facebookがlovebook登録商標で提訴

2016-01-13 2014年
■ 判決分類:商標権

I facebookがlovebook登録商標で提訴

■ ハイライト
世界最大規模を誇るSNSサイト、フェイスブック社(Facebook, Inc.)は一触科技股份有限公司(One-Touch Multimedia Technology co., Ltd.、以下「一触科技」)が2011年知的財産局に対してlovebook商標の登録を出願して許可査定を受けたことを不満とし、公衆を混同させる商標であるとして、海外から訴訟を提起した。知的財産裁判所は、一触科技のlovebook登録は善意によるものではなく、かつ利用者に誤認混同を生じさせる可能性が確かにあると認め、知的財産局にlovebook商標の登録取消を命じた。
知的財産裁判所は、「facebook」商標の登録はより早い時期に行われ、高度に著名な商標に該当し、わが国消費者にも熟知されており、両商標の類似度は高くないものの、いずれもコミュニケーション、エンターテイメント、教育等の情報サービスを提供しており、消費者に誤認混同を生じさせる可能性が極めて高く、さらにlovebookのサイトがフェイスブックのサイトに酷似しており、商標登録が善意によるものではないことがうかがえるため、フェイスブック社勝訴の判決を下し、知的財産局にlovebook商標登録取消を命じた。全件はさらに上訴できる。(蘋果日報 2015年1月13日)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】103年度行商訴字第98号
【裁判期日】2014年12月31日
【裁判事由】商標異議

原告 米国企業フェイスブック社(Facebook, Inc.)
代表者 キャサリン・ジョンストン(Kathleen Johnston)
被告 経済部知的財産局
参加人 一触科技股份有限公司(One-Touch Multimedia Technology co., Ltd.)

上記当事者間における商標異議事件について、原告は経済部2014年6月11日経訴字第0306105170号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起した。さらに当裁判所は参考人に独立して被告の訴訟に参加するよう命じた。当裁判所は次のとおり判決する。

主文
訴願決定および原処分(訳注:異議申立不成立処分)をいずれも取り消す。
被告は登録第1535470号「lovebook及び図」商標の許可査定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2011年9月30日、当時商標法施行細則第13条に定める商品及び役務区分表第38類、第41類、第42類、第45類の役務での使用を指定して「lovebook及び図」商標の登録を被告に出願した。被告は審査して2012年9月1日登録第1535470号商標として登録することを許可したが、その後原告は係争商標が商標法第30条第1項第10号及び第11号に違反しているとして、これに異議を申し立てた。被告は審理した結果、2013年12月20日中台異字第G01010971号商標異議決定書を以って「異議申立不成立」の処分を下した。原告は経済部に行政訴願を提起したが、経済部は2014年6月11日経訴字第10306105170号訴願決定を以って棄却した。原告はこれを不服として、その後当裁判所に行政訴訟を提起した。当裁判所は本件判決の結果が参加人の権利又は法律上の利益に影響をもたらすと認め、職権により参加人に本件被告の訴訟に独立して参加するよう命じた。

二 両方当事者の請求内容
原告の主張:原処分(訳注:商標登録許可)及び訴願決定並びに被告による係争商標異議案件に対する異議申立不成立処分を取り消す。
被告の主張:原告の請求を棄却する。

三 判決理由の要約
(一)商標法第30条第1項第10号と第11号にはそれぞれ「同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの(は登録してはならない)。但し、当該登録商標又は先に出願された商標の所有者の同意を得て出願し、且つ、明らかに不当でないものは、この限りでない。」、「他人の著名な商標又は標章と同一又は類似し、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある、又は著名商標又は標章の識別力又は信用・名声に減損(希釈)を生じさせるおそれがあるもの(は登録してはならない)。但し、当該商標又は標章の所有者の同意を得て登録出願するときは、この限りでない。」と規定されている。本条項第10号及び第11号前段において商標の類似はそれぞれ「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある」、「関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある」という要件を満たす必要があり、それによって始めて登録してはならない事由を構成する。いわゆる「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある」、「関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある」とは、商標が関連する公衆又は関連する消費者にそれが表彰する商品の出所又は生産の主体について誤認混同をもたらすおそれをいう(最高行政裁判所2009年度判字第455号判決を参照)。即ち両商標が同一又は類似を構成することにより、関連する消費者に同一の商標であると誤認させる、又は同一の商標であるとは誤認させるには至らないが、両商標の商品又は役務が同一の出所のものである、又は両商標の使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させる可能性が極めて高いことをいう。また、二商標における誤認混同のおそれの有無の判断については、(1)商標識別力の強弱、(2)商標の類否及びその類似の程度、(3)商品/役務の類否及びその類似の程度、(4)先権利者の多角化経営の状況、(5)実際の誤認混同の状況、(6)関連する消費者の各商標に対する熟知度、(7)係争商標の出願人が善意であるか否か、(8)その他の誤認混同に関する要素等を参酌し、関連する公衆、消費者に誤認混同を生じさせるおそれに至るか否かを総合的に認定すべきである。

(二)係争商標の登録は商標法第30条第1項第11号前段及び第10号本文の規定に違反している:
1.引用商標が著名商標か否か及びその著名の程度:
原告が提供した資料に基づき、引用商標は係争商標登録日2011年9月30日以前に、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)において国内の関連する事業者及び消費者に普遍的に認知されており、高度に著名な商標であると認定できる。

2.係争商標と引用商標の類否及びその類似の程度:
係争商標は長方形の横帯部分が赤で、引用商標第1546254号商標が青であるのとは異なる。また、一見した時に消費者に深い印象を与え注意を惹きつけるアルファベットの開始部分はそれぞれ「love」と「FACE/face」であり、係争商標のアルファベットの2文字目の「o」の内部に赤いハートマークが形成されている点で異なり、同じく「book」に接続しており、係争商標「lovebook」(中国語訳「愛書」)と引用商標「facebook」(中国語訳「臉書」)は図案の外観、意味、一連の呼称においていずれも区別できるものであり、両商標は類似の程度が高くない商標に該当する。

3.係争商標と引用商標の商品/役務の類否及びその類似の程度:
全体的にみると、両商標の指定する役務は同一又は類似の程度が高く、消費者の同一又は類似する需要を満足することができ、性質、機能等の要素においていずれも共通又は関連する箇所を有し、両者は同一又は高度に類似する役務に該当する。

4.商標識別力の強弱:
引用商標は外国語「FACE/face」が「book」と結合し、一つの総体的な概念を見るものに与えている。引用商標第1546254号「Facebook Logo」商標は白い文字が青い長方形の横帯に配置されて構成されており、相当のデザインを経て、その図案は使用を指定された第38類、第41類、第42類、第45類の役務とは直接的な関連性が無く、原告が広く使用することで、わが国の消費者に熟知されており、著名商標に該当し、前述の通り引用商標が消費者に与える印象は高い識別力を有する。一方、係争商標は外国語「love」、「book」の組合せであり、白い字の外側には赤い長方形の横帯が有り、2文字目のアルファベット「o」の内側にはハートマークの形状が形成されており、全体の外観はデザインによりその図案と使用が指定された前記役務とは直接的な関連性が無く、これもまた相当の識別力を有する。

5.係争商標が2011年9月30日に始めて登録を出願したのに比べて、引用商標第1288659、1353177、1546254号商標はそれぞれ2006年3月21日、2007年11月20日、2010年5月25日に登録を出願し、それぞれ2007年11月16日、2009年3月1日、2012年11月1日に登録が公告されている。わが国は商標登録主義と先願主義を採用しているため、引用商標により大きな保護を与えるべきである。

6.関連する消費者の各商標に対する熟知度:
当裁判所はファイルに添付されている既存資料から、引用商標の方が関連する消費者に熟知されていると認めるため、より大きな保護を与えるべきである。

7.係争商標の出願人が善意であるか否か:
参加人は著名なFacebookというSNSサイトが存在する状況において、係争商標をユーザーインターフェースとページ機能が高度に類似するページに使用し、引用商標が使用を指定するジャンルと高度に類似する役務における使用を指定して登録を出願しており、善意に該当するとは認め難い。

8.斟酌したところ、係争商標と引用商標は図案の類似度が高くないものの、両商標の役務区分は高度の類似し、引用商標は識別力の高い著名商標であり、関連する消費者が係争商標より引用商標を熟知している上、係争商標が参加人によって指定された前記役務区分において長期的に広く使用され、わが国の関連する消費者又は公衆が認識するところとなっており、引用商標と異なる出所からのものであると区別でき、関連する消費者又は公衆に誤認混同を生じさせる状況には至らないと証明できる証拠がなく、また参加人が出願した係争商標の登録は善意によるものとは言い難い。総合すると、上記の関連要因が特に符合していることにより、その他の要因に対する要求が下がるため、客観的に係争商標には、関連する消費者又は公衆に係争商標の役務が引用商標の役務と同一の出所からのシリーズの役務であると誤認させる、又はそれらの使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させることにより、誤認混同を生じさせるおそれがあると認めることができる。参加人はさらに引用商標の所有者、即ち原告に同意を得ずに係争商標を出願しており、したがって、当裁判所は係争商標に対して商標法第30条第1項第11号前段、第10号本文規定を適用し、その商標登録を取り消すべきであると認定する。

以上の次第で、本件原告の請求には理由があり、智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、行政訴訟法第200条第3号、第98条第1項前段により主文のとおり判決する。

2014年12月31日
知的財産裁判所第三法廷
裁判長 蔡惠如
裁判官 林静雯
裁判官 陳端宜
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