威宝電信、商標登録事件で敗訴

2014-11-28 2013年

■ 判決分類:商標権

I 威宝電信、商標登録事件で敗訴

■ ハイライト
著名な携帯電話端末メーカーの威宝電信股份有限公司(Vibo Telecom Inc.、以下「威宝電信」)は一昨年(2011年)「威宝及びV設計図-横型(カラー)」商標の登録を知的財産局に出願したが拒絶査定を受けたため、これを不服として行政訴訟を提起していた。最高行政法裁判所は昨日、知的財産局の見解を支持する判決を下したため、威宝電信の商標登録事件は敗訴が確定し、登録することは許されない。判決では主に、威力電信の出願した商標と11年前すでに登録されている通信、電器用品メーカーの「威宝SUPER WALCO及び図」等商標には、いずれも「威宝」の文字が含まれ、高度に近似しており、かついずれも通信販売、テレビショッピング、オンラインショッピング等の販路での使用を指定しているか、同一又は類似の総合小売、電器用品小売において提供されているかしているため、消費者に出所が同一の関連企業であると誤認混同を生じさせやすく、よってそれら商標の間には高度の類似関係がある、と認定された。(自由時報2013年8月23日‧金曜日‧C3面)

II 判決内容の要約

最高行政裁判所裁定
【裁判番号】102年度裁字第1196号
【裁判期日】2013年8月22日
【裁判事由】商標登録

上訴人 威宝電信股份有限公司(Vibo Telecom Inc.)
被上訴人 経済部知的財産局

上記当事者間の商標登録事件について、上訴人は2013年3月14日知的財産裁判所101年度行商訴字第166号行政判決に対して上訴を提起し、本裁判所は以下の通り裁定する。

主文
上訴を棄却する。
上訴審訴訟費用は上訴人の負担とする。

一 事実要約
上訴人は2011年7月6日「威宝及びV設計図-横型(カラー)」商標について、当時の商品及び役務区分表第35類の「輸出入代理サービス、国内外メーカーの各種製品の見積もり/入札/販売代理、ビジネス情報の提供」、「通信販売、テレビショッピング、オンラインショッピング、消費者向けの商品情報及びショッピングに関するアドバイス提供サービス」、「通信器材の小売/卸売サービス」での使用を指定して、被上訴人に登録を出願した。被上訴人が審査した結果、係争登録出願商標は引用登録商標である第153342、155673号「威宝SUPER WALCO及び図」商標と近似を構成しており、またそれらも通信販売、テレビショッピング、オンラインショッピング、通信器材の小売/卸売、国内外メーカーの各種製品の販売代理等の類似するサービスでの使用を指定しており、関連する消費者に誤認混同を生じさせる虞があるとして、2012年4月12日に商標拒絶第337964号拒絶査定書を以って拒絶の処分を下した。上訴人はこれを不服として行政訴願を提起したが、棄却された。上訴人はなお不服として、行政訴訟を提起したが原審の判決で請求を棄却され、さらに本件上訴を提起した。

二 上訴の趣旨の要約:
(一)中国語の「威宝」という二文字は消費市場において頻繁に見かけるものであり、誰かが独自に創作した標識ではない。上訴人が調べた結果、引用登録商標以外に、「威宝」の二文字を商標の主要識別部分とした商標で、各種商品又は役務において登録を許可され、有効に存在している商標は数十件に達する。ゆえに単純に「威宝」という二文字を識別標識としても、一般消費者はその製品の出所や営業主体が何なのかを即座に認知することはすでにできない。言い換えると、「威宝」はよく見かける字句であり、その識別力はすでに低下しているため、引用登録商標が「威宝」を図案の主要部分とすることで、消費者のその出所に対する識別力が相対的に高まるのであって、すでに識別力が弱まっている「威宝」の二文字だけですぐに単一の出所を直接的に連想させることはない。係争登録出願商標を引用登録商標と比較するとき、近似性の判断において自ずとより厳格な基準があるべきだが、原判決は詳細に追究せずに、引用登録商標は創造的商標であり、その識別力は高く、係争登記出願商標には他商標の知名度を利用し、消費者に誤認混同を生じさせようとする状況がみられると性急に認めており、判決には明らかに法令の不適用又は誤適用という法令違反がある。
(二)原判決は完全に係争登録出願商標が特殊な意味を含む「V」図案の独特な造形外観とカラーの特殊な構図を有することを無視している。また、係争登録出願商標のデザインのアイデアやデザイン感覚は引用登録商標とは全く異なり、近似を構成する商標とは言い難い。たとえ係争登録出願商標と引用登録商標がいずれも「威宝」という字句を使っていたとしても、両者が人の判断に差異を与える要素は「威宝」二文字だけではなく、両商標の全体の構図設計である。両者の構図意匠は複雑さが異なるため、容易に区別しやすく、一般人の生活経験により判断して、両者がいずれも識別力が極めて弱い「威宝」の二文字を有するからといって、すぐに誤認混同をもたらす虞はない。
(三)上訴人は「威宝」を通信関連サービスに使用し、すでにある程度の知名度を有しており、関連する消費者は引用登録商標とは異なる出所であると区別することができ、誤認混同を生じる虞はなく、係争登録出願商標が関連する消費者に役務出所を区別する機能を提供しており、さらに使用を指定する商品又は役務の種類を変更することにより異なることはない。上訴人が提出した資料は「威宝電信」商標の使用資料であり、係争登録出願商標の使用資料ではなく、上訴人が提出する証拠写真はいずれも係争登録出願商標の使用資料には該当しない、と原判決は述べており、即ち、判決には法規の不適用及び誤適用、証拠に基づかない事実認定の法令違反がある。かつ上訴人が原審で提出した証拠写真はいずれも係争登録出願商標の使用資料であり、原判決は略してこれを論じず、考慮することなく、関連する消費者の係争登録出願商標に対する熟知度を証明できないとし、それら証拠写真を採用しない理由についてはいかなる説明もなく、これも判決理由の不備という法令違反がある。
(四)引用登録商標第153342号商標が登録された前後、第三者も「威宝」二文字を有する登録第871731、1272460及び1479050号商標の登録を出願し、同一又は類似の商品/役務での使用を許可されており、被上訴人には本件商標登録出願案件前後における齟齬、衝突がある。同じ事務に異なる処理が行われ、これは違法、不当にあたる。しかし原判決は被上訴人が登録第871731、1272460及1479050号商標の登録を許可したのは、案件の事情が本件とは異なり、同じ状況に同じ処理を、異なる状況には異なる処理を行うという実質的平等の原則に違反はなかったと認定しており、これは明らかに行政程序法(行政手続法)第6条の行政行為は差別待遇を行ってはならないという規定に違反しており、判決理由の齟齬及び判決理由の不備という法令違反がみられる。

三 判決理由の要約:
原判決では、すでに全ての弁論趣旨及び証拠の調査結果を斟酌して、「係争登録出願商標図案が青の地に白いアルファベット『V』の文字と赤の地に白い中国語の『威宝』を左右に並列して構成されていること、引用登録第153342号及び第155673号『威宝SUPER WALCO及び図』商標図案はデザイン図と中国語『威宝』が並列しており、その下方にアルファベット『SUPER WALCO』が配置されて構成されている。これらの商標図案を比較すると、組み合わされているアルファベット『V』と『SUPER WALCO』及び図形にわずかな違いがあるが、これらの商標が見る者に与える印象が強い部分はいずれも、完全に同じ部分である中国語の『威宝』という文字である。つまり、係争登録出願商標と引用登録商標の主要な識別部分はいずれも中国語の『威宝』である。」、「係争登録出願商標と引用登録商標との使用指定役務の種類を比較すると、これらの商標は国内外の各種製品の販売代理、通信販売、テレビショッピング、オンラインショッピング、消費者向けの商標情報及びショッピングに関するアドバイスの提供、通信器材の小売/卸売等の役務での使用が指定されていることが分かり、いずれも同一又は類似の総合小売、電器用品小売、通信器材小売等の役務の提供に係わっており、性質、内容、提供者等の要因をみると、共通又は関連する点があると認められる。同一又は類似の商標を標示したならば、通常の社会通念と取引状況から関連する消費者はそれの出所が同一である、又は異なるが関連していると容易に誤認してしまう。つまり、これらの商標の使用指定役務の種類は高度の類似関係を有する」云々をその論拠としており、係争登録出願商標と引用登録商標が類似しており、その主要識別部分である中国語の「威宝」が完全に同一であり、類似程度は決して低くなく、また使用指定役務はいずれも同一又は高度に類似する役務であり、関連する消費者はこれらの商標の役務の出所が同一である、又は異なるが関連するものであると誤認する可能性が極めて高く、誤認混同の虞があるため、上訴人の係争商標の登録は許可すべきではなく、その依拠及び心証並びに上訴人の主張を採用しない理由は判決において詳細に記載されており、上訴の趣旨で指摘している判決の法規不適用、誤適用、又は証拠に基づかない事実認定又は判決理由不備、理由齟齬などの法令違反の状況はない。
上訴人が述べる上訴理由は、以前の主張を繰り返し、判決には理由不備又は理由齟齬があると意味のない主張を行い、また法規の不適用、誤適用又は行政訴訟法第243条第2項に示す各号の状況に該当することを具体的に示しておらず、その上訴は法に合わないと認め、棄却すべきものである。知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第249条第1項前段、第104条、民事訴訟法第95条、第78条に基づき、主文の通り裁定する。

2013年8月22日
最高行政裁判所第二法廷
裁判長 劉鑫楨
裁判官 呉慧娟
裁判官 許瑞助
裁判官 蕭忠仁
裁判官 沈應南
書記官 呉玫瑩
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