ブート商標に大きな痛手、仏企業からの提訴で、421万新台湾ドルの損害賠償支払命令判決
2025-06-20 2024年
■ 判決分類:商標権
I ブート商標に大きな痛手、仏企業からの提訴で、421万新台湾ドルの損害賠償支払命令判決
■ ハイライト
商標使用について、パロディの構成を主張するならば、大衆がすでに認知している商標を模倣、嘲笑又は揶揄の対象とすると同時に、原作品の意図を伝え、原作品とは異なるユーモア、諷刺又は批判等の娯楽性を有する模倣であり、この二つが同時に対比の情報をもたらすことで、大衆に模倣の商標は楽しむためのものであり、原作品とは無関係であることをすぐに理解させる必要がある。さらに、消費者を混同させるか否かと、模倣者の表現の自由に係る権利を保障するという二つの公共の利益について衡平性を考慮して、商標の使用行為がパロディを構成するかを判断しなければならない。
II 判決内容の要約
知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】112年度民商訴字第7号
【裁判期日】2024年6月28日
【裁判事由】商標権侵害の財産権に関わる争議等
原 告 仏ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON MALLETIER)
被 告 翻玩創意股份有限公司
法定代理人 黃克誠
被 告 陳威穎
劉有倫
主文
一、被告翻玩創意股份有限公司、陳威穎、劉有倫は自ら又は他人に委託してデジタル音声映像、電子メディア、ネットワーク又はその他の方法で以下の行為をしてはならない:
(一)付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案をバッグ、衣服、帽子、ヨガマット、フレグランスキャンドル等のいかなる商品又はその包装容器に使用する。
(二)前項商品を販売、所持、陳列、輸出、輸入又は頒布する。
(三)付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表三の図案を飲食サービスの提供に関連する物品、例えば店内の内装、掛けられている絵、カウンター、バーカウンター、テーブルとイス、卓上スタンド、メニュー、価格表及びドリンクの装飾、名刺等に使用する。
(四) 付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二、三の図案を前記商品又は役務に関連する広告に使用する。
二、被告翻玩創意股份有限公司、陳威穎、劉有倫は、付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案を使用したすべての商品を廃棄しなければならない。
三、被告翻玩創意股份有限公司、陳威穎、劉有倫は「MF LIFE中山」で登録したFBアカウント(URL:https://www.facebook.com/mfxlife2020)に表示されている付表二に示される図案の写真又は動画を削除しなければならない。
四、被告翻玩創意股份有限公司、劉有倫は、原告に対し、連帯して金137万5431新台湾ドル及び2023年5月20日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
五、被告翻玩創意股份有限公司、陳威穎は、原告に対し、連帯して金283万6444新台湾ドル及び2023年5月20日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
六、原告のその余の請えを棄却する。
一 事実要約
原告仏ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)は世界最大の仏ブランドグループLVMH Groupのメンバーであり、その著名商標「Louis Vuitton」(係争商標)は高い識別性を有し、わが国の一般消費者に熟知され、すでに長年にわたり世界の著名商標トップ20に選ばれている。被告翻玩創意股份有限公司(以下「翻玩公司」)及び前後して就任したその代表者である劉有倫、陳威穎は、2020年1月8日から原告の許諾又は同意を得ずに、それが経営する「MFLIFE MADE IN FUTURE NEW AMSTERDAM中山店」(以下「係争商店」)において、原告商標「 」、「 」、「 」、「 」、「 」の図案に類似するものを使用した商品(以下「被告商品」)を販売し、また係争商店において、図案を店内の内装、掛けられている絵、テーブルとイス、メニュー、価格表及びドリンクの装飾等(以下「被告店内物品」)に使用し、さらにそれが運営する「MF LIFE中山」FBファンページ(以下「係争ファンページ」)において当該図案を使用して宣伝を行っていた。原告は、被告の図案が係争商標を故意に模倣したものであり、全体の構成、様式、色、デザイン及び外観がいずれも係争商標と高度に類似しており、被告の行為は商標使用行為を構成しており、消費者を誤認混同させるおそれがあり、また原告はかつて被告に対して商標法違反の刑事告訴を提起しており、捜索したところ侵害疑義品が200件近く差し押さえられ、検察官により起訴されていると主張した。一方、被告は、その「MF BY GCDC」ブランドの商品は諧謔やユーモアというパロディの手法で有名ブランドの商標に改造するもので、反逆精神を伝えており、ストリート文化の「ブートレグ(Bootleg)」という創作であり、消費者は購入するものが、そのブランドの商品であり、係争商標の商品とは無関係であることを明確にわかっているため、商標権侵害を構成しないと答弁した。
二 両方当事者の請求内容
(一)原告の主張(請求の趣旨):
1.被告等は自ら又は他人に委託していかなる方法(例えばデジタル音声映像、電子メディア、ネットワーク又はその他媒介物の方法)でも以下の行為をしてはならない。
(1)付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案をバッグ、衣服、帽子、ヨガマット、フレグランスキャンドル等のいかなる商品又はその包装容器に使用する;
(2)前項商品を所持、陳列、販売、輸出、輸入又は頒布する;
(3)付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案を、店頭及び店内の装飾、掛けられている絵、カウンター、バーカウンター、テーブルとイス、卓上スタンド、メニュー、価格表及びドリンクの装飾、名刺等を含むがそれだけに限定されない、飲食サービスの提供に関連する物品に使用する;
(4)付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案を第一項の商品又は第三項の役務に関連するビジネス文書、店舗前面の看板、屋外の広告板又はその他の広告に使用する。
2.被告等は、付表一の登録商標と同一又は類似のもの又は付表二の図案を使用したすべての商品を廃棄しなければならない。
3.被告等は連帯して費用を負担し、聯合報、自由時報及び中国時報の全国版第一面ヘッドラインニュースの下に、標楷體10ポイントのフォントにて、2枠使いで本件判決書の当事者、事由及び主文を、各1日掲載せよ。
4.被告等は「mfxlife2020」で登録したInstagramアカウント(URL:https://www.instagram.com/mfxlife2020/、以下「係争IG」)、係争ファンページに表示されている付表二に示される図案の写真又は動画を削除しなければならない。
5.被告等は連帯して費用を負担し、本件判決書の当事者、事由及び主文を、係争IGのホームに計30日掲載せよ。
6.被告等は原告に対し、連帯して金10,000,000新台湾ドル及び起訴状副本送達の翌日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
7.原告は担保を条件とする仮執行宣言を求める。
(二)被告の主張(請求の趣旨に対する答弁):
1.原告の訴え及び仮執行宣言申立てを棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。
3.不利な判決を受けたときは、担保を条件とする仮執行免脱の宣言を求める。
三 本件爭點
(一)被告図案を被告商品、係争商店及び係争ファンページに使用した行為は被告等の所為であるのか。
(二)そうならば、被告等が被告図案を被告商品、係争商店及び係争ファンページに使用した行為は、商標法第68条第3号、第70条第1項第1号の原告係争商標の商標権侵害を構成するのか。
(三)原告が商標法第69条第1、2項規定により侵害の排除及び防止並びに廃棄等を請求することには、理由があるのか。
(四)原告が商標法第69条第3項、民法第28条、第185条、公司法第23条第2項の規定により被告に損害賠償を請求することに理由はあるのか。あるならば、金額はいくらなのか。
(五)原告が民法第195条第1項後段の規定により、被告等に費用を負担して判決書を新聞に掲載し、並びに特定のウェブサイトに掲載するよう請求することに理由はあるのか。
四 判決理由の要約
1.裁判所は、被告が被告図案を被告商品、係争商店(装飾、物品)、係争ファンページ等に使用した行為が、販売を目的とし、かつ関連の消費者にそれが商品の出所を表示するものだと認識させるに十分な商標使用行為であると認定する。サプライヤの業務とはそれぞれ独立しているという被告の主張は採用できない。
2.商標権侵害の認定(第68条第3号):裁判所は、被告図案を付表二に示される商品に使用する行為は、商標法第68条第3号の商標権侵害行為に該当すると認める。誤認混同の各要素について、裁判所は次のように判断した。
(1)商標の類似度は高い: 被告図案は係争商標と高度に類似しており、捻じれた人の形「LV」の図案と係争商標を模倣した図案の要素を含んでいる;被告商品(バッグ、衣服、ヨガマット、プラスチック製カップ)と係争商標の指定商品区分(手提げバッグ、衣服、帽子、装飾品、カップ等)とはほぼ同一、又は高度に類似している。
(2)係争商標の識別性は高い:原告の係争商標は国内外で広く知られている著名商標であり、高い識別性を有する。
(3)原告の多角化経営:原告が属するグループには多角化経営の状況があり、皮革製品以外の分野にも進出している。
(4)消費者の熟知度:係争商標は関連する消費者に熟知されている。
(5)行為者は善意ではない:被告は大きな面積で類似の図案を使用し、「LV bag」等名称で販売を行っており、原告のグッドウィルにただ乗りする意図は明らかである。
以上の要素をまとめると、裁判所は被告図案を使用する行為は、関連する消費者に被告商品が原告商品と同一の出所のものである、又は関連がある(例えば使用許諾、加盟、関連企業)と誤認混同を生じさせるに十分であると認める。
3.被告が係争商店において飲食業務を行う時に被告図案を使用する行為は、商標法第70条第1項第1号の商標権侵害と見なされる行為を構成している。係争商標は著名商標であり、飲食業務において高度に類似する図案を使用することで、係争商標が元来単一の出所を示すという印象を減損し、二つ以上の出所を示すものとなってしまい、商標の識別性を毀損するおそれがある。
4.裁判所は被告によるパロディの抗弁を採用しない:裁判所は、パロディとは諧謔、諷刺又は批判などの娯楽性を有するもので、消費者が明らかに区別でき、かつ誤認混同を生じない必要があり、また表現の自由という公共利益を保護する必要性があり、かつ著名商標を不当に利用したり、その識別性/信用・名声を毀損したりするおそれがないものであると指摘したうえで、被告の図案はこれらの要件に適合せず、特に被告商品そのものに自社ブランドを表示しておらず、かつ販売時に「LV」の名称を使用としていることから、その目的が主にジョークであり、商業上の販促ではないとは認めがたいため、被告によるパロディであるという抗弁を棄却する。
5.侵害の排除、防止及び廃棄:裁判所は被告の権利侵害行為に基づき、原告による侵害の排除、防止及廃棄の部分について許可し、類似の図案を商品、包装、飲食関連の物品、広告等に使用することを禁止すること、権利侵害品を廃棄すること、及び係争ファンページに掲載されている関連の写真/動画を削除することを許可する。Instagram(係争IG)の内容を削除する部分の原告請求は、証明する証拠がないため棄却する。
6.損害賠償:
(1)裁判所は、被告が故意又は過失によりその商標権を侵害したため、損害賠償責任を負わなければならないと認める。被告劉有倫、陳威穎は業務の執行により商標権を侵害したため、被告翻玩公司はこれと連帯責任を負わなければならない。裁判所は商標法第71条第1項第3号(販売単価の倍数)及び第2項規定に基づき、被告の権利侵害の状況、原告商標の著名性の程度、被告のただ乗りの意図等の要素を総合的に考慮し、損害賠償金額を斟酌して決定した。
A.付表二の商品部分(商標法第68条の侵害部分):賠償金額は2,211,875新台湾ドルとする。
B.付表三の部分(係争商店経営による商標法第70条の侵害部分):賠償金額は2,000,000新台湾ドルとする。
損害賠償金額の合計は4,211,875新台湾ドルとなる。
(2)劉有倫と陳威穎の翻玩公司代表者としての任期に基づいて、裁判所は2人がそれぞれ(翻玩公司と)連帯して責任を負うべき損害賠償金額を計算した結果、被告翻玩公司と劉有倫は連帯して1,375,431新台湾ドルを賠償し、被告翻玩公司と陳威穎は連帯して2,836,444新台湾ドルを賠償するものとする。
7.新聞掲載による名誉回復請求を棄却する:裁判所は、原告が被告の行為によりそのグッドウィルが毀損されたという客観的証拠を提出しておらず、係争商店がすでに廃業しており、かつ本件判決書全文が司法院のサイトに公開され、社会の大衆が内容を理解するのに十分であり、すでに許可した金銭による賠償、侵害の排除と廃棄等により十分に原告の受けた損害は回復していると認め、新聞掲載又はサイト掲載の請求を棄却する。
2024年6月28日
知的財産第三法廷
裁判官 王碧瑩









