「八宝彬円仔恵」の商標争議、ビブグルマン名店が敗訴

2025-11-21 2025年

■ 判決分類:商標権

I 「八宝彬円仔恵」の商標争議、ビブグルマン名店が敗訴

■ ハイライト
 人気のかき氷屋「八宝彬円仔恵」における親族間の内紛から生じた商標争議が一旦幕を閉じた。現在まで「八宝彬円仔恵」を商標として営業しているのは依然として2軒あり、それぞれは創立者呂〇〇の娘黄〇〇が経営する「金華店」と、ビブグルマンに入選したことがあり、張〇〇が経営する「国華店」である。張○○は黄○○の叔母であり、本件で張○○は姪の黄○○に対して提訴したが、最終的に知的財産及び商事裁判所は台南地方検察署の控訴を棄却し、本事件で黄○○が登録商標を「金華店」において使用した行為は刑事法上、張○○の商標権侵害ではないと認定した。
 張○○と黄○○が所有する商標「八宝彬円仔恵」の外観及び名称はいずれも同一であるが、本件の核心は「両者が登録した商標と役務分類が異なる」ことにある。
 創立者呂〇〇は夫と離婚した後、兄嫁の家に入居して同居するようになり、家族への感謝の意を表すため、商標を兄嫁の張○○に移転したが、呂〇〇が移転した商標は第43類「飲食店」に登録されており、飲食店役務に適用するものである。一方、黄○○が登録した商標分類は第29類及び第30類「豆花、氷菓等商品」であるため、両者は同一ではない。
 告訴人張○○は、商標使用許諾を解消したにもかかわらず、黄氏が依然として看板及び配達サービスにおいて同一の図案を使用し続けていたので、刑事訴訟を提起し、黄○○による商標権侵害だと主張した。検察官は、黄○○がUber Eats、Foodpanda等の配達プラットフォームを通じた黄○○による氷菓の提供が実質的に「飲食店」(第43類)商標で保護される飲食店役務の範疇に関わるものであり、黄○○が登録した「豆花、氷菓等商品」(第29類、第30類)の商標使用範囲を超えているので、商標類別の横断的使用を構成して張○○の商標権を侵害したとの見解を示した。
 一方、被告人黄○○は、当初第29類及び第30類「商品」の商標登録出願を行ったのは、それが兄嫁の「飲食店役務」商標の商品又は役務の類別と異なるが故であり、それで兄嫁に商標併存出願同意書への署名を要請したので、許諾契約ではなく、張○○に対する商標権侵害ではないと主張した。
 本事件について、知的財産及び商事裁判所は、配達サービスがあるか否かを問わず、黄○○の行為はいずれも自身が販売している定番の八宝氷等の商品を宣伝・販売するためのものであり、客観的にB商標が登録されている第29及び第30類に指定の商品販売行為に該当し、張○○が保有しているA商標の第43類飲食店役務の権利を侵害していないと最終的に認定した。たとえ現在の飲食店商品とその役務の境界が曖昧で、黄○○によるB商標の使用が張○○保有のA商標第43類飲食店役務の権利を侵害した事実があると認定したとしても、黄○○はA商標侵害の主観的故意を欠くため、被告人無罪の判決が下された。

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所刑事判決
【裁判番号】113年度〔2024年〕刑智上易字第19号
【裁判期日】2025年04月10日
【裁判事由】商標法違反

控訴人 台湾台南地方検察署検察官
被告人 黄〇〇

上記控訴人が被告人の商標法違反事件について、台湾台南地方裁判所112年度智易字第15号判決に不服を申立てて控訴を提起したことに対し、本裁判所は次のとおり判決する。

主文
控訴を棄却する。

一 事実要約
 訴外人呂○○は、登録番号第00135127号「八宝彬円仔恵及び図案」商標(以下、A商標という)の商標登録出願を行い、商標移転手続きを経て告訴人に譲渡した。一方、被告人は2018年に「八宝彬円仔恵及び図案」の商標登録を出願し、第29類、第30類の八宝氷等の商品に使用指定し、並びに告訴人から商標併存出願同意書を取得しており、2018年に知的財産局からB商標(登録番号第01964799、01964941号)(以下、B商標と総称する)の登録査定を受けた等の事実があった。なお、金華店には看板、Food Panda及びUber Eats等の配達プラットフォームにおける「八宝彬円仔恵」商標の使用との事実がある。

二 双方当事者の請求
(一)告訴人の主張:
 告訴人張○○は次を主張する。張○○はA商標の商標権者であり、当該商標は第43類「飲食店、ドリングスタンド、軽食店」役務に使用指定している。被告人黄○○は「撒豆成冰剉冰店」の責任者である。告訴人は、被告人と親族関係があることに基づき、無償でかき氷屋の営業におけるA商標の使用を被告人に許諾したことがあり、その後当該許諾を解約したものの、被告人は、告訴人が許諾を解約し、同一の役務における同一の商標使用不可を明らかに認識していたにもかかわらず、やはり他人の商標権侵害の犯意をもって、同一のかき氷屋飲食店役務にA商標を使用したため、商標法第95条第1号で規定される商標権侵害の罪を犯した疑いがある。

(二)検察官の起訴理由:
 本邦の登録商標における使用指定の商品又は役務第43類の分類情報は、「飲食店の役務を含み、それに加えて他の類似サービス、例えば、ケータリングサービス、軽食屋又はファーストフード店から提供したサービスも含まれる。一般的に、当該サービスは、すぐに食べられる食べ物や飲み物を顧客に提供」するものであり、並びに「配達サービスを提供する飲食店」、即ち、飲食店業者が注文を受けた後、直ちに顧客のために料理を調理し、業者自身或いはUber Eats等の配達プラットフォームとの提携を通じて、配達形式で料理を顧客に提供して顧客がすぐに食べられるようにするものも含んでおり、飲食店役務の範囲から逸脱していないものである。B商標は上記商品のドリンクスタンド等の役務の提供に及ぶものではないので、被告人が告訴人による許諾解約後もA商標を引き続き使用して、Uber Eatsプラットフォームを通じて氷菓を配達形式で消費者に提供していることは、第43類の飲食店役務の営業に該当し、B商標の使用指定範囲を超えているため、フェアユースであると認定することが困難である。

(三)被告人の主張:
 被告人黄○○は、「撒豆成冰剉冰店」の責任者であり、かき氷屋を経営していることは認めるが、商標権侵害の犯行は否認する。被告人は「告訴人から許諾を受けておらず、告訴人が署名したのは商標併存出願同意書(以下、「併存同意書」という)であり、許諾契約書ではない。2018年、我々は併存同意書を持参してB商標の出願登録を行うと告訴人に説明した。告訴人が登録したA商標が第43類であるので、告訴人による併存同意書への署名が必須であり、それで初めてB商標の出願登録を行うことができる。告訴人もこれに同意したが故に、B商標の出願登録は知的財産局に登録査定されたわけである。私は合法的にB商標を使用しており、それはA商標の使用ではない」と陳述した。また、被告人がB商標を金華店の看板、Food Panda及びUber Eats等の配達プラットフォームに使用したことは、主観的にも宣伝・販売目的で当該登録商標指定の第29類、第30類商品における使用であり、A商標を侵害する不法な犯意はない。

三 判決理由要約
 社会での実際の取引過程において、消費者の商品提供先に対する想像及び認識も、そもそも産業構造及び消費者の習慣の相違により変化することに基づけば、金華店でB商標を使用した被告人の行為は、商慣習的にその内容、用途等の側面から見て、いずれも被告人が販売している定番の八宝氷等の商品を宣伝・販売するためであり、客観的にB商標を指定登録している商品の販売行為に該当し(更に言うなら、消費者がインターネットのプラットフォーム若しくは電話を通じて注文後に店舗受取りをする、又は他人若しくはサービスプラットフォームに依頼した消費者への商品配達は、いずれも被告人がB商標を使用して登録商品である八宝氷等の商品を販売するという範囲から逸脱していない)、且つ商標法第5条の規定に合致しており、A商標の登録に係る「飲食店」役務に類似する役務にまでは及んでおらず、B商標のフェアユース行為に該当する。
 また、「飲食店」等の役務に関する国民の生活経験及び商業取引慣習に照らすと、関連消費者にとって、飲食店役務の範囲には、接客及び注文サポートの提供、料理の調理又はその他の消費者の合理的ニーズを満たすこと等に必要な労務役務が含まれるが、その主な取引内容はやはり食用の「飲食物商品」を消費者に提供することであり、且つ当該商品は消費者の注文後に業者が初めて現場で調理して提供するものか、又は店内での消費又は持ち帰り、配達を問わず、飲食物商品の販売はいずれも飲食店役務の主な目的及び商業的価値の源泉であり、その範囲は自ずと商品(飲食物)の販売というものと高度に重なっており、概念として飲食店で販売されている商品は、その役務提供の核心的範囲にあるので、それに含まれているものである。
 本事件の被告人は、併存出願において告訴人の同意を得たうえでB商標を取得しており、B商標を専用して登録商品を販売する合法的権限を有する。金華店でB商標を使用し、並びに消費者の注文・指示に応じて直ちに食べられる八宝氷等の商品を現場で調理して提供することについては、たとえ被告人のこの行為が客観的に既にA商標が登録されている「飲食店、ドリンクスタンド、軽食店」の役務に及ぶものに該当すると認められるとしても、上記説明に基づき、被告人はB商標を合法的に使用しているので、主観的なA商標侵害の故意を欠くことは信用するに足りると認定する。
 以上を総括すると、被告人が商標法第95条第1号の商標権侵害の罪に関わったことについて、被告人は挙証した証拠に基づき、被告人にA商標侵害の主観的故意があったことは証明することができず、被告人が為した、法的にB商標のフェアユースに該当するとされる行為も明らかに無視したため、被告人無罪の判決を下すべきである。

知的財産第四法廷
裁判長裁判官 張銘晃
裁判官 蔡慧雯 馮浩庭
2025年4月10日

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