登録商標の元ライセンシーによる先使用者の主張についての認定

2026-03-24 2025年

■ 判決分類:商標権

I 登録商標の元ライセンシーによる先使用者の主張についての認定

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所行政判決
【裁判番号】113年度行商訴字第67号
【裁判期日】2025年07月23日
【裁判事由】商標異議

原告 啓益寵物用品有限公司
被告 経済部知的財産局
参加人 王彦智

上記当事者間における商標異議事件につき、原告が経済部による中華民国113(2024)年10月28日経法字第11317305520号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起したので、本裁判所は職権により、参加人の訴訟参加を決定し、次のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一、事実及び理由
参加人は、2021年4月13日に「健康時刻」商標を被告が公告した商品及び役務区分第31類の商品に使用指定して、登録出願を行ったが、その後第31類の「ペットフード、ドッグフード、キャットフード…」商品に使用指定を減縮した。その後、被告の審査を経て、第02186533号登録商標として(以下、係争商標という)登録査定を受けたが、原告が同年12月23日に係争商標が商標法第30条第1項第12号本文規定に違反するとして、異議を申し立てた。被告は審査したうえで、2024年6月12日付中台異字第G01100699号商標異議決定書をもって、「異議不成立」の処分を下した(以下原処分という)。原告はこれを不服とし、訴願を提起したが、経済部より2024年10月28日付経法字第11317305520号訴願決定をもって棄却された(以下、訴願決定という)。その後、原告はこれを不服とし行政訴訟を提起した。

二、原告の請求:
原告は係争商標出願日2021年4月13日より前に、早くも市場で引用商標の「健康時刻」商標を潔牙骨(デンタルボーン)商品に使用指定した事実があった。参加人は、偶然に係争商標を思いついたのではなく、市場で原告と競争関係があり、且つ係争商標を潔牙骨商品に使用し、更に訴外人、即ちその関係企業である壹士達寵物有限公司(以下壹士達公司という)を通じて、係争商標の商品と原告の引用商標商品を同時に同一の販売ルートで陳列したほか、「健康時刻」商標の商標権者である姜勝献が既に亡くなったことを知ったため、商標権がまだ明確でないことを機に、先取して登録出願し、且つ不使用取消し請求を行った可能性があることは、盗用の悪意があり、権利濫用の行為に該当するので、係争商標は商標法第30条第1項第12号本文の規定に違反する。

三、本裁判所の判断:
異議申立ファイルに添付の第01762153号「健康時刻」商標登録資料、台湾台南地方検察署による死体検案書、及び被告による2022年9月7日(111)智商40052字第11180588400号書簡から分かるように、当該「健康時刻」商標の権利者である姜勝献は既に2020年12月15日に死亡しており、且つ継承人もいないため、商標法第47条第2号の規定に基づき、当該商標も姜勝献の死亡後に既に消滅した。たとえ、前記証明書等証拠に則り、更に原告が異議及び訴訟段階において、第01762153号「健康時刻」登録商標の商標権者である姜勝献、姜勝献が実際に運営していた冠亜公司又は羽田公司から許諾を得て、市場で「健康時刻」潔牙骨商品等を販売した云々と主張したことを参照して、姜勝献、冠亜公司、羽田公司の間に、提携関係があると推定できるとしても、彼らの提携関係は姜勝献の死亡及び第01762153号「健康時刻」商標登録権の消滅後に、根拠がなくなっている。原告が異議申立段階において提出した前記使用証拠はいずれも、第01762153号「健康時刻」登録商標消滅前の販売資料にすぎず、これらをもって原告が当該登録商標権の消滅後に、自社商品を表彰するために、引用商標を使用していた証拠にはならない。また、原告が訴願及び訴訟段階において提出した証拠から分かるように、原告は2020年12月から2021年4月までの期間に「健康時刻」商標商品を販売していたが、魚中魚楽活公司の返信に基づくと、原告と2019年9月17日から取引を行っていたので、当該登録商標権消滅後の約4カ月間に取引を行っていた前記の商品は、やはり原告が冠亜公司、羽田公司より「健康時刻」商標商品を引き続き購入して代理販売したものである可能性がある。更に魚中魚楽活公司が提出した商品の写真からわかるように、そのパッケージ袋に記載されていた製造時期はすべて2024年頃であり、原告が2020年12月から2021年4月まで引用商標の商品を販売していたことの裏付けとすることは難しい。ましてや、当該「健康時刻」潔牙骨商品のパッケージに表示されていたメーカーは維創公司であり、原告ではない一方、原告は甲証6を提出して、代表者である劉明仁は維創公司の株主であり、両者も関係企業であるので、原告が当該商標を使用している状態であると主張したものの、維創公司と原告は異なる法人であり、且つ前記潔牙骨商品のパッケージに記載の住所も維創公司の新北市永和区に所在する住所であり、原告に由来する商品の出所表示は一切見当たらない。よって、前記の資料だけをもって、直ちに原告が姜勝献の「健康時刻」商標権消滅後から係争商標の出願前に、自社の潔牙骨商品を表彰して販売する意思で、引用商標を先使用していた事実があったとは認定することが難しい。

参加人が提出した丙証4の商標不使用取消処分書、原告が異議段階で提出した証拠1である係争商標登録資料を裏付けとして参照すれば、参加人が2021年4月13日に姜勝献が登録出願した第01762153号「健康時刻」商標の不使用取消しを申し立て、同日、係争商標の登録出願も行ったことがわかる。よって、参加人は係争商標を登録出願した際に、既に姜勝献が先に登録した「健康時刻」商標の存在を知っていたはずである。しかし、「健康時刻」は日常生活でよくみられる用語であり、且つ丙証1の商標登録資料から分かるように、第三者が「健康時刻」を商標又はその一部として、各類商品または役務に指定して、登録査定を受けて権利存続しているものも数多くある。よって、参加人が法定手続きに基づき、姜勝献が先に登録出願した商標の不使用取消しを請求すると同時に、係争商標の登録出願を行ったことについて、たとえ、原告が係争商標登録出願日の前に、市場で別途原告が前記「健康時刻」商標商品を販売していたと主張したとしても、参加人が盗用の悪意に基づき行ったと認定することは難しいので、商標法第30条第1項第12号本文規定の適用はない。

四、結論:本件原告の訴えには理由がないので、知的財産案件審理法第2条、行政訴訟法第98条第1項前段の規定に基づき、主文のとおり判決する。

中華民国114年7月23日
知的財産第一法廷
審判長裁判官 汪漢卿
裁判官    蔡恵如
裁判官    陳端宜

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