営業秘密法 2020-01-15
2020-02-21 営業秘密
営業秘密法
公布期日:1996年1月17日
改正期日:2020年1月15日
1996年1月17日総統華総字第8500008780号令により全16条の制定公布
2013年1月30日総統華総一義字第10200017761号令により第13-1条から13-4条の追加公布
2020年1月15日総統華総一義字第 10200017761号令により第13-5条、第14-1条から第14-4条及び第15条条文の改正公布
第1条
営業秘密を保障し、産業倫理と競争秩序を維持し、社会の公共利益を調和する為に、特にこの法律を制定する。この法律で定めていないときは、その他の法律の規定を適用する。
第2条
この法律において営業秘密とは、方法、技術、製造工程、配合、プログラム、設計又はその他生産、販売若しくは経営の情報に使われるものであって、且つ下記の要件に該当するものをいう。
1.これらの類の情報に通常関わる人に知られているものではない。
2.その機密性により、実在的又は潜在的経済価値を有するもの。
3.保有者により秘密保持のための合理的な措置が取られているもの。
第3条
被用者(従業員)が職務において研究又は開発した営業秘密は使用者が保有するものとする。但し、契約にて別途約定あるときは、その約定に従う。
被用者が非職務上研究又は開発した営業秘密は従業員が保有するものとする。但し、その営業秘密は使用者の資源又は経験を利用して得たものであるときは、使用者は合理的な報酬を支払ってその営業秘密を当該事業に使用することができる。
第4条
出資して他人を招聘し、研究又は開発を従事させて得た営業秘密の帰属は、契約の約定通りとする。契約において約定なきときは、招聘を受けた人の保有とする。但し出資者はその営業秘密を業務に使用することができる。
第5条
数人が共同で研究又は開発した営業秘密について、各人が有すべき部分は契約の約定による。約定なきときは均等であると推定する。
第6条
営業秘密の全部或いは一部を他人に譲渡し又は他人と共有することができる。
営業秘密が共有のものである場合、営業秘密の使用又は処分について契約に約定がないときは、共有者全員の同意を得なければならない。但し各共有者に正当な理由がなければ同意を拒絶することができない。
各共有者は他の共有者の同意を経なければ、その所持する部分を他人に譲渡することができない。但し、契約に別段の約定があるときは、その約定に従う。
第7条
営業秘密の保有者は、その営業秘密の使用を他人に許諾することができる。その使用許諾の地域、時間、内容、使用方法又はその他の事項は、当事者の約定による。
前項のライセンシー(許諾を受けた者)は営業秘密保有者の同意を得ないでその使用許諾を受けた営業秘密を第三者に再許諾することができない。
営業秘密の共有者は共有者全員の同意を経なければ、他人に当該営業秘密の使用を許諾することができない。但し各共有者に正当な理由がなければ、同意することを拒絶することはできない。
第8条
営業秘密を質権及び強制執行の目的対象とすることはできない。
第9条
公務員が公務の取扱により他人の営業秘密を知悉し又は保有したときは、これを使用し又は故なくこれを漏らしてはならない。
当事者、代理人、弁護人、鑑定人、証人及びその他の関係者が司法機関の取調べ又は審理により他人の営業秘密を知悉し又は保有したときは、これを使用又は故なく漏らしてはならない。
仲裁人及びその他の関係者が仲裁事件を処理するときは、前項の規定を準用する。
第10条
左に掲げる場合の一に該当するときは、営業秘密の侵害とする。
1.不正な方法をもって、営業秘密を取得したとき。
2.前号の営業秘密であることを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、使用し又は漏えいしたとき。
3.営業秘密を取得した後に第1号の営業秘密であることを知りつつ、又は重大な過失により知らないでそれを使用し又は漏えいしたとき。
4.法律行為により取得した営業秘密を不正な方法をもって使用し又は漏えいしたとき。
5.法令により営業秘密を守る義務があるにもかかわらず、それを使用し、又は故なく漏えいしたとき。
前項にいう不正な方法とは窃取、詐欺、脅迫、賄賂、無断複製、守秘義務違反、他人を誘引して秘密保持義務を違反させるものその他これらに類似する方法を指す。
第11条
営業秘密が侵害されたときは、被害者はその侵害の排除を請求することができる。侵害のおそれがあるときは、その防止を請求することができる。
被害者が前項の請求をしたとき、侵害行為により作成されたもの又は専ら侵害の行為に供されたものの廃棄処分その他必要な措置を請求することができる。
第12条
故意又は過失により不法に他人の営業秘密を侵害した者は、損害賠償の責任を負う。数人が共同で不法に侵害したときは、連帯損害賠償の責任を負う。
前項の損害賠償請求権は、請求権者が侵害行為のあったこと及び賠償義務者を知った時から2年間行使しないときは、時効によって消滅する。侵害行為の時から10年を経過したときも、同様とする。
第13条
前条により損害賠償を請求したとき、被害者は、次の各号に掲げる規定から一つを選んで請求することができる。
1.民法第216条の規定により請求する。但し被害者がその損害を立証できないときは、通常それを使用するときに予期できる利益から、侵害された後に同一の営業秘密を使用して得た利益を差し引いて得た差額をその受けた損害の額とすることができる。
2.侵害者が侵害行為によって取得した利益を請求する。但し、侵害者がそのコスト又は必要な費用を立証できないときは、その侵害行為によって取得した全部の収入をその得た利益とする。
前項の規定により侵害行為が故意になされたときは、裁判所は被害者の請求によりその侵害された情状を斟酌して損害額以上の賠償を算定することができる。
但し、既に立証された損害額の三倍を超過してはならない。
第13-1条
自己又は第三者の不法な利益、又は営業秘密保有者の利益を損害する意図があって、次に掲げる事情の一に該当する者は、5年以下の懲役又は拘留に処し、100万台湾ドル以上1000万台湾ドル以下の罰金を併科することができる。
1.窃取、横領、詐欺、脅迫、無断複製、又はその他の不正な方法により営業秘密を取得し、又は取得後にそれを使用、漏洩した者。
2.営業秘密を知悉し又は保有し、許諾を得ずに、又は許諾範囲を超過して当該営業秘密を複製、使用又は漏洩した者。
3.営業秘密を保有し、営業秘密の保有者より削除、廃棄の通知を受けた後も、当該営業秘密を削除、廃棄しなかった者、又は隠匿した者。
4.他人が知悉し又は保有している営業秘密が前三号所定の事情に該当することを明らかに知りながら、それを取得、使用又は漏洩した者。
前項の未遂犯は罰する。
罰金を科すとき、もし犯罪行為者の得た利益が罰金最高額を超える場合、その得た利益の三倍の範囲内で斟酌して加重することができる。
第13-2条
外国、中国、香港又はマカオでの使用を意図して前条第一項各号に列挙されている罪を犯した場合、1年以上10年以下の懲役に処し、300万台湾ドル以上5000万台湾ドル以下の罰金を併科することができる。
前項の未遂犯は罰する。
罰金を科すとき、もし犯罪行為者の得た利益が罰金最高額を超える場合、その得た利益の二から十倍の範囲内で斟酌して加重することができる。
第13-3 条
第13-1条の罪は親告罪でなければならない。
共犯の一人に対する告訴又は告訴取り下げをした場合、その他の共犯には効力が及ばない。
公務員又はかつて公務員であった者が、職務により他人の営業秘密を知悉又は保有し、故意に前二条の罪を犯した場合、その刑の二分の一まで加重する。
第13-4 条
法人の代表者、法人又は自然人の代理人、被用者又はその他の従業者が業務の遂行により、第13-1条、第13-2条の罪を犯した場合、当該規定によりその行為者を罰するほか、当該法人又は自然人に対しても同条規定の罰金を科す。但し、法人の代表者又は自然人が犯罪の発生防止に全力を尽くした場合、この限りではない。
第13-5条
認許を受けていない外国法人は、本法規定の事項について、告訴、自訴又は民事訴訟を提起することができる。
第14条
営業秘密に係る訴訟事件を審理するために、裁判所は専門の法廷を設け又は専門の担当者を指定して審理させることができる。
当事者が提出した攻撃又は防禦方法が営業秘密に関わる場合においては、当事者が申立てをしたうえ、裁判所がそれを妥当と認めたときは、裁判を公開しないとし、又は訴訟資料の閲覧を制限することができる。
第14-1条
検察官は、営業秘密に係る事件を取調べるにあたって、取調べの必要があると認定したとき、取調べの内容に接触した被疑者、被告人、被害者、告訴人、告訴代理人、弁護人、鑑定人、証人又は他の関連者に、取調べの秘密保持命令を発令することができる。
取調べの秘密保持命令を受けた者は、当該取調べの内容について、次の行為を行ってはならない。
1.取調べ手続き実施の目的以外への使用
2.調査の秘密保持命令を受けていない者への開示
前項の規定について、取調べの秘密保持命令を受けた者が、取調べの前にすでに当該取調べ内容を取得したり、又は所持していたときは、これを適用しない。
第14-2条
取調べの秘密保持命令は書面又は口頭で行わなければならない。口頭の場合は、直接告知し且つ調書に記載しなければならないほか、営業秘密の保有者に意見陳述の機会を与え、七日以内に書面で取調べの秘密保持命令を発令することができる。
前項書面については、取調べの秘密保持命令を受ける者に送達し、且つ営業秘密の保有者に通知しなければならない。送達又は通知前に、営業秘密の保有者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し、前項の規定により、営業秘密の保有者に意見陳述の機会を与えた場合は、この限りではない。
取調べの秘密保持命令を書面で行った場合、取調べの秘密保持命令を受ける者に送達した日より、効力が生じる。口頭で行った場合、告知の時点より同様である。
取調べの秘密保持命令には次の事項を記載しなければならない。
1.取調べの秘密保持命令を受ける者
2.秘密保持すべき取調べ内容
3.前条第二項による禁止または制限行為
4.違反の効果
第14-3条
取調べ中、秘密保持すべき事由が消滅したり、又は取調べの秘密保持命令の内容に変更の必要があるとき、検察官は職権により取調べの秘密保持命令の取消し又は変更をすることができる。
案件が起訴猶予処分又は不起訴処分により確定したとき、又は取調べの秘密保持命令の起訴効力が及ぶ部分に該当しないとき、検察官の職権により、又は取調べの秘密保持命令を受けた者の申立てにより、その取調べの秘密保持命令の取消し、又は変更をすることができる。
検察官は前二項の取調べの秘密保持命令の取消し又は変更処分を下すために、取調べの秘密保持命令を受けた者及び営業秘密の保有者に意見陳述の機会を与えることができる。当該処分は、書面で取調べの秘密保持命令を受けた者及び営業秘密の保有者に送付しなければならない。
案件起訴後、検察官は取調べの秘密保持命令の起訴効力が及ぶ部分を営業秘密の保有者及び取調べの秘密保持命令を受けた者に通知し、且つ秘密保持命令、取調べの秘密保持命令に関する権利を告知しなければならない。営業秘密の保有者又は検察官は、知的財産案件審理法の規定により、裁判所に秘密保持命令の発令を請求することができる。取調べの秘密保持命令の起訴効力が及ぶ部分について、その請求範囲は裁判所による決定が確定した日より、効力を失う。
案件起訴後、営業秘密の保有者又は検察官が裁判所に係属した日から30日以内に、裁判所に秘密保持命令の発令を請求しなかった場合、裁判所は、取調べの秘密保持命令を受けた者又は検察官の申立てにより、取調べの秘密保持命令を取り消すことができる。取調べの秘密保持命令の起訴効力が及ぶ部分については、裁判所が決定した取消し範囲内で裁判所の決定が確定した日より、その効力を失う。
裁判所は、前項の決定を下すのに先立ち、営業秘密の保有者及び検察官の意見を聴取しなければならない。前項決定は、営業秘密の保有者、取調べの秘密保持命令を受けた者及び検察官に送達しなければならない。
取調べの秘密保持命令を受けた者又は営業秘密の保有者は、第一項及び第二項の検察官による処分に不服を声明することができる。検察官、取調べの秘密保持命令を受けた者又は営業秘密の保有者は、第五項の裁判所による決定に抗告を提起することができる。
前項不服の声明及び抗告の手続きについては、刑事訴訟法第403条から第419条の規定に準用する。
第14-4条
取調べの秘密保持命令に違反した場合、3年以下の懲役、拘留又は100万台湾ドル以下の罰金を科すか、若しくは併科することができる。
外国、中国、香港又はマカオで取調べの秘密保持命令に違反した場合、犯罪地の法律における罰則の有無を問わず、前項規定も適用する。
第15条
もし、外国人が所属する国家と中華民国が営業秘密を保護する国際条約に共同加入していないか、若しくは相互に営業秘密を保護する条約、協定がないか、又は中華民国国民の営業秘密を保護していないとき、その営業秘密を保護しないようにすることができる。
第16条
この法律は公布の日より施行する。









