贈りものがニセモノのバックとは知らずに転売し告訴された

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 贈りものがニセモノのバックとは知らずに転売し告訴された

■ ハイライト
知らなければ無罪!高雄市の女性張氏はネットオークションで1200元でグッチ(GUCCI)のブランドバックを販売したので、警察当局によって移送された。知的財産裁判所裁判官は、ブランドバックは張氏の友人からの贈り物であり、張氏が真偽について告知されていず、真正品だと思い込み、2年間使用し続けた後、オークションで1200元と定価したことは合理的で、更にコストの問題もなく、検察側は定価が低すぎるということだけで、張氏がそれはニセモノであることを「明かに知っていながら」販売したと認めた証拠が薄弱なので、無罪と判決され確定した。
判決書では、2009年6月17日に張氏はネットオークションで米国の友人から贈ってもらったグッチのバックの販売情報を掲載し、警察当局が発見した後、入札者と装って値段を尋ねたところ、最後に1300元(運賃を含む)で落札し、警察当局がその商品を鑑定に出した結果、ニセモノであると確定したので、商標法によって張氏を送検して法律に従って処罰することにした。
張氏はそのバックは米国の友人からの誕生日プレゼントであり、真偽について告知されていず、ずっと真正品であると思っていたと称した。張氏の夫は妻の友人の夫が歯科医であり、経済がいいので、バックを妻に贈ったとき、その真偽を疑わかず、証明を求めなかったのが当然であると証言した。一審の高雄地方裁判所裁判官は、張氏がバックはニセモノであることを「明かに知っていながら」販売したのではないとし、商標法第82条の規定の違反を構成しないと認めたので、無罪と判決した。
高雄地方検察署は不服とし、知的財産裁判所に上訴し、ネットオークションでの対話を提出し、張氏が一向に真偽の質問について回答しなく、売価が新品の市場価格の10パーセントに及ばなく、人情と道理に合わなく、中古品の取引価格にも合わなく、もしバックが真正品であることを認定していたのであれば、現金に転換する売価を上げるべきで、少なくとも質問して来る人が全然いなくなってから売価を低くする筈なのに、売価を1200元と定めたので、顕かに真正品ではないことを知っていたと認めた。
裁判官は、張氏のバックにコストの問題がなく、且つ「OUTLET」センターでシーズンオフのブラント品が7割引で販売されているものもあり、更にバックが2年間余りも使用されたので、その売価が一般の市場価格より低くなることは当然であると認めた。(自由時報20100826/B4)

II 判決内容の要約

基礎データ

知的財産裁判所刑事判決
【裁判番号】99,刑智上易,22
【裁判期日】990614
【裁判事由】商標法違反

上 訴 人 台湾高雄地方検察署検察官
被   告 甲○○

主文
上訴を棄却する。

一 事実要約
張氏はネットオークションで米国の友人から贈られたグッチのバックの販売情報を掲載し、警察当局が発見した後、入札者と装って値段を尋ねたところ、最後に1300元(運賃を含む)で落札し、警察当局がその商品を鑑定に出した結果、ニセモノであると確定し、商標法によって張氏を送検して法律に従って処罰することにした。

二 両方当事者の請求内容
張氏はネットオークションで販売していたグッチのバックが友人からの贈り物であり、それはニセモノであることを知らなかったと主張した。
上訴した検察官はネットオークションにおける対話を提出し、張氏が一向に真偽の質問について回答しなく、売価が新品の市場価格の10パーセントにも及ばなく、人情と道理に合わなく、中古品の取引価格にも合わなく、もしバックが真正品であることを認定したのであれば、現金に転換する売価を上げ、少なくとも質問して来る人が全然いなくなってから売価を低くする筈なのに、売価を1200元と定めたのは、顕かに真正品ではないことを知っていたので、確かに商標法違反を構成すると主張した。

三 本件の争点
本件の争点在は張氏がネットオークションでグッチ(GUCCI)のバックを販売する際、その商品はニセモノであることを知っていたか否かにある。

四 判決理由の要約
(一) 検察官の上訴趣旨:略する(詳細は判決理由の説明を参照)

(二) 被告は次のことを称していた。前掲の時間、地点で露天、Yahooオークションで、「ch risliu0311 」というIDで上記のバックの写真および販売情報を掲載したことを承認したが、商標法違反の犯行が一切なかったと称し続け、本件のGUCCIバックは米国の友人からの贈り物で、その友人が自分がバックを使用していたこととは称したが、ニセモノであることをいわかったので、ずっと真正品だと思って、3年も使用していたが、経済的問題があるので、オークションでの販売に出した云々と称した。

(三) 判決理由:犯罪事実は証拠によって認定されるべきで、証拠がないときはその犯罪事実を推定することができなく、又、被告は犯罪者であることが証明できない限り、無罪判決にすべきであることは啓次訴訟法第154 条第2 項、第301 上第1 項にそれぞれ明文が定められている。
又、商標法第82条の規定では、「前条商品であることを明らかに知りながら販売し、販売の意図をもって陳列し、輸出又は輸入したものは、1年以下の有期懲役、拘留、又は5万元以下の罰金を科し又は併科する。」となっており、過失を処罰する規定がなく、且つ行為者は他人の商標専用権を侵害したものであることを知りながら、敢えて輸入して販売したことを構成要件となっていて、行為者は客観上模倣品を輸入して販売した行為があったほか、販売したものが模倣品であることについて、主観上明らかに「直接故意」があり、即ち行為者は犯罪が構成する事実(輸入して販売した商品は他人の商標を模倣した商品である事実)について、明らかに知っており、更に故意に基づいて発生させ、且つこの主観犯罪が要件事実を構成し、客観犯罪が要件事実を構成するように、積極的な証拠によって認定すべきであるので、もし積極的な証拠が事実の認定に足りない場合、有利の証拠がなくても、被告に対して有利のものと認定すべきである。
1、検察官は被告がオークションでの価格を1,200 元にしたことは、顕かに市場価格とは相当しなく、押収されたバックの品質が粗雑で、被告が押収された物は商標模倣商品であることを明らかに知っていたと認めた。ところが、近頃よく見かける「OUTLET」センターで販売されているシーズンオフのブランド品は、通常その価格は表示されている価格の5割、4割、3割となっており、更に7割のものもある。被告はネットオークションでの販売で、使用状況について1~2年使用したと記載し、公訴人が提出した入札者の質問資料によって被告は確かに商品が約2年余り使用されたと話し、被告がお金が必要なことから、そのバックをオークションで販売することにし、市場価格よりも安くしたことは当然である。それによってオークションの売価は新品の市場価格の10%にも及ばないだけのことで、被告が商品は商標模倣商品であることを「明らかに」知っていたと認定し難い。
2、公訴人が提出した入札者の質問資料では、真正品であるか否かの質問に対して、「おそらくそうだろう。贈り物だったので、私は使用したことがあり、外観および状況が良好だと返答した。翌日にまた真正品であるか否か、購入証明があるのか否かについてほかの入札者に聞かれたが、「アメリカの友たちからの贈り物で、購入証明がなく、2年余り使用した」云々と返事した(本裁判所ファイル)。それは被告が警察当局に尋問されたときの弁解と一致し、それに劉立偉、張文靜等の人の原審のときの証言とも一致しているので、確かに被告の米国の友人からの贈り物だった。情理からでは、被告が米国の友人からのプレゼントなので、直接それは真正品なのかニセモノなのか、友人に聞く筈がないので、ウェブページにて疑問型の質問に回答したことは情理に反するとは言えず、且つウェブページの資料からでも被告が既に明確にニセモノではないと回答したため、被告が主観上そのバックが真正品であると思った。もし被告がニセモノを販売するつもりだったのであれば、本件の場合、そのニセモノが2年間余りも使用されていたので、1200台湾ドルの市場価格に及ぶ筈があるのか。被告は最初から友人がくれたものが真正品であることを信じ、上記の通りに返答し、質問した入札者の質問にも答え続けたので、被告がその商品は商標模倣商品であることを「明らかに知っていた」とは認定し難い。
3、又、被告は経済がよくないため、バックをオークションで販売することにしたと称し、そのことについて聯合興信センターの信用報告及び低収入家庭補助証明のコピーなどが提出されたので、お金が必要である原因が弁解ではなく、証拠のないことではないこととが分かった。公訴人は被告が同時期の2009年6月15日付クレジットカード申請書を提出し、その申請書に「李老師文理補習班」の英語教師で年収50万台湾ドルと記載しているが、被告がそれはクレジットカードの発行銀行に限度を上げるか否かについて聞かれたので、そう記載したわけだと弁解した。調査したところ、クレジットカード申請書の記入は一方的であり、被告がお金が必要で、クレジットカード発行をスムーズさせるため、信用を拡大し、上記のことを申請書に記入したのであるとの弁解は、全然証拠がないとは言えない。従って、被告の経済がよく、そんなにお金が必要で、真正品であることを認めたバックを急いでオークションで販売する必要がないとは認定し難い。
4、押収された商品は被告の米国の友人の贈りものであり、前記の証拠が証明でき、被告は主観上それは真正品であることを認定し、2年余りそれを使用した後、オークションで販売することにし、定価を1,200 台湾ドルと定めたことは、一般的な経験法則、生活経験とも一致し、検察官は被告の定価が低すぎるという理由だけで、被告が商品の出所を査証しなかった旨の指摘について証拠がないものである。商品價格は常に損傷があるか否か、新品なのか、古いものなのか、使用されたものなのか、などによって影響されるので、原審では既に本件の押収商品の価格が低すぎるものではないと論述し、それに被告のバックは友人からの贈りものであり、コストの問題がなく、そのバックも新品ではなく、2年余りも使用されていたので、定価に相当しないとはいえなく、そのバックはニセモノであるとの認識があったとの被告に対する不利な認定はし難い。本裁判所は上記事項が既に明確で、上訴書状の記載および公訴人の叙述に証拠があるとは認定し難く、検察官が上訴し原判決が不当であると指摘し、判決を破棄して改めて判決する旨の請求には理由がないので、棄却されるべきである。

2010年6月14日
知的財産裁判所第一法廷
審判長裁判官  李得灶
裁判官 熊誦梅
裁判官 王俊雄
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