點子Idea PC商標の訴訟 聯想が敗訴

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 點子Idea PC商標の訴訟 聯想が敗訴

■ ハイライト
弱いものが負けるとは限らない!台湾において呉氏というオークションサイトの経営者による「點子電脳資訊及びIdea PC」商標に対して、中国の北京における聯想公司は、聯想のIdeaPad及びIdeaCentre等二商標と類似し、登録を受けるべきではないとして、その商標に対する異議申立を行った。ところが、裁判所では「Idea」英文字がついている商標が台湾において数多くあると認定し、呉氏による「點子Idea PC」商標が勝訴の判決を下した。 
知的財産裁判所の判決で指摘したように、英文字の「Idea」がすでに登録され、「idea及び図形」商標を、コンピュータープログラムを記録した磁気テープ及び磁気ディスク指定商品に使用し、「DIGI IDEA数位點子」商標をPCキーボート等指定商品に、「IDEA及び図形」をPCケース等指定商品に、「I AM YOUR IDEA」をコンピューターネットワーク設備セット等の指定役務に、「IDEA TEK」をコンピューターネットワークオンライン広告等指定役務に、「Simo idea collection」をノートブック型パソコン等指定商品に、「ideastyle及び図形」をハードウェア指定商品に使用している。 
前記から分るように、コンピューター又はソフトウェア等商品又は役務に、英文字のIdeaがよく商標の文字として使用されていることから、より弱くなり、商標として英文字のIdeaが使用されているだけでもって、消費者に混同させる可能性があることで、両商品又は役務が同一の出所に由来するのか、それとも出所は異なるが、関わりがあるとの誤認を生じさせることがあり得ないものである。
2007年8月に、オークションサイトの経営者である呉氏が「點子電脳資訊及びIdea PC」という商標(商標見本にある「電脳資訊PC」につき、権利不要求を声明した)を商標法施行細則の商品及び役務区分表第35類インターネットショッピング等10項の役務及び第42類のハードウェア設備設計等の役務に使用すると知的財産局に出願し、登録査定した。 
その後、聯想公司は、點子IdeaPCと同社が既に登録したIdeaPad及び IdeaCentre等両商標と類似するとして、知的財産局に異議申立を行った。 
知的財産局が審査した後、2009年7月に呉氏による「點子IdeaPC」商標を取消す旨の処分を下した。呉氏が受け入れず、裁判所に告訴を提起した。 
裁判所では、知的財産局の原処分及び訴願決定を取消す旨の判決を下した。よって、呉氏は「點子Idea PC」商標を保留することができる。本件はなお上訴することができる。【2010-04-13 工商時報 A19/記者 張国仁】

II 判決内容の要約

基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】98,行商訴,230
【裁判期日】20100401
【裁判事由】商標異議申立

原   告 甲○○
被   告 経済部知的財産局
参 加 人 丙○○○○○(北京)有限公司
上記当事者間における商標異議申立事件につき、原告は経済部2009年10月1日経訴字第09806118320号訴願決定を不服として行政訴訟を提起したところ、本裁判所は職権で参加人に対して被告の訴訟に独立参加することを命じ、次のとおり判決する。

主文
訴願決定及び原処分をともに取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。

一 事実要約
原告は、2007年8月2日に「點子電脳資訊及びIdea PC」商標(商標見本にある「電脳資訊PC」につき権利不要求を声明した)を商標法施行細則第13条所定の商品及び役務区分表第35類の「オンラインショッピング、印刷媒体による通販の運営、ショッピング情報の提供、ギフトの販売の代行、区域的及び国際的なインターネットによる商業情報の提供、ギフトの見積り、ギフトの入札、ギフト商業情報の提供」及び第42類の「コンピューターハードウェア設備設計」等の指定役務に使用し、商標登録出願したところ、被告が審査した後、第1325300 号商標(以下「係争商標」という)として登録査定した。その後、参加人である丙○○○○○(北京)有限公司はその登録した第1299072号及び第1299073 号商標(以下「引用商標」という)を以って、係争商標が商標法第23条第1 項第12号、第13号及び第14号に違反すると主張し、異議申立を行った。被告が審査した結果、係争商標の登録が商標法第23条第1 項第13号の規定に違反するとして、2009年7 月27日に中台異字第G00971119 号商標異議申立審決書を以って「第01325300号『點子電脳資訊及びIdeaPC』商標登録を取消すべきである」との処分を下した。原告は、これを不服として、訴願を提起したが、棄却されたので、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の声明:1.訴願決定及び原処分をともに取消す。2.訴訟費用は被告の負担とする。
(二)被告の声明:1.原告の訴えを棄却する。2.訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
「商標が次に掲げる事由のいずれかに該当するときは、商標登録を受けることができない。...十三、同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞があるもの。」と商標法第23条第1項第13号に明文で規定されている。次に、商標紛争事件に関して、商標類似の態様に外観の類似、観念及び呼称の類似があり、関連する消費者に混同誤認を生じさせる虞があるかを判断するにあたって、商標の類否については、各号の規定により、それぞれ、関連する消費者が普通の注意を施す原則、全体的観察及び主要部分の比較原則、時間と場所を異にして隔離的観察を行う原則に基づき、酌量しなければならない。ところが、商標の類似は必ずしも混同誤認を生じさせる虞があるとは限らず、なおも類似の程度、且つ具体的な個別事件のニーズに応じて、それぞれ商標識別力の強弱、先権利者が多角化経営をしているか、実際に混同誤認を生じさせる事由に該当するか否か、関連する公衆又は消費者は、係争商標及び引用商標に対する熟知度、係争商標の出願人が善意であるか、及び両商標が実際の取引に使用される事情などを酌量したうえ、総合的に関連する消費者が混同誤認を生じさせる虞があるか否かを認定する。本件の争点は、係争商標が商標法第23条第1項第13号に違反し、登録を受けない事由に該当するか否かにある。

四 判決理由の要約
(一) 係争商標がカラーであり、やや設計した中国語の「點子」及び設計していない中国語の「電脳資訊」及び英文字の「Idea PC 」で、上段、中段、下段の配列から結合されたもので、その中の太字の「點」は青枠に黄色の基底色で、太字の「子」は青枠に白色の基底色であり、「Idea PC 」等の英文字は、青文字であり、その図形にある中国語「電脳資訊」及び英文字の「PC」は指定役務の説明文字に該当し、且つ原告が権利不要求を声明したことから、消費者に注意されやすい顕著部分がカラーの中国語「點子」の二文字及び英文字の「Idea」である。引用商標はそれぞれ、設計なしの横書き英文字「IdeaPad」又は「IdeaCentre」から構成されたもので、両商標を比較したところ、両方とも同じく「Idea」から始まる英文字であり、係争商標の中国語「點子」と英文字の「Idea」と同一の意味を有することから、両商標の一部の英文字、中国語の観念が同一で、両商標がもとより類似していないとはいえないが、係争商標は中国語と英文字の結合であり、中国語の文字がやや美術的な設計及び角度の排列がされたカラー図形の結合である。その一方、引用商標がただ設計無しの横書き英文字であることから、両商標が類似するが、その程度が高くないものである。

(二) 係争商標が「区域的及び国際的なインターネットによる商業情報の提供、コンピューターハードウェア設備設計」等指定役務に使用されているもので、引用商標が「コンピューター、コンピューターソフトウェア」等指定商品に使用されているのを比較すると、前者は、常に後者を通じて役務の提供を完成させていることから、二者は補助し合う機能を有し、且つその提供した商品/役務の内容、性質が同一又は類似で、用途、機能、製造元、販売ルート及び場所など要素に共同点又は関係があることから、類似の商品/役務に属すべきであるとしている。

(三) ところが、調べた結果、英文字の「Idea」が登録第00916152号「idea及び図形」商標として、コンピュータープログラムを記録した磁気テープ及び磁気ディスク商品に、登録第01301063号「DIGI IDEA 数位點子」商標として光ディスク、PCキーボート等商品及び登録第00000000号「IDEA及び図形」としてPCケース、電源供応器等指定商品に使用されているほか、登録第00115866号「點子站Idea」商標をコンピューターセッティングと修理に、登録第00181496号「I AM YOUR IDEA」商標をコンピューター、コンピューターネットワーク設備セット、修理及びメンテナンスの指定役務に、登録第00183294号「IDEA TEK」商標をコンピューターネットオンライン広告等の指定役務に、登録第01040295号「Simo idea collection」商標をノートブック型コンピューター及びハンドリングコンピューター等指定商品に、登録第0122288 号「ideastyle 及び図形」商標をコンピューターハードウェア、ソフトウェア、携帯式フラッシューメモリー装置等指定商品に使用していることは、被告が提出した商標検索資料がファイルに付されており、裏付けとして証明できる。更に、前記商標の出願日はいずれも引用商標より早いもので、前記商標のいずれも「idea」の英文字が表示され、且つそれぞれ引用商標と同一又は類似の指定商品/指定役務に使用されていることから、コンピューター又はコンピューターソフト等商品/役務に、英文字の「Idea」が商標文字の一部としてよく使われているとの認定に足りることから、その識別力が弱くなった。このため、係争商標にも英文字の「Idea」が使用されているだけで、もって普通の知識、経験を有する消費者に、二商品又は役務は同一の出所に由来するのか、それとも出所が異なるが、関わりがあるとの混同誤認を生じさせる可能性があることはあり得ないものである。

(四) 更に、参加人が提出した製品カタログ、写真及び広告資料をチェックしたところ、いずれも引用商標である「IdeaPad」商標を使用したものばかりであり、「IdeaCentre」商標を使用した証拠資料がなく、前記「IdeaPad」商標を使用した資料の中、一部分には期日が記載されておらず、記載があったものでもその多くは、係争商標の登録期日(2008年8 月16日)以降のもので、前記の証拠からでは、参考資料として引用商標が係争商標登録時に既に周知され、より広く保護されるべきであることが立証できない。

前記を総合すると、原処分及び訴願決定では、商標識別力の強弱、関連する消費者が係争商標と引用商標に対する熟知度を酌量せずに、直ちに両商標、指定商品・役務が類似し、混同誤認を生じさせる虞があると認定したことは、適法とは言えないものである。それ故、原処分では、係争商標が商標法第23条第1 項第13号に違反するとして、「第01325300号『點子電脳資訊及びIdeaPC』商標の登録を取消すべきである」とした処分は、維持されるべきではないが、訴願決定で正さなかったことは妥当ではないので、原告が訴願決定及び原処分の取消しを請求したことには、理由があり、許可されるべきである。

本件の事実、証拠が明確であり、両当事者によるその他の主張又は答弁が本裁判所の判決と関係がなく、一々論断する必要がないことを併せて説明する。

前記の結論を踏まえて、原告による訴えには理由があり、行政訴訟法第98条第1項前段に基づき、主文のとおり判決する。

中華民国99年4月1日
知的財産裁判所第一法廷
審判長裁判官  李得灶
裁判官 王俊雄
裁判官  林欣蓉

五 関連条文抜粋
中華民国憲法 第 7、23 条(1947.01.01)
行政程序法 第 4、6、10、92 条(2005.12.28)
商標法 第 5、23 条(2003.05.28)
商標法施行細則 第 13 条(2007.09.03)
行政訴訟法 第 98 条(2007.07.04)
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