メーカーの長短所及び評価等に基づき作成された分類資料は、人的資源・物的資源を注ぎ込んで選別してまとめたものであり、秘密性及び経済的価値を有する。

2025-03-20 2024年

■ 判決分類:営業秘密

I メーカーの長短所及び評価等に基づき作成された分類資料は、人的資源・物的資源を注ぎ込んで選別してまとめたものであり、秘密性及び経済的価値を有する。

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】108年〔2019年度〕度民営訴字第8号
【裁判期日】2024年05月28日
【裁判事由】営業秘密侵害の排除等

原告 力智電子股份有限公司(元「力祥半導体股份有限公司」)
法定代理人 許先越
被告 東沅科技股份有限公司

上記の法定代理人 張体義
被告 湯友信
被告 李祈祥
被告 蕭怡珊
被告 邱黄雅雯
被告 享沅国際有限公司(解散)

上記の法定代理人 許哲憲
被告 鄒佳潔
廖瑞宴
被告 張煥炎

上記当事者間における営業秘密侵害の排除請求等の事件は、本裁判所で2024年3月26日に口頭弁論が終結したので、下記のとおり判決を下す。

主文
一、原告の訴え及び仮執行宣言の申立てをいずれも棄却する。
二、訴訟費用は原告の負担とする。

一、事実
原告会社は電源IC及び設計の技術、経験を有し、これは原告会社が長年にわたり資金を注ぎ込んで研究・開発して得た知的財産に該当する。被告張体義、湯友信、李祈祥、蕭怡珊及び邱黄雅雯らは、元々原告会社に勤務しており、職務上原告会社の営業秘密等の資料を保持しており、許諾を得ずに無断で複製、使用又は漏洩をしてはならず、いずれも退職前に返還しなければならなかった。原告会社は次のとおり主張した。被告張体義、湯友信及び李祈祥らは、原告会社に在職中に原告会社の要職に就いて機密研究・開発及び関連製造プロセスの技術に関する情報を把握する機会を利用し、不正な方法で原告会社のM製品の機密資料を入手して東沅公司による使用に提供することを策謀した。そして、共同で自身の不正な利益のために、及び原告会社の利益を損害する意図に基づき、2012年から2018年まで張体義ら3名は電子メールの添付ファイル及びハードディスクによるコピーの方法で、許諾を得ずに会社のコンピューター内ファイルの電磁的記録を複製し、原告会社が膨大な研究・開発のコストを費やして得た成果及び主要技術等の情報(以下、係争情報と称す、証拠1から証拠5)を無断で東沅公司に持ち込むことを共謀した。このため、東沅公司が係争情報を利用して製品の製造、販売において、人的資源、物的資源を節約したため利益を得て、原告会社にも損害が生じた。原告会社内部の電子メール及びコンピューターの記録に基づけば、張体義、湯友信、李祈祥、蕭怡珊及び邱黄雅雯は在職中又は退職後に、被告許哲憲、鄒佳潔、廖瑞宴、張煥炎らと連携し、東沅公司、享沅公司及び譁裕公司のために原告会社の営業秘密を入手、漏洩していたことがわかる。

二、双方当事者の請求
(一)原告会社は、被告らによる営業秘密法第10条第1号から第3号規定違反を主張し、同法第12条、民法第184条第1項前段、第185条の規定に基づき、連帯して損害賠償の責任を負うよう被告らに請求する。(二)被告は、原告の訴え及び追加の訴え及び仮執行の申立てをいずれも棄却するよう請求する。

三、双方当事者の争点(営業秘密侵害の部分)
1.原告が主張する営業秘密(甲付表31-2のとおり)は、営業秘密法第2条に規定する要件に該当するか?
2.原告が営業秘密法第10条第1項第1号から第3号、第12条第1項、民法第184条第1項前段、第185条、第188条第1項、第28条、及び会社法第23条第2項等の規定に基づき、連帯して賠償責任を負うよう被告らに請求したことに理由はあるか?消滅時効が完成したか?もし理由がある場合、請求できる賠償金はどれほどか?
3.原告が営業秘密法第11条第1項及び第2項の規定に基づき、訴えのとおり侵害の排除、防止を請求することに理由はあるか?
4.被告張体義、湯友信、李祈祥、蕭怡珊、邱黄雅雯、張煥炎は、署名した声明書並びに契約書及び甲付表15-1の秘密保持措置(就業規則)に違反したか?原告は違約の損害賠償並びに民法第227条の規定に基づき不完全履行の損害賠償を請求することができるか?
(一)原告の主張の理由:略。判決理由の説明参照。
(二)被告の答弁の理由:略。判決理由の説明参照。

四、理由(営業秘密侵害の部分)
一、原告が主張する営業秘密(甲付表31-2のとおり)は、営業秘密法第2条に規定される営業秘密の認定(原告の主張及び本裁判所の認定結果の詳細はいずれも付表のとおり)に該当するか。
 甲証拠73-4、即ちテストプロセスに列記の項目規格範囲等の数字は製品仕様書からのものであるので、テストに列記のサンプルテストも力祥公司の内部資料に該当するはずであり、この判断のための分析資料は、製品のICパッケージの設備総合効率を改善する根拠とすることができ、且つこれらの類の情報に通常関わる人に知られているものでもないので、自ずと秘密性及び経済的価値を有することに間違いない。
 原告は甲証拠73-4について既に合理的な秘密保持の措置を講じており、原告の法務知的財産権室が2012年5月15日に作成した「守秘公告」(2018年3月28日修正)、公告日2012年6月9日の「記録管制プロセス」及び2013年5月6日に公告した「情報安全管理弁法」に基づくと、次のことが分かる。原告会社は、機密情報が含まれる資料又は電子ファイルに、「Confidential」文字を表示しなければならず、且つ情報システムにいずれもパスワードを設定し、またニーズに応じて利用者のアクセス許可も設定する必要があると規定し、機密性及びセンシティブなデータを保存するIPネットワーク又はホスティングサーバーについては、より高いセキュリティのパスワード認証を採用すべきであり、研究・開発人員も研究・開発作業のプラットフォームで研究・開発を行うべきであり、研究・開発部署の最高管理者の許諾を得ずに当該研究・開発のプラットフォームからいかなるファイルもアップロード又はダウンロードしてはならず、研究・開発エリア、生産エリア及びオフィスエリアのIPネットワークドメインを分離し、そしてネットワークシステムのセキュリティ管理メカニズムを確立してインターネットで送信されたデータのセキュリティを確保すると規定していた。
 甲証拠73-4データに透かしという方法で「Confidential」文字が表示されていることに鑑み、それは明らかに前記記録管制プロセスの規定に基づき秘密を保持していたので、既に合理的な秘密保持措置を講じていたと認定すべきであり、自ずと原告の営業秘密に該当する。
 甲証拠74-4は、原告の協力下請業者の生産力を示した資料であり、既に原告の下請業者の長短所及び評価を分類していた。当該情報は原告が相当程度の時間、人的資源、物的資源を注ぎ込んで、長期にわたり選別、整理して得た情報であり、実際的又は潜在的な経済的価値を有するはずであり、且つこれらの類の情報に通常関わる人に知られているものでもないので、秘密性及び経済的価値を有すると認定すべきである。
 また、下請業者の生産力を示した資料の第一項の右上に「機密」という中国語文字を殊に表示したことは、前記記録管制プロセス第6.4.3の「機密性がある記録の場合は、『Confidential』文字を表示する必要がある」という規定に合致し、既に合理的な秘密保持措置を講じていたと認定すべきであり、自ずと原告の営業秘密に該当する。
 甲証拠75-6は、原告と鉅晶公司との間の生産管理情報であり、これらの類の情報に通常関わる人に知られることのないものであり、秘密性を有し、且つ当該情報は生産、製造、運営、販売に使用することができるものであり、即ち経済的利益又は商業的価値を創出することができる情報であるので、経済性も有する。
 甲証拠75-8は例示ファイルであり、原告の在庫管理情報に該当し、これらの類の情報に通常関わる人に知られないものであり、秘密性を有し、且つ当該情報は生産、製造、運営、販売に使用することができるものであり、即ち経済的利益又は商業的価値を創出することができる情報であるので、経済性も有する。
 甲証拠75-9は例示ファイルであり、原告会社の新規顧客開拓業務の資料であり、これらの類の情報に通常関わる人に知られているものではなく、且つ原告が相当程度の人的資源、財力を注ぎ込んだものであり、並びに業務上選別、整理して得た個別的な開拓業務の項目及び進捗等の情報であるので、実際的又は潜在的な経済的価値を有する。
 更に、甲証拠75-6、甲証拠75-8、甲証拠75-9にいずれも透かしという方法で「Confidential」文字が表示されていることに鑑み、これは明らかに前記記録管制プロセスの規定に基づき秘密を保持していたので、既に合理的な秘密保持措置を講じていたと認定すべきであり、自ずと原告の営業秘密に該当することに間違いない。

二、原告が主張した被告らによる共同での営業秘密の不法侵害及び守秘義務違反の認定について
(一)原告が主張した第一類「製品設計情報」、第二類「製品の製造プロセス情報」、第三類「下請業者の取引情報」、第四類「会社の運営管理情報」の中の、原告の営業秘密に該当しない部分については、たとえ被告らが原告主張のとおり電子メールの添付ファイル及びハードディスクによるコピーの方法(甲証拠13から23を参照)で複製又はファイル送信の方法で取得し、他人に提供したとしても、原告の営業秘密の不法侵害及び守秘義務違反の行為はない。
(二)原告が主張した甲証拠73-4の「製品の製造プロセスの分析資料」営業秘密(第二類「製品の製造プロセス情報」に該当する)については、被告らが双方の業務連携又は取引に基づき取得したものであり、不法侵害及び守秘義務違反の行為はない。
(三)原告が主張した甲証拠74-2の営業秘密(第三類「下請業者の取引情報」に該当する)について、被告らに不法侵害及び守秘義務違反の行為はない。
(四)原告が主張した甲証拠75-6、75-8、75-9の営業秘密(第四類「会社の運営管理情報」に該当する)についても、被告らに不法侵害及び守秘義務違反の行為はない。
 1.原告が提出した電子メールの内容について、原告は、被告張体義が杰群電子公司の見積書を被告許哲憲に提供、漏洩したため、原告の営業秘密侵害且つ守秘義務違反等だと主張した。しかし調べたところ、当該見積書は原告が主張する第四類に列記の営業秘密ではないので、自ずと原告が述べたような営業秘密侵害の行為はない。被告張体義が杰群電子公司の見積書を他社に提供したことは、業務を執行して潜在的な顧客を開拓し、パッケージの価格が相対的に高い見積価格を提供するためであった以上、自ずと原告の利益損害又は守秘義務違反の余地はない。
(五)上記に基づき、原告が、被告張体義、湯友信、李祈祥、蕭怡珊、邱黄雅雯、張煥炎らが署名した声明書若しくは契約書及び甲付表15-1の守秘義務に違反し、被告東沅公司と連帯して損害賠償の責任を負わなければならないと主張したことには証拠がないので、採用できない。

三、前記を総じると、本事件は、原告が示した証拠に基づいても、被告らに共同の原告の営業秘密侵害、忠実義務及び守秘義務違反の行為があったことを証明することができない。よって、原告が被告らの連帯の賠償責任並びに侵害の防止、排除を請求したことに理由はなく、棄却すべきである。

結論:本事件の原告の訴えに理由はないので、改正前の知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第78条、第385条第1項に基づき、主文のとおり判決を下す。

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