知的財産案件審理細則 2023-08-18

2023-08-23 その他

知的財産案件審理細則 (2023年08月18日改正)
・添付

1.    2008年4月24日司法院院台庁行一字第0970009012号命令により全文42条公布、知的財産案件審理法施行日より施行(係る法の施行日は、司法院がこれを定める)。
2008年5月6日司法院院台庁行一字第0970009972号命令により、「知的財産案件審理法」公布、2008年7月1日より施行。
2.    2014年7月21日司法院院台庁行三字第1030020604号命令により、第3~5、13、14、16条改正、第19-1条条文追加公布、知的財産案件審理法施行日より施行。
2014年6月6日司法院院台庁行三字第1030015766号命令により、中華民国2014年6月4日知的財産案件審理法一部条文改正公布、2014年6月6日より施行。
3.    2018年8月10日司法院院台庁行三字第 1070022308号命令により、第 3 条改正公布。
4.    2021年1月22日司法院院台庁行三字第 1100002754 号命令により、第 1~5、7~9、11、12、41、42条条文改正公布、2021年7月1日より施行。
5.    2023年8月18日司法院院台庁行三字第1120300938号命令により、全文78条改正公布、2023年8月30日より施行。


第一章 総則

第1条    
本細則は知的財産案件審理法(以下「本法」という)第76条規定により定める。

第2条
本細則でいう知的財産裁判所とは、知的財産裁判所及び商事裁判所をいい、知的財産法廷、商事法廷とは、知的財産裁判所の知的財産法廷、商事法廷をいう。
本細則でいう知的財産案件とは、次の各号の案件をいう。
一、知的財産民事事件
二、知的財産刑事案件
三、知的財産行政事件
四、その他法律の規定又は司法院の指定により知的財産裁判所が管轄する案件

第3条 
知的財産民事事件の範囲は、知的財産及び商事裁判所組織法第3条第1号、第
4号及び本法第9条第1項の規定により、次のとおりとする。
一、知的財産権の権利帰属又はその出願権の帰属、及びその報酬に関する紛争事件
二、契約紛争事件
(一)知的財産権許諾契約事件
(二)知的財産権の譲渡、質権設定、信託、登録同意、出願権の譲渡、及びその他の契約に関する紛争事件
三、権利侵害紛争事件
(一)知的財産権侵害に関する財産権紛争事件
(二)知的財産権侵害に関する人格権紛争事件
四、知的財産権の使用により発生した補償金、ロイヤリティに関する紛争事件
五、公平交易法の知的財産の権益保護に関する事件
六、知的財産権の証拠保全及び保全手続事件
七、その他法律の規定又は司法院の指定により知的財産裁判所が管轄する事件

第4条      
知的財産刑事案件は、知的財産及び商事裁判所組織法第3条第2号、第4
号、本法54条第1項、第58条第2項の規定に基づくものとし、その範囲は以下のとおりとする。
一、刑法第253条、第254条、第317条、第318条、営業秘密法第14条の4の罪、または商標法、著作権法及び本法第72条から第74条の違反に関わる案件並びその付帯民事訴訟案件
二、営業秘密法第13条の1、第13条の2、第13条の3第3項及び第13条の4の犯罪に関わる案件及びその付帯民事訴訟案件
三、国家安全法第8条第1項から第3項の犯罪に関わる案件及びその付帯民事訴訟案件
四、その他法律の規定又は司法院の指定により知的財産裁判所が管轄する案件及びその付帯民事訴訟案件

第5条
知的財産行政事件が知的財産及び商事裁判所組織法第3条第3号、第4号及び本法第68条第1項の規定に基づき、係る訴訟対象が専利法、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、半導体集積回路の回路配置保護法、植物品種及び種苗法、または公正取引法に関わる知的財産権の規定を内容とするとき、その範囲は以下のとおりとする。
一、主務官庁による専利、商標、半導体集積回路の回路配置、品種及び製版出願の棄却の行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
二、主務官庁による専利権、商標権、半導体集積回路の回路配置権、品種権及び製版権の取り消しあるいは廃止の行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
三、主務官庁による知的財産権出願権に関わる行政処分またはその他知的財産権利登記出願の行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
四、主務官庁による知的財産権強制使用許諾の行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
五、税関による直接知的財産法令に基づく押収した知的財産対象物についての行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
六、主務官庁による知的財産権法令に基づく奨励、管制の行政処分に対して提訴された行政訴訟事件。
七、第1から第6号に関わる行政処分の代わり定められた行政契約
八、本法で定めるその他公法上の法律関係に発生した取り消し訴訟、給付訴訟または確認訴訟事件。
九、公正取引法に違反し、知的財産権対象物を模倣した不正競争に関して、発生した公法上の争議事件。
十、前述第1から9号、公法上の争議に関わる執行停止請求事件、証拠保全及び保全手続き事件。
十一、その他法律の規定又は司法院の指定により知的財産裁判所が管轄する事件。
一つの行為が知的財産法及びその他行政上の義務規定違反により、過料に処すべき場合に、知的財産法で定める過料の額が高いときは、知的財産行政事件とする。別途に没収またはその他行政処罰が適用される場合は、処罰の種類が同じで、より重い罰の知的財産法によって処罰しないものを除き、知的財産行政事件の対象となる。

第6条
本法第68条第1項に定める知的財産及び商事裁判所組織法第3条第3号に関わる強制執行事件とは、前条の知的財産行政事件において、債務者に命ずる一定の支払い裁判が確定した後、債務者が支払いをせず、債権者が執行名義で強制執行を請求する事件を指す。

第7条    
以下の事件は知的財産行政事件ではないものとする。
一、行政事件の当事者が知的財産権の専門主務官庁であるが、当該行政事件が知的財産法以外の法律を請求の基礎としているとき。
二、行政行為が知的財産権と関係を有するが、知的財産法又はその授権する法規命令を直接の根拠としない場合に、その処分に不服があり提起する訴訟。

第8条 
本法第5条の規定により裁判所がリモート審理を行う場合、次の方法により行うことができる。
一、出頭して陳述しなければならない者の全員または一部が、裁判所以外の裁判所、検察署、政府機関、その他の適切な場所またはその所在地で、音声及び映像で双方向に伝送する技術設備で陳述する。
二、出頭して陳述しなければならない者の全員または一部が、裁判所が設置した拡張法廷で互いに音声及び映像で即時に送信するテクノロジー装置で陳述する。

第9条 裁判所は、本法第5条の規定によりリモート審理を行う場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、状況により、当該状況が解消されるまで一時休廷するか、又は当該期日の審理を終了することができ、並びに書記官が、その事由を調書に記録する。
一、リモート審理の設備の故障が発生し、直ちに修復できなかったため、当該案件の審理に影響があるとき。
二、リモート審理時の画面、音声等の伝送品質が十分鮮明ではなく、直ちに調整できなかったため、審理に影響があるとき。
三、その他、リモート審理に影響があると認められる事情があったとき。
前項の場合は、直ちに裁判所、リモートエンド及びリモート審理に関与する関係者に通知しなければならない。

第10条
知的財産裁判所が知的財産案件の審理に際に必要と認めるときは、裁定により技術審査官を指定し、本法第6条の職務を執行することができる。合議事件の場合は、合議体の裁定によるものとする。
前項の指定を経て期日において職務を執行する技術審査官は、その氏名を裁判官、書記官の氏名と共に開廷表に記載しなければならない。

第11条
知的財産裁判所以外の裁判所が知的財産案件を処理する場合において、技術審査官を指定して協力を得ることが必要なときは、当該案件の種類及び必要な関連専門知識または技術を明らかに叙述し、並びに関連ファイル証拠資料コピーを添付した上、知的財産裁判所に技術審査官の任命を要請した後、裁定によりこれを指定し、保存のために裁定正本を知的財産裁判所に送付する。

第12条
技術審査官は、訴訟への審理協力及びその他手続きの指定を受けた後、直ちに訴訟資料を閲覧し、以下の方法により職務を執行するものとする。
一、訴訟書類及び資料について、専門知識に基づき、論点を分析整理し、争点を明確化し、その専門領域の説明のため参考資料を提供する。
二、争点及び証拠を整理し、証拠調べの範囲、順序及び方法について、 裁判官に参考意見を陳述する。
三、期日に出廷し、裁判所の許可を経た後、当事者本人、訴訟代理人、証人、専門家証人又は鑑定人に必要な質問を行い、当事者本人、訴訟代理人、証人、専門家証人及び鑑定人等の供述における理解が困難な専門用語について説明する。
四、検証前又は検証時において、裁判所に対し注意すべき事項を陳述し、当事者の検証対象に関する説明、対象物の処理及び操作について裁判官の理解を助ける。
五、裁判書の附表及び図面の作成への協力。
六、裁判長の許可を得て裁判の評議に出席し、事件に関する技術上の意見を陳述する。
七、裁判長の命令により、述べようとする意見については、事前に書面を提出する。
八、強制執行手続きにおいて裁判所に専門の技術意見を提供し、並びに執行対象物に対して必要な処理及び操作を行う。
九、査証人が査証する時に、査証人に協力する。

第13条
技術審査官が期日に審理に参与するときは、調書にその氏名を記載しなければならない。技術審査官が期日において裁判所の許可を得て当事者、証人、専門家証人又は鑑定人に説明のため又は直接質問したときは、その事実を調書に記載しなければならない。

第14条
当事者は、期日において技術調査官に対して行う説明について、裁判所に意見を陳述することができる。

第15条
裁判所は、必要があるときは技術審査官の指定を取消す裁定をし、又はその他技術審査官の執行職務を命じることができる。

第16条
技術審査官の陳述は、証明を要する事実の証拠として直接採用してはならない。当事者は、証明を要する事実について各適用すべき法律の定める証拠調べ手続にしたがって証拠を提出し、その立証責任を尽くさなければならず、技術審査官の陳述を引用して立証することはできない。

第17条
当事者が起訴事実の営業秘密内容や範囲について争ったり否認したりする場合、裁判所は必要に応じて、当事者または第三者が保有する営業秘密訴訟情報(書状、証拠及びそれらの付属書類等を含む)を分類、整理し、適切に説明するよう命じることができる(その様式は添付のとおり)。

第二章 知的財産民事事件手続き

第18条
知的財産民事事件の全部または一部が労働事件法第2条第1項に規定の労働事件にかかわる場合は、知的財産裁判所の専属的管轄となり、本法第9条第1項但書の規定は適用しない。
知的財産法廷は、以下の規定に従って前項事件を審理する。
一、知的財産権争議にかかわる審理は、本法及び本細則の規定に従う。
二、労働事件争議にかかわる審理は、本法及び本細則の規定に従い、本法及び本細則に規定されていない場合は、労働事件法及び労働事件審理細則の規定に従う。但し労働事件法第4条第1項及び第二章の規定は適用されない。

第19条
知的財産法廷が本法第9条第4項の事件に関して、本件の最終裁判を行った後、上級裁判所は、その専属的管轄権に反するという理由で原裁判を破棄してはならない。

第20条
民事事件について、その訴訟物及び知的財産民事事件の訴訟物または攻撃、防御方法と相互関係があり、事実証拠及び情報を相互に利用でき、且つ他の裁判所の専属管轄ではない場合は、知的財産権裁判所に併合して提訴するか、または知的財産民事事件訴訟係属中に追加もしくは反訴を提起することができる。但し別段の規定がある場合は、この限りではない。

第21条
知的財産民事ではない事件の第一審管轄裁判所を知的財産裁判所とすることに当事者が合意した場合、管轄合意の効力を生じない。
知的財産裁判所が事件が第3条所定の知的財産民事事件に該当しないと認めた場合、民事訴訟法第25条に定められた情況を除き、民事訴訟法第28条第1項の規定に従い、その管轄裁判所への移送を裁定する。

第22条
その他の裁判所が知的財産以外の案件を裁判する場合において、知的財産案件を審理する特別規定を誤って適用したときは、上級裁判はこれを法令違反として原裁判を破棄し、又は取消すことができる。

第23条
第一審の知的財産民事訴訟事件について、その訴訟物の金額または価額が民事訴訟法第466条に定める第三審に上告できる額を超えていないが、手続きの過程で訴えの追加またはその他の変更により、当該額を超えた場合であっても、なお本法第10条第1項の規定を適用する。
本法第10条第1項第3号の事件は、訴えの変更に影響を受けない。
本法第10条第1項第6号の事件は、本法第10条第2項の規定を除き、第三審裁判所が受理した上告、抗告、再抗告、再審及びその他の請求事件を指す。
本法第10条第2項第1から第3号の事件は、係る事件の抗告、再抗告及び再審理請求等の事件が含まれる。

第24条
本法第10条第1項第1号から第5号及び第7項の場合において、当事者が受託裁判所に対して行う訴訟行為は、訴訟代理人が行わなければならない。

第25条
当事者が訴訟提起、上訴、申立てまたは抗告、再審の訴えまたは再審請求の訴訟行為の後、本法第12条第2項の規定に基づき訴訟代理人委任の補正を行い、その訴訟行為が訴訟代理人に追認された場合、行為時に遡って効力が生じる。
当事者による訴訟代理人の委任補正が期限を過ぎた場合、その訴訟行為は訴訟代理人の追認を経て、追認時点から効力が生じる。
前項に基づく追認が係る訴訟行為の法定不変期間を越えた場合、裁判所が裁定をもって棄却しなければならない。

第26条
本法第10条第1項の事件は法に別段の規定がある場合を除き、当事者が訴訟代理人を委任していないか、または委任された訴訟代理人が出頭しなかった場合、裁判所はその者による書面陳述または申立てを斟酌してはならない。

第27条
本法第10条第1項第2号から第7号の事件及びその手続進行により生じたその他事件が専利権に関わって訴訟となった場合、当事者は裁判長の許可を経て、弁理士を併せて訴訟代理人に委任することができる。
前項について、本法第16条第3項に規定されている場合を除き、裁判長が法廷において認めた以外、弁理士が訴訟行為をすることはできず未出廷と見なす。

第28条
第23条から前条までの規定は、参加人において準用する。

第29条
裁判所及び当事者は公正、迅速及び経済的な審理の実現を図るため、訴訟手続を計画的に行わなければならない。
裁判所と当事者が審理計画を策定する前に、双方当事者に民事訴訟法第266条、第267条の規定に基づき、関連書状の提出及び本法第18条第2項の規定に必要な期間及びその理由の陳述を命じることができる。

第30条
専利権、商標権の権利有効性の争点について、当事者が本法第18条第7項但書の事由を疎明できず、攻撃または防御方法が期限が過ぎてから提出されたが、他方当事者が当該攻撃または防御方法について弁論することに同意した場合、裁判所は本法第18条第4項の規定に基づき、審理計画事項を変更することができる。

第31条
本法第19条第2項の書状は、使用した書状証拠のコピーを裁判所に提出するほか、謄本またはコピーをもって他方当事者に直接通知しなければならない。
前項において、他方当事者または第三者が意見陳述の必要があると考えた場合は、書状で理由を述べて、謄本またはコピーをもって申立人に直接通知しなければならない。

第32条
裁判所は本法第19条第1項の裁定前、当事者、第三者または技術審査官に通知し、本法第19条第5項各号の事項について協議することができる。
裁判所が前項の協議を行わなかった場合は、査証人の人選について当事者または第三者に意見の陳述を命じることができる。

第33条
査証人は本法第19条第5項に基づいた裁定を受取った5日以内に、書面により本法第20条第2項各号で定められた事項を裁判所に提出し、裁判所から当事者または第三者に送達する。開示後に発見または発生したものも発見または発生後5日以内に開示しなければならない。
別段の規定がある場合を除き、裁判所によって査証人に選任された者は、本法第19条第5項に基づいた裁定受取った後7日以内に、査証拒否の理由を明確に陳述し、裁判所は正当だと認めた場合、査証人選任の裁定を取り消さなければならない。

第34条
本法第19条第5項の裁定が取り消されて確定した場合、裁判所はすでに実施された査証行為を斟酌してはならない。

第35条
査証人は査証実施のため、査証実施の期日及び時間を速やかに定めた上、裁判所に通知しなければならない。
前項にの通知を受けた後、裁判所は査証実施の期日及び時間を査証を受ける当事者に通知しなければならない。
査証人による査証実施時、査証を支援する技術審査官を除き、査証を受ける当事者の同意を得ずには、申立人、代理人またはその他第三者のいずれもその場にいてはならない。
査証人が査証実施のため、他人の職務、業務に関わる秘密または個人のプライバシーを知った場合は、秘密保持しなければならない。

第36条
査証人が複数いる場合、査証報告書を共同で作成して、裁判所に提出することができる。ただし、意見が異なる場合は、それぞれに提出しなければならない。
査証報告書は、次各号の事項を記載しなければならない。
一、査証人氏名
二、査証実施の期日、時間、場所、立会人の氏名及び、査証を受ける当事者との関係
三、技術審査官の支援による査証は、技術審査官の氏名、援助の期日、時間、場所及び内容
四、査証を受ける当事者よる査証拒否または実施妨害の事実の有無
五、査証を実施する事項、方法及び結果
六、その他必要事項

第37条
本法第23条第3項の申立てについて、申立人は書状をもって理由を述べ、必要な証拠を添付し、略号で営業秘密内容の記載方法を表し、申立範囲を特定しなければならない。
申立人が前項の書状において、営業秘密内容を隠すまたは識別不能な方式により記載した謄本またはコピーを併せて裁判所に提出し、裁判所が当事者に送達する。
当事者が前項の書状を受取った後、意見陳述の必要がある場合は、10日以内に書状を裁判所に提出するとともに、謄本またはコピーで第1項の申立人に直接通知しなければならない。

第38条
本法第6条第3項に基づいて公開する報告書の内容が、査証報告書に記載の営業秘密に関わる場合、査証報告書の開示を受ける者以外の者に公開してはならない。

第39条
本法第24条第1項の申立ては、書状をもって行わなければならない。
当事者が査証報告書を書面証拠とする場合、書状にその内容を具体的に記載し、書面証拠のコピーを添付した上、裁判所に提出するとともに、謄本またはコピーをもって他方当事者に直接通知しなければならない。

第40条
専門家証人及び鑑定人は、訴訟手続きに参加したことにより、他人の職務上もしくは業務上の秘密または個人のプライバシーを知ることになった場合、秘密保持しなければならない。

第41条
裁判所は専利請求の範囲を解釈するとき、請求項の文字で定義された専利権請求の範囲を調書に記録するか、または民事訴訟法第383条第1項前段の規定に基づいて中間判決を下し、心証を適宜に開示することができる。

第42条
本法第34条第1項の文書、検証物または鑑定に必要な資料等証拠が所有者の営業秘密に関わりがあるものを公開すると、所有者に損害が出るおそれがある場合、所有者は提出を拒否することができる。但し、裁判所はその証拠提出の拒否についての正当な理由の有無を判断するため、必要がある場合、提出を命じて、非公開の方法によりこれを行うことができる。
前項但書の場合に、裁判所が訴訟関係者の意見を聴取する必要があると認めたときは、非公開の方法で証拠の全部または一部を開示し、開示前に所有者に、相手方に対する秘密保持命令の発令の申立てについて知らせることができる。
前項の場合、裁判所は秘密保持命令の発令の申立ての裁定の確定前に、開示してはならない。
証拠の所持人による証拠提出の拒否について、正当な理由の有無を裁判所が判断するときは、営業秘密事項と挙証事実との関連性、代替的な証明方法又は事実推定規定の有無、秘密保持命令申立の可能性等の情況を斟酌して認定する。

第43条
文書、検証物または鑑定に必要な資料の所有者が正当な理由なく裁判所の提出命令に従わない場合、裁判所は民事訴訟法第345条規定の趣旨に基づいて、状況を斟酌し挙証人の当該文書、検証物または鑑定に必要な資料の性質、内容及び成立する真正の主張が真実であるか、または挙証人が当該文書、検証物にもとづいているか、または鑑定に必要な資料に基づいて証明すべき事実が真実であるかを認定することができる。但し裁判の前に当事者に弁論の機会を与えなければならず、そうしてはじめて裁判基礎にすることができる。

第44条
当事者または第三者が本法第36条第1項に基づき、秘密保持命令の発令を申立てる場合は、書状をもって次の要件事実を記載するほか、次の第1号及び第2号の事項を疎明しなければならない。
一、当事者の書状の記載内容、調査済みまたは調査すべき証拠が営業秘密に関わる。
二、営業秘密がすでに開示されたり、または訴訟以外の目的に使用していて、当事者または第三者の当該営業秘密に基づく事業活動を妨げるおそれがあることにより、開示または使用を制限する必要がある。
三、秘密保持命令申立前に、秘密保持命令を受けるものが書状閲覧または証拠調査以外の方法による当該営業秘密の取得または所有をしていない。

第45条
当事者または第三者が本法第37条に基づき提出する秘密保持命令発令を申立てる書状には、次の事項を合わせて記載しなければならない。
一、秘密保持命令を受けるべき自然人、その送達場所を併せて記載しなければならない。
二、命令の保護を受けるべき営業秘密は、略号または証拠名称に対応する番号の記載方法によりその範囲を特定しなければならない。
公訴を実施する検察官及び訴訟に参与する公務員は、公務上の秘密保持義務があるため、それらに対して秘密保持命令の発令を申立てる必要はない。

第46条
秘密保持命令発令の申立てまたは請求事件は、随時に割当ての方法により別途割当てて、係属裁判所にて処理する。
刑事案件が最高裁判所に上告され、ファイル及び証拠がすでに当該裁判所に移送された場合に、最高裁判所は前項に基づく秘密保持命令を審理するとき、営業秘密の内容及びその範囲を認定するため、事実調査の必要があると認めた場合は調査すべき事由を述べた上で、当該案件を知的財産裁判所による裁定に送ることができる。
知的財産裁判所は前項裁定の前、最高裁判所からファイル及び証拠を取寄せることができる。
秘密保持命令事件のファイル表紙は、他のファイル表紙と異なる色で区別しなければならない。

第47条
当事者または第三者が裁判所より本法第36条第3項基づき、秘密保持命令の発令の申立ての知らせを受けたにもかかわらず、正当な理由はなく申立てを拒否した場合、他方当事者は裁判所に、本法第36条第1項の秘密保持命令を受けていない者への秘密保持命令の発令を請求することができる。
裁判所は前項の拒否の正当な理由の有無を判断するため、当事者または第三者に、営業秘密の開示による不利益の具体的内容及び程度、開示の代替方法の有無、または申立ての必要性の有無等についての疎明を命じることができ、それ等によって認定する。

第48条
他方または当事者が本法第36条第3項の規定により、秘密保持命令の発令を請求する場合は、第44条第1号、第3号及び第45条の規定を準用する。
上記の請求書状は裁判所に提出し、謄本またはコピーにより直接当事者または第三者に通知しなければならない。

第49条
裁判所が秘密保持命令の申立てまたは請求事件について、裁判所は裁定する前に、必要な証拠調査をすることができ、並びに当事者または第三者に通知し、秘密保持命令を受けるべき者及び保護命令を受けるべき営業秘密の範囲について、協議することができる。
前項の秘密保持命令を受けるべき者は、本案のため営業秘密に接触した者に限る。

第50条
裁判所は秘密保持命令事件について、必要な証拠調査を行うことができ、その場にいた者は、営業秘密に関わる証拠内容を漏洩してはならず、また、裁判所が資料提出者の同意を経ない限り、資料を法廷外に持ち出してはならない。

第51条
秘密保持命令の申立または請求事件について、裁判所は裁定が確定するまで、本案訴訟の営業秘密に関する部分の審理を停止することができる。

第52条
秘密保持命令の裁定が関わる営業秘密部分は、略号または証拠名称に対応する番号を記載する方法で保護を受けるべき営業秘密を特定する。
秘密保持命令の裁定は、営業秘密を記載した訴訟資料を添付書類にしてはならない。
当事者または第三者が営業秘密を記載した訴訟資料は、結審が確定した後、保存する必要がないものは、返却しなければならない。
前項の場合において、書記官は書面記録を作成し、営業秘密を記載した訴訟資料の提出者またはその代理人に引き渡し、その場で受取り署名させなければならない。

第53条
秘密保持命令の申立てまたは取消請求の裁定は、申立人、請求人及び相手方に送達しなければならない。

第54条
秘密保持命令は、相手方に送達された時点で、効力を生じるものとし、裁判所は秘密保持命令を公示送達してはならない。
裁判所は、第49条第1項に基づき通知、協議をするときは、協議により命令の申立人、請求人に対し自ら、または代理人に委任して、裁判所に出向いて秘密保持命令の裁定を受領する旨を知らせることができる。
秘密保持命令の相手方は、自らまたは代理人に委任して、裁判所に出向いて秘密保持命令の裁定を受領することができ、その住所又は居所の変更について、裁判所に通知しなければならない。

第55条
本法第36条第1項または第3項に定める申立人または請求人以外の者が秘密保持命令の発令の申立てまたは請求をした場合は、裁定で棄却するものとする。
前項の場合において、裁判所が誤って許可の裁定を下し、本法第39条第3項に該当する場合、裁判所は申立て、請求に基づいてまたは職権により当該秘密保持命令を取り消すことができない。

第56条
当事者が本法第41条第1項規定に基づき、知的財産民事、刑事訴訟において、知的財産権に取消または廃止の原因があることを主張又は抗弁した場合、裁判所はその権利の有効性について自ら判断しなければならず、行政審査または行政争訟手続が終結していないことを理由として、訴訟手続停止の裁定をしてはならない。
前項について、行政審査または行政争訟手続きを経て当該権利が有効であることが確定したか、または法令により行政訴訟手続きにおいて主張できなくなったときは、知的財産民事訴訟手続きにおいて、同一の事実及び証拠をもって再度主張または抗弁することができない。

第57条
当事者が知的財産権の効力又は取消、廃止事由の有無の争点について、独立して確認訴訟を提起し、もしくは民事訴訟において当該法律関係の確認判決を併せて請求、又は反訴を提起した場合、裁判所はこれを棄却しなければならない。

第58条
専利権者は訂正後の専利権の範囲に基づく請求または主張を裁判所に明確に陳述する前に、別段の規定がない限り、先に専利専門機関に訂正を申請しなければならない。
専利権者が訂正後の専利権の範囲に基づく請求または主張を裁判所に明確に陳述し、裁判所がその訂正が合法であると判断したか、もしくは専利専門機関が訂正を許可したとき、裁判所は訂正後の専利権範囲に基づいて本件の審理を行わなければならない。

第59条
本法第41条第1項または第43条第1項、第2項の知的財産民事訴訟において、知的財産権に取消、廃止原因もしくは専利権範囲訂正の攻撃または防御方法があって、当事者が訴訟遅延を意図したり、又は重大な過失により、時機に遅れて始めて提出したために訴訟の終結が妨げられるとき、裁判所は、民事訴訟法第196条第2項の規定に従い、これを棄却することができる。

第60条
知的財産民事訴訟の確定判決の理由に、本法第41条第1項もしくは第43条第1項、第2項の知的財産権に取消または廃止原因があるか、もしくは専利権範囲訂正の争点があり、弁論結果に基づいて判断がなされた場合、同一争点のその他訴訟事件に関して、同一の当事者が同一の事実を基礎として、確定判決の判断の趣旨に反する主張又は抗弁をしたとき、裁判所は、確定判決における明らかな法令違反、明らかな不公平、判断結果に影響を与える新たな訴訟資料の有無、及び誠実信用の原則等の事由を斟酌してこれを判断しなければならない。

第61条
裁判所は本法第42条第3項に基づいて知的財産専門機関から取寄せた書類コピーまたは電子ファイルについて、当事者にそれらの閲覧及び意見陳述の機会を与えなければならない。
裁判所は前項の書類コピーまたは電子ファイルが営業秘密にかかわることを知った場合、当事者に閲覧させる前に、当事者または第三者に本法第32条の規定を通知しなければならない。

第62条
裁判所が本法第45条第2項に基づいて訴訟告知の書状を他方及び他方当事者に送達した場合、告知を受けた者は訴訟資料の閲覧、抄録、撮影またはその他方法による複製を請求することができる。
裁判所が前項の訴訟資料が営業秘密にかかわることを知った場合、告知を受けた者によるファイル閲覧の前に、既知の営業秘密所有者に通知しなければならず、並びに本法第32条、第33条及び第36条から第40条の規定を適用する。

第63条
知的財産権侵害の民事事件において、その損害額の審理は、権利侵害であるか否かの弁論の後に行わなければならない。但し、裁判所が、損害の内容について、先行して又は同時に弁論する必要があると認めるときは、この限りでない。

第64条
本法第51条に基づく申立ては、訴え提起前は、係属すべき裁判所に対して行い、訴え提起後は、既に係属している裁判所に対して行う。但し、本案訴訟が最高裁判所に係属しているときは、第一審係属裁判所に対してこれを行う。
前項の申立てが刑事事件に付帯する民事訴訟事件であるときは、当該刑事付帯民事訴訟事件の受理裁判所に対してこれを行う。

第65条
申立人が、争いのある知的財産の法律関係について暫定状態を定める処分の申立をするときは、その法律関係の存在及び暫定状態の必要性を疎明しなければならない。もし疎明が不足の場合は、その申立を棄却しなければならず、担保によって疎明の不足を補充してはならない。
申立人が前項の疎明を行った場合であっても、裁判所は暫定状態の処分の裁定を行う際に、申立人に相当の担保の提供を命じることができる。
裁判所が、暫定状態の処分の申立を審理するときは、保全の必要性について、次の各号を斟酌しなければならない。
一、申立人の将来における勝訴可能性
二、申立ての採否が申立人及び相手方に回復できない損害を与えるか否か
三、処分の是非が双方に対し、現在及び継続的に損害を与える可能性及び程度についての考慮
四、公衆の利益に与える影響
暫定状態を定める処分の方法は、状況に基づいて裁判所が決めるものとする。但し、その方法は暫定状態を定める処分の目的と一致しなければならず、且つ必要な程度を超えてはならない。

第66条
裁判所は、本法第52条第4項に基づき、暫定状態を定める処分を取消す前に、申立人が 14 日の不変期間内に裁判所に訴訟を提起したかどうかの証明を確認しなければならない。

第三章 知的財産刑事案件手続き

第67条
本法第54条第2項第1号の案件と刑事訴訟法第7条第1号に所定の相互関係のある第一審の管轄権が地方裁判所に属する他の刑事案件が検察官によってそれぞれ起訴された場合は、それぞれ第一審知的財産法廷、当該管轄の地方裁判所で管轄しなければならない。
本法第54条第2項第1号の案件と刑事訴訟法第7条第2号から第4号に所定の相互関係のある第一審の管轄権が地方裁判所に属する本法第54条第1項の案件は、併せて第一審知的財産法廷で管轄することができる。
本法第54条第2項第1号の案件と刑事訴訟法第7条に所定の相互関係のある第一審の管轄権が地方裁判所に属する本法第54条第1項の案件が、検察官によって併せて合併起訴されていない場合は、刑事訴訟法第265条の規定に基づいて第一審の知的財産法廷に追加起訴することができる。

第68条
本法第54条第2項第2号の案件と刑事訴訟法第7条第1号に所定の相互関係のある第一審の管轄権が高等裁判所に属する他の刑事案件が、検察官によってそれぞれ起訴された場合は、それぞれ第二審知的財産法廷、当該管轄の高等裁判所またはその支所で管轄しなければならない。
本法第54条第2項第2号の案件と刑事訴訟法第7条第2号、第4号に所定の相互関係のある本法第54条第1項、第2項第1号の案件は、併せて第二審知的財産法廷で管轄することができる。

第69条
営業秘密の刑事案件について、裁判所は一回目の審判期日の前に、被告人またはその代理人を召喚するとともに、検察官、弁護人、補佐人に出廷を通知して準備手続を行い、起訴効力が及ぶ営業秘密の範囲を確認し、本法第56条及び刑事訴訟法第273条第1項の規定を適用することができる。

第70条
地方裁判所が起訴した犯罪事実について、検察官が引用した適用法条を変更し、本法第54条第1項の刑事事件の規定を適用して裁判した場合に、当事者が当該裁判を不服として上訴又は抗告したとき、地方裁判所は上訴又は抗告の事件を第二審知的財産法廷に送付しなければならない。

第71条
本法第54条第2項第1号の案件と刑事訴訟法第7条第2号から第4号に所定の相互関係のある他の刑事案件が、地方裁判所の合併審理裁判となり、その上告または抗告を提起する場合は、それぞれ第二審の知的財産法廷、当該管轄の高等裁判所またはその支所に行わなければならない。
本法第54条第2項第1号の案件と刑事訴訟法第7条第1号に所定の相互関係のある第一審の管轄権が地方裁判所に属する他の刑事案件が、第一審の知的財産法廷の合併裁判となり、その合併上告または抗告が第二審の知的財産法廷においてなされたものは、本法第58条第2項但書の規定を適用しない。

第72条
本法第54条第1項及び第2項の案件が刑事訴訟法第161条第2項、第326条第3項に基づいて、起訴または自訴の棄却を裁定され、原告が申立てたときは、その付帯民事訴訟を管轄裁判所の民事法廷に移送しなければならない。
本法第63条第3項の移送取消と見なす裁定について、裁判所は適切な方法で付帯民事訴訟の当事者及び関係者に通知しなければならない。

第73条
第40条、第44条から第56条の規定は、本法第54条第1項、第2項案件またはその付帯する民事訴訟を審理するときに準用する。

第四章 知的財産行政事件手続き

第74条
商標登録の廃止又は専利権取消の行政訴訟において、当事者が口頭弁論終結前に同一の取消又は廃止理由の範囲内で新たに提出する証拠については、裁判所はこれを斟酌しなければならない。但し、当事者が訴訟の遅延を意図し、又は重大な過失により訴訟の進行程度に応じ口頭弁論終結前の適当な時期に新たな証拠を提出せず、訴訟終結が妨げられるときは、裁判所は、行政訴訟法第132条の準用する民事訴訟法第196条第2項の規定に従い、これを棄却することができる。
知的財産主務官庁が前項の新証拠について本法第70条第2項の規定に基づき答弁書を提出すべきときは、裁判所に対して相当の準備期間を求めることができる。

第75条
同一の基礎事実に関する知的財産権民事、刑事訴訟の上訴、抗告事件、及び行政訴訟事件が、同時に又は前後して知的財産裁判所に係属したときは、同一の独任又は受命裁判官によって審理させることができる。前案が終結しているときも、同様とする。

第76条
行政裁判所が知的財産行政事件について本案終局裁判をしたとき、上級裁判所は管轄の誤りを理由として原裁判を破棄してはならない。

第77条
第41条から第55条、第64条第1項、第65条及び第66条の規定は、本法第3条第2項第3号及び第4号の知的財産行政事件審理のときに準用する。

第五章 付則

第78条
本細則は、2023年8月30日より施行する。

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