「台湾高粱酒」商標訴訟、台湾菸酒の敗訴確定

2014-11-28 2013年

■ 判決分類:商標権

I 「台湾高粱酒」商標訴訟、台湾菸酒の敗訴確定

■ ハイライト
台湾菸酒股份有限公司(Taiwan Tobacco & Liquor Corporation、以下「台湾菸酒公司」)の「台湾高粱酒」商標訴訟について、最高行政裁判所は「『台湾』は産地を説明するものなので『台湾高粱酒』商標は後天的識別力を有さない」と認め、台湾菸酒公司に敗訴を言い渡し、敗訴が確定した。 
台湾菸酒公司は2009年5月11日「台湾高粱酒」という横書きの文字商標を知的財産局に出願して、登録を許可された。しかし、台南県酒類商業同業公会(同業組合)はこれを不服として、該商標の商標法違反を理由に登録異議を申し立てた。知的財産局はこれを審理した結果、2012年4月に「台湾高粱酒」商標登録を取り消した。台湾菸酒公司はこれを不服として行政訴願を提起したものの棄却され、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。 
台湾菸酒公司は長期間(60年近く)かつ大量に「台湾高粱酒」商標を使用してきたため、後天的識別力を有していると主張した。 
一方、台南県酒類商業同業公会は、酒タバコは独占事業ではないため、「台湾高粱酒」の文字は公衆が所有すべきであり、一企業が独占すべきではないと主張した。
知的財産裁判所によると、台湾菸酒公司が製造する高粱酒の歴史は数十年に上るが、販売する際に用いてきたブランド名は「台湾高粱酒」だけではなく、玉山高粱、台湾紅高粱なども使われてきた。さらに使用する商標図案も多様で、単一ではない。さらに「台湾高粱酒」は大量に販売されていないこともあり、消費者は購買時に「台湾高粱酒」の商標が台湾菸酒公司のものだと十分に認知できない。台湾菸酒公司が提出した証拠資料では、商標が長期に使用され、すでに取引においてその商品を表彰する識別商標となり、後天的識別力を取得していると認めるに足りないため、台湾菸酒公司の請求を棄却した。台湾菸酒公司はさらに最高行政裁判所に上訴していたが、最終的には台湾菸酒公司の敗訴が確定となった。

II 判決内容の要約

最高行政法院裁定
【裁判番号】102年度裁字第980号
【裁判期日】2013年7月18日
【裁判事由】商標登録異議

上訴人 台湾菸酒股份有限公司(Taiwan Tobacco & Liquor Corporation)
被上訴人 経済部知的財産局
參加人 台南県酒類商業同業公会

上記当事者間における商標登録異議事件について、上訴人は2013年4月17日知的財産裁判所101年度行商訴字第175号行政判決に対する上訴を提起した。本裁判所は次の通り決定する。

主文
上訴を棄却する。
上訴審訴訟費用を上訴人の負担とする。

一 事実要約
上訴人は2009年5月11日、登録時の商標法施行細則第13条に定められる商品及び役務区分表第33類の商品「高粱酒」での使用を指定して「台湾高粱酒」商標の登録を被上訴人に出願し、被上訴人から登録第1414953号商標(以下、係争商標)として登録を許可された。参加人は係争商標が登録時の商標法第23条第1項第1、2及び3号の規定に違反しているとして、登録異議を申し立てた。被上訴人が審理したところ、係争商標の登録には登録時商標法第23条第1項第2号の規定に違反があると認められたため、2012年4月19日中台異字第G00990685号商標異議決定書を持って係争商標の登録を取り消す処分を下した。上訴人はこれを不服として、行政訴願を提起したが棄却され、次に行政訴訟を提起した。原審は本件判決の結果が参加人の権利と法律上の利益に影響すると認め、職権により参加人に本件訴訟に独立参加するよう命じ、原判決を以って上訴人の請求を棄却した。上訴人はなお不服として、本件上訴を提起した。
本件上訴人の知的財産裁判所行政判決に対する上訴の主張は、主に次の通りである。
(一)使用することで二次的意味(セカンダリーミーニング)である後天的識別力を取得したか否かの判断は、使用証拠を以って観察し、さらに係争商標と使用証拠の商標が同一であるか否かを判断して、同一性を有するならば登録を許可すべきであり、使用証拠の図案の細かい配列の違いや書き方の違いのみを以って、係争商標の登録された全体図案と異なり、(係争)商標の使用ではないとすることはできない。
(二)原判決は、添付資料31の「高梁酒」等文字がいずれもそれぞれ丸い外枠で囲まれ、台湾の二文字と区別されており、台湾の二文字から消費者が認知するものは産地の説明であると認定している。しかしながら、上訴人が前後して添付した複数の証拠に基づいて、それ(使用証拠)が示そうとする商標の使用は(係争商標と)同じである。

二 判決理由の要約
(一)上訴人から提出された資料が、係争商標の使用証拠ではないこと、係争商標の使用や係争商標図案を使用しての販売が確かにあったかどうかを確認するに足りないこと、消費者に認知させるものが単なる高粱酒という商品で、直接的に明らかな説明的文字であることのいずれにしても、関連する消費者が指定商品を連想するには足りず、これにより第二の意味を取得して識別力を有することも難しい。
(二)係争商標の図案は書体が標楷體(DFKai-SB)で橫書の「台灣高粱酒」等文字で構成され、配色は単一の色調を採用し、文字の色又は文字の外部の背景においても何ら変化はない。ただし、上訴人が提出した使用証拠は係争商標の文字である「台灣高粱酒」という文字があるほか、文字の配列、フォントのサイズ、字体、又は高粱の装飾図若しくは台湾の図案の有無についてはいずれも異なり、その配列と全体のデザインが人に与える印象には確かに違いがある。その実際の使用状況は、係争商標の登録されていた全体の図案とは完全に同じではなく、商標の同一性を有するとは認め難い。
(三)上訴理由をみると、起訴の趣旨と全く同じであり、原審が(上訴人の主張を)採用しなかったと陳述し、主観的な見解から原審の証拠の取捨、事実認定の職権行使は不当なものだと指摘しているが、法規の不適用、適用法規の不当又は行政訴訟法第243条第2項各号の状況に該当することを具体的に示していないため、原判決がいかに法令に違反しているかについて具体的な指摘があるとは認め難い。
以上の次第で、本件上訴は法に合わない。知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第249条第1項前段、第104条、民事訴訟法第95条、第78条に基づいて、主文の通り決定する。

2013年7月18日
最高行政裁判所第三法廷
裁判長 藍献林
裁判官 林文舟
裁判官 胡国棟
裁判官 陳秀媖
裁判官 林玫君
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