公平交易委員会の公平交易法第25条案件に対する処理原則 2017-01-13
2017-01-18 公平取引法
公平交易委員会の公平交易法第25条案件に対する処理原則
1993.12.29第117回委員会議通過
2001.12.20第528回委員会議通過
2002.1.9公法字第0910000252号書簡分行
2005.1.13名称改正及び第1点が第688回委員会議通過
2005.2.24公法字第0940001299号令公布
2012.4.11.第1066回委員会議通過
2012.4.18.公法字第1011560571号令公布、2012年2月6日に遡り発効
2015.2.4.第1213回委員会議にて名称及び第1点、第2点改正
2015.2.16.公法字第1041560119C号令公布
2016.12.28.第1312回委員会議にて全文改正
2017.1.13.公法字第10615600201号令公布
一 (目的)
公平交易法第25条(以下、本条)が概括性規定であることに鑑みて、その適用の具体化、明確化及び類型化を期するため、特に本処理原則を制定する。
二 (公平交易法第25条適用の基本精神)
本条と民法、消費者保護法等その他法律の関連規定との別を明確にするため、「取引秩序に影響するに足りる」の要件をもって、公平交易法又は本条を適用するかの選別の準拠とすべきである。即ち係争行為が市場取引秩序に影響を生じるに足りるとき、始めて本会は本条の規定によって当該案件を受理するが、もし「取引秩序に影響するに足りる」の要件に該当しないものは民法、消費者保護法又はその他法律によって救済を求めるべきである。
本条は補充性質の概括的条号であり、事業者による競爭行為の態様は多岐に渡るので、公平交易法で逐一列記することができないが、遺漏や不足を避けるために、本条を補充適用する。つまり、本条は公平交易法の他の条文に既存の違法行為類型を補充して規定する外、既存違法行為類型と直接関連のない新型行為についても、公平交易法の立法目的及び本条の規定趣旨に基づいて、本条を補充適用する余地があるか(即ち「創造的補充適用」)を判断しなければならない。
本条と公平交易法の他の条文の適用を区別し、「補充原則」を適用すべきであり、適用時には先ず「競争制限」の規定(独占、結合、共同行為及び垂直競争の制限等)を検証し、次に「不正競争」の規定(例えば、不実広告、営業誹謗等)が係争行為の不法内容を十分に規定できていないことにより、本条適用の余地があるのかどうかを検証しなければならない。よって、本条は単に公平交易法の他の条文規定に包含されていない行為においてのみ適用する。もし公平交易法の他の条文規定の某違法行為についての規定が既に全て包含しているとき、又は当該個別規定が当該行為の不法内容を十分に規定している場合、当該行為には単に当該個別条文規定を構成するか又は構成しないかの問題があるのみであり、更に本条で以って規定を補充する余地はない。反対に、もし当該個別条文規定で当該違法行為を評価しても、なお、不法内容が残るときに、始めて本条を以て補充規定を加える余地がある。
「消費者権益の保護」に関しては、係争事業者が情報の不均衡を利用したり、又はその相対的に優勢な地位に乗じて、「欺罔」又は「明らかに公正さを欠く」取引手段を用いて、消費者権益が損害を受けるに至り「取引秩序を影響するに足りる」の要件に該当するかを検証して、本条規定を適用するかの判断基準としなければならない。
三 (本条と他の法律適用の区別)
本条の事業者に対する規定は、常に他の法律と適用上の疑義があるので下記事項を考慮してこれを判断しなければならない。
(一) 事業者と事業者又は消費者との間の契約約定は、自由意志に基づいて締結する取引条件である。その内容が明らかに公正さを欠くものであるか否か、又は事後に約定に依って履行したか否かを問わず、この契約行為は原則的に民事契約法規を以ってこれを規定する。しかし、係争行為が競争秩序又は市場取引秩序に危害を及ぼすときに、例外的に本条を適用する余地がある。例えば契約内容に明らかに公正さを欠く部分があっても、もしもそれが「取引秩序に影響するに足りる」の要件に該当しない場合は、民事救済ルートによって解決すべきである。前記要件に該当し、市場取引秩序の公共利益が妨害を受けることを考慮するときのみ、本条が介入して規定する。
(二) 消費者権益の保護は元々公平交易法第1条に定められた立法目的ではあるが、両者の保護法益の重点を区別するため、本条が消費者権益に介入するのは、「取引秩序に影響するに足りる」の要件に該当し、かつ公共利益性質に関わる行為に限る。例えば、業者が消費者に対して、情報の不均衡や相対的な市場優勢性がある場合、又は(問題となる一方的なメーカー優勢現象が)当該業種において普遍的な現象として見られる場合、多数の消費者に取引を決定できる十分な情報がない、高度に依頼して選択の余地がない、又は消費者権益が損害を受ける事態が広く発生する虞がある状況になる。
四 (本条と公平交易法の他の条項規定との区別適用)
本条の規定を適用するには、「補充原則」に合致していなければならない。即ち、本条は公平交易法の他の条文が包含していない行為に対してのみ適用する。もし公平交易法の他の条文の規定が某違法行為を既に十分に包含規定していて、即ち当該個別条文の規定で当該行為の不法性を充分に評価できるか、又は当該個別条文の規定がすでに十分当該行為の不法内容を規定している場合、当該行為には単に当該個別条文の規定を構成するか又は構成しないかの問題しかないので、更に本条によって規定を補充する余地はない。反対に当該個別条文の規定が十分に嫌疑行為の不法内容を包含できていないときに、始めて本条をもって規定を補充する余地がある。
五 (取引秩序に影響するに足りるとの判断における考慮事項)
本条でいう取引秩序とは、一切の商品又は役務取引の市場経済秩序であり、研究開発、製造、販売及び消費等の製造販売段階に関わる可能性があり、その具体的内容は水平競争秩序、垂直取引関係の市場秩序、及び公正競争精神に合致する取引秩序である。
「取引秩序に影響するに足りる」か否かを判断する時は、被害者数の多寡、引起した損害の量及び程度、その他事業者に対して警戒効果があるか、特定の団体や集団に対する行為なのか、将来の潜在的な多数の被害者に影響を及ぼす効果があるか、及びその行為がとった方法手段、行為発生の頻度と規模、行為者と相手方の情報が対等であるかどうか、紛争及び争議を解決する資源の多寡、市場における力量の大小、依存性の存在の有無、取引習慣と産業特性等を考慮することができ、なお且つこれらは既に取引秩序への影響が発生した事案に限らない。尚、単一の個別的非経常性取引紛糾に関しては、原則的に民事救済を求めるべきであり、本条の規定は適用しない。
六 (欺罔の判断における考慮事項)
本条でいう欺罔とは、取引相手に対して、重要な取引情報を欺瞞、誤誘導したり、又は隠匿して、人を錯誤に導く方法を以って取引に従事する行為をいう。
前項でいう重要な取引情報とは、取引の決定に影響するに足りる重要な取引情報を指す。いわゆる人を錯誤に導くとは、客観上一般大衆の誤認を引起すか否か、又は取引相手が騙される合理的な可能性(しかし単なる何らかの想像上の可能性というものではない)を以って判断基準とする。取引相手の判断能力をはかる基準は、一般大衆が行うことができる「合理的判断」を基準にすべきである(極端に低い、又は特別高い注意程度を判断基準とはしない)。欺瞞のよく見られる類型の例示は以下のとおり。
(一)信賴力のある主体に成りすます、又は便乗する。例えば次のとおり。
1. ガス安全器材業者がガス防災PR又はガス安全検査等の名義又は機会を利用して、ガス安全器材を販売し、市民に誤認させて取引する。
2. 政府機関又は公益団体活動に便乗して商品を売り込み、市民にそれが政府機関又は公益団体と関係があると誤認させて、取引させる。
3.著名な事業者又は組織に成りすましたり、便乗して取引を行う。
(二)広告に関わらない不実な売り込み手段
(三)重要取引情報を隠匿する、例えば次のとおり。
1. 不動産マネージメント業者が不動産売買の仲介業務に従事するときに、買主に斡旋料契約と内政部版「要約書」の区別及びその代替関係を書面で通知しない、又は売主に対して自身に既に買主斡旋の情報があることを隠匿する。
2. 予約販売による不動産の販売で、売買契約の共通部分の項目に入っていない部分について、購入者に金額を追加請求する。
3. 商品販売のときに、商品の転売が困難であるという特性を隠匿し、取引情報の欺瞞又は隠匿という方法で取引相手に相当な転売利益が得られるものと誤認させて取引を決定させる。
4. 奨学金助成の名目で新聞の売り込みをする。
5. 健康診断の名目を利用して健康器材の売り込みをする。
6. 航空業者が値下げを宣伝したのに、座席クラスの比率の大幅な変更により、対外的に値下げを宣伝した低価格の座席クラス数量を過去の販売状況に基づき合理的に提供することができないという情報を隠匿する。
七 (明らかに公正さを欠くとの判断において考慮すべき事項)
本条でいう明らかに公正さを欠くとは、明らかに公正さを欠く方法で競争又はいは営業取引を行うことをいう。明らかに公正さを欠く行為の類型例示は次のとおり。
(一)競争相手に損害を与える目的で競争を阻害する。例えば次のとおり。」
1.不当な商業的干渉を行う。例えば、競争相手の取引相手の所に行って、競争相手による侵害の言論を頒布する。
2. 不当に知的財産権侵害の警告書を頒布する。事業者が警告書等の書面形式で自身又は他事業者の取引相手又は潜在的取引相手に対し、他事業者によるその著作権、商標権又は専利権侵害行為について頒布する。
3. ニュースリリース又はウェブサイト等の市民に知らせる形式で、競争相手による侵害情報を頒布し、取引相手に疑念を抱かせる。
(二)他人の努力成果を搾取する。例えば次のとおり。
1.他事業者名称を使用してキーワードとする広告、又は他事業者名称を自身の名称として使用したり、他事業者名称、表示又は経営業務等と関連する文字を使用して自身の運営宣伝等の方法とし、他人の商業的名声に便乗し、両者の出所が同一である、又は一定の関係があると人に誤認させ、それによって自身の商品又は役務をプロモートする。
2. 他人の表示を自身のドメインネームとして登録し、自身の取引機会を増やす。
3. ウェブサイトのプログラム設計を利用して、不当に他人の表示を使用し、自身のウェブサイトのアクセス率を増やす。
4.他人が相当な努力を傾注して構築したウェブサイト資料を剽窃し、偽って自身のウェブサイト又はデータベースの内容とし、自身の取引機会を増やす。
5.真正品の平行輸入において、積極的な行為でそれが代理会社の輸入販売商品であると人に誤認させる 。
(三)顧客の不当な勧誘:脅迫又は嫌がらせ等の不正な方法で取引相手の取引決定を妨害する。例えば一対一でつきまとい、長時間迫って疲れさせる、又は消費者の弱みにつけ込む、又は人が痩身美容サービスを受けている際に売り込みをする。
(四)相対的な市場優位性の不当な利用:
もし取引相手が事業者に対して十分且つ期待できる離脱可能性を有していない場合、依頼性の存在があり、当該事業者は相対的な市場優位性があると認めるべきである。相対的な市場優位性のある事業者は、その市場地位を濫用してはならない。相対的な市場優位性の濫用状況は次のとおり。
1. 囲い込み:例えば、エレベーター事業者が、設置完了後に相手がそれに対して経済上の依賴性があることを利用して、その相対的な優位性を濫用する行為(但しもし、公平交易法第二十条を構成するならば、まず当該条に基づき処断しなければならない)。例えば、無関係な費用を徴収したり、又は使用者に他人に代わってメンテナンス紛争に関する費用を弁済させる。
2. 流通事業者が事前に取引相手と協議して書面形式で明確に販売停止又は撤退条件又は基準を定めず、なお且つ十分に関連の根拠資料を開示しないまま不当に取引相手に販売停止、撤退又は取引条件の変更を要求する。
3. 動画代理会社が他の事業において視聴資料購入案件を落札した後に、当該事業者に対する取引条件を引き上げる。
4. 販売契約を代わりに保管して、販売会社の権利行使を阻害する。
5. 専利権者がライセンシーに権利金と無関係のデリケートな情報の提供を要求する 。
(五)情報不均衡を利用する行為、例えば次のとおり。
1. 加盟事業者が加盟を募集する過程で、取引相手に加盟に関する重要情報を書面で提供しない、又は合理的な契約確認期間を与えない。
2. 不動産開発業者又は不動産マネージメント業者が予約販売を行うときに、不動産購入者に取引に関する重要情報を書面で提供しないか、又は不当に購入者の契約確認を制限する 。
(六)公平交易法の競争制限行為の規定を補充する。例えば、共同行為の規定を補充し、政府採購法案件を適用せず名義借りによる入札を行う。
(七)消費者による合法的権益行使の妨害。例えば不動産開発業者と購入者が予約売買契約を締結した後に、契約書を渡さない、又はその返還を要求する。
(八)附合契約を利用した不当な行為、例えば次のとおり。
1. 附合契約における不公平な条項の約定。例えば、訪問取引の猶予期間解約権の制限、解約時に商品の返還以外に、分割払いの途中の期限未到来の残金の一定比率を賠償として支払わなければならない、解約時に未使用の課程役務についても全額支払わなければならない、契約において解釈に関する争議が生じたときに英文を基準とするなどと制限する。
2. ガス公用事業の強制後に、使用者が前使用者の未払金を負担する 。
事業者が重要な取引情報を開示せずに取引相手と取引する行為が、本条でいう欺瞞又は公正さを欠くものであるかを判断する場合は、当該事業者が取引情報について優位性があるかを考慮しなければならない。もし、本会が既に取引情報について優位性のある特定業界に対して、その情報開示義務を明確に定めていて(例えば加盟事業者の加盟に関する重要情報の開示義務)、事業者が当該情報開示義務に違反した場合は、明らかに公正さを欠くものとして論断しなければならない。
八 (よくある行為類型例示規定の説明)
第六点第三項及び前点第二項の規定は、単なるいくつかのよくある欺瞞及び明らかに公正さを欠く行為の類型を例示し、本条規定違反の状況はこれ等に限らず、やはり特定行為の処理原則(又は規定説明)及び個別案件ごとの具体的事実について認定しなければならない。
九 (高度な剽窃行為について別途民事手続きをとることができる)
事業者が、他事業者による公平交易法第二十二条に合致しない高度な剽窃行為により損害を受けた場合、公平交易法の民事救済手続きにより解決することができる。









