商事事件審理法 2020-01-15
2020-01-20 その他
商事事件審理法
公布:2020年01月15日
2020年1月15日総統華総一義字第10900004031号令により全文 八十一条を制定公布、施行日は司法院がこれを定める。
2020年8月3日司法院院台庁民三字第1090022473号令により公布、2021年7月1日施行
第 一 章 総則
第 1 条
重大な商業上の紛争を迅速、適切、専門的に処理し、企業統治を健全化して商環境を向上させ、経済発展を促進するため、特に本法を制定する。
第 2 条
本法でいう商事裁判所とは、知的財産及び商事裁判所であり、商事事件とは、商事訴訟事件及び商事非訟事件であり、商事裁判所の商事法廷でこれを処理する。
商事訴訟事件とは、下記各号の事件をいう。
一、業務の遂行にあたって、会社代表者に会社と民事上の権利義務の争議が生じ、その訴訟目的の価額または価値が 1億台湾ドル以上のもの
二、下記の事件から生じた民事上の権利義務の争議で、なお且つ訴訟目的の価額または価値が1億台湾ドル以上のもの
(一)証券取引法の有価証券詐欺、財務報告または財務業務文書の虚偽、公開説明書の未交付、公開説明書の虚偽、違法な公開買付け、市場操作、短期取引、インサイダー取引、商取引習慣との不一致、違法な資金借入れ又は担保提供
(二)先物取引法の市場操作、インサイダー取引、先物取引詐欺、公開説明書の虚偽、公開説明書の未交付
(三)証券投資信託及び顧問法の虚偽、詐欺、他人に誤信させるに足るその他の行為、公開説明書の虚偽、及び公開説明書の未交付
(四)不動産証券化条例の公開説明書又は投資説明書の虚偽、規則に従った公開説明書、又は投資説明書の提出をしていないもの
(五)金融資産証券化条例の公開説明書又は投資説明書の虚偽、規則に従った公開説明書、又は投資説明書の提出をしていないもの
三、株式を公開発行している会社の株主が、株主の立場で株主の権利を行使して、会社、会社代表者について生じた民事上の権利義務の争議事件、及び証券投資家と先物トレーダーの保護機構が証券投資家及び先物トレーダー保護法規定に基づき、裁判所に会社の取締役又は監査役の解任を請求する事件
四、株式を公開発行する会社の株主会または取締役会の決議効力に関する争議事件
五、株式を公開発行する会社と支配的又は従属的な関係があり、なお且つ会社の資本額が5億台湾ドル以上の株式を非公開発行する会社の株主会または取締役会の決議効力の争議事件
六、会社法、証券取引法、先物取引法、銀行法、企業合併法、金融機構合併法、金融持株会社法、不動産証券化条例、金融資産証券化条例、信託法、手形金融管理法、証券投資信託及び顧問法により生じた民事法律関係の争議で、その訴訟目的の価額又は価額が一億台湾ドル以上の場合に、双方当事者が書面で商事裁判所の管轄とすることに合意した民事事件
七、その他法律規定又は司法院により商事裁判所の管轄だと指定された商事訴訟事件
商事非訟事件とは下記各号の事件をいう。
一、株式を公開発行する会社が買収株式価格を決定する事件
二、株式を公開発行する会社による、会社法の規定に基づく臨時管理人選任の申立て、検査人の選任派遣、及びその解任事件
三、その他法律規定又は司法院により商事裁判所の管轄と指定された商事非訟事件
第二項事件に関連する民事訴訟事件は、それとの合併起訴、又はその訴訟係属中における追加又は反訴提起をすることができる。但し、他の裁判所の管轄に専属するものは、これを行ってはならない。
第二項所定の価額について、司法院は情勢の必要により、命令により調整することができる。
第 3 条
商事事件は、商事裁判所の管轄に専属し、なお且つ請求の減縮又はその他変更により影響を受けることはない。
刑事訴訟手続きにおいて民事訴訟を付帯提起し、前条第二項の商事訴訟事件に該当するものは、刑事裁判所が自ら裁判する外は、商事裁判所への移送を決定しなければならず、刑事訴訟法第五百三条第1項但書及び第五百四条第一項前段の管轄に関する規定を適用しない。
第 4 条
商事裁判所が、事件が第二条所定の商事事件に該当しないと認めた場合は、職権又は申立てに基づき、その管轄地方裁判所への移送を決定しなければならない。移送を受けた裁判所はその拘束を受けない。
前項決定の理由は、その要領のみの記載とすることができる。
商事裁判所は第一項の決定を下す前に、当事者又は関係者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し裁判所が不適切だと認めた場合は、この限りではない。
第一項の決定については、不服を申立てることができない。
第一項の事件が移送された裁判所で裁判された後に、上級裁判所がそれが専属管轄に相反するとの理由で原裁判を破棄することはできない。
第 5 条
普通裁判所が受理した事件の全部又は一部が本法の商事事件に該当するため管轄権がないと認めた場合、職権又は申立てに基づき商事裁判所への移送を決定しなければならない。訴えの変更、追加又は反訴提起により、その訴えの全部又は一部が第二条第二項の商事訴訟事件に該当する場合、相手方は商事裁判所への移送を決定するよう申立てることができる。
もし前項の状況が普通裁判所による本案最終裁判を経ている場合は、再度移送することができない。
移送の申立てが棄却された場合、不服を申立てることができない。
普通裁判所は第一項の決定を下す前に、当事者又は関係者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し裁判所が不適切だと認めた場合は、この限りではない。
移送の決定が確定したとき、商事裁判所はその拘束を受けるので、当該事件を更に他の裁判所へ移送してはならない。
既に普通裁判所が商事事件について、既に本案最終裁判した後に、上級裁判所がそれが専属管轄に相反するとの理由で原裁判を破棄することはできない。
第 6 条
当事者又は関係者は弁護士を委任して手続きの代理人としなければならない。但し当事者、関係者又はその法定代理人が弁護士資格を有している場合は、この限りではない。
当事者又は関係者の配偶者、三親等以内の血族、二親等以内の姻族、又は当事者、関係者が法人、中央又は地方機関である場合に、その所属する専任人員が弁護士資格を有していて商事裁判所から適任だと認められた場合も、前項の手続代理人となることができる。
当事者又は関係者に手続代理人を委任する資力がない場合、訴訟支援の規定に基づき、裁判所に弁護士を選任してその手続代理人とするよう申立てることができる。
第 7 条
商事事件は、別途規定がある場合を除き、手続代理人が手続行為をしなければならない。
当事者又は関係者が前条規定に従った手続代理人の委任をしていないか、または前条第二項規定に従って委任したとしても、裁判所が適任者ではないと認めた場合は、先ず期限を定めて補正を命じなければならない。
申立人、原告、上訴人又は抗告人が期限を過ぎても補正せず、なお且つ前条第三項に従った手続きの代理人となる弁護士の選任申立てをしない場合、裁判所は決定をもってその申立て、提訴、上訴又は抗告を棄却しなければならない。
当事者又は関係者が第二項の規定により補正し、その手続行為が手続代理人による追認を経た場合、行為時に遡って発効する。但し、補正の期限を過ぎた場合は、この限りではない。
第 8 条
手続代理人は期日に当事者又は関係者とともに出廷することができ、審判長又は調停裁判官の許可を得たうえで、当事者又は関係者は言論をもって陳述することができる。
前項の状況で、当事者又は関係者は自らで下記手続行為をすることができる。
一、自認
二、和解又は調停の成立
三、起訴又は申立ての取下げ
四、上訴又は抗告の取下げ
第 9 条
前三条の規定は、参加人又は参与者にこれを準用する。
参加人又は参与者の弁護士報酬は、訴訟又は手続き費用に算入しない。
第 10 条
第六条第三項の手続代理人となる弁護士の選任方法は、司法院がこれを定める。
前項方法の策定は、法務部及び中民国弁護士公会全国連合会等の意見を参酌しなければならない。
第 11 条
手続代理人がなす、又はそれに対してなす手続行為は、直接当事者又は関係者本人に対して発効する。但し、手続代理人による自認又は事実上の陳述が、現場の当事者又は関係者本人により直ちに取消し又は訂正をされた場合は、この限りではない。
手続代理人の手続行為に故意又は過失があった場合、当事者又は関係者本人は自己の故意又は過失と同一の責任を負わなければならない。
第 12 条
当事者又は関係者、参加人又は参与者は手続代理人を委任しなければならず、委任しない、又は委任の手続代理人が未出廷の場合、欠席とみなす。
第 13 条
弁護士報酬は訴訟又は手続費用の一部であり、その最高額を限定しなければならない。その支給基準は司法院がこれを定める。
前項支給基準の策定は、法務部及び中民国弁護士公会全国連合会等の意見を参酌してこれを定めなければならない。
第 14 条
当事者、関係者、参加人、参与者又は手続代理人が裁判所に書面を提出するときは、電子書面伝送システムを利用して伝送しなければならない。
書面、文書又はその付属書類を前項方法で提出できない場合、文書又はその内容を記した書面を裁判所に提出し、民事訴訟法の規定に従い副本又はコピーを相手方に送達しなければならない。
前二項規定に基づくことなく提出したものは、別途規定がある場合を除き、提出の效力を生じない。
訴訟文書は、公示送達、嘱託送達等をしなければならないために、科学技術設備による伝送ができない状況がある場合を除き、電子書面伝送システムを利用してこれを伝送しなければならない。
前項及び第一項書面の書式、記載方法、伝送及びその他遵守すべき事項の方法は、司法院がこれを定める。
第 15 条
当事者、関係者、参加人、参与者又は手続代理人が電子書面伝送システムを使用して申立て、提訴、上訴又は抗告を行ったとき、審査を経て法定手続きに合致すると認めた後で、裁判所は申立て、提訴、上訴又は抗告状副本をシステム作業説明書とともに相手方に通知しなければならない。
相手方は前項通知を受け取った後、電子書面伝送システムを使用して書面を伝送、受領しなければならない。
当事者、関係者、参加人、参与者又は手続代理人が第一項規定に基づく申立て、提訴、上訴又は抗告を行わなかった場合、裁判所は期間を定めて先ず補正を命じなければならない。期限を過ぎても補正がなかった場合、裁判所は決定によりこれを棄却しなければならない。
第 16 条
伝送した文書が第十四条第五項の方法に規定された書式に合致しない、1ページ目の記載と伝送先が不一致である、又は添付すべき証書が添付されていないものは、既に規定に基づき補正されたものを除き、提出の效力を生じない。
前項の状況について、伝送先は直ちに伝送元に一定期限内に補正するよう通知しなければならない。但し、通知できない場合は、この限りではない。
第 17 条
商事裁判所の裁判官は必要なときに、商事調査官に下記職務の執行を命じることができる。
一、書面及び資料について、事実証拠争点及び法律上の疑念の分析及び整理を行い、説明する専門分野の参考資料の提出、又は報告書の作成を行う。
二、法律及び事実関係を明確にするため、事実上及び法律上の事項について,当事者又は関係者、手続代理人、証人、専門家証人又は鑑定人に必要なことを質問する。
三、検証、鑑定、証拠保全又は保全手続きにおいて、裁判官を支援する。
四、その他裁判官が指示した事項。
商事調査官が作成した報告書は、公開しない。但し裁判所は、商事調査官からの提供により知った特殊な専門知識について、当事者又は関係者に弁論又は意見陳述の機会を与えなければならず、そうして始めて裁判の基礎として採用することができる。
民事訴訟法における裁判官の回避の規定は、商事調査官にこれを準用する。
第 18 条
当事者、関係者、法定代理人、手続代理人、補佐人、専門家証人又はその他手続関係者の所在と裁判所との間で音声及び映像を相互伝送する科学技術設備があり、直接審理できる場合、裁判所が適切だと思うときに、申立て又は職権により当該設備をもってこれを審理することができる。
前項の状況で、裁判所は当事者又は関係者の意見を尋ねなければならない。
第一項の状況で、その期日通知書に記載する出頭すべき場所は当該設備が所在する場所としなければならない。
第一項に基づく手続調書及びその他文書に、陳述者が署名しなければならない場合は、裁判所から陳述者の所在場所に伝送し、陳述者が内容を確認して署名した後に、調書及びその他文書を電信ファクシミリ又はその他科学技術設備をもって裁判所に返信する。
第一項の審理及び前項文書伝送の方法は、司法院がこれを定める。
第 19 条
商事裁判所による商事事件の処理は、本法の規定に基づく。本法に規定がない場合、商事訴訟事件には民事訴訟法の規定を適用する。商事非訟事件には非訟事件法の規定を適用する。
第 二 章 商事調停手続き
第 20 条
商事訴訟事件の提訴前に、商事裁判所による調停手続きを経なければならない。但し、反訴提起又は相手方への通知書送達を公示送達としなければならない場合は、この限りではない。
前項の事件が、当事者により商事裁判所に提訴されたり、又は決定を経て商事裁判所へ移送された場合は、調停の申立てとみなす。
第 21 条
調停申立てにあたり、記載すべき下記各号の事項は次のとおりである。
一、申立人の氏名及び住所又は居住地。申立人が法人、機関又はその他団体である場合は、その名称及び公務所、事務所又は営業所
二、相手方の氏名、住所又は居住地。相手方が法人、機関又はその他団体である場合は、その名称及び公務所、事務所又は営業所
三、法定代理人がいる場合は、その氏名、住所又は居住地、及び法定代理人と当事者の関係
四、第六条規定に合致する証明書類。手続代理人がいる場合、その氏名、事務所及び住所又は居住地
五、申立ての趣旨、調停目的の法律関係及びその原因事実
六、証明又は疎明に供する証拠
七、予期する争点及びその関連する重要事実、証拠
八、付属書類及びその件数
九、かつて当事者が本案に関連する争議で行った協議、又はその他機関での調整、調停不成立の経過概要
十、裁判所
十一、年、月、日
前項申立書には下記各号事項を記載するのが望ましい。
一、申立人、相手方、その他利害関係者、法定代理人及び手続代理人の性別、出生年月日、職業、国民身分証番号、営利事業統一番号、電話番号及びその他識別するに足る特徴
二、商事裁判所の管轄事項
三、利害関係者がいる場合は、その氏名及び住所又は居住地
四、その他関連する事件が裁判所に継続しているか否か
五、事前に策定した紛争解決方案
前項第五号の方案は、裁判所及び商事調停委員への報告のみとすることができる
第 22 条
相手方は調停申立書の受領後、十日以内に答弁書を提出しなければならない。もし既に調停期日の指定がある場合は、遅くとも当該期日の七日前にこれを行わなければならない。
前項の答弁書には、下記各号の事項を記載しなければならない。
一、答弁の事実及び理由
二、証明又は疎明に用いる証拠
三、申立人の主張についての法律関係及び原因事実承認の有無についての陳述もし争議がある場合は、その理由
四、第六条規定に合致した証明書類。手続代理人がいる場合は、その氏名、事務所及び住所又は居住地
第一項の答弁書には、下記各号の事項を記載するのが望ましい。
一、利害関係者がいる場合は、その氏名及び住所又は居住地
二、事前に策定した紛争解決方案
前項第二号の方案は、裁判所及び商事調停委員への報告のみとすることができる。
第 23 条
商事裁判所は政府機関、学術機構、職業団体、商業団体、工業団体又はその他機関団体の推薦を経て、商事事件について專門学識経験を有する人を商事調停委員として招聘することができる。
商事調停委員の資格、招聘、評価、訓練、解任及び報酬等事項の方法は、司法院がこれを定める。
民事訴訟法の裁判官の回避に関する規定を、商事調停委員にも準用する。
第 24 条
商事調停手続きは、商事裁判所の裁判官が行う。但し、民事訴訟法第四百二十条の一第一項に基づく調停事件への移送は、受命裁判官がこれを行う。
裁判官は商事調停委員の学識、経験、個別商事事件性質又はその他事情を斟酌して、一名から三名の商事調停委員を選任して先に調停を行うことができる。
前項の状況で、当事者の合意により商事調停委員を選任する場合、その合意に基づき選任する。
商事調停委員は中立、公正な立場に基づき、商事調停事件を処理しなければならない。
第 25 条
商事調停手続きは公開しない。
第 26 条
当事者、法定代理人及び手続代理人は調停期日に会場へ行かなければならない。但し、裁判官又は商事調停委員の同意を得た場合、当事者、法定代理人も書面をもって調停方案を決定する権利を有する者を指名して会場に派遣することができる。
第 27 条
当事者、法定代理人又は手続代理人が合法的な通知を経たのにもかかわらず、正当な理由なく調停期日に来場しなかった場合、裁判所は決定をもって三十万台湾ドル以下の過料に処すことができる。
前項の決定について、抗告することができる。抗告中は執行を停止しなければならない。
第 28 条
商事調停手続きは商事調停委員の選任後六十日以内に終結させなければならない。但し、当事者の同意を得た場合はこの限りではない。
裁判官が事件の性質、当事者の状況又はその他事情を参酌したうえで、調停が争議の迅速且つ適切な解決に利さないと認めた場合は、調停不成立とみなし、当事者に告知又は通知する。
第 29 条
商事調停手続き中に、商事調停委員又は裁判官が行った指導及び当事者が行った自己に不利な陳述又は譲歩は、調停不成立後の本案訴訟において、裁判の基礎として採用してはならない。
前項陳述又は情報が、訴訟の目的物、事実、証拠又はその他処分できる事項について書面による協議が成立したものである場合、当事者はその拘束を受けなければならない。但し、双方が変更に同意したか、又は当事者の責に帰することができない事由により協議が公平性を欠く場合は、この限りではない。
第 30 条
商事調停委員が調停手続きへの参加により、他人の職務上、業務上の秘密又はその他個人のプライバシーに関わる事項を知った場合は、秘密保持しなければならない。
第 31 条
財産権に関する商事訴訟事件の調停申立ての場合、その調停申立費用の徴収は民事訴訟法第七十七条の十三の規定を準用する。徴収すべき申立費用が、二十五万台湾ドルを超える場合、超過部分は徴収を免除する。財産権事件ではない調停申立ての場合、申立費用三千台湾ドルを徴収する。
第 32 条
調停が成立した場合、申立人は調停成立の日から三ヶ月以内に、納付済み申立費用の四分の三の返還を請求することができる。
訴訟手続きにおいて調停へ移送して調停が成立した場合、当事者は調停成立日から三ヶ月以内に、裁判費用の四分の一を差し引いた残りの返還を請求することができる。
第 三 章 商事訴訟及び保全手続き
第 33 条
提訴は、訴状をもって下記各号事項を表明して裁判所にこれを提出しなければならない。
一、当事者及び法定代理人
二、訴訟目的及びその原因事実
三、判決を受けるべき事項の声明
四、請求が依拠する事実、理由及び証拠
五、手続代理人又は第六条規定に合致する証明書類
前項訴状に記載するのが望ましい事項は、第二十一条第二項及び第三項の規定を準用する。
第 34 条
被告は訴状受取り後、十日以内に裁判所に答弁書を提出しなければならない。もし既に口頭弁論又は弁論準備期日が指定されている場合、遅くとも当該期日の七日前にこれを行わなければならない。
前項答弁書に記載すべき、及び記載するのが望ましい事項は、第二十二条第二項から第四項の規定を準用する。
第 35 条
民事訴訟法第二編第三章、第四章規定は、商事訴訟事件において適用しない。
第 36 条
商事訴訟事件の第一審は、裁判官三名の合議体により審判を行う。裁判所は必要な時に庭員一名を受命裁判官として、準備手続きを行使する。
第七条第二項、第八条、第十五条第一項、第三項前段、第十八条、第三十九条、第四十条、第四十三条、第四十四条、第四十七条第一項、第四十九条から第五十三条、第五十五条第三項、第六十条、第六十一条第一項、第六十四条第三項の裁判所又は審判長の権限に関する規定は、受命裁判官が準備手続きを行う時に準用する。
第 37 条
民事訴訟法第二百五十五条、第二百五十九条の規定に基づいて行う訴えの変更又は追加及び反訴提起は、準備手続終結前に行わなければならない。準備手続きが行われない場合、第一回口頭弁論期日の前にこれを行わなければならない。
第 38 条
裁判所及び当事者は公正、迅速及び経済的な審理の実現のため、訴訟手続進行計画を立てなければならない。
裁判所は口頭弁論期日の準備の為、商事調停委員に参加を要請して助言を受けることができる。
第 39 条
裁判所は双方と協議のうえ審理計画を策定しなければならない。
審理計画は、下記事項を定めなければならない。
一、事実上及び証拠上の争点整理の期間
二、証人、専門家証人、鑑定人及び当事者本人を尋問する期間
三、口頭弁論終結及び判決宣告の予定時期
審理計画は、特定事項について攻撃又は防御方法を提出する期間、及びその他計画により訴訟手続きを進めるにあたり必要な事項を定めることができる。
裁判所は審理の現状、当事者の訴訟進行状況及びその他状況に基づき、必要だと認めたときに、双方と審理計画の変更を協議することができる。
期日において審理計画又は審理計画変更を協議した場合は、調書に明記しなければならない。
当事者が書状で裁判所に双方が同意した審理計画又は審理計画変更の内容を報告し、裁判所がこれをもって審理計画したり又は審理計画を変更した場合は、当事者に告知しなければならない。
第 40 条
裁判所は審理計画に基づいて訴訟手続きを進め、必要なとき、審判長は当事者の意見を聴取したうえで、特定事項について攻撃又は防御方法の提出期間を定めることができる。
第 41 条
当事者が第三十九条第三項又は前条期間を過ぎてから攻撃又は防御方法を提出して、審理計画に基づく訴訟手続きの進行に重大な支障がある場合、裁判所はこれを却下することができる。但し、当事者が当該期間に提出できなかった正当な理由を疎明した場合は、この限りではない。
第 42 条
当事者で訴訟の目的、事実、証拠又はその他処分できる事項について書面による協議が成立した場合、当事者はその拘束を受けなければならない。但し、双方が変更に同意したか、又は当事者の責に帰すことができない事由で協議が公平性を欠く場合は、この限りではない。
第 43 条
当事者は、その主張又は挙証のために、裁判所の指定期間において、又は準備手続き終結前に、事実又は証拠に関する必要事項を列挙して他方に問い合わせたり、具体的な説明を請求することができる。
前項の問い合わせに下記各号状況の一がある場合、他方は拒否することができる。
一、抽象的又は個別案件ではない問い合わせ
二、他方への侮辱又はハラスメント
三、同一問題の重複問い合わせ
四、諮問
五、説明に必要な時間、費用と当事者の請求が明らかに不相応である
六、法に則り証言を拒否できる事項
第 44 条
当事者が前条規定に基づき問い合わせを提出する場合、書状をもって行わなければならない。
他方は前項書状を受け取ってから二十日以内に、書状をもって問い合わせについて必要な説明をするか、又は前条第二項の拒否事由があることを疎明しなければならない。
当事者が他方の拒否に理由がないと認めた場合、第二項の拒否書状を受け取ってから十日以内に、裁判所に決定を申立てなければならない。
裁判所が他方の拒否に理由がないと認めた場合、期限を定めて他方に問い合わせ事項について説明するよう命じなければならない。
第二項及び前項の期間について、裁判所は申立て又は職権に基づきこれを延長することができる。
第 45 条
問い合わせを受けた当事者が正当な理由なく事実又は証拠の問い合わせ事項についての説明を拒否した場合、裁判所は状況を斟酌して、問い合わせ請求当事者による当該事実に関する主張又は当該証拠に基づく要証事実が真実だと認めることができる。
前項の状況では、裁判前に当事者に弁論の機会を与えなければならない。
第 46 条
裁判所が既に知っている特殊専門知識は、当事者に弁論の機会を与えて始めて裁判の基礎として採用することができる。
審判長又は受命裁判官は事件の法律及び事実関係について、当事者に事実上、法律上及び証拠上の争点を伝えなければならず、並びに適時にその法律上の見解の表明、及び適度な心証の公開をすることができる。
第 47 条
当事者は裁判所の許可を得て、専門家証人による専門的意見の提供を請求することができる。
前項の申立ては準備手続き終結前に行わなければならない。但し裁判所が同意した場合は、この限りではない。
第一項でいう専門家証人とは、その知識、技能、経験、訓練又は教育に基づき、財務経済、会計、コーポレートガバナンス、科学、技術又はその他専門知識分野において、裁判所による事実、証拠及び経験法則の理解又は認定を助ける人である。
第 48 条
当事者が専門家証人を請求するときは、専門家証人の氏名、履歴、専門分野、要証事実及び尋問事項を表明しなければならない。
第 49 条
専門家証人が書面で専門的意見を提出し、並びに誓約の文章を添付して、それを当事者から裁判所に提出しなければならない。但し、裁判所の許可を得た場合、口頭で提出することができ、民事訴訟法第三百十二条第二項の規定を準用する。
専門家証人が前項意見を提出するときは、以下の情報を開示しなければならない。
一、学歴経歴、専門分野及びかつて関与した事例
二、専門的意見又は関連資料の準備又は提出にあたり、当事者、関係者又はその手続代理人と分担又は協力関係があるかどうか
三、専門的意見又は関連資料の準備又は提出にあたり、当事者、関係者又はその手続代理人の金銭報酬又は資金援助を受けるかどうか、及びその金額又は価値
四、その他金銭報酬又は資金援助者の身元及びその金額又は価値
第 50 条
当事者は前条書面の専門的意見を受け取った後、裁判所の指定期間において、書状で他方の専門家証人に質問を提出することができる。
専門家証人は書面で前項の質問に回答しなければならない。専門家証人がなす回答は、その専門的意見の一部とみなす。
裁判所は職権により、又は当事者の申立てに基づき、専門家証人に出廷して意見陳述するよう通知することができる。
専門家証人が正当な理由なく出廷しない、又は質問への回答を拒否した場合、裁判所は情状を斟酌して、当該専門的意見を証拠として採用しないようにすることができる。
第 51 条
裁判所は必要だと認めたとき、期限を定めて双方が請求した専門家証人に、争点又はその他必要事項について討論し、書面で専門的意見を共同提出するよう命じることができる。
前項専門的意見は、それぞれ共通認識を得た部分及び共通認識が得られなかった部分を叙述しなければならず、並びに意見が分れた理由の摘要を叙述しなければならない。
第一項の専門的意見については、裁判前に当事者に弁論の機会を与えなければならない。
第 52 条
専門家証人は審判長の許可を得て、尋問期日に他の専門家証人又は鑑定人に質問することができる。専門家証人の報酬金及びその他費用は、請求した当事者が支払う。
民事訴訟法第三百十六条から第三百二十二条及び第三百三十四条の規定を、専門家証人に準用する。
第 53 条
当事者が、他方又は第三者に文書、検証物又は鑑定に必要な資料の提出を命じるよう裁判所に申立て、所有者が例えば営業秘密だと抗弁して提出を拒否する場合は、その秘密の種類、性質、範囲及び開示により生じる不利益の具体的内容、程度を疎明しなければならない。
裁判所は前項抗弁の理由の有無を判断するために、当事者に意見陳述の機会を与えなければならず、必要な時にはやはり所有者に証拠提出を命じることができるが、非公開の形式で行うものとする。
前項の状況で、裁判所は当該証拠を開示してはならない。但し、意見を聴取するために開示の必要がある場合は、手続代理人に開示することができる。本人に開示しなければその目的を達成することが難しい場合、本人に開示することができる。
裁判所は前項開示の前に、証拠所有者に通知しなければならない。所有者は通知を受取った日から十四日以内に開示を受ける者に対する秘密保持命令の発出を申立てることができる。裁判所は申立決定の確定前に、開示してはならない。
第一項申立ての決定については、抗告することができる。抗告裁判所は迅速に決定しなければならない。
第 54 条
前条第一項の証拠所有者が正当な理由なく提出の命令に従わない場合、裁判所は決定をもって十万台湾ドル以下の過料に処すことができる。必要なときは、決定をもって強制処分を命じることができる。
前項強制処分の執行は、強制執行法の物品交付請求権執行に関する規定を準用する。
第一項の決定については、抗告することができる。過料処分の決定は、抗告中は執行を停止しなければならない。
当事者が正当な理由なく提出の命令に従わない場合、裁判所は当該証拠に基づき要証事実が真実だと認めることができる。
第 55 条
当事者又は第三人がその所持する営業秘密について、下記事情に合致すると疎明した場合、裁判所はその申立てに基づき、他方、当事者、手続代理人、補佐人又はその他訴訟関係者に秘密保持命令を発することができる。
一、当事者の書状の内容に、当事者又は第三者の営業秘密、又は調査済み又は要調査の証拠の記載があり、当事者又は第三者の営業秘密に関わる
二、前号営業秘密の開示を回避するため、又は当該訴訟の進行以外の目的の使用に供することにより、当該当事者又は第三人による当該営業秘密に基づく事業活動が妨げられる恐れがあり、その開示又は使用を制限する必要がある
前項規定は、他方、当事者、手続代理人、補佐人又はその他訴訟関係者が申立て前に既に前項第一号規定に基づく書状閲覧又は証拠調査以外の方法で、当該営業秘密を取得又は所有していた場合は、これを適用しない。
裁判所が必要だと認めた時は、秘密保持命令を受けた人の請求に基づき、並びに申立人の意見を尋ねたうえで、第一項以外の人に秘密保持命令を発することができる。
秘密保持命令を受けた人は、当該営業秘密について、当該訴訟実施以外の目的による使用、又は秘密保持命令を受けていない人に対する開示を行ってはならない。
第 56 条
秘密保持命令の申立ては、書状に下記各号事項を記載しなければならない。
一、秘密保持命令を受けるべき人
二、命令を受けて保護すべき営業秘密
三、前条第一項各号に列記の事由に該当する事実
前項第二号営業秘密の記載は、間接引用形式で開示することができる。
第 57 条
秘密保持命令申立ての決定は、申立人及び相手方に送達しなければならない。
秘密保持命令の決定については、保護を受ける営業秘密、保護の理由,及びその禁止する内容を明記しなければならない。
前項の決定は、秘密保持命令を受ける人への送達から效力を生じ、抗告してはならない。
秘密保持命令申立て棄却の決定については、抗告することができる。
第 58 条
秘密保持命令を受けた人は、その命令の申立てが第五十五条第一項の要件を欠いている、又は同条第二項の事情がある、又はその原因が既に消滅していることをもって、商事裁判所に秘密保持命令の取消しを申立てることができる。
秘密保持命令の申立人は当該命令の取消しを申し立てることができる。
秘密保持命令の取消決定については、申立人及び相手方に送達しなければならない。
前項の決定は、抗告することができる。
秘密保持命令は決定を経て取消しが確定した時から、その效力を失う。
前項状況は、商事裁判所から申立人及び相手方以外の秘密保持命令を受けた人に通知しなければならない。
第 59 条
秘密保持命令の発出後、閲覧の制限又は不許可がなく、なお且つ秘密保持命令を受けていない人が、ファイル内の文書の閲覧、抄録、撮影を請求した場合、裁判所は直ちに命令の申立人に通知しなければならない。但し当該命令が取消されて確定した場合は、この限りではない。
前項の状況において、裁判所は命令申立人が通知を受けた日から十四日以内は、ファイル内の文書を閲覧、抄録、撮影に交付してはならない。命令申立人が通知を受けた日から十四日以内に、閲覧請求人に対して秘密保持命令を発するよう申立てたり、又はその閲覧の限制又は不許可を申立てたとき、裁判所はその申立ての決定確定前に、交付してはならない。
前項規定は命令申立人が第一項の申立てに同意した場合は、適用しない。
第 60 条
商事事件証拠保全は、商事裁判所にこれを申立てなければならない。急迫な状況があるときは、尋問を受ける人の居住地又は証拠物所在地の地方裁判所にこれを申立てることができる。
商事裁判所への証拠保全申立ては、商事裁判所が管轄する事項を定めて、これを疎明しなければならない。
裁判所が証拠保全を実施するときは、商事調查官に現場での職務執行を命じることができる。
相手方が正当な理由なく証拠保全の実施を拒否したとき、裁判所は強制力をもってこれを排除することができるが、必要な程度を超えてはならない。必要なときには、警察機関に協力を要請することができる。
裁判所は、証拠保全が相手方又は第三者の営業秘密を阻害するおそれがあるとき、申立人、相手方又は第三者の請求に基づき、保全時に立ち会う実施者を制限又は禁止することができ、保全で得た証拠資料について別途保管及び制限又はその閲覧不許可を命じることができる。
第五十五条から前条までの規定は、前項の状況に準用する。
裁判所は必要だと認めたとき、尋問を受ける人の住居地又は証拠物の所在地の地方裁判所に嘱託して保全を実施することができる。受託裁判所が保全を実施するときは、第三項から前項の規定を適用する。
第 61 条
裁判所は適時、当事者に和解、調停への移送又は仲裁へ付すことによる紛争解決の可能性を尋ね、当事者に訴訟以外の形式による紛争解決を促すことができる。
当事者が訴訟進行中に書面で仲裁協議又は協議を締結し、調書に明記された場合、裁判所は申立て又は職権に基づき訴訟手続きの停止を決定しなければならず、並びに原告に一定期間内に仲裁に付すよう命じることができる。但し、既に口頭弁論が終結している場合は、この限りではない。
原告が前項期間を超えても仲裁に付さなかった場合、裁判所は決定をもってその訴えを棄却しなければならない。
第二項の訴訟が、裁判所による決定を経て訴訟手続き停止となった後に、もし仲裁が成立した場合、仲裁法廷における判断作成時に訴訟が終結したとみなす。もし判断が作成できないとき、裁判所は申立て又は職権に基づき訴訟停止の決定を取り消すことができる。
訴訟において和解成立又は前項に基づき訴訟終結とみなされた場合、当事者は和解成立の日又は仲裁判断書正本送達の日から三ヶ月以内に、納付すべき裁判費の四分の一を差し引いた後の残額の返還を請求することができる。
仲裁法廷で作成された仲裁判断が裁判所の判決を経て取消しが確定した場合、当事者は審判の継続を請求することができ、並びに前項の返還された裁判費を納付する。
民事訴訟法第五百条第一項、第二項本文、第五百一条、第五百二条、第五百六条の規定は、前項の状況において準用する。
第 62 条
商事事件の支払い命令の申立てと処理は、民事訴訟法第六編の規定に従う。
債務者が支払い命令について合法的に異議を提出した場合、支払い命令を発した裁判所はファイルの証拠を処理のために商事裁判所に移送、又は移送決定しなければならない。
第 63 条
商事事件の仮差押さえ、仮処分又は暫定状態を定める処分の申立ては、商事裁判所の管轄に専属する。
第 64 条
暫定状態を定める処分の申立て時に、申立人は争議する法律関係及び重大な損害の発生防止又は急迫な危険の回避又はその他類似の状況があって必要な事実があることについて、これを疎明しなければならない。その疎明が不十分である場合、裁判所は申立てを棄却しなければならない。
確かに申立人が疎明しても、裁判所はやはり担保供託を命じたうえで、暫定状態を定める処分を下すことができる。
裁判所は暫定状態を定める処分の前に、当事者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し、申立人が処分前に相手方に陳述を通知できない特殊事情を主張し、確実な証拠を提出して、裁判所がそれは妥当だと認めた場合は、この限りではない。
申立人が暫定状態を定める処分送達の日から三十日以内に提訴しない場合、裁判所は申立て又は職権に基づきこれを取消すことができる。
前項の取消し決定はこれを公告しなければならず、公告時に発効する。
第 65 条
暫定状態を定める処分の決定が当初から不当で、前条第四項の状況で、申立人の申立て、又はそれが受けた本案敗訴判決の確定により取消された場合、申立人は相手方が処分により受けた損害を賠償しなければならない。
前項の状況で、もし申立人が自己に過失がないことを証明したとき、裁判所は状況を見てその賠償責任を軽減又は免除することができる。
第一項の状況で、既に相手方が受けた損害を証明したがその価額を証明できないか、又は証明に重大な困難があることが明らかである場合、その損害価額を申立人が供託した担保金額の半数と推定する。但し、裁判所が担保供託を命じていない場合、争議する法律関係の訴訟目的金額又は価額の半数をもってこれを推定する。
第 四 章 商事非訟手続き
第 66 条
商事非訟事件の申立ては、合議により決定する。
第二章、第四十七条第一項、第三項、第四十八条から第五十二条の規定は、商事非訟事件において準用する。
商事非訟事件のため調停を申立てた場合、その調停申立費用の徵收は非訟事件法第十三条及び第十四条の規定を準用する。
第 67 条
会社法及び企業合併買収法所定の株主又は会社が裁判所による買収株式価格の決定を申立てた事件は、裁判所の決定前に、申立人と相手方に意見陳述の機会を与えなければならない。必要なときは、検査人を選任して会社の財務実況について鑑定するよう命じることができる。株主が二人以上いるときは、民事訴訟法第四十一条から第四十四条、第四十四条の二及び第四百一条第二項の規定を準用する。
前項申立ての決定は、抗告することができる。抗告中は執行を停止しなければならない。
申立手続き費用及び検査人報酬は、会社が負担する。
第 68 条
第二条第三項第二号所定の臨時管理人選任事件について、裁判所は決定を下す前に被選任者に意見を尋ねなければならない。
裁判所は臨時管理人の執行事務性質、複雑性、会社財務状況及びその他状況に応じて、会社に臨時管理人に相応の報酬を支払うよう命じることができる。その価額は裁判所が主務機関、検察官又は利害関係者に意見を尋ねたうえでこれを定める。
第 69 条
臨時管理人解任の申立ては、書面でこれを行わなければならない。
裁判所は決定を下す前に、臨時管理人及び臨時管理人選任の申立人に意見を尋ね、必要なときは他の利害関係者に意見を尋ねなければならない。
第一項申立ての決定は、理由を付さなければならない。
裁判所が臨時管理人を解任する際には、主務機関に登記抹消を嘱託しなければならない。
第 70 条
第六十八条第一項及び前条第一項から第三項の規定は、検査人の選定派遣及びその解任事件にこれを準用する。
第 五 章 上訴、抗告及び再審手続き
第 71 条
商事事件の裁判は、別途規定がある場合を除き、最高裁判所に上訴又は抗告することができる。
第 72 条
最高裁判所は商事裁判所に管轄権がないことをもって原裁判を破棄してはならない。
第 73 条
商事事件の上訴手続きには、民事訴訟法第三編第二章の規定を適用する。
第 74 条
商事事件の抗告手続きは、民事訴訟法第四百八十二条、第四百八十三条、第四百八十七条、第四百八十八条第一項、第三項、第四百九十条、第四百九十一条、第四百九十五条を適用する外は、同法第四百八十四条、第四百八十五条及び第三編第二章の規定を準用する。
第 75 条
民事訴訟法第四百九十六条第一項第十号及び第二項の規定は、専門家証人にこれを準用する。
第 六 章 罰則
第 76 条
本法秘密保持命令に違反した者は、三年以下の有期徒刑、拘留に処すか、又は十万台湾ドル以下の罰金を科すか、又は併科する。
前項の罪は親告罪である。
第 77 条
法人の代表者、法人又は自然人の手続代理人、被用者又はその他従業員が業務執行により前条第一項の罪を犯した場合、行為者を処罰する外、当該法人又は自然人にも前条第一項の罰金を科す。但し、法人の代表者又は自然人が犯罪の発生について既に行為の防止に尽力していた場合は、この限りではない。
前項行為者が告訴又は告訴取下げを行った場合、その效力は法人又は自然人に及ぶ。前項法人又は自然人に対して告訴又は告訴取下げを行った場合、その效力は行為者に及ぶ。
第 78 条
専門家証人が商事裁判所の審判時に、案件事情に重大な関係がある事項について、誓約したのにもかかわらず、虚偽の陳述をした場合は、七年以下の有期懲役に処す。
前項の罪を犯し、虚偽の陳述をした案件において、裁判の確定前に自白があった場合は、その刑を軽減又は免除する。
第 七 章 附則
第 79 条
本法施行前に既に係属していた商事事件は、本法施行前の所定手続きに従って審判する。
第 80 条
本法施行細則及び審理細則は、司法院がこれを定める。
第 81 条
本法施行日期は、司法院がこれを定める。









