オンラインショップPChomeの内容不実広告課徴金(60万新台湾ドル)行政訴訟は敗訴確定

2014-05-15 2011年

■ 判決分類:不正競争

I オンラインショップPChomeの内容不実広告課徴金(60万新台湾ドル)行政訴訟は敗訴確定

■ ハイライト
オンラインショップサイト経営会社は掲載された広告にも一部の法的責任を負う必要がある。PChomeオンラインショップは公平交易委員会(公正取引委員会)から内容不実の広告により60万新台湾ドルの課徴金を課されたことを不服として行政訴訟を提起していたが、最高行政裁判所は3月28日にPChomeが広告内容に対する査証と注意の義務を怠ったとしてPChome敗訴の判決を確定した。
崴海衛國際股份有限公司(Way & Way Int’l Corp.、以下「崴海衛公司」)はPChomeのサイト上で「MPS双B専用款二代晶片逆電流」を販売し、当該商品が「世界で唯一ベンツ・BMW向けに開発されたIC制御の電圧安定装置」等の告知を行った。公平交易委員会が通報を受けて調査した結果、PChomeと崴海衛公司が商品の品質と内容に関して虚偽不実又は誤解を与えるような告知を行ったとして、それぞれ60万新台湾ドル、30万新台湾ドルの課徴金を課した。その後PChomeはそれを不服として行政裁判所に訴訟を提起した。
しかしながら最高行政裁判所が審理を行った結果、裁判官は公平交易法(公正取引法)第21条でいう広告行為の主体は広告制作者に限らず、広告内容の提供、制作から公衆に知らしめるまでの過程において、それぞれの広告行為への参与度によって定めるべきであるとの見解を示した。消費者の角度からみて、広告を認知し、直接商品取引を行う対象はPChomeであるため、PChomeも広告主の一つであると認定された。【2011年3月29日/経済日報/A19面/税務法務】

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

最高行政裁判所判決
【裁判番号】100年度,判,348
【裁判期日】2011年3月17日
【裁判事由】公平交易法(公正取引法)

上  訴  人 網路家庭国際資訊股份有限公司( PChome Online Inc. )
被 上訴 人 行政院公平交易委員会

以上の当事者間の公平交易法事件をめぐり、上訴人は2009年8月6日台北高等行政裁判所97年度訴字第1653号に対して上訴を提起した。最高行政裁判所は以下のように判決を下した。

主 文
上訴を棄却する。
上訴審訴訟費用を上訴人が負担するものとする。

一 事実要約
本件の被上訴人は通報を受けて調査した結果、上訴人と崴海衛國際股份有限公司(Way & Way Int’l Corp.、以下「崴海衛公司」)がPChomeオンラインショップサイト(URLはhttp://shopping.pchome.com.tw,以下「係争サイト」)において商品「MPS双B専用款二代晶片逆電流」(以下、「係争商品」)を販売し、「…ガソリンを10~25%節約可能…」、「唯一財団法人車両測試中心(ARTC)の認証テストで…品質と安全が保障された」、「世界で唯一ベンツ・BMWのために開発されたIC制御電圧安定装置」、「唯一各国の安全規格環境評価基準テストに合格」及「台湾で唯一ベンツ・BMW専用といえる電圧安定装置」等の文言を使用した。これらは商品の品質と内容に関して虚偽不実又は人に誤解を与えるような表示であり、公平交易法(公正取引法)第21条第1項に違反しているため、同法第41条前段落の規定に基づき2008年1月3日公処字第097001号処分決定通知(以下「原処分」)で上訴人及び崴海衛公司に対し処分決定通知送達翌日からの前項違法行為即時中止及び上訴人と崴海衛公司に対する課徴金60万新台湾ドル及び30万新台湾ドルの納付を命じた。上訴人はこれを不服として訴願を提訴したが棄却されたため行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
双方:略。双方の争点説明を参照のこと。

三 本件の争点
本件の原審では、客観的な取引対象(上訴人は販売者で、領収書に記載されている営業者は上訴人となっている)、消費者が主観的な取引信頼関係を持つ相手(係争サイトの経営者は上訴人である)のいずれも上訴人であり、消費者が使用するサイトも係争サイトのみであるため、被上訴人は上訴人を本件の商品広告行為の主体とみなし公平交易法第21条第1項に基づき処罰した。これについて法に合致しない部分があるのかどうか。
(一) 上訴人は原審の起訴主張において「係争広告は崴海衛公司が制作した後そのコンピュータ端末を用い上訴人が提供するアカウントとパスワードで係争サイトに送った。上訴人は(広告)費用を支払っておらず、且つ崴海衛公司から費用を徴収した法人であり、広告主とは認定しがたい。本件の行為者は崴海衛公司であり、上訴人ではない。また上訴人は崴海衛公司からサイトへの係争広告掲載を委託された以外、係争広告の活動のいかなる一環においても参与、加工又は主導していないため、広告主とは認定しがたい。さらに係争広告の内容が事実であるか否かについては、公平交易法第21条で定める査証すべき項目が多すぎるため、上訴人には明らかに査証を行う能力がない。この基準に基づくならば、その経費は上訴人が負担できるものではなく、被上訴人の処分は比例原則違反である」等と主張し、原処分と訴願決定の取消を請求した。
(二) 被上訴人は原審の答弁において以下のように述べている。上訴人は崴海衛公司の委託を受けて、PChomeオンラインショップサイトに崴海衛公司が提供した「MPS双B専用款二代晶片逆電流」に関する説明資料を掲載した。ゆえに上訴人には本件に係わる広告を制作掲載した行為の外観がみられる。さらに商品の取引手続き全体をみると、PChomeオンラインショップサイトには上訴人の事業名のみが表示されており、消費者は購入時に認知できる取引対象は即ち上訴人である。取引完了後に領収書を消費者に発行しており、消費者側から観察すると、上訴人が本件に係わる広告商品の最末端販売者の地位にある。また上訴人は崴海衛公司とともに本件の広告主とみなされ、広告の掲載において査証と注意の義務を尽くす必要がある。PChomeオンラインショップサイトに掲載されている商品が多く、商品広告の内容が専門的であり、上訴人の審査能力を超えていることを、上訴人が審査義務を果たせない理由として免責を求めることはできない。被上訴人は上訴人が公平交易法第21条に違反した回数を考慮して上訴人に60万新台湾ドルの課徴金を課しているが、これに不当なところはない。

四 判決理由の要約
(一) 事業体が広告或いは公衆が知りえるその他の方法で、商品の品質及び内容等に虚偽不実又は人に誤解を与えるような表示を行った場合、公平交易法第21条規定の違反となる。「虚偽不実又は人に誤解を与えるような表示又は表記」の行為の主体については、広告を実施する行為全体で総合的に判断すべきであり、表示又は表記する行為者に限定されない。つまり、公平取引法第21条でいうところの広告行為の主体は広告制作者に限定されず、広告内容の提供、制作から公衆に知らしめるまでの過程において、それぞれの事業体の広告行為への参与度によって定めるべきである。事業体が広告制作・掲載の行為、広告商品の取引手続きに参与して利益を得たならば、広告主の責任を免れがたく、広告内容は真実を表示しなければならない。調査したところ、上訴人による係争広告の広告主に関する主張は、原審で調査証拠に基づき弁論した結果、明確に指摘反駁され、証拠法則及び論理法則の両方に違わないと判断されている。上訴の趣旨で上訴人がオンライン取引プラットフォームを提供しているだけだとしている主張は、広告の費用支払い者の定義を考慮していないため、採用できない
(二) 次に公平交易法第21条第1項規定の趣旨をみると、事業体が広告の内容において一般又は関連のある大衆に誤って認知又は決定させたという客観的な事実があれば十分であり、行為者の主観的な「故意」を要件とはしていない。又、過失は義務の違反を前提としており、事業体が市場競争行為に従事する際にその尽くすべき注意義務に違反した場合、すなわち過失の存在があったことになる。従って、事業体がその商品又は広告の内容の精確性についてそれを確保し、誤解を避ける等の注意義務を尽くす能力があるのに注意しなかった場合、公平交易法第21条違反となり、過失が存在する。ゆえに上訴人が係争広告の内容について、提供された商品カタログ及び商品画像ファイル資料等に対する査証や注意の義務を尽くさない上、掲載されている商品が多く、商品広告の内容が専門的であり、上訴人の審査能力を超えていることを理由として免責を求めることに根拠があるとは認めがたい。
(三) 被上訴人は公平交易法施行細則第36条規定及び処罰金額參考表に基づいて、法で斟酌すべきだとする事項を斟酌した後に課徴金を建議し、さらに専門知識をそなえ法により職権を独立行使できる被上訴人の委員が委員会議で違法状況を斟酌して法により権限を授与された処罰範囲内において上訴人に対する課徴金を決定しており、裁量に瑕疵の違法はみられない。
(四) 本件の被上訴人が係争広告の違法行為を斟酌し、上訴人に対して処分決定通知送達翌日からの前項違法行為即時中止及び上訴人に対する課徴金60万新台湾ドルの納付を命じたことについて、比例原則に違反はなかった。上訴の趣旨で原処分が比例原則に違反する、又は公平交易法の立法目的に違反する云々は採用するに足りない。
(五) 以上をまとめると、原判決で原処分と訴願決定を維持し、上訴人の原審における請求を棄却したことは心証を得た理由が詳述されており、上訴人の主張は採用するに足りず、それぞれ指摘反駁するものである。適用すべき法規及び判例、解釈に合わないところはなく、判決が法規を不当に適用したり、判決理由の不備や矛盾などの違法がみられたりすることもなかった。上訴の論旨では原判決が違法であるとして取消を求めているが、理由がないため棄却すべきである。

以上の論結に基づいて、本件の上訴は理由にあたらない。行政訴訟法第255条第1項、第98条第1項前半に基づき主文の通り判決を下すものである。
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