異議申立対象商標の識別性認定の基準時、及び複数商標の組合せ使用時の後天的識別性に係る使用事実証拠の採用原則

2025-04-23 2024年

■ 判決分類:商標権

I 異議申立対象商標の識別性認定の基準時、及び複数商標の組合せ使用時の後天的識別性に係る使用事実証拠の採用原則

II 判決内容の要約

最高行政裁判所
【裁判番号】111年度上字第463号
【裁判期日】2024年2月22日
【裁判事由】商標異議申立

上訴人 勢得科研股份有限公司(Starek Scientific Co., Ltd.)
被上訴人 経済部
参加人  科研市集有限公司(Science Research Market Co., Ltd)

上記当事者間の商標異議申立事件について、上訴人は2022年4月13日付の知的財産及び商事裁判所110年度行商訴字第78号行政判決に対して上訴し、本裁判所は次の通りに判決する。

主文
一、上訴を棄却する。
二、上訴審の訴訟費用は上訴人の負担とする。

理由
上訴人は以前、「科研市集」について商標法施行細則第19条第1、9、35及42類の商品及び役務での使用を指定して登録出願を行い(詳しくは原判決の添付図の通り)、経済部知的財産局(以下「知財局」)は第02031242号商標(以下「係争商標」)として登録することを許可した。参加人は2020年3月11日に係争商標の登録には商標法第29条第1項第1号、第3号及び第30条第1項第4号、第10号規定の違反があるとして、これに対する登録異議を申し立てた。知財局は審理した結果、係争商標の登録には上記規定の違反はないとして、2021年3月31日付中台異字第G01090151号商標異議申立審決書を以って登録異議申立の不成立の処分(以下「原処分」)を下した。参加人は行政訴願を提起し、被上訴人は商標法第29条第1項第1号規定に違反し、かつ後天的識別性を得ていないと認め、2021年9月10日付経訴字第11006305480号行政訴願決定書を以って原処分を取り消し、知財局に4ヵ月以内に改めて適法な処分を行うよう決定した。上訴人はこれを不服として行政訴訟を提起し、訴願決定の取消しを請求したが、原判決では棄却されたため、本件上訴を提起した。
本裁判所は原判決を審理したところ誤りはなく、ここに上訴趣旨について次のように論断する。
(一)調べたところ、係争商標はデザインが施されていない横書きの中国語の文字「科研市集」で構成されており、その中の「科研」という単語は、サイト「教育部 重編國語辭典修訂本」には掲載されていないが、科技部が科学技術基本法に基づいて制定した「科學技術研究發展採購監督管理辦法(Regulations Governing Procurements for Scientific and Technological Research and Development)」において「科學技術研究發展採購(Procurements for Scientific and Technological Research and Development)」は「科研採購」と略称されており、「科研」は即ち科学技術研究又は科学研究の略称である。そして「市集」という単語は「國語辭典修訂本」において、決まった時間、場所において物の売買が行われる場所を指すと掲載されており、それは原審が法により認定した事実である。原審は係争商標が第1類「工業用化学品;……」、第9類「実験用機械器具、……」、第35類「金属製品の小売及び卸売;……」及び第42類「研究と開発の提供;……」等の商品及び役務における使用を指定しているため、関連の消費者に認知させる印象は、それが科学研究に関連する器材等の商品であること、又は販売する商品が科学研究と関連すること、又は科学研究に関連する役務を提供することを描述するものであることであり、客観的に消費者にそれが商品又は役務の出所を表彰する標識であると認識させ、それによって他人の商品又は役務と区別できるには十分ではなく、識別性を有しないと認めた。「市集」はすでに知財局によりディスクレーム(権利不要求)の例として公告されており、ディスクレームの「市集」はその他の識別性を有しない「生鮮」、「生活」と組み合わせた単純な文字で構成される「生鮮市集」、「生活市集」もまた識別性がなく、さらにその他の識別性がある図や文字と組み合わせることで始めて、その商標全体が先天的識別性の要件に適合するものとなる。したがって、係争商標の単純な「科研市集」という文字は、商品及び役務の出所を十分に表彰できない標識であり、識別性を有しないと認めるべきであり、商標法第29條第1項第1号に規定される登録を受けることができない状況がある。
(二)2011年6月29日改正公布前の商標法(即ち2003年5月28日改正公布の商標法)第23条に規定される「次に掲げる状況の一に該当するときは、登録を受けることができない。:……」について、立法理由には「旧条文に定められた『登録出願することができない(原文:不得申請註冊)』とは、実務上登録を受けることができるかは出願時を判断の時点とするものであるが、商標は審査をして始めて登録を受けることができ、通常は一定の期間が必要であり、出願時には登録を受けることができない状況があっても、審査時にすでにその状況が存在しないことがよくあり、公益に違反せず、また他人の権益を妨げないとき、出願時を登録の可否を決める時点とすることは、不合理であるといえる。よって、『登録出願することができない(原文:不得申請註冊)』を『登録を受けることができない(原文:不得註冊)』に変更した。どのような状況が出願時を基準とすべきかについては、明確にするために別途第2項に規定する。」と記載されており、現行商標法第30条第2項には前項第 9 号及び第 11 号から第 14 号までに規定する産地表示、著名及び先使用を認定する際は、出願時を基準とするとのみ規定されており、商標が先天的識別性を有する、又はすでに後天的識別性を得ていることで登録することができるかは、登録査定時を基準とするべきである。商標法第60条に規定されている「無効審判事件において無効審判請求が成立した場合、その登録を取り消さなければならない。但し、登録できない状況がすでに存在しない場合は、公益及び当事者の利益の衡平を斟酌して、無効審判請求を不成立と審決することができる。」について、立法理由には「…四、また商標異議申立事件については、商標登録公告日から3ヵ月以内にこれを行わなければならず、その短期間における公益と私益の変動は比較的軽微であるため、本条の但書規定を適用する必要がないことを、併せて説明する。」と記載されており、商標異議申立事件に商標法第60条但書規定を適用することを排除している。よって商標が先天的識別性を有さず、登録査定時の使用証拠においてすでに後天的識別性を得ていることを証明できないならば、商標所管機関はその登録を許可してはならないことが分かる。これにより、行政訴訟中に、行政裁判所が商標の登録査定後に後天的識別性を得た事実の状態を斟酌して異議申立ての不成立を認定することができることを認めれば、商標異議申立制度における登録瑕疵の迅速な修正と、商標登録の公信力機能の強化に違背することに疑いの余地はなく、商標法が異議申立制度を商標法第60条但書適用から排除するという立法目的に適合しない。よって、行政裁判所は商標異議申立事件において商標の識別性欠如についての認定は、その事実状態の基準時を係争商標の登録査定時とすべきであり、異議の決定時ではなく、事実審裁判所の口頭弁論終結時でもない。
(三)標識が後天的識別性を得たか否かの判断は、権利者が提出する証拠資料について、商品又は役務の出所を示すものとして使用されているかを審理し、個別の実際の取引市場に関連する事実を斟酌して、わが国の消費者がそれと商品又は役務の出所と連結させているかを、総合的に審理する。原則的に、直接的で明確な記述的文字又は識別性を有しない標識であるほど、消費者はそれを出所識別の商標とはみなさず、関連の消費者にその標識が商標であると認識させるにはより多くの関連する物件や媒体物の使用が必要となる。当該標識が単独使用ではなく、その他の商標と組み合わせて使用されるとき、組合せ使用の資料を標識の使用証拠とするならば、その組み合わせて使用されたもう一方の商標を排除しても、なお単独で識別性がある場合に始めて登録できる。標識は通常、その他の商標と組み合わせて使用される状況において、その識別性取得を証明するのに、より多くの使用証拠が必要となる。原審は上訴人が提出した証拠を総合的に観察した後に、上訴人が提出した証拠資料はいずれも係争商標がすでに後天的識別性を取得していることが認められず、その事実認定と法の適用は論理則と経験則に反するところはなく、判決に理由不備という状況はない。
以上の次第で、本件上訴には理由がなく、改正前の知的財産事件審理法第1条及び行政訴訟法第255条第1項、第98条第1項前段により、主文の通り判決する。

2024年2月22日
最高行政裁判所第二法廷
裁判長 陳國成
裁判官 簡慧娟
裁判官 陳文燦
裁判官 林淑婷
裁判官 蔡如琪

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