エンジニアが模倣品を販売、知的財産権の宣伝で執行猶予

2014-12-27 2013年

■ 判決分類:商標権

I エンジニアが模倣品を販売、知的財産権の宣伝で執行猶予

■ ハイライト
工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute)に勤める男性エンジニア、林○成は中国の淘宝網(タオバオワン)でアップル、ハローキティ等の図案を模倣した携帯電話ケースを低価格で購入し、台湾のネットオークションで販売し利益が得ていた。警察と検察に検挙された時、反省文を書き、ナイトマーケットやネットオークションにおいて知的財産権の概念を宣伝することを約束した上、過去に献血を60回行っていたため、裁判官は執行猶予を与えることを決定した。
林○成は商標権を侵害する商品を販売した期間が約4ヶ月だったと供述している。警察と検察に検挙された時に合計204件の海賊版製品が押収され、商標権を侵害する商品の件数は少なくはない。
しかしながら、林○成は取調べ中に反省文を書き、検挙された当日すぐにすべての商品をオークションサイトから引き上げたと述べた。さらに保護智慧財産権警察大隊(知的財産権保護警察大隊、以下、「保知大隊」)の調査や検察官の違法撲滅に協力して、今後ナイトマーケットやネットオークションにおいて知的財産権の概念を宣伝することを約束した上、すでに献血を60回行っており、素行が極めて良いため、裁判官は商標法の「商標権を侵害する商品を違法に販売した罪」で2ヶ月の判決を下した他、2年の執行猶予を与えることを決めた。(自由時報2013年8月23日)

II 判決内容の要約

台湾新竹地方裁判所刑事簡易判決
【裁判番号】102年度智簡字第26号
【裁判期日】2013年8月19日
【裁判事由】商標法違反

申立人 台湾新竹地方裁判所検察署検察官
被告 林○成

上記被告の商標法違反事件について、検察官が簡易判決を以って刑に処することを申し立て(102年度偵字第4519号)、本裁判所は次の通り判決する。

主文
林○成は商標法第97条に定める商標権を侵害する商品を違法に販売した罪を犯したため、2ヶ月の有期懲役に処し、罰金に転換するときは、1,000新台湾ドルを一日に換算する。執行猶予は2年とする。付表一に示された押収物品はすべて没収する。

一 事実要約
犯罪の事実:
林○成は附表二に示される商標名と図案が、それぞれ米アップル インコーポレイテッド社(以下「アップル社」)、日本の株式会社サンリオ及び尚宏電子股份有限公司(Aevoe Inc.、以下「尚宏公司」)から主務機関である経済部知的財産局に対して登録出願して登録を許可され、付表二に示される商品における使用が指定されている商標権を取得し、現在なお商標専用期間にあること、近年は世界的に著名なブランド市場において極めて幅広く販売され、品質が高い評価と信用を得ており、業界関係者及び一般消費者が知っている著名商標であること、これらの商標権者の同意又は使用許諾を経ずに、同一又は類似の商品に同一又は類似の商標図案を使用してはならないこと、又は上記商品の販売、販売を意図する所持、陳列を行ってはいけないことを明らかに知っていた。ところが、付表二に示される商標の模倣品を販売する犯意に基づいて、先ずは2012 年10月に中国の淘宝網(タオバオワン)で、附表二に示される商標及び図案を模倣しており、商標権者が製造した商品又は製造を許諾した商品と同一又は類似の商品を、1点あたり20~50新台湾ドルの異なる価格で実名及び年齢が不詳の人物から購入した後、続いて2012年10月某日から2013年1月14日までの間にそれが居住する新竹市○○路000号7楼之4にて、コンピュータ及びインターネットを利用してオークションサイトにアクセスし、該オークションサイトで「besttrader」というIDを登録し、1点あたり99~150新台湾ドルの異なる価格(運送料別)でオークションにかけ、該サイト上で、付表一の番号四及び番号五の商標図案を模倣した商品を掲載、販売して、不特定の人物の入札参加に供し、それが所有する土地銀行の000-000000000000口座番号、0000-000000の携帯電話番号とともに、事情を知らない友人、游○婷から借りた中華郵政股份有限公司の000-00000000000000口座番号を購入者が代金振込、連絡を行うために提供し、若しくは不詳の方法で付表一の番号一~五に示された模倣品を販売した。

二 判決理由の要約
調べたところ被告の林○成の行為は、商標法第97条の「商標権を侵害する商品を違法に販売した罪」に該当する。本件被告は2012年10月から2013年1月14日下午4時15分(警察検挙日時)までの間に、販売して利益を得るために、営利の意図に基づき商標を模倣した商品を購入し、単一の販売の決意を以って接近した時間内に続けて商標権を侵害する商品の違法販売を数回行っており、上記の各行為の独立性は極めて薄く、一般的な社会の健全な観念に基づき、時間の隔たりを強制的に分離することは難しい。評価する上では数回の挙動を続けて施行したものを一つの行為として見なすことはより合理的であり、接続犯論に基づいて包括一罪とすべきである。また、被告は販売行為を以って付表二に示される商標権者3人の商標専用権を侵害しており、観念的競合犯であり、刑法55条前段規定に基づきより重い刑で処断すべきである。
被告の林○成は正当な経路で金銭を稼ぐことを考えず、インターネットと不詳な方法を利用して商標を模倣した商品を販売して利益を得ることを企み、知的財産権保護の概念に欠け、真の商標権者の評価と信用、営業及び合法商店の権益に損害をもたらし、わが国が知的財産権保護に力を入れているという国際的な評価を貶めた。かつ被告が自供する商標権を侵害する商品を販売した期間は約4ヶ月にわたり、警察が検挙したときに押収した模倣品は合計204点に達し、商標権を侵害する商品の数量は少なくない。ただし被告には前科がなく、素行が良好で、被告は告訴人、即ち尚志公司に6万新台湾ドルの損害を賠償して和解に至っており、さらに被告は取り調べ中に反省文を書き、警察に検挙された当日、すぐにすべての商品をオークションサイトから引き上げた。保知大隊の調査や検察官の違法撲滅に協力することに同意し、今後ナイトマーケットやネットオークションにおいて知的財産権の概念を宣伝することを約束した上、被告はその犯行を深く反省し、後悔している等の一切の状況を認めることができ、量刑は主文に示した通りとし、罰金への換算基準を知らせて、懲戒を示した。
被告は犯行後の態度が良好で、反省しており、現在工業技術研究院でエンジニアという正業に就いており、2013年5月までにすでに60回も献血し、素行が極めて良好であり、一時的に思慮を失い、法を犯してしまったことから、本裁判所は諸事情を総合的に審理し、被告は今回の取調べの手続きと科刑の教訓を受けたことにより、すでに警告を受けており、再犯の虞は無いと信じ、短期自由刑の弊害を避けるため、本裁判所は被告に宣告した刑に対して執行を猶予することが適当であると認め、再出発の機会を与えるために2年の執行猶予をあわせて宣告した。
刑事訴訟法第449条第1項、第450条第1項、第454条第1項,商標法97条、第98条,刑法第11条、第41条第1項前段、第38条第1項第2号、第74条第1項第1号に基づき、直接簡易判決を以って主文の通り刑に処す。

2013年8月19日
新竹簡易法廷裁判官 王婉如
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