「TAIDA」と「台大」は同一、台大物流が商標訴訟で敗訴

2014-11-14 2013年

■ 判決分類:商標権

I 「TAIDA」と「台大」は同一、台大物流が商標訴訟で敗訴

■ ハイライト
医薬品を販売する台大物流科技股份有限公司の商標「TAIDA」は元来登録を許可されていたが、台湾大学のアルファベット発音表記と同じであるため取り消された。同社は訴訟を提起し、一般民衆は台湾の英語名略称が「TAIDA」ではなく「NTU」であることを認知しており、両者は混同されることはないと主張したが、知的財産裁判所はこれを採用せず、敗訴の判決を下した。
判決によると、「台大」のアルファベット発音表記は「TAIDA」であり、漢字とアルファベットという違いはあるものの、似ている印象を与える。商品に使用するならば、両者の出所が同一である、又は関連があると誤認され易い。また台大物流の商標は指定商品が台湾大学の商品と類似しており、さらに混同し易い。【2013年8月22日/聯合報/B1面/台北市、スポーツ】

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】102年度行商訴字第40号
【裁判期日】2013年8月1日
【裁判事由】商標無効審判

原告 台大物流科技股份有限公司
被告 経済部知的財産局
参加人 国立台湾大学

主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2008年11月3日、当時の商標法施行細則第13条に定められる商品及び役務区分表第16類商品「書籍、ノート、ハンドブック,広告画報、紙袋、紙箱、紙製包裝用袋,紙箱又は紙板箱,プラスチック袋、プラスチック製包装用袋」、第39類役務「貨物又はコンテナの倉庫,倉庫保管情報、倉庫情報、物品配達、貨物配送、クーリエ業者に提供する物品代理受取サービス、コンピュータによる貨物運送状況追跡サービス」での使用を指定して「TAIDA」商標の登録を被告に出願し、被告から登録第1375517号商標(以下「係争商標」)として登録を許可された。その後、参加人が係争商標登録時の商標法第23条第1項第12号及び第13号規定に違反しているとして、これに対して無効審判を請求した。被告が審理したところ、係争商標登録時の商標法第23条第1項第12号及び現行商標法第30条第1項第11号の規定に違反していると認定され、2012年10月9日に中台評字第1000234号商標無効審判審決書を以って係争商標の登録を取り消す処分を下した。原告はこれを不服として行政訴願を提起したが、2013年2月20日に経済部から経訴字第10206093080号決定を以って棄却されたため、すぐに本裁判所に対して行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:訴願決定と原処分を破棄する判決を請求する。
(二)被告の請求:原告の請求を棄却する判決を請求する。

三 本件の争点
係争商標には、商標登録時の商標法第23条第1項第12号及び現行商標法第30条第1項第11号の規定で規定されている商標登録を取り消してもよい状況があるか否か。

四 判決理由の要約
(一)引用商標がすでに著名商標の水準に達している:
引用商標は参加人によって長期にわたり大量に使用されており、すでに著名商標の水準に達している。さらに被告は以前にも商標拒絶第0319716號商標拒絶査定書、中台評字第H00980040 及びH00980105号商標無効審査審決書において、引用商標は著名商標であり、学術教育、農業教育、医学研究及び農産物等関連商品/役務の開発に関する信用と名声を表彰しており、台湾の関連する消費事業者又は消費者に普遍的に認知されているものであり、著名の域に達し、その著名の程度は極めて高い、と幾度にもわたって認定している。

(二)係争商標図案と引用商標図案が近似を構成している:
本件係争商標はアルファベット「TAIDA」で構成され、引用商標である「台大」、「臺大」と比べると、両者にはアルファベットと漢字の違いはあるものの、そのアルファベット発音表記「Tai da」と中国語の発音(「ㄊㄞˊㄉㄚˋ」)は極めて似ており、商標全体で似ている印象を与え、通常の知識経験を有する消費者が取引時に普通の注意を以って(両者を)一連に称呼すると、両商品又は両役務は出所が同一である、または関連があると誤認する可能性があり、類似の商標に属し、さらに類似の程度は低くない。

(三)引用商標は極めて強い識別力を有し、消費者に熟悉されている:
引用商標は参加人が長期的に使用してきたため、関連する事業者又は消費者は普遍的に認知している。

(四)先権利者による多角化経営の状況:
本件について参加人が提出した使用の事実証拠をみると、引用商標は参加人が長期にわたり広く学術教育、農業教育、医学研究等の役務に使用している以外に、その「生物資源暨農学院」では教育研究サービスを提供している他、モデル経営を行い、自製の農産物や教員学生が研究加発した関連の商品を販売しており、参加人が引用商標について多角化経営を行っている状況があると認めるに足りる。

(五)係争商標の指定商品/役務が引用商標と同一又は類似している:
係争商標は第16類の商品「書籍、ノート、ハンドブック、広告画報…(略)」での使用を指定し、引用商標である登録第1311102号、第1309844号商標は第16類の商品「事務用紙、ギフト包装用紙、シール…(略)」を指定しており、同一又は高度に類似する商品である。

次に、本件では、引用商標が学術教育、農業教育、医学研究等及び農産物関連商品/役務における商業上の名声を表彰しているのに対して、係争商標は第39類の役務「貨物又はコンテナの倉庫,倉庫保管情報、倉庫情報、物品配達、貨物配送、クーリエ業者に提供する物品代理受取サービス、コンピュータによる貨物運送状況追跡サービス」での使用を指定しており、両者の役務には相当な関連性があり、さらに係争商標が使用指定する第39類役務は、前述の通り参加人が多角化経営を行っている「生物資源暨農学院附設農業試験場」が製造販売する乳製品や肉製品等の貨物に倉庫保管及び配送サービスを提供できるため、両商標が使用指定する役務間にも関連性があることを斟酌するものである。よって、係争商標が使用指定する第39類の上記役務と引用商標の商品/役務とは類似の役務であり、類似度も低くない。

(六)以上をまとめると,係争商標の登録は客観的にみて、関連する公衆に両商標の商品が同一の出所からのシリーズ商品であると誤認させる、又は両商標の使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させ、誤認混同を生じさせるおそれがあるため、係争商標の登録には商標登録時の商標法第23条第1項第12号及び現行第30條第1項第11号の規定を適用すべきである。
したがって、被告が係争商標無効審判案件について係争商標の取消を審決したことには法に合わないところがなく、行政訴願を維持したことにも誤りはない。原告が以前からの主張に徒にこだわり、原処分及び訴願決定の取消を請求することは理由がないため、これを棄却する。

以上の次第で、本件原告の請求には理由がないため、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段に基づき、主文の通り判決する。

2013年8月1日
知的財産裁判所第二法廷
裁判長 陳忠行
裁判官 林洲富
裁判官 曾啟謀
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