくなり、ついに蓄電池の電気エネルギーを使い切ってしまうことになる。そして、本件の係る「独立自主」自由式和動複巻自動同期磁気エネルギー動力発電機の稼動も停止するはずであり、ましてや係争特許の独立自主自由式和動複巻自動同期磁気エネルギー動力発電機はさらに他の産業に(交流電気)及び通信、コンピュータ、オーディオ信号の使用のために電気エネルギーと機械エネルギーを供給する必要がある。たとえ本件の係争特許が上告人が本件の上告を提起した時点に述べたとおり、外部電源の、電気エネルギーを周期的に出入力する蓄電池によって係争の発動機を始動させ、さらに起動後に自己供給により周期的に電気エネルギーを使用に供給できるとしても、係争特許の蓄電池が外部電気エネルギーの入力によって電動機を始動した後、もし外部電源が切られ独立稼動な状態に置かれてもやはり前述した減衰が発生し電気エネルギーが消尽されるので、エネルギーが絶えないことはありえない。上告人が明細書において、発電機へのフィードバック充電による電気エネルギー入力値は常に蓄電池の出力値を上回る云々としたが、係る内容はエネルギー保存の法則に反しており、フィードバック充電による電気エネルギー入力値は常に蓄電池の出力値を上回ることをどのように達成するか点について言及しておらず、単に「…発電機13にとって、電動機12を利用した同じ機器同じ磁場同じエネルギー恒久協働電位和動複巻同期磁気エネルギー効果による併給は磁力電圧流量を倍増させ、…を発生する」と云々している。そもそも前記説明は推測であり、操作方法と実験数値を欠いているため、発電機から出力する電気エネルギー値が常に蓄電池から出力する電気エネルギー値より大きいことの証明には足りない。よって、係争特許の技術内容は実にエネルギー保存の法則に反しており、査定時点の専利法第21条規定に違反しているので、特許の要件を有しない。原審が係争特許請求の範囲第1から第6項とも自然法則に反していることから、特許の要件を満たしていないので、被上告人の本件に対する特許出願を拒絶したこと自体に間違ったところはなく、訴願決定を維持したことも不合理なところは見当たらず、これらの点に基づき上告人が原審に対する上告を棄却したことは、前述説明によれば適法である。上告人による上告の論旨は原審で斟酌済みの事項を再び主張し原判決が法令違反したと指摘し、それを棄却して新めて判決するよう請求したことには理由がないため、これを棄却すべきである。以上を総じて論結すると、本件上訴には理由がない。知的財産案件審理法第1条及び行政訴訟法第255条第1項、第98条第1項前段により、主文のとおり判決を下す。

2015年2月5日
最高行政裁判所第二法廷
審判長裁判官 劉鑫楨
裁判官 呉慧娟
裁判官 蕭忠仁
裁判官 劉穎怡
裁判官 汪漢卿
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