「二哥」がさらに提訴、「玉珍齋」商標をめぐる争いが再発

2016-01-13 2014年
■ 判決分類:商標権

I 「二哥」がさらに提訴、「玉珍齋」商標をめぐる争いが再発

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事決定
【裁判番号】103年度民暫字第17号
【裁判期日】2014年12月24日
【裁判事由】暫定的な状態を定める処分(仮の地位を定める仮処分)申立て

申立人 玉珍齋食品股份有限公司
兼法定代理人 黄○栩
申立人 李○儀即ち復豐堂商號
相手方 玉珍齋国際開発有限公司
法定代理人 黄○彬

上記当事者間における暫定的な状態を定める処分申立事件ついて、台湾台中地方裁判所は当裁判所に審理を移送するよう決定した。当裁判所は次のとおり決定する。

主文
申立人の玉珍齋食品股份有限公司、黃〇栩、李〇儀即ち復豐堂商號が70万新台湾ドルを相手方に担保として供託した後、本案判決が確定するまでは、玉珍齋食品股份有限公司、黃〇栩、李〇儀即ち復豐堂商號が「玉珍齋」の名称で商品区分第24類「飴、クッキー、パン、ケーキ、蜜餞(砂糖漬けフルーツ)、蛋黃酥(黄身入りパイ)、紅豆糕(小豆落雁)、綠豆糕(緑豆落雁)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、冬瓜酥(冬瓜ケーキ)、杏仁糕(アーモンド落雁)、麻花(ねじり揚げ菓子)、玉米酥(ポレンタビスケット)、方塊酥(サイコロ形ビスケット)、芝麻酥(胡麻ケーキ)、香妃酥(ココナッツケーキ)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)」、第30類「米果(米製スナック)、巧果(七夕に食べる焼き菓子)、月餅(中秋節に食べる焼き菓子)、桃餅(桃をデザインした焼き菓子)、蛋捲(シガレットクッキー)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)、煎餅、クラッカー、派餅(パイ皮包み菓子)、烤餅(スコーン)、綠豆糕(緑豆落雁)、紅豆糕(小豆落雁)、クラッカー、太陽餅(台中名産焼き菓子)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、蘿蔔酥(細切大根入りパイ)、玉米酥(ポレンタビスケット)、鳳眼糕(切れ長の目を模った落雁)、蓮子酥(蓮の実の粉を使ったビスケット)、梅香酥(梅入りパイ)、蛋黄酥糖(卵黄トフィー)、生姜飴、飴糖(麦芽糖水飴)、貢糖(福建ピーナツ・ブリトル)、涼糖(ミントキャンディ)、ミルクキャンディ、フルーツキャンディ、牛軋糖(ミルク味ヌガー)、花生糖(ピーナツ・ブリトル)、食パン、ケーキ、パン、ハンバーガー、サンドイッチ、ショートケーキ、アイスクリームケーキ、太妃糖(トフィー)、健素糖(酵母入り飴)、芝麻糖(胡麻ブリトル)、棒付きキャンディ、冬瓜飴、ココナッツ飴、朝鮮人参飴、チョコレート飴、コーヒー飴、青草飴、チューインガム」等の商品に使用して販売することを相手方が妨害、干渉することを禁じる。
申立手続費用は相手方の負担とする。

一 事実要約
黄〇栩と相手方の玉珍齋国際開発有限公司の唯一の株主及び法定代理人である○○○は兄弟であり、父は○○○、母は○○○○、第一子は○○○、第二子は○○○、第三子は○○○である。彰化県○○鎮の中華菓子老舗「玉珍齋」は1963年に創業され、1988年5月16日に○○○が「玉珍齋商號」即ち「玉珍齋○○○」の名義で登録第400680号「玉珍齋」商標を取得し、商品区分第24類「飴、クッキー、パン、ケーキ、蜜餞(砂糖漬けフルーツ)、蛋黃酥(黄身入りパイ)、紅豆糕(小豆落雁)、綠豆糕(緑豆落雁)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、冬瓜酥(冬瓜ケーキ)、杏仁糕(アーモンド落雁)、麻花(ねじり揚げ菓子)、玉米酥(ポレンタビスケット)、方塊酥(サイコロ形ビスケット)、芝麻酥(胡麻ケーキ)、香妃酥(ココナッツケーキ)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)」等商品での使用を指定した。さらに1997年11月16日、玉珍齋商號即ち「玉珍齋○○○」の名義で登録第786261号の「玉珍齋鳳黄酥」商標を取得し、商品区分第30類「米果(米製スナック)、巧果(七夕に食べる焼き菓子)、月餅(中秋節に食べる焼き菓子)、桃餅(桃をデザインした焼き菓子)、蛋捲(シガレットクッキー)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)、煎餅、クラッカー、派餅(パイ皮包み菓子)、烤餅(スコーン)、綠豆糕(緑豆落雁)、紅豆糕(小豆落雁)、クラッカー、太陽餅(台中名産焼き菓子)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、蘿蔔酥(細切大根入りパイ)、玉米酥(ポレンタビスケット)、鳳眼糕(切れ長の目を模った落雁)、蓮子酥(蓮の実の粉を使ったビスケット)、梅香酥(梅入りパイ)、蛋黄酥糖(卵黄トフィー)、生姜飴、飴糖(麦芽糖水飴)、貢糖(福建ピーナツ・ブリトル)、涼糖(ミントキャンディ)、ミルクキャンディ、フルーツキャンディ、牛軋糖(ミルク味ヌガー)、花生糖(ピーナツ・ブリトル)、食パン、ケーキ、パン、ハンバーガー、サンドイッチ、ショートケーキ、アイスクリームケーキ、太妃糖(トフィー)、健素糖(酵母入り飴)、芝麻糖(胡麻ブリトル)、棒付きキャンディ、冬瓜飴、ココナッツ飴、朝鮮人参飴、チョコレート飴、コーヒー飴、青草飴、チューインガム」等商品での使用を指定しており、これについては商標登録願及び経済部中央標準局(訳注:知的財産局の前身)の商標登録証で調べることができる。1990年○○○と○○○○の第一子○○○、第三子○○○はいずれも中華菓子製造業にまだ従事しておらず、第二子である申立人○○○は当時25歳であり、○○○と○○○○の両名は申立人○○○の創業を手伝い、新店舗の設立を準備し、○○○は申立人○○○に「玉珍齋」商標で中華菓子等商品を販売することを許諾していた。申立人○○○は1990年3月16日に○○鎮○○路○○号楼物件を賃借し(申立人証拠3)、「玉珍齋」商標と名義を使用して中華菓子等商品の販売を開始した。ところが2014年3月に母○○○○が上記「玉珍齋」、「玉珍齋鳳黄酥」商標を第三子○○○が100%出資した新会社、即ち相手方の玉珍齋国際開發有限公司に譲渡し(申立人証拠十七)、相手方は間もなく2014年6月9日弁護士に委託して、申立人等に「玉珍齋」を含む文字の看板及び包装の使用を禁じる旨を書簡で通知した。申立人等は急務の回復し難い重大な損害を受けることを避けるため、暫定的な状態を定める処分(訳注:日本でいう「仮の地位を定める仮処分」に相当)を申し立て、相手方が本案判決の確定まで、申立人が「玉珍齋」又は「玉珍齋--二哥的玉珍齋」を商品区分第24、30類等の中華菓子に使用して販売することを相手方が妨害、干渉することを禁じるよう請求し、疎明(の不足)に代えて担保を供託する旨を示した。

二 両方当事者の請求内容
(一)申立人:申立人等は担保を供託するので、本案判決が確定するまで申立人等が「玉珍齋」又は「玉珍齋--二哥的玉珍齋」の名称を区分第24類「飴、クッキー、パン、ケーキ、蜜餞(砂糖漬けフルーツ)、蛋黃酥(黄身入りパイ)、紅豆糕(小豆落雁)、綠豆糕(緑豆落雁)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、冬瓜酥(冬瓜ケーキ)、杏仁糕(アーモンド落雁)、麻花(ねじり揚げ菓子)、玉米酥(ポレンタビスケット)、方塊酥(サイコロ形ビスケット)、芝麻酥(胡麻ケーキ)、香妃酥(ココナッツケーキ)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)」、第30類「米果(米製スナック)、巧果(七夕に食べる焼き菓子)、月餅(中秋節に食べる焼き菓子)、桃餅(桃をデザインした焼き菓子)、蛋捲(シガレットクッキー)、糕餅(中華風ペストリー)、酥餅(中華風パイ)、煎餅、クラッカー、派餅(パイ皮包み菓子)、烤餅(スコーン)、綠豆糕(緑豆落雁)、紅豆糕(小豆落雁)、クラッカー、太陽餅(台中名産焼き菓子)、鳳梨酥(パイナップルケーキ)、蘿蔔酥(細切大根入りパイ)、玉米酥(ポレンタビスケット)、鳳眼糕(切れ長の目を模った落雁)、蓮子酥(蓮の実の粉を使ったビスケット)、梅香酥(梅入りパイ)、蛋黄酥糖(卵黄トフィー)、生姜飴、飴糖(麦芽糖水飴)、貢糖(福建ピーナツ・ブリトル)、涼糖(ミントキャンディ)、ミルクキャンディ、フルーツキャンディ、牛軋糖(ミルク味ヌガー)、花生糖(ピーナツ・ブリトル)、食パン、ケーキ、パン、ハンバーガー、サンドイッチ、ショートケーキ、アイスクリームケーキ、太妃糖(トフィー)、健素糖(酵母入り飴)、芝麻糖(胡麻ブリトル)、棒付きキャンディ、冬瓜飴、ココナッツ飴、朝鮮人参飴、チョコレート飴、コーヒー飴、青草飴、チューインガム」等の商品に使用して販売することを相手方が妨害、干渉することを禁じるよう請求する。
(二)相手方:申立人の請求を棄却するよう請求する。

三 本件の争点
申立人の請求が仮処分の要件を満たすか否か。

四 判決理由の要約
1.民事訴訟法第538條第1項、第2項には「係争の法律関係について、重大な損害の発生を防止するため、又は急迫の危険を避けるため、又はその他のこれらに類する事情があるため必要があるときは、暫定的な状態を定める処分を申し立てることができる。前項の決定は、本案訴訟がその係争の法律関係を確定できるときに限る」と定められている。また、智慧財産案件審理法(知的財産案件審理法)第22条第2項には「暫定的な状態を定める処分を申し立てるとき、申立人はその係争の法律関係について、重大な損害の発生を防止するため、又は急迫の危険を避けるため、又はその他のこれらに類する事情があるため必要があるという事実を疎明しなければならない。その疎明が不十分なとき、裁判所は申立てを棄却しなければならない」、知的財産案件審理細則第37条第3項には「裁判所が暫定的な状態を定める処分の申立てを審理するときは、保全の必要性について、申立人が今後勝訴する可能性、申立ての許可と棄却が申立人又は相手方に回復し難い損害を与えないかを斟酌するとともに、双方の損害の程度の釣合い及び公共の利益に対する影響を考慮すべきである」とそれぞれ定められている。
2.調べたところ、申立人○○○は亡父○○○が1963年から彰化○○で中華菓子老舗「玉珍齋」を経営し、1988年5月16日経済部中央標準局に「玉珍齋」商標を登録し、さらに1997年11月16日に「玉珍齋鳳黄酥」商標を登録しており、「玉珍齋」営利事業登記証コピー、「玉珍齋」、「玉珍齋鳳黄酥」商標登録証(台湾台中地方裁判所103年度裁全字第196号ファイル(以下「裁全ファイル」という)、申立人証拠1、2)がファイルにあり、証明するに足ると主張している。1990年申立人○○○が独立する際、○○○、○○○○は申立人○○○の事業の発展に協力し、申立人○○○は1990年から○○鎮○○路○○号にて、○○○即ち復豐堂商號は1993、1994年から○○鎮○○路○○号にて、玉珍齋本店の支店を設立し、「玉珍齋」商標を中華菓子の販売に使用した。さらに玉珍齋本店から販売価格の7掛けで商品を仕入れ、商品代を月毎に本店に支払い、支店の損益については申立人○○○夫妻が自ら責任を負った。2009年9月彰化地方裁判所93年度智字第5号民事判決では前記商標権は○○○の相続人が共有することが認められ、申立人○○○は玉珍齋本店と区別する等の事情のため、前記○○鎮○○路○○号、000号にて「玉珍齋--二哥的玉珍齋」商標を使用して中華菓子を販売しており、不動産賃貸契約書、披露宴招待状、「復豊堂食品玉珍齋商號」の写真、彰化地方裁判所による前記判決書(裁全ファイル、申立人証拠3乃至8、申立人証拠13、14)がファイルにあり、参照でき、相手方はこれを争っていない。その後1999年5月19日、同年6月8日に○○○はそれぞれ「玉珍齋」、「玉珍齋鳳黄酥」の商標を申立人○○○の母○○○○に譲渡しており、○○○は同年10月1日に死去し、○○○○はその後2014年3月に前記商標専用権を相手方に譲渡していることについても、彰化地方裁判所それに加えて当裁判所の判決書、商標登録証(裁全ファイル、申立人証拠13、14、17)がファイルにあり、証明できる。以上のことから、申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號は「玉珍齋」商標を長期に使用し、かつては玉珍齋本店から商品を仕入れて月毎に商品代を支払っていたことは、○○○、○○○○がよく知るところであり、且つ○○○、○○○○は申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號が前記商標を使用することを停止するよう請求したことはなく、申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號はそれぞれ1990年、1993年から「玉珍齋」商標を使用する状態が存在していたことが分かる。
3.また調べたところ、相手方は2014年6月9日書簡にて申立人の玉珍齋食品股份有限公司(以下「玉珍齋食品公司」)に対して「玉珍齋」商標の使用を禁じると通知しており、相手方の康禾法律事務所の2014年6月9日(103)康法字第1030609号書簡(裁全ファイル、申立人証拠18)がファイルにあり、調べることができる。該書簡では申立人の○○○、○○○即ち復豐堂商號に対して「玉珍齋」商標の使用については禁止していないが、申立人の玉珍齋食品公司は申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號が1999年8月に玉珍齋本店からの商品調達中止に対応して、前記の営業拠点に中華菓子等の商品を供給するために設立したことは前述の通りである。さらに申立人の玉珍齋食品公司は、前記の申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號が彰化縣○○鎮○○路○○○号1楼に設置した営業拠点に設立されており、経済部商業司の会社資料検索資料(当裁判所ファイル第70頁)がファイルにあり、参照でき、申立人等が互いに営業上密接に関わっていたことは明らかである。況してや相手方が2014年12月18日に「報告」し、また申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號に「玉珍齋」商標の使用を禁止しており、「報告書」(当裁判所ファイル第85頁、第86頁)がファイルに添付され参照できるため、申立人と相手方の間に「玉珍齋」商標の使用について係争の法律関係があると認めることができる。
4.申立人等が将来勝訴する可能性:申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號はそれぞれ1990年、1993年から長期にわたって「玉珍齋」商標を使用した事実があり、申立人の玉珍齋食品公司は1999年6月から中華菓子等商品の生産を開始し、申立人○○○、○○○即ち復豐堂商號に供給し営業拠点で販売している。前述のとおり、申立人等は長期にわたって「玉珍齋」商標を使用してきたことには証拠があり、申立人等が「玉珍齋」商標の権利を有するという主張により、勝訴の可能性が無いとは言い難い。
5.申立ての許可と棄却が申立人等又は相手方に対して回復できない損失を与えるか、及び双方の損害の程度:
申立人等は1990年から「玉珍齋」商標を使用して中華菓子の商品を販売し生計を立ててきた。相手方が「玉珍齋」商標の使用を禁止することによって、休業又はその他ブランドの使用を迫られ、その長期的な営業の状態が変化することは前述のとおりである。急迫の危険はないが、申立人等が長期にわたって「玉珍齋」商標を使用し営業してきた状態、及び双方による「玉珍齋」商標の使用権に関する訴訟が進行中であり、短期間では係争が解決できない観を呈しており、申立人等の経営に影響がないとは言い難いことを斟酌し、申立人が重大な損害の発生を防止するために必要だと主張することには根拠がある。
6.公共の利益に対する影響:本件の暫定的な状態を定める処分は申立人等と相手方の商標権の使用係争を解決するものであり、公共の利益に対する影響は大きくない。

以上をまとめると、本件申立人等は係争の法律関係と保全の必要性について相当の疎明証拠を提出しており、相手方が申立人等に「玉珍齋」商標の使用を禁止すると重大な損害を受けるおそれがあることが十分に認められ、かつ申立人等は担保を供託するので暫定的な状態を定める処分を申し立てると述べており、本件はその申立てに理由があると認定し、情状酌量のうえ担保を70万新台湾ドルと決定する。

智慧財產案件審理法(知的財産案件審理法)第1条、民事訴訟法第95条、第78条により、主文のとおり決定する。

2014年12月24日
知的財産裁判所第三法廷
裁判官 杜恵錦

五 関連条文抜粋

民事訴訟法
第538条
係争の法律関係について、重大な損害の発生を防止するため、又は急迫の危険を避けるため、又はその他のこれらに類する事情があるため必要があるときは、暫定的な状態を定める処分(訳注:日本でいう「仮の地位を定める仮処分」に相当)を申し立てることができる。
前項の決定は、本案訴訟がその係争の法律関係を確定できるときに限る。
第一項の処分は、先に一定の給付をすることを命じることができる。
裁判所は第一項及び前項の決定をする前に、双方当事者に陳述の機会を与えなければならない。但し、裁判所が適当ではないと認めるときは、この限りでない。

知的財産案件審理法
第22条
仮差押、仮処分又は暫定的な状態を定める処分の申立ては、訴訟提起前は係属すべき裁判所にこれを行い、訴訟提起後は係属中の裁判所にこれを行う。
暫定的な状態を定める処分を申し立てるとき、申立人はその係争の法律関係について、重大な損害の発生を防止するため、又は急迫の危険を避けるため、又はその他のこれらに類する事情があるため必要があるという事実を疎明しなければならない。その疎明が不十分なとき、裁判所は申立てを棄却しなければならない。
申立ての原因について疎明があっても、裁判所はなおも申立人に担保の供託を命じた上で、暫定的な状態を定める処分を為すことができる。
裁判所は暫定的な状態を定める処分を為す前に、双方当事者に意見陳述の機会を与えなければならない。但し、申立人が処分前に相手方に陳述を知らせるべきでない特殊な事情があることを主張し、かつ確実な証拠を提出し、裁判所が適切であると認めたときは、この限りでない。
暫定的な状態を定める処分は、申立人に送達された日から30日以内に訴訟が提起されないとき、裁判所は申立てにより又は職権で、これを取り消すことができる。
前項取消処分の決定は公告しなければならず、公告時に発効する。
暫定的な状態を定める決定が、当初から不当であったこと又は債権者の申立てにより、又は第5項の事情により、裁判所がこれを取り消したとき、申立人は相手方が処分により受けた損害を賠償しなければならない。

知的財産案件審理細則
第37条
申立人が係争の知的財産の法律関係について暫定的な状態を定める処分を申し立てる場合、該法律関係の存在及び暫定的な状態を定める処分の必要性を疎明しなければならない。疎明が十分ではない場合、裁判所は申立てを棄却しなければならず、担保供託を以ってこれに代えたり、又は担保を以って疎明不足を補ったりすることを許可してはならない。
申立人がすでに前項の疎明を行っていても、裁判所は暫定的な状態を定める処分を決定するときに申立人に相当の担保を供託するよう命じることができる。
裁判所が暫定的な状態を定める処分の申立てを審理するときは、保全の必要性について、申立人が今後勝訴する可能性、申立ての許可と棄却が申立人又は相手方に回復し難い損害を与えないかを斟酌するとともに、双方の損害の程度の釣合い及び公共の利益に対する影響を考慮すべきである。
前項でいう今後勝訴する可能性について、もし当事者が知的財産権に取消又は無効とすべき原因があると主張又は抗弁して、相当の挙証が為され、裁判所が取消又は無効の可能性が高いと認めた場合は、知的財産権者に不利な決定を為すべきである。

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