知的財産及び商事裁判所組織法 2023-04-26

2023-06-07 その他

知的財産及び商事裁判所組織法

公(発)布期日:中華民国96年(西暦2007年)3月28日
改正期日:中華民国112年(西暦2023年)4月26日

関連付表:
知的財産及び商事裁判所組織法第五条付表-高等裁判所検察署知的財産分署定員表
知的財産及び商事裁判所組織法第七条付表-知的財産及び商事裁判所又はその支所の定員数

1.    中華民国96年(西暦2007年)3月28日華総一義字第09600035701号総統命令により全文45條公布。施行期日については、司法院が命令により定める。
中華民国97年(西暦2008年)年5月6日司法院院台庁司一字第0970010117号令により発布、中華民国97年(西暦2008年)7月1日施行。
2.    中華民国98年(西暦2009年)7月8日華総一義字第09800167941号総統命令で第10条及び第5条の編成表を改正、公布。施行期日については、司法院が命令により定める。
中華民国99年(西暦2010年)6月21日司法院院台庁司一字第0990014729号令により発布、98年(西暦2012年)7月10より施行。
3.    中華民国99年(西暦2010年)5月12日総統華総一義字第09900117331号令により第 5条を改正、公布。施行期日については、司法院が命令により定める
中華民国99年(西暦2010年)6月21日司法院院台庁司一字第0990012787号令により発布、99年(西暦2010年)9月1日より施行。
4.    中華民国100年(西暦2011年)11月23日華総一義字第10000259671号総統命令により第6条を改正、公布。施行期日については、司法院が命令により定める
中華民国101年(西暦2012年)1月18日司法院院台庁司一字第1010002242号令により発布、101年(西暦2012年)9月6日より施行。
5.    中華民国103年(西暦2014年)6月4日総統華総一義字第 10300085271号令により第 3、8~10、12、17、18、21~24、26、27 条の条文及び第7条の付表を改正、公布。且つ第 28、29 条を削除。施行期日については、司法院が命令により定める。
中華民国103年(西暦2014年)6月6日司法院院台庁司一字第1030015767号令により発布、103年6月6日より施行。
6.    中華民国107年(西暦2018年)6月13日総統華総一義字第10700062981号令により第3、11、13、14、19、38、45条の条文を改正、公布。第 38-1 条の条文を新設。且つ公布日より施行。
7.    中華民国109年(西暦2020年)1月15日総統華総一義字第10900004151号令により名称及び全文 45 条を改正、公布。施行期日については、司法院が命令により定める。
(旧名称:知的財産裁判所組織法。新名称:知的財産及び商事裁判所組織法)
中華民国109年(西暦2020年)8月3日司法院院台庁司一字第1090022071号令により発布、110年(西暦2021年)7月1日より施行。
8.    中華民国112年(西暦2023年)4月26日総統華総一義字第12300033901号令により第 3、6、9、10、12、13、15~18条の条文を改正、公布。施行期日については、司法院が命令により定める。
中華民国112年(西暦2023年)5月2日司法院院台庁司一字第1120010927号令により発布、112年(西暦2023年)8月30日より施行。

 
第 1 章 総 則
 
第 1 条 知的財産権を保障し、ビジネス環境を最適化し、知的財産案件及び商事案件を適切に処理し、国家の科学技術と経済発展を促進するため、本法を制定する。
 
第 2 条 知的財産及び商事裁判所は、法により、下記の事務を管理する。
一 知的財産にかかわる民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟。
二 商事の民事訴訟及び非訟事件。
 
第 3 条 知的財産及び商事裁判所が管轄する案件は以下のとおり。
一 専利法(注1)、商標法、著作権法、光ディスク管理条例、営業秘密法、半導体集積回路の回路配置保護法、植物品種及び種苗法、公平交易法(注2)により保護される知的財産権に関して生じた第一審及び第二審民事事件、並びに商事事件審理法により規定された商事事件。
二 刑法第二百五十三条、第二百五十四条、第三百十七条、第三百十八条の罪、又は商標法、著作権法及び知的財産案件審理法第七十二条から第七十四条に違反する案件で、地方裁判所の通常、略式審判又は協議手続きによる第一審判決を不服とし、上訴又は抗告する刑事案件。営業秘密法第十三条の一、第十三条の二、第十三条の三第三項及び第十三条の四の第一審刑事案件。営業秘密法の第二審刑事案件。国家安全法第八条第一項から第三項の第一審刑事案件。但し、少年刑事案件はこの限りではない。
三 専利法、商標法、著作権法、著作権集団管理団体条例、光ディスク管理条例、半導体集積回路の回路配置保護法、植物品種及び種苗法、又は公平交易法にかかわる知的財産権によって生じた第一審行政事件及び強制執行事件。
四 その他、法律の規定により又は司法院の指定により知的財産及び商事裁判所が管轄する案件。
 
第 4 条 1)知的財産及び商事裁判所の設立地は司法院が定める。
2)司法院は、地理的環境及び案件の多寡を考慮し、知的財産及び商事裁判所支部を増設することができる。
 
第 5 条 1)知的財産及び商事裁判所に対応して高等裁判所検察署知的財産分署を設置するが、その種類及び定員は付表の規定に従う。
2)各地方検察署及びその分署検察官が第三条第二号及び第四号の刑事案件を処理するときは、その直接の上級裁判所検察署検察長が高等裁判所検察署知的財産分署検察長となる。
 
第 6 条 1)知的財産及び商事裁判所の審理案件は、裁判官三名による合議制でこれを行う。但し下記事情の一つがあるときは、裁判官一名が単独でこれを行う。
一 知的財産の民事事件第一審手続き。
二 営業秘密法第十三条、第十三条の二、第十三条の三第三項及び第十三条の四の罪を犯し、略式審判、簡易又は協議手続きを適用する第一審刑事案件。
三 前号の案件と裁判上の包括一罪がある、又は刑事訴訟法第七条所定の関連の関係で起訴若しくは併合起訴(追起訴)された略式審判、簡易又は協議手続き。
四 前二号の簡易手続きを適用した案件の付帯民事訴訟。
2)合議審においては廷長を裁判長とする。廷長がいない又は事情がある場合、裁判官のうち上位の者を、同位であれば年長者を裁判長とする。
3)単独審においては当該裁判官が裁判長の職権を行使する。
 
第 7 条 1)知的財産及び商事裁判所又はその支部の種類及び定員は付表の規定に従う。
2)知的財産及び商事裁判所又はその支部に適用される類別及びその変更は、司法院が命令を以って定める。
 
第 8 条 1)知的財産及び商事裁判所には所長を置き、裁判官が兼任し、所全体の行政事務を総括的に掌理する。
2)知的財産及び商事裁判所の所長は、最高裁判所裁判官、最高行政裁判所裁判官、又は最高検察署検察官の任用資格を有し、且つ指導力のある者からこれを選任しなければならない。
 
第 9 条 1)知的財産及び商事裁判所の法廷はそれぞれ知的財産法廷、商事法廷を置き、その法廷数は事務の多寡により定める。
2)各法廷には廷長一名を置き、所長を兼任する裁判官兼任者を除き、ほかは裁判官の中から選ばれた者がこれを兼任し、各当該法廷の事務を監督する。

第 10 条 1)知的財産及び商事裁判所には裁判官、試署(注5)裁判官を置く。
2)司法院は業務の需要に応じ、地方裁判所及びその支部の試署裁判官又は候補裁判官を知的財産及び商事裁判所に異動させ、案件手続きの進行、争点の整理、資料の収集・分析及び判決文の起草など、裁判官の業務を補助させることができる。
3)試署裁判官又は候補裁判官が知的財産及び商事裁判所に異動し業務を行う期間は、その試署裁判官又は候補裁判官の勤務年数に計算する。
4)知的財産及び商事裁判所には裁判官補佐を置く。職員の招聘任命に関する法令により専門職員を招聘任命するか、若しくは各級裁判所又は行政裁判所のその他の司法職員を異動させるか、若しくはその他の機関の適任者を一時的に異動して、案件手続きの進行、争点の整理、資料の収集・分析など、裁判官の業務を補助させることができる。
5)専門分野の免許資格を有する者が裁判官補佐として招聘任用された場合、その任用期間をその専門の勤務年数に計算する。
6)裁判官補佐の選任招聘事項、訓練、業務、管理及び評価等関連事項は、司法院が決定する。
 
第 11 条 1)知的財産及び商事裁判所は執行所を設けることができ、裁判官若しくは司法事務官が知的財産案件の強制執行事務を行うか、又は普通裁判所民事執行所若しくは行政機関に嘱託して代理執行させる。

第 12 条 1)知的財産及び商事裁判所には公設弁護人室を設け、公設弁護人を置く。簡任第十職等から第十一職等又は薦任第九職等とする。二名以上置く場合、主任公設弁護人一名を置き、簡任第十職等から第十二職等とする。
2)前項公設弁護人で四年以上連続して勤務し、成績が優秀で、審査を経て合格した者は、簡任第十二職等に昇進することができる。既に裁判所組織法第十七条第二項、第三項、少年及び家事裁判所組織法第十一条第二項、第三項規定により昇進している者は、簡任第十二職等に昇進することができる。
3)前項知的財産及び商事裁判所公設弁護人の勤務年数とかつて高等裁判所又はその支部公設弁護人の勤務年数は、合算する。
4)第二項の審査方法は、司法院が定める。
5)弁護士資格を有する者は、公設弁護人を担当した期間を、その弁護士執業年数に算入する。

第 13 条 1)知的財産及び商事裁判所は司法事務官室を設け、司法事務官を置き、薦任第七職等から第九職等とする。司法事務官が二名以上の場合、主任司法事務官一名を置き、薦任第九職等から簡任第十職等とする。
2)弁護士執業資格を有する者は、司法事務官を担当した期間を、その弁護士執業年数に算入する。

第 2 章 裁判官の任用資格
 
第 14 条 1)知的財産及び商事裁判所の裁判官には、以下のいずれかの資格を有する者を任用しなければならない。
一 知的財産及び商事裁判所の裁判官を務めたことのある者。
二 実任裁判官又は実任検察官を務めたことのある者。
三 裁判官、検察官の職務を行ったことがあり、且つ薦任以上の公務員を計八年以上務めた者。
四 知的財産又は商事訴訟案件の弁護士職務を八年以上実際に行ったことがあり、就任する職務の任用資格を有する者。
五 公立若しくは教育部の認可を受けた私立大学、独立学院の法律、政治、行政学科卒業又はそれらの大学院を修了し、かつて教育部の認可を受けた大学若しくは独立学院の専任教授、准教授又は助教授を計八年以上務めたことがあり、知的財産権又は商事法についての関連法律課程を五年以上講義し、前記に関連専門書の著作を有し、就任する職務の任用資格を有する者。
六 公立若しくは教育部の認可を受けた私立大学、独立学院の法律、政治、行政学科卒業又はそれらの大学院を修了し、かつて中央研究院の特任研究員、研究員、副研究員、助手研究員を計八年以上務めたことがあり、知的財産権又は商事法についての関連専門書の著作を有し、就任する職務の任用資格を有する者。
七 公立若しくは教育部の認可を受けた私立大学、独立学院の法律、政治、行政学科卒業又はそれらのの大学院を修了し、かつて簡任公務員を務めたことがあり、知的財産、商業管理、証券取引若しくは管理、先物取引若しくは管理に関する審査、訴願又は法制業務を計十年以上取り扱い、知的財産権若しくは商事法の法律についての関連専門書の著作を有する者。
2)前項第五号、第六号の勤続年数については、それぞれその講義、著作の法律類別により、併せて計算することができる。
3)第一項第二号、第三号に該当する人員の改任資格、手続き、在職研修及び派遣等事項について、裁判官法第十条第一項所定の弁法規定を適用する。
4)第一項第四号から第七号に該当する人員の選抜手続き、裁判官の年齢制限及び研修等事項は、裁判官法第八条第二項、第三項所定の弁法規定を適用する。

第 15 条 1)前条第一項の資格に該当する者を知的財産及び商事裁判所裁判官に任命する場合、その改任及び選抜試験審査に際しては、その倫理、能力、心身状態、専門家意識、経験及び専門的な法学の素養を酌量しなければならない。
2)司法院は知的財産及び商事裁判所職員の在職研修を毎年行い、法学及び関連する専門的な素養の充実を図り、裁判の質の向上に努めなければならない。

第 3 章 技術審査官及び商事調査官の配置

第 16 条 1)知的財産及び商事裁判所には技術審査官室及び商事調査官室を設け、それぞれ技術審査官及び商事調査官を置き、薦任第八職等から第九職等とする。技術審査官室、商事調査官室の技術審査官、商事調査官のうち二分の一を簡任第十職等に列することができる。合計二名以上置く場合は、主任技術審査官又は主任商事調査官一名を置くことができ、簡任第十職等から第十一職等とする。
2)前項技術審査官及び商事調査官は職務上必要な場合、職員の招聘任命に関する法令に基づき、各種専門職員を招聘又は出向により充てることができる。その選任及び出向方法は司法院が定める。
3)技術審査官室、商事調査官室は職務上の必要性に応じて組に分けることができる。各組の組長は別途任命するのではなく、技術審査官、商事調査官が兼任する。
4)技術審査官及び商事調査官はそれぞれ裁判官の命を受け、下記事務を審理する。
一 案件の技術又は商業問題の判断、技術資料の収集・分析及び技術に関わる意見を提供する。
二 その他法令による事務。
 
第 17 条 1)知的財産及び商事裁判所の技術審査官は以下のいずれかの資格を有し、且つ就任する職務の任用資格を有する者を任用する。
一 専利審査官若しくは商標審査官を合計三年以上務め、成績が優秀であり且つそれを証明する書類を有する者。又は公立若しくは認可を受けた私立大学、独立学院の大学院若しくは教育部の承認を受けた外国の大学、独立学院の大学院を修了した者で、関連研究科の修士以上の学位を有し、専利若しくは商標の審査官若しくは助理審査官を合計六年以上務め、成績が優秀であり且つそれを証明する書類を有する者。又は、公立若しくは認可を受けた私立の専門学校以上の学校若しくは教育部の承認を受けた外国の専門学校以上の学校の関連学部学科を卒業し、専利若しくは商標の審査官若しくは助理審査官を合計八年以上務め、成績が優秀であり且つそれを証明する書類を有する者。
二 現職又はかつて公立若しくは認可を受けた私立大学、独立学院の関係学部学科の講師を六年以上、助教授、准教授、教授を合計三年以上、若しくは公、私立の専門研究機関で研究員を六年以上務めており、知的財産権に関する専門書の著作を有し、且つそれを証明する書類を有する者。
2)商事調査官は、以下のいずれかの資格を有し、且つ就任する職務の任用資格を有する者を任用しなければならない。
一 かつて経済部、金融監督管理委員会、台湾証券取引所、証券店頭売買センター、台湾先物取引所株式会社、台湾集中保管結算所又は他の関連機関に合計三年以上務めたことがあり、会計、投資、財務分析、経済及び金融市場の専門であり、成績優秀且つそれを証明する書類を有する者。
二 公立若しくは認可を受けた私立大学、独立学院の大学院又は教育部の承認を受けた外国大学、独立学院の大学院を修了した者で、関連研究科の修士以上の学位を有し、かつて経済部、金融監督管理委員会、台湾証券取引所、証券店頭売買センター、台湾先物取引所株式会社、台湾集中保管結算所又は他の関連機関に合計二年以上務めたことがあり、会計、投資、財務分析、経済及び金融市場が専門であり、成績優秀且つそれを証明する書類を有する者。
三 現職又はかつて公立若しくは認可を受けた私立大学、独立学院の関連学部学科の講師を三年以上、助教授、准教授、教授を合計二年以上、又は公、私立の専門研究機関の研究員を三年以上務めたことがあり、会計、投資、財務分析、経済及び金融市場に関する専門書の著作を有し、且つそれを証明する書類を有する者。
四 現職又はかつて財政経済事務組の司法事務官を合計三年以上務めたことがあり、成績優秀且つそれを証明する書類を有する者。
2)第一項第一号の技術審査官資格について、専利審査官資格条例及び商標審査官資格条例の施行前に、専利商標審査機関において専利商標審査業務に従事した年数は、第一項の技術審査官の勤務年数として計算することができる。
3)第一項第一号、第二項第一号、第二号及び第四号にいう成績が優秀であるとは、過去三年の年次評定の成績に甲が二回、乙が一回以上であり、且つ、刑事、懲戒処分又は平素の評定で「記過」(注5)以上の処分を受けておらず、並びにその勤務機関が証明書を発行してこれを証明する者をいう。
 
第 4 章 書記処、補助機関及びその他職員の配置
 
第 18条 1)知的財産及び商事裁判所は書記処を設け、書記官長を置き、薦任第九職等から簡任第十一職等とし、所長の命令を受け行政事務を処理する。一等書記官は薦任第八職等から第九職等、二等書記官は薦任第六職等から第七職等、三等書記官は委任第四職等から第五職等とし、記録、書類、研究審査、総務、資料及び訴訟補助事務を分担して掌理する。また、科、股の部門に分かれて業務処理を行うことができ、科長(注7)は一等書記官が、股長(注8)は一等書記官又は二等書記官が兼任し、別途任命することはしない。但し一等書記官の人数が設置科数より少なく、且つ業務に必要がある時、科長は二等書記官を兼任することができる。
2)前項の一等書記官及び二等書記官の総数は、その同一の知的財産及び商事裁判所の一等書記官及び二等書記官、三等書記官の総数の二分の一を超えてはならない。
 
第 19 条 知的財産及び商事裁判所は供託所を設け、主任を置くことができ、主任は簡任第十職等とし、二等書記官は薦任第六職等から第七職等、三等書記官は委任第四職等から第五職等とする。
 
第 20 条 1)知的財産及び商事裁判所には一等通訳、二等通訳、三等通訳、技士、執達員(注9)、記録係及び廷務員(注10)を置き、一等通訳は薦任第八職等から第九職等、二等通訳は薦任第六職等から第七職等、三等通訳は委任第四職等から第五職等、技士は委任第五職等又は薦任第六職等から第七職等、執達員は委任第三職等から第五職等、記録係、廷務員はいずれも委任第一職等から第三職等とする。
2)前項の一等通訳及び二等通訳の総数は、その同一の知的財産及び商事裁判所の一等通訳及び二等通訳、三等通訳の総数の二分の一を超えてはならない。
3)知的財産及び商事裁判所は必要に応じて、個別案件ごとに原住民又は他の各種言語の特約通訳を招聘することができ、その招聘方法は司法院が定める。
 
第 21 条 知的財産及び商事裁判所は、法警を置く。法警長は委任第五職等又は薦任第六職等から第七職等、副法警長は委任第四職等から第五職等又は薦任第六職等、法警は委任第三職等から第五職等とする。
 
第 22 条 知的財産及び商事裁判所には人事室を設け、主任を置き、薦任第九職等から簡任第十職等とし、並びに専員、科員(注11)を置くことができ、専員は薦任第七職等から第八職等とし、科員は委任第五職等又は薦任第六職等から第七職等とし、法により人事管理を行う。
 
第 23 条 知的財産及び商事裁判所には会計室、統計室を設け、それぞれ会計主任、統計主任を置き、いずれも薦任第九職等から簡任第十職等とし、並びに専員、科員を置くことができ、専員は薦任第七職等から第八職等とし、科員は委任第五職等又は薦任第六職等から第七職等とし、法によりそれぞれ年間収支決算及び会計、統計などの事項を処理する。
 
第 24 条 知的財産及び商事裁判所には政風室(注12)を設け、主任を置き、薦任第九職等から簡任第十職等とし、並びに専員、科員を置くことができ、専員は薦任第七職等から第八職等とし、科員は委任第五職等又は薦任第六職等から第七職等とし、法により紀律の維持にかかわる事項を処理する。

第 25 条 1)知的財産及び商事裁判所には情報室を設け、主任を置き、薦任第九職等から簡任第十職等とする。設計師、管理師(プログラマー、システムエンジニア)はいずれも薦任第六職等から第八職等とし、助理設計師は委任第四職等から第五職等又は薦任第六職等とし、情報処理を行う。
2)前項の薦任助理設計師の定員は、その同一の知的財産及び商事裁判所の助理設計師の総数の二分の一を超えてはならない。
 
第 5 章 司法年度及び事務の配分
 
第 26 条 司法年度は毎年一月一日より同年十二月三十一日までとする。
 
第 27 条 知的財産及び商事裁判所の業務規程は司法院が定める。
台湾高等検察署知的財産分署の業務規則は、法務部が定める。
 
第 28 条 1)知的財産及び商事裁判所は裁判官会議を設ける。
2)裁判官会議の構成、開催時間、議決事項及び議決手続等事項については、別途規定がある場合を除き、裁判官法第4章の規定を適用する。
  
第 6 章 法廷の開閉及び秩序
 
第 29 条 1)知的財産及び商事裁判所の開廷は裁判所内で行う。但し、法律に別段の規定がある場合は、この限りでない。
2)知的財産及び商事裁判所法廷の座席配置及び傍聴規則は司法院が定める。
 
第 30 条 1)知的財産及び商事裁判所は、必要時には、管轄区域内において場所を指定して臨時に開廷することができる。
2)前項の臨時開廷の方法は司法院が定める。
 
第 31 条 裁判長は法廷の開閉及び訴訟の審理において指揮権を有する。
 
第 32 条 法廷が開廷される時、裁判長が秩序維持権を有する。

第 33 条 1)法廷秩序の妨害又はその他の不当な行為を為す者に対し、裁判長は法廷への入廷禁止、又は法廷からの退廷命令を下すことができ、必要な時は閉廷時まで監視するよう命じることができる。
2)前項の処分に対し、不服を申し立てることはできない。
3)前二項の規定は、裁判長が法廷外で職務を執行する際にも準用される。
 
第 34 条 訴訟代理人、弁護人が法廷において訴訟を代理又は弁護する際、不当な言動がある場合、裁判長は、開廷当日の代理又は弁護について、警告又はこれを禁止することができる。
 
第 35 条 裁判長は前二条の処分を行う際、その事由を裁判記録に明確に記載しなければならない。
 
第 36 条 本章の裁判長に関する規定は、受命裁判官又は受託裁判官が職務を執行する際にも準用される。
 
第 37 条 裁判長、受命裁判官、受託裁判官の発した法廷秩序維持の命令に違反し、裁判所の職務執行を妨害し、制止に従わない場合、三ヶ月以下の懲役、拘留又は三万台湾ドル以下の罰金に処する。

第 38 条 1)法廷の録音、録画内容を有する者は、その入手した録音、録画内容について、頒布、公開伝送、又は他の非正当目的による使用をしてはならない。
2)前項規定に違反した場合、行為者の住所、居所、又は営業所、事務所所在地の地方裁判所は三万台湾ドル以上30万台湾ドル以下の罰金に処する。但し他の法律に別途特別な規定がある場合、その規定に従う。
3)前項処罰及び救済の手続きは、関連法令規定を準用する。
 
第 7 章 司法行政の監督
 
第 39 条 知的財産及び商事裁判所の行政監督は以下の規定に従う。
一 司法院院長は知的財産及び商事裁判所及びその支部を監督する。
二 知的財産及び商事裁判所所長は当該裁判所及びその支部を監督する。
 
第 40 条 前条の規定に基づき監督権を有する者は、監督を受ける職員に対し、以下の処分を行うことができる。
一 職務上の事項に関し、命令を発して注意を与えることができる。
二 職務を乱す、権限の範囲を逸脱する、又は行為に慎みがない者は、法により処罰又は懲戒処分とする。
 
第 41 条 本章各条の規定は裁判権の独立行使に影響を及ぼさない。
 
第 8 章 付 則
 
第 42 条 知的財産及び商事裁判所の訴訟の裁判は、期限を設けなければならない。その期限は司法院が命令を以って定める。
 
第 43 条 知的財産及び商事裁判所及びその支部の判決書のうち、当事者又は第三者の営業秘密に関わる部分は開示することができない。
 
第 44 条 本法に規定がない場合、裁判所組織法及びその他の関連法律の規定を準用する。
 
第 45 条 本法の施行日は司法院が命令を以って定める。

注1:日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当。
注2:日本の不正競争防止法、独占禁止法の要素が含まれている。
注3:法廷の長。法廷ごとに必ず一人の「廷長」が配置されている。事件ごとに変わることはない。
注4:台湾の文官の階級の一つ。簡任、薦任、委任とあり、委任は1~5職等、薦任は6~9職等、簡任は10~14職等で、最高は14職等となる。
注5:地方裁判所の裁判官は候補、試署、実任の三階級に分けられ、一定の任期を経て、考査のうえ、上級の裁判官に任用される。
注6:台湾の事案評定には、プラス評価として嘉奨、記功、記大功、マイナス評価として記過、記大過がある。
注7:科長は日本の課長。
注8:股長は日本の係長に相当。 
注9:裁判所の判決、決定などの執行、送達に携わる職員。
注10:書記官に協力し、法廷内容を記録し、及び法廷の庶務に携わる職員。 
注11:第17条の「科」の構成員である。
注12:紀律維持のための部署。
 

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