商標法第36条第2項は国際権利消尽原則をとっており、いわゆる「商標権者の同意を得た『者』」の認定は、明示的な同意に限らない

2025-07-23 2024年

■ 判決分類:商標権

I 商標法第36条第2項は国際権利消尽原則をとっており、いわゆる「商標権者の同意を得た『者』」の認定は、明示的な同意に限らない。

■ ハイライト
本件上訴人の主張:上訴人の本社シンガポール企業妮芙露国際ホールディングス株式会社(以下シンガポール妮芙露公司という)は2015年に台湾で出願して付図1に示すとおりの登録第01781681号商標権を取得し、並びに同年に訴外人台湾妮芙露株式会社から付図2から10に示すとおりの第01118791号等「NEFFUL」文字商標(以下併せて係争商標という)を譲り受けた。被上訴人が上訴人の同意または許諾を得ずに、そのShopeeショッピングプラットフォームの個人ホームページ(以下係争ウェブページという)に日本で買った、「NEFFUL」図案及び文字が印刷されている商品共28点(以下係争商品という)を陳列して販売し、並びに係争商標と同一または近似の図案及び文字を使用して、上訴人の係争商標権を侵害したので、上訴人はその侵害行為の損害賠償を請求する。
本件は知的財産及び商事裁判所(以下原審という)の判決により棄却されたが、上訴人は不服として上訴を提起した。最高行政裁判所は上訴に理由がないとして判決し、上訴を棄却する判決を下した。

最高裁判所判決趣旨の要約:

一、台湾商標法第36条第2項前段規定により、台湾商標法は国際消尽原則を採用しており、即ち商標権者の同意を得た上で市場で流通している商品について、同条項但書の状況がない場合、明文で真品平行輸入の正当性を認めている。上訴人が公開している広告壁の看板は係争商標文字が使用されているほか、「NEORON」も商品出所を識別するマークとして使用されている。上訴人nefful.com.tw台湾ウェブページに記載の海外拠点にもその本社が含まれており、その本社の英語ウェブページにある住所と上訴人公式サイトに掲載の本社の住所も同一である。上訴人もその本社が日本ネッフル株式会社(以下日本妮芙露公司という)から派生したものであることを否認していない。

二、商標法第36条第2項において、いわゆるその同意を得たというのは、商標権者による明示的な同意に限らず、異なる国家で登録した商標は属地原則の概念下では、確かに異なる商標権であるが、もし本質上その排他権の発生が互いに許諾または販売契約がある同一権利者、同一関連企業またはグループ、ホールディングスと付属会社からのものであり、独占販売または全世界で単一商標のイメージで販売し、または共通商標で販売する戦略を採用している場合、その商標の販売戦略が消費者を混乱させ易いことは、商標権者も認識していながらやはり行っているはずである。なお且つそれ等の者は本来、合法商標物の品質と商標使用状態をコントロールすることができる可能性があり、商標使用状態を確保したり輸入国の商標権者の関連商業的信用を保護することができ、これも商標法第36条第2項の同意範囲に該当する。調べたところ、上訴人及びその本社のウェブページに日本妮芙露公司から来たものだとの記載があり、いずれも係争商標文字を販売及び商品出所を識別するマークとして使用していたことは原審に認定された事実であった。原審は係争商標と係争商品表示の商標が属地原則に基づいて異なる商標権者に属していると認めたものの、本質上排他権の発生は同一権利者からのもので、係争商品は商標権者の同意を得たものであり、国外市場で流通することは商標法第36条第2項平行輸入の真正品に該当するので、上訴人は被上訴人に商標権を行使してはならないと認定した。審理した上、法令違反や誤認はないと認める。

II 判決内容の要約

最高裁判所民事判決
【裁判番号】113年度台上字第882号
【裁判期日】2024年06月27日
【裁判事由】商標権侵害に関する財産権争議請求等

上訴人  シンガポール企業妮芙露国際ホールディングス株式会社台湾支社
被上訴人  蘇芳娜
     呂明真

上記当事者間の商標権侵害に関する財産争議請求等の件について、上訴人が2024年2月1日付知的財産及び商事裁判所第二審更審判決(112年度民商上更一字第2号)を不服として、上訴を提起した。本裁判所は以下のとおり判決を下す。

主文
上訴を棄却する。
第三審の訴訟費用は上訴人が負担する。

一 事実要約
本件上訴人の主張は次のとおりである。上訴人の本社シンガポール企業商妮芙露国際ホールディングス株式会社(Nefful International Holdings Pte. Ltd.即ちシンガポール企業妮芙露国際ホールディングス私人有限公司、以下シンガポール妮芙露公司という)は2015年2月5日に台湾で出願して原判決付図(以下付図1という)に示すとおりの登録第01781681号商標権を取得し、並びに同年8月頃訴外人台湾妮芙露株式会社から付図2から10に示すとおりの第01118791号等「NEFFUL」文字商標(以下併せて係争商標という)を譲り受けた。被上訴人が上訴人の同意または許諾を得ずに、そのShopeeショッピングプラットフォームの個人ホームページ(https://shopee.tw/newfangna、以下係争ウェブページという)で日本で買った、「NEFFUL」図案及び文字が印刷されている、価値が合計116,693台湾ドルの商品28点(以下係争商品という)を陳列して販売し、並びに当該ウェブページに「送料無料日本から持ち帰ったNEFFUL妮芙露全シリーズ」、「持ち帰った日本のよい商品を皆さんに」等文字を記載し、係争商標と同一または類似の図案及び文字を使用し、上訴人の係争商標権を侵害したので、上訴人は係争商品価値の14.5倍の損害賠償1,692,049台湾ドルを請求した。これについて、上訴人は民法第184条第1項前段、第179条、商標法第69条第3項、第71条第1項第3号規定に基づいて、被上訴人に1,650,000台湾ドル及び2020年12月21日より起算の法定延滞利息の支払いを命じる旨の判決を下すよう裁判所に要請した(上訴人は本件が元原審に差し戻される前に延滞利息を2021年2月17日より起算と縮減したが、原審更審時に改めて拡張した)。

二 双方当事者の請求内容
(一)上訴人の主張:原判決を破棄する。(次項請求未開示のため、省略)
(二)被上訴人の主張:上訴を棄却する。

三 本件の争点
商標法第36条第2項について、国際権利消尽原則の下で、いわゆる「商標権者の同意を得た『者』」の認定は、明示的な同意に限るか?
双方の主張(略)

四 判決理由の要約
(一)原審判決の理由は次のとおりである。シンガポール妮芙露公司は係争商標の商標権者であり、一方上訴人はシンガポール妮芙露公司が台湾で設立した支社であり、侵害行為はが台湾国内であり、民事訴訟法第1条第1項、第2条第2項、第15条の類推適用があり、並びに涉外民事法律適用法第25条、第42条第1項規定に基づくと、台湾裁判所に管轄権があり、且つ台湾法律を準拠法とすべきであると主張した。被上訴人はシンガポール妮芙露公司の同意または許諾を得ずに、日本で係争商品を購入して係争ウェブページで販売した。
(二)台湾商標法第36条第2項前段規定により、台湾商標法では国際消尽原則が採用されており、即ち商標権者の同意を得た上で市場で流通している商品について、同条項但書の状況がない場合に、明文で真品平行輸入の正当性を認めている。上訴人が公開している広告壁の看板によると、係争商標文字が使用されているほか、「NEORON」も商品出所を識別するマークとして使用されている。上訴人nefful.com.tw台湾ウェブページに記載の海外拠点にもその本社が含まれており、その本社の英語ウェブページに示される住所と上訴人公式サイトに掲載の本社の住所も同一である。その「about us」、「who we are」のウェブページに「日本妮芙露公司は1973年に上条寿三が設立した…当初日本静岡県で設立された」、「それぞれ1989年に台湾で…2010年にシンガポールで支社が設立され」(NEFFUL Japan was founded in 1973 by Mr. Kamijo Hisami…The company,first established in Shizuoka-ken,Japan…branching out to Taiwan(1989),…and Singapore(2010)……)と記載されており、上訴人ホームページ「妮芙露について」「会社沿革」の記載と同一であり、上訴人もその本社が日本ネッフル株式会社(以下日本妮芙露公司という)から来たものであることを否定していないので、上訴人及びその本社がいずれも日本妮芙露公司と、係争商標及び「NEORON」文字と同一のものを使用していることがわかる。係争商標と係争商品表示の商標は属地原則のため、異なる商標権者に属するが、本質上排他権の発生は同一権利者からのものであり、被上訴人が販売した係争商標を表示する係争商品は平行輸入の真正品であり、商標法第36条第2項規定により、上訴人の商標権に権利消尽の結果が発生するはずである。従って、上訴人が民法第184条第1項前段、第179条、商標法第69条第3項、第71条第1項第3号規定に基づき、被上訴人に1,650,000台湾ドル及び2020年12月21日より起算する法定延滞利息の支払いを命じる旨を請求したことには理由がなく、棄却すべきである。よって、原審では第一審の上訴人敗訴の判決を維持し、その上訴を棄却した。
(三)2011年6月29日商標法改正第36条第2項規定により、登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者により国内外の市場において流通取引されたとき、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない。但し、商品が市場に流通した後に、商品の変質、破損または他人による無断加工、改造の発生を防止するため、又はその他正当な事由があるものはこの限りでない。その立法趣旨は、台湾では商標権国際消尽原則を採用すると明らかに定め、即ち商標権者はその同意を得た上で市場に流通する商品について、同条項但書の状況がない限り、初回投入の市場が国内か国外かを問わず、いずれもその権利を再度主張することができないと、明文で真品平行輸入の正当性を認めることである。また、当該条項のいわゆるその同意を得たというのは、商標権者による明示的な同意に限らず、異なる国家で登録した商標は属地原則の概念では、異なる商標権であるが、本質上その排他権の発生が互いに許諾または販売契約がある同一権利者、同一関連企業またはグループ、ホールディングスと付属会社からのものであり、独占販売または全世界で単一商標のイメージで販売し、または共通商標で販売する戦略を採用する場合、その商標の販売戦略が消費者を混乱させ易いことは、商標権者も認識しながらやはり行っているはずである。なお且つそれ等者は本来、合法商標物の品質と商標使用状態をコントロールすることができる可能性があり、商標使用状態を確保したり輸入国の商標権者の関連商業的信用を保護することができ、これも商標法第36条第2項の同意範囲に該当する。上訴人は日本妮芙露公司と上訴人及びシンガポール妮芙露公司との間の商品は関連性がある云々と自ら述べている(一審ファイル第186頁参照)。原審は係争商標と係争商品表示の商標が属地原則に基づいて異なる商標権者に属していると認めたが、本質上排他権の発生は同一権利者からのもので、係争商品は商標権者の同意を得たものであり、国外市場で流通するものは商標法第36条第2項平行輸入の真正品に該当するので、上訴人は被上訴人に商標権を行使してはならない。審理した上、法令違反や誤認はないと認めた。
(四)以上から論結すると、本件上訴には理由がない。民事訴訟法第481条、第449条、第78条により、主文のとおり判決を下す。

審判長裁判官  盧彦如
裁判官  翁金緞
裁判官  蔡和憲
裁判官  林慧貞
裁判官  周舒雁

本件正本は原本と同一であることを証明する。
書記官 郭詩璿
2024年7月9日

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor