回収したプラグの販売で男性が賠償と判決された

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 回収したプラグの販売で男性が賠償と判決された

■ ハイライト
蔡金谷という男性が1点につき2.5元の価格で中古のプラグを回収した後、改めてサンドブラストをしたり、旋盤にかけたりした手続をし、外観が新しいが着火性がよくない中古のプラグを市場価格の1割の1点につき20元という格安価格で販売していたところ、日本特殊陶業により告訴され、知的財産裁判所は1点の中古プラグにつき20元を基準として計算し、蔡が日本特殊陶業に7万4千元余りを賠償すべきであることを判決した。(中國時報2010-07-06 C2)

II 判決内容の要約

基礎データ

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】99,民商訴,9 
【裁判期日】990614 
【裁判事由】商標権侵害、財産権争議等

原   告 日本特殊陶業株式会社(中訳:日商日本特殊陶業股份有限公司)
被   告 乙○○
上記当事者間における商標権侵害、財産権争議等事件につき、本裁判所は2010年5 月24日に口頭弁論を終結し、以下のように判決した。

主文
被告は原告にNT$74,860及び2010年2月21日より弁済日まで、週年利率5%で計算した利息を支払うべきである。
被告は費用を負担し、本件民事確定判決書の案件番号、当事者、案件事由欄および主文全文、本案刑事確定判決書の主文全文および事実欄、および添付に示す通りの幅24.8x7.8センチの謝罪広告を経済日報全国版に1日掲載すべきである。
原告のそのほかの訴えを棄却する。
訴訟費用は被告が3分の2を負担し、そのほかは原告の負担とする。
本判決第一項は仮執行することができる。
原告のそのほか仮執行に関する申立を棄却する。

一 事実要約
(略する。詳細は判決理由を参照)

二 両方当事者の請求内容
両方当事者の請求内容の詳細について、以下の叙述を参照する。
原告の声明は判決において:(一)被告は原告にNT$(以下同じ)78,800を支払うこと、および起訴状謄本が送達された翌日より弁償日まで、年利率5%で計算した利息を支払うこと。 (二)被告は費用を負担し、経済日報告全国版平常日A1版に長さ24.8センチ、広さ7.8 センチの本件刑事終局判決の主文欄および事実欄、および本件民事最後の事実審判決書の案件番号、当事者、案件自由欄および主文欄等文字を1 日掲載すること。(三)被告が負担し、経済日報全国版報第一面の端っこに添付に示す通りの謝罪広告を1日掲載すること。(四)第一項の声明において、原告は担保を供するので、仮執行の宣告を許可して頂くようお願いする。主張:(略する)。判決理由の説明を参照する。

被告は合法的通知を経ても出頭せず、声明及び書状も提出しなかった。

三 本件の争点
本件の争点は他人商標権の侵害における損害賠償金額をどう計算するかの問題にある。

四 判決理由の要約
(一) 原告は系爭商標の商標権者であり、係争商標が自動車、バイクのプラグ、グロプラグ、プラグワイヤー、プラグキャップ等商品の使用に指定され、専用期間は1970年5月1日より、2010年4月30日まで延長したことは、会社登記謄本、印鑑証明書正本各1部、商標登録証書、商標資料檢索コピー各1部がファイルに添付されているので、真実であり信用できる。従って、第三者が原告の同意若しくは許諾を得ない限り、商標専用期間内に同一若しくは類似商品に登録商標に近似したり、一致したりした商標を使用することができなく、さもなければ原告の商標権の侵害になり、損害賠償責任を負わなければならない。被告は原告が係争商標権の権利者であり、原告の同意若しくは許諾を得ずに係争商標を自動車、バイクのプラグ等の指定商標に使用してはならないことを明かに知りながら、敢えて他人の商標を使用する故意に基き、2007年某日より、台北県五股郷○○路142の12号の工場で、次から次へとサンドブラスト機1台、旋盤1台等の工具で事情不承知の訴外者の郭南から1点につき2.5元の価格で中古の“NGKプラグ”を購入して使用できる状態に修理した後、係争商標を模倣したのを印刷している紙ボックスに装入し、2008年7月頃、1点につき18から20元の価格で次から次へと事情不承知の訴外者鍾文河、黄丁炎、丁勇裕、林建豊、陳俊哲、郭文賢等人の使用に販売したので、顕かに係争商標の専用権を侵害した。上記係争商標権の侵害行為は、2008年年9 月17日に内政部警政署基隆港務警察局によって台北県五股郷○○路142 の12号で発見され、その場でNGKプラグニセモノの包裝材料1ロット、NGKプラグニセモノの完成品3,940 個、半製品約586 キロ、サンドブラスト機1台、卓上の旋盤1台、帳簿1冊及プラグ雄端子2パック(約37キロ)が押収され、ほかに台北県蘆洲市○○街38巷57弄22号2 階の被告の住所から被告が所有するNGKプラグニセモノの包裝ボックス1ロット計2,766個が押収された。被告は上記商標権侵害の経過について素直に承認し、既に板橋地方裁判所檢察署檢察官によって97年度偵字第27310号簡易判決による処刑が申請され、且つ台湾板橋地方裁判所刑事法廷で97年度簡字第10162号簡易判決によって判決され、並びに確定し、檢察官簡易判決による処刑申請書、台湾板橋地方裁判所刑事簡易判決書各1部がファイルに添付され証明できるので、原告は被告が故意にその係争商標権を侵害した不法行為は採用できる。

(二) 「故意若しくは過失のため、他人の権益を侵害した者は、賠償責任を負わなければならない。故意に善良風俗に違背した方法で他人に損害を加えた者も同然である。他人を保護する法律に違反し、他人に損害を与えることに至った者は、賠償責任を負わなければならないが、もしその行為に過失がないことを証明することができれば、この限りではない。」と民法第184条に明文が定められている。又、「商標権者はその商標権を侵害した者に対して、損害賠償を請求することができ、その侵害の排除も請求でき、侵害のおそれがある場合、侵害防止を請求することができる。商標権者の同意を得ずに、第29条第2項各号に規定されている事情の一があれば、商標権の侵害を構成することになる。」、「商標権者は損害賠償を請求するとき、次各号の一を選択し、損害を計算することができる。一、民法第216条の規定によるもの。但し、証拠方法を提供してその損害を証明することができない場合、商標権者は登録商標の使用によって得られる利益から侵害された後、同一商標の使用によって得た利益を引いてその差額が受けた損害にする。二、商標権の侵害行為によって所得した利益は、商標権の侵害者がそのコスト若しくは必要費用に関することを挙証することができない場合、当該商品を販売した全ての収入を所得利益にする。三、発見された商標権侵害商品の小売単価の500倍から1500倍の金額にする。但し発見された商品が1500点を超えた場合、その総価格によって賠償金額を定める。」ことは、商標法第61条第1、2項、第63条第1項でそれぞれ明文が定められている。本件被告が故意に原告の商標権を侵害したことは上記の通りとなっているので、原告が民法第18 4条、商標法第61条第1、2項の規定に基づき、被告が損害賠償の責任を負うべきあることを主張する根拠があることである。原告が本件の刑事手続において、被告が原告の商標を模倣したNGKプラグ完成品計3,940個があり、小売価格は18元から20元となっていることは既に上記の通りで、押収されたニセモノの数量が1500点を超えたので、原告が商標法第63条第1項第3号の規定に基づいて、總価格を賠償金額と定めることを請求したことは採用できる。被告の侵害状況および押収された商標を模倣したNGKプラグの完成品3,940点もあることを斟酌し、平均売価19元((18+20)÷2=19)で計算するのが適当であり、計74,860元を賠償すべきであると認め、原告が請求した被告の支払う金額はこの範圍内にあり、理由があるので、許可すべきで、一方、この範囲を超える部分は許可すべきではない。

(三) 更に「商標権者は商標権を侵害した者が費用を負担し、商標権侵害にの判決書内容全部若しくは一部を新聞紙に掲載することを請求することができる。」ことは、商標法第64条に明文が規定されている。又、不法に他人の名誉を侵害した者に対して、被害者は財産上の損害でなくても相當な金額の賠償を請求することができ、名譽回復の適當処分も請求することができることは、民法第195条第1項に明文が規定されている。本件被告は原告の係争商標権を侵害し、すでに消耗が厳重で若しくは損傷したNGKプラグを低い価格で購入し、自ら整理して使用できる物にした後、係争商標を模倣したものを印刷している紙ボックスで包装して事情不承知の消費者に転売し、消費者の混同誤認を招き、購入した物は原告が生産販売した新品であるとし、原告が生産商品の品質が不良若しくは使用に耐えないと誤認させ、原告の商業的名誉に減損を与えないとは言い難いので、原告が上記の規定に基づいて被告に対して、費用を負担し、本件民事確定判決所の番号、当事者、案件事由欄および主文全文、本件刑事確定判決書の主文全文および事実欄、および添付に示す通りの謝罪広告を24.8×7.8センチを超えないスペースで、經濟日報の全国版1日掲載する旨の請求ですでに足りることなので、この範囲を超えた請求は許可すべきではない。

以上を総合すると、原告は前記法条の規定に基づいて被告が74,860元および起訴状の繕本送達後翌日即ち99年2月11日より弁償日まで、週年利率5%で計算した利息を支払い、費用を負担し、本件民事確定判決書の案件番号、当事者、案件事由欄および主文全文、本件刑事確定判決書の主文全文および事実欄および添付に示す通りの謝罪広告を24.8×7.8センチのスペースを超えないサイズで経済日報の全国版1日掲載する旨の請求は理由があり、許可すべきであり、この範囲を超えた請求は理由がなく、棄却すべきである。上記金銭支払いの部分について、50万元を超えないので、職権によって仮執行を宣告すべきで、そのほかの部分は許可すべきでない金銭支払い部分の仮執行の申立はその根拠がないので、棄却すべきである。

2010年6月1日
知的財産裁判所第二法廷
裁判官 曾啓謀
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