フランチャイズ契約終了後、被告に引続きフランチャイズ商標を使用する意思があるかの判断

2023-05-30 2022年

■ 判決分類:商標権

I フランチャイズ契約終了後、被告に引続きフランチャイズ商標を使用する意思があるかの判断

II 判決内容の要約

知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】111年度民商訴字第4号
【裁判期日】2022年05月31日
【裁判事由】商標権侵害に関する財産権争議等

原告 高煌棋
被告 林東福即ち東福小吃店

前記当事者間の商標権侵害に関する財産権の請求争議等事件について、2022年5月12日本裁判所は口頭弁論を終結し、以下の通り判決する。:

主文
原告の訴え及び仮執行の申立てをすべて棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
一、原告の主張:
原告は登録商標第01144928号「龍涎居及び図及び雞膳食坊」商標(以下係争商標という)の商標権者であり、且つ高氏饗宴国際股份有限公司(以下高氏公司という)の代表者でもあり、2015年4月14日に被告は高氏公司とフランチャイズ契約を締結し、高氏公司のフランチャイズチェーンシステムに加盟した。原告は加盟期間内に係争商標の使用権利を被告に許諾し、加盟期間は2015年4月14日から2020年4月14日までで、契約満了後、2025年9月30日まで契約更新すると双方で合意した。しかし2021年5月頃、被告は不実な言論により高氏公司の商業的名声及び信用評判を毀損し、且つ無断で高氏公司ではない者から原材料を購入し、フランチャイズ契約書の重大な違約を構成したので、2021年5月13日に高氏公司は内容証明郵便によりフランチャイズ契約を解約した。しかし被告は引続きもとの場所で係争商標を看板、メニュー、オーダー表及びフェイスブックに使用して、対外的に営業し、原告の係争商標の商標権を侵害した。

二、被告の答弁:
2021年5月13日に原告は契約解約の台北圓山郵便局137号内容証明郵便を発送したが、被告は同年5月14日に受取った後、続々係争商標があったアイテム、例えばメニュー、オーダー表、制服、店内表示、FBファンページの専門的な写真等の変更、差し換え、抹消、または除去を行い、且つ同年5月19日に看板を撤去したので、龍涎居の名義では対外的に営業していない。被告が引続き係争商標を使用してフェイスブックファンページを運営したと原告は述べたが、フェイスブックファンページの名称変更はフェイスブック社側の審査の必要があり、約10日必要であることは、同年5月14日に被告がファンページのプロフィールアイコンを変更したのに名称は変更することができなかったことからわかる。よって、被告は原告の係争商標の商標権を侵害しておらず、原告の前記請求には、明らかに理由がない。

三、心証を得た理由:
(一)前記フランチャイズ契約終了後も、被告が引続き係争商標を看板、メニュー、オーダー表に使用していると原告は主張し、且つ証明として原証4、5、6、7を提出したが、原証5、6、7の写真を見ると、係争商標を使用したメニューは見あたらず、その一部の左上隅に「龍●居」文字が表示されているが、「龍●居」文字の二文字目が塗りつぶされていたので、それが何語なのかわからず、この部分のメニューが係争商標を使用しているとは認定できない。2021年5月14日に被告は前記内容証明郵便を受取った後、当日高氏公司とのフランチャイズ契約解約の公告を店頭に掲示し、更に「聚鼎閣極品養生膳坊」に名称変更し、また同年月19日に看板を差し換え、且つ証明として龍涎居のフランチャイズ契約解約の公告、看板撤去の会話、写真を提出したので、前記公告の期日は確かに2021年5月14日であり、看板撤去の会話内容は確かに2021年5月19日であり、写真の看板も「龍涎居雞膳食坊-忠孝復興店」ではなくなっていたので、この部分の事実は認定できる。よって、前記看板には2021年5月14日から同年月19日(計6日、その内の5月15、16日は週末の休日)まで「龍涎居雞膳食坊-忠孝復興店」の文字があったが、2021年5月14日に被告が前記名称変更の公告を行ったことを斟酌すると、明らかに引続き係争商標を使用する意思はなく、また前記看板写真及び看板撤去の写真両方を互いに見ると、当該看板には4つの面があり、そのひとつが、建物の外壁の2階から4階の間に設置された大型の縦看板で、かなり大きく、そして解体当日はクレーンと専門人員が処理するので、クレーンのレンタル時間や、工事に協力する人員の時間の連絡・交渉のため、一定量の連絡と作業時間が明らかに必要であり、被告が4 営業日以内に上記の看板を取り外したことは(即ち前述は週末の休日を除く)、明らかに合理的な作業期間であるので、引続き係争看板を使用する意思はなく、前記看板の処理に合理的な時間が必要で、2021年5月14日にすぐに取り壊すことができなかったとの被告の抗弁には、根拠がないわけでもないので、被告に係争商標権を侵害する行為がないと十分に認定できる。原告のこの部分の主張には、明らかに理由がない。

(二)被告がフランチャイズ契約解約後、フェイスブックページに「龍涎居-忠孝復興店」等文字を使用したと原告は主張し、且つ証明としてフェイスブックスクリーンショットを提出したが、被告は同年5月14日にフェイスブックページの画像を変更し、フェイスブックファンページの名称変更もフェイスブック社側の審査の必要があり、約10日必要なので、直ちにフェイスブック名称を変更することができなかったと抗弁し、且つ証明としてフェイスブックスクリーンショットを提出した。原告が提出したフェイスブックスクリーンショットをみると、当該フェイスブックのトップページの写真は確かに5月13日に聚鼎閣の画像に変更したが、名称はまだ「龍涎居-忠孝復興店」であった。しかし2021年5月14日に被告がフランチャイズ解約の公告を掲示し、及び同年月13日にフェイスブックページの写真を変更したこと等を斟酌すると、被告には確かに引続き係争商標を使用する意思がないことがわかり、従って、フェイスブックファンページの名称変更はフェイスブック社側の審査の必要があり、約10日必要で、直ちにフェイスブック名称を変更することができなかったと被告が述べたことには、明らかに根拠がないわけでもない。

以上をまとめると、原告は、被告が2021年5月14日以後係争商標をメニューに使用したことを証明することができず、また被告が直ちに前記看板を撤去せず、直ちにフェイスブック名称を変更しなかったことは、いずれも商標法第5条でいう「商標の使用」ではなく、前述の通り、当然商標法第68条第1項第1号または第3号の商標権侵害を構成しない。よって、被告が係争商標を看板、メニュー、オーダー表、フェイスブックに使用し、係争商標の商標権を侵害したと原告が主張し、且つ商標法第69条第1項、第3項、民法第195条1項規定により、侵害の排除、防止、判決書への掲載、損害賠償及び法定遲延利息を被告に請求したことには、すべて根拠がなく、棄却すべきである。また原告の訴えが棄却されたので、その仮執行の請求の根拠もなくなったため、併せて棄却すべきである。

2022年5月31日
知的財産第三法廷
裁判官 王碧瑩

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor