「雪肌精」による立体商標登録案件 知的財産裁判所が知財局の敗訴を判決

2015-08-26 2014年

■ 判決分類:商標権

I 「雪肌精」による立体商標登録案件 知的財産裁判所が知財局の敗訴を判決

■ ハイライト
製造業者日本企業・コーセーは商標として雪肌精の青白ボトルを登録しようとしたが、知的財産局に拒絶された。知的財産局は、市場において既にいくつかの業者が類似の色、ボトルを商品パッケージとして使用しており、もしコーセーの登録を許可すれば、他業者の合理的な商品パッケージの使用の自由に影響を与えるとして、コーセーの登録を拒絶した。製造業者日本企業コーセーは登録の拒絶を不服として、知的裁判所に行政訴訟を提起した。知的財産裁判所は、コーセーの商標に「雪肌精」、「SEKKISEI」、「KOSE」等創造文字があり、ボトルの正背面が扁平で、左右が楕円弧状で、深い青色のガラスで半透明の青白、銀色の組合せは、市場において他人商品と区別でき、先天的な識別性があると認定した。このほか、コーセー「雪肌精」の商標広告はテレビ、雑誌、街道で広く見られ、各デパートにおいても売り場があり、市場調査によれば、回答者による雪肌精ボトルの製品との弁別度は極めて高く、後天的な識別性もあり、消費者によく知られているので、コーセーの勝訴判決を言い渡し、改めて処分を下すよう知財局に命じた。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】103年度行商訴字第83号
【裁判期日】2014年11月6日
【裁判事由】商標登録

原告 日本企業・コーセー株式会社
被告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標登録事件につき、原告は経済部2014年5月7日経訴字第10306104020号訴願決定を不服として行政訴訟を提起した。本裁判所は以下のように判決を下す。︰

主文
訴願決定及び原処分を取消す。
被告は出願第100066697号「雪肌精(3D mark)」商標登録出願案件について、本判決の法的見解により改めて処分を下さなければならない。
原告の他の訴えを棄却する。
訴訟費用は被告が二分の一を負担し、その他は原告の負担とする。

一 事実要約
2011年12月27日に原告は「雪肌精(3D mark)」立体商標を、当時の商標法施行細則第13条に定められている商品及び役務分類表第3類「化粧品」商品に使用指定し、被告に登録を出願した(以下係争登録出願商標という)。本件の出願を被告が審査したところ、本件商標図案のボトルの立体形状と色は、業界によく使用されているパッケージ容器の形状及び色であり、前記商品に使用指定しても、識別性がなく、且つ商標権範囲に疑問が生じるおそれがあるので、非専用を声明しなればならないと認定したが、原告は前記声明をしなかったので、商標法第29条第3項規定により、本件商標の登録を許可すべきではないとし、2013年11月22日商標第351339号拒絶査定書を以って拒絶査定した(以下原処分という)。原告は原処分を不服として、訴願を提起したが、経済部が2014年5月7日に経訴字第10306104020号決定を以って訴願を棄却し、原告は本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
原告の声明:原告は原処分と訴願決定、及び被告による係争登録商標の許可処分の取消しを請求する。
原告の主張:略
被告の声明:原告の訴えの棄却を請求する。
被告の答弁:略

三 本件の争点
1.係争登録商標の青白配色のボトルの立体形状は、専用を出願することができるか、先天的な識別性と関係があるか?
2.係争市場調査報告は係争登録商標が後天的な識別性を取得したことを証明することができるか?
3.係争登録商標は識別性がない部分を含み、且つ商標権範囲に疑問が生じるおそれがあるか、また原告が査定前に不専用を声明しなかったので、登録を許可しない事由があるか?

四 判決理由の要約
1.係争登録商標には先天的な識別性がある。:
係争登録商標の「薬用」と「MEDICATED」は商品に使用指定する説明性文字であり、原告は既に非専用を声明した。商標図案の中国語「雪肌精」、外国語「SEKKISEI」と「KOSE」等商標図案は、すべて指定商品の機能、用途及び品質と関係がなく、慣用または普通名詞ではなく、原告が自ら創造した文字であり、先天的な識別性がある。係争登録商標の立体形状と色を見たところ、正背面が扁平で、左右が楕円弧状で、約150度の柱状体立体形状と白色のボトルに銀色鏡面のリング4点あり、深い青色のガラスで半透明の青白、銀色の組合せのデザインは、視覚的な美感があり、外観は関連の消費者に特殊な感覚を与え、他人商品と区別できる識別性がある。係争登録商標の立体形状と色の組合のパッケージ容器は、普通の業者が使用しているパッケージと異なり、関連の消費者に強い印象を与え、出所を識別する表示となっており、先天的な識別性がある。

2.係争登録商標には後天的な識別性がある。:
係争登録商標は原告が長期にわたり広く使用している。:
原告は日本三大化粧品会社の一つであり、1984年に主要ブランド「KOSE/コーセー」を以って台湾市場に参入した後、係争登録商標図案を以って商品を販売してから、30年に渡り変更していないことは、雪肌精製品の広告がファイルにあり、証明できる。

係争登録商標の商品売上は多大である。:
係争登録商標の美白化粧水商品の年間売上は3億台湾ドルという好成績を達成し、2010年8月号の美人誌雑誌では台湾の基礎保養品TOP5であると報道され、且つmarie claire雑誌2010年及び2011年の100大美粧美白類ランキングの一位であった。

係争登録商標商品は長期にわたり広告及び促進販売活動を行っている。:
原告は30年来継続して広告により係争登録商標を宣伝し、商標の知名度及び露出程度の向上に努力している。

係争登録商標には広い販売拠点がある。:
原告は台湾の各デパート例えばSOGO、新光三越、遠東等、百貨店、例えば三商等、ドラッグストア、例えば屈臣氏等において、販売拠点を設けている。

係争登録商標の各国登録の証明:
1999年に係争登録商標は日本において国際分類第3類「薬用化粧水」商品の専用権を取得した。原告はその後2011年、2012年頃に重要な海外市場、例えば中国大陸、韓国、香港、シンガポール等において立体商標を登録し、係争登録商標に極めて高い知名度があるので、当該国家及び地区において、立体商標の登録が許可された。

関連の化粧品事業と消費者の認定:
係争登録商標の図案、文字、図形、製品パッケージの立体形状と色の組合せは、原告がよく販売している美白化粧品の代名詞になっている。

市場調査報告に専門性及び信憑性がある。:
原告が提出した調査報告結果では、全1,002名の回答者の75%の者が係争商標のボトルを見たことがあるので、係争登録商標の立体形状と色の組合せが、75%の関連消費者に強い印象を与えていることが分かる。全1,002名の回答者において、係争登録商標のボトルの全体的な弁別度が69%であるので、70%に近い関連消費者は係争商標の立体形状と色の組合せを原告「雪肌精」製品と正確に連結させ、ボトルにより特定のブランドとして区別することができ、他のブランドのボトルと誤認することはなく、係争登録商標の立体形状と色の組合せは、後天的な識別性を既に取得したと言える。

3.係争登録商標は非専用の声明に違反していない。:
係争登録商標の立体形状と色の組合せには、識別性があり、商標権範囲に疑問が生じるおそれがないので、原告は当該部分の非専用を声明する必要がない。

4.本判決の結論:
以上をまとめると、訴願決定及び原処分が、係争登録商標図案のボトルの立体形状と色は、業界によく使用されているパッケージの容器形状及び色であり、前記商品に使用指定しているが、識別性がなく、且つ商標権範囲に疑問が生じるおそれがあるので、非専用を声明しなればならないと認定したことには、誤解がある。従って、原告が原処分及び訴願決定の取消しを請求したことには理由があるため、許可すべきである。

本件の事実証拠は明確ではないので、差し戻して審査する必要があり、被告が本裁判所の前記法的見解について、再び審査裁量し、本裁判所はこれを以って行ってはならない。従って、原告が被告に対し係争登録商標の出願について、登録を許可するよう請求した部分は、理由がないので、棄却すべきである。

以上をまとめると、原告の訴えの一部には理由があり、一部には理由がないので、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第104 条、民事訴訟法第79条により、主文の通り判決する。

2014年11月6日
知的財産裁判所第一廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 李維心
裁判官 林洲富


付図:
係争登録商標図案
出願番号:000000000
出願期日:2011/12/27 

雪肌精
 

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