無断でフェイスブックウェブページで商標権者との共同購入提携を掲載し、商標権者の商標を使用して、消費者に、商標権者の同意や許諾を得て販売していると誤認させたことは、商標法第68条第1号、第70条第1号及び公平取引法第21条第1項、第25条規定違反である。
2025-10-22 2025年
■ 判決分類:商標権
I 無断でフェイスブックウェブページで商標権者との共同購入提携を掲載し、商標権者の商標を使用して、消費者に、商標権者の同意や許諾を得て販売していると誤認させたことは、商標法第68条第1号、第70条第1号及び公平取引法第21条第1項、第25条規定違反である。
■ ハイライト
被告は、2023年1月23日より、原告の板橋にある大遠百デパートの売場で「OMEGA」シリーズ腕時計を順次購入し、且つ2023年4月29日より「盾牌牙醫史書華」、「邪教教主史伊森」フェイスブックファンページ及び「史醫師團購網」(史医者の共同購入ネットワーク)でオメガ腕時計の共同購入キャンペーンを開催し、原告の同意や許諾を得ることなく、原告の「OMEGA+Ω」商標(以下「係争商標」という)を前記フェイスブックウェブページに使用したほか、「160年の歴史を有するスイスの高級ブランド品・オメガとの提携」との宣伝も行った。
前記の問題について、知的財産裁判所は次のように指摘した。
1.被告と原告の腕時計共同購入協議は成立していない。
2.被告が係争商標を使用して、原告の腕時計商品を購入するよう、ウェブページのファンを誘導したことは、関連消費者の混同を引き起こし、原告の係争商標権を侵害した。
3.被告はウェブサイトで、共同購入の情報を掲載して、情状不承知の消費者に、被告と原告には確かに共同購入提携または許諾関係がある、又は被告から購入する場合には、15%割引の特典があると誤認させたため、商品に関する取引決定に十分に影響する事項について、虚偽不実又は人に誤解を与える表示を行い、公平取引法第21条第1項の規定に違反したほか、被告はこれをもって、この共同購入キャンペーンは原告と関わりがあるものであるとの消費者の誤認を招いた。よって、被告が係争商標に便乗し、原告のブランド価値を不正に取得したことも、公平取引法第25条規定違反である。
II 判決内容の要約
知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】112年度民商訴字第49号
【裁判期日】2025年02月07日
【裁判事由】商標権侵害行為の排除等
原告 スイス企業・オメガ株式会社(OMEGA SA)
法定代理人 Raynald Aeschlimann、Frédéric Nardin
被告 史書華
主文
被告は原告による第00033626号、第01195040号、第01944865号「OMEGA+Ω」商標と同一又は類似のものをオンラインショップや、いかなる商業的書類、広告、デジタル映像、電子媒体、インターネットまたは他の媒介物にも使用してはならないほか、前記商標を使用したロゴ、広告及び他の販売促進物をはじめとする物品の削除及び廃棄処分をしなければならない。
被告は原告に50万台湾ドル、及び2023年7月19日より弁済日まで年利息5%で計算した利息を支払わなければならない。
原告によるその他の訴えは棄却する。
訴訟費用は被告が五分の一を負担し、残りは原告が負担する。
本判決第二項について、原告は被告のために106万6千台湾ドルの担保を供託した場合、仮執行を行うことができるが、被告は50万台湾ドルの担保を原告のために供託した場合、仮執行が免除される。
原告によるその他の仮執行の申立ては棄却する。
一 事実概要
被告は2023年4月28日から同年5月6日まで、原告の板橋大遠百デパートの売場で「OMEGA」シリーズ腕時計を10点購入し、2023年4月29日より「盾牌牙醫史書華」、「邪教教主史伊森」フェイスブックファンページ及び「史醫師團購網」(史医者の共同購入ネットワーク)でオメガ腕時計の共同購入キャンペーンを開催し、原告の同意や許諾を得ることなく、係争商標と同一又は類似の商標を前記フェイスブックウェブページに使用したほか、「160年の歴史を有するスイスの高級ブランド品・オメガとの提携」との宣伝も行った。
二 両方当事者の請求
(一)原告の請求:
1.被告は原告による「OMEGA+Ω」係争商標と同一又は類似のものをオンラインショップ、いかなる商業的書類、広告、デジタル映像、電子媒体、インターネットまたは他の媒介物にも使用してはならないほか、前記商標を使用したロゴ、広告及び他の販売促進物をはじめとする物品の削除及び廃棄処分をしなければならない。
2.被告は原告に500万台湾ドル、及び訴状謄本送達の翌日より弁済日まで年利息5%で計算した利息を支払わなければならない。
3.被告は運営している被告のフェイスブックファンページの「盾牌牙醫史書華」及び「邪教教主史伊森」を含むが、これらに限らないソーシャルネットワーキングサイトで添付1に示す勝訴記事を掲載し、30日間連続でピン留めをしなければならない。
4.原告は担保供託のうえ、第二項請求申立ての仮執行許可宣告を請求する。
(二)被告の請求:
原告の訴えを棄却する。もし不利な判決を受けた場合、担保供託のうえ、仮執行の免除宣告を請求する。
三 本件の争点
(一)被告は原告との腕時計共同購入提携の協議が成立したと称したが、これは成立したのか?
(二)原告が商標法第68条第1号、第70条第1号の規定に基づき、被告が係争商標を侵害したと主張したことには理由があるか?
(三)原告が商標法第69条第1項、第2項の規定に基づき、被告による係争商標の侵害排除及び防止を請求したことには理由があるか?
(四)原告が商標法第69条第3項の規定に基づき、被告に損害賠償を請求したことには理由があるか?
(五)原告が民法第184条第1項前段、後段及び第2項の規定に基づき、被告に損害賠償を請求したことには理由があるか?
(六)原告が公平取引法第21条第1項、第25条、第29条、第30条、第31条の規定に基づき、被告による係争商標の侵害排除、防止、及び損害賠償を請求したことには理由があるか?
(七)原告が民法第195条第1項後段に基づき、被告に、勝訴記事の掲載を請求したことには理由があるか?
(八)もし原告の損害賠償請求権が成立する場合、被告が賠償すべき金額はいくらか?
四 判決理由要約
(一)被告と原告の腕時計共同購入協議は成立していない。
被告が提出した証拠物の中に、原告のスタッフが、インターネットで係争商標を使用することができると被告に具体的に約束し、及び被告が人を集めて原告の腕時計を共同購入することに同意した原告の腕時計がなく、提携した具体的な内容も欠如している。それ故、被告が共同購入の形式で、原告のために腕時計を販売し、係争商標を使用することに関する双方の提携約定も成立していない。
(二)被告が係争商標を侵害した。
1.被告は、フェイスブックファンページ及び「史醫師團購網」(史医者の共同購入ネットワーク)で、原告による係争商標と同一の商標を使用したほか、「160年の歴史を有するスイスの高級ブランド品・オメガとの提携」等の広告を掲載すると同時に、有名人の写真を複製して合成した写真のリンクを貼り、15パーセントの割引がある等と宣伝し、係争商標を使用してファンページで原告の腕時計商品の購入に誘導したので、関連消費者の混同を引き起こし、被告が原告から共同購入の同意を得たと誤認させたが、始めから被告はウェブページの広告での係争商標の使用について原告からの同意を得ていなかったので、商標法第68条第1号所定の商標権侵害行為を構成する。
2.次に調べたところ、原告による係争商標は著名商標であり、被告が原告の同意を得ることなく、前記ウェブページで係争商標と同一の商標を使用したことは、係争商標が示す原告による販売が単一の出所であるとの特徴を徐々に希釈化又は分散させて、係争商標が関連消費者の心中に単一性を連想させたり、又は独特的な印象を残すことをできなくさせてしまう。よって、係争商標の識別性が希釈化、弱化されるおそれがあるので、自ずと商標法第70第1号所定の商標権侵害行為を構成するとみなす。
(三)被告の行為は公平取引法に違反する。
1.被告と原告の共同購入提携が成立していないのに、インターネットで「160年の歴史を有するスイスの高級ブランド品・オメガとの提携」と掲載したことは、情状不承知の消費者に、被告と原告には、確かに共同購入提携又は許諾関係がある、又は被告から購入する場合、15パーセントの割引があると誤認させるので、これは、商品に関する取引決定に十分に影響する事項についての虚偽不実又は人に誤解を与える表示に該当し、公平取引法第21条第1項の規定に違反する。
2.係争商標は著名商標であり、被告は無断でそのフェイスブックウェブページで原告との共同購入提携を掲載して、被告が既に原告による係争商標の使用同意又は許諾を得たとの消費者の誤認を引き起こしたことは、証人黄誉樞が出頭して証言したことで証明できる一方、被告が有名人及び自分の写真を使用したことにより、関連消費者に、被告が原告のイメージキャラクターであると誤認させたことは、原告が提出した新聞報道を裏付けとして証明できる。よって、被告が、これをもって、消費者にこの共同購入キャンペーンが原告と関わりがあるものであると誤認させたことは、被告が係争商標に便乗し、原告のブランド価値を不当に取得したものであると十分認定できるので、公平取引法第25条の規定に違反する。
(四)原告は被告に係争商標侵害の排除を請求することができる。
前述のとおり、被告による行為は商標法第68条第1号、第70条第1号及び公平取引法第21条第1項、第25条の規定に違反するので、原告が商標法第69条第1項、第2項の規定に基づき、原告の係争商標と同一又は類似のものを使用してはならず、係争商標を含むロゴ、広告及びその他の販売物品を削除又は廃棄処分にするよう被告に請求したことには理由がある。
(五)被告は原告の受けた損害を賠償しなければならない。
本件は商標法第71条第1項第4号に基づき、商標権者が他人への使用許諾により受領できるロイヤルティに相応する方法で、賠償額を計算する。また、原告が本裁判所109年度民商上更一字第2号判決を参照して、国立清華大学科技法律研究所修士論文を引用し、ほとんどの商標ロイヤルティの平均率が5%から10%であるとした前例をもって、被告が係争商標を侵害した本件の損害額について、原告が提出した商標ロイヤルティ比率の10%で計算すると主張した。即ち、被告が係争商標の侵害により原告に損害を賠償すべき金額は308,715台湾ドルである(3,087,150×10%=308,715)。また、原告は次のとおり指摘した。つまり、被告のフェイスブックファンページフォロワー数は16万人であり、市場に一定の影響力があるが、原告の同意や許諾を得ることなく、フェイスブックファンページ及びその「史醫師團購網」で原告の係争商標を使用したことは、悪意がある侵害に該当し、これにより原告は公正な競争の利益に損害を受けたので、被告は懲罰的損害賠償を負担しなければならない。よって、公平取引法第31条第1項の規定に基づき、三倍の懲罰的損害賠償、つまり926,145台湾ドル(308,715×3=926,145)と定め、原告がこの範囲内で50万台湾ドルの支払いを被告に請求したことには理由がある。
(六)被告は、原告のグッドウィルの権益を侵害していない。
証人黄誉樞による「私は、大量に仕入れると価格を安く抑えられると理解していた」等の証言から証明できるように、消費者は比較的安い価格で共同購入に参加しただけで、原告による腕時計商品はやはりメンバーに高く評価されている高級ブランド品であり、被告はネットでオメガ時計ブランド価値を宣伝したり、又は低めたりすることはなかった。また、確かに原告による共同購入の同意を得ておらず、その情報も共同購入の参加者に通知しておらず、又は消費者保護法所定の真実の情報提供に違反しているものの、原告のグッドウィル侵害を構成したとは認められない。また、原告は、被告による前記行為が、オメガのブランド価値にどのように影響したか、原告と顧客の関係がどのように揺るがされたか、及び原告の市場地位が弱体化したかどうか等についての具体的な証拠を提出していない。それ故、原告はそのグッドウィルが被告により侵害されたため、損害賠償として450万台湾ドルの支払い、及び勝訴記事の被告フェイスブックページでの掲載を請求したことは採用できない。
以上を総じると、原告による訴えの一部には理由があり、一部には理由がないので、改正前の知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第79条、第390条第2項、第392条第2項に基づき、主文のとおり判決する。
中華民国114年2月7日
知的財産第二法廷
裁判官 李維心









