ジャケットに3本線のデザイン アディダスが独占できない

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I ジャケットに3本線のデザイン アディダスが独占できない

■ ハイライト
著名なスポーツ用品ブランド、アディダス社のジャケットは、肩部から袖口に3本線のデザインはよく知られている。ところが、アディダス社がこの3本線のデザインを知的財産局に商標登録出願して棄却された後、訴訟を提起したが、最高行政裁判所は、国内と海外のスポーツ業者がすでに複数本の線をスポーツウェアに使用されており、同社の商標登録が許可となれば、市場の公平競争の妨げになる恐れがあると認め、昨日にアディダス社の敗訴が確定した。
アディダス社は2002年頃、ジャケットの肩部から袖口の3本線のデザイン(「Jacket with 3 stripes」)を立体商標として、ジャケット商品の専用使用権を知的財産局に商標登録を出願した。
しかし、知的財産局は当該立体商標に識別性を有していなく、消費者に百パーセントにアディダスブランドを認識させることができないと認め、アディダス社の商標登録出願を棄却した。アディダス社は訴願が棄却された後、不服として、行政訴訟を提起した。
審理の際、アディダス社を代表する者は、当該会社が3本線のデザインをスポーツウェアに40年以上を使用しているのみならず、多くの国での商標登録が認められているほか、商品も世界各地に販売されている。さらに、台湾で商標登録を出願し、3本線のデザインが各種の運動靴、衣服とズボンなどの商品への使用が許可されている。一般消費者は3本線デザインのブランドがアディダス社であることを周知しているため、識別性を有すると陳述していた。
しかし、最高行政法院は、客観上、消費者が英語の「adidas」および三つ葉の設計図案によってアディダスブランドを認識しており、それに国内と海外のスポーツ業者はすでに複数本の線をスポーツウェアに使用している事実から、もしアディダス社の商標登録を許可することにしたら、同業のスポーツウェアへの線使用の制限となり、市場の公平競争に影響を与える恐れがあると認め、アディダス社の敗訴が確定された。[自由時報20100618/B4記者楊国文]

II 判決内容の要約

基礎データ

最高行政法院判決
【裁判番号】99,判,635
【裁判期日】990617
【裁判事由】商標登録
【裁判要旨】係争の立体商標は、そもそもジャケットの肩部から袖口の「3本線の図案」より構成されている。社会の通念から、係争の「3本線の図案」が人の目に止まる印象は、主に袖部の装飾図案であり、商品自体とは不可分の関係を有し、かつ関連スポーツウェアの取引市場において、業者が色違い複数本の線を設計し、スポーツウェアの上着、ジャケットなど商品の袖部の装飾図案として、商品の美学の視覚を向上させ、消費者の注意を引きつけ、消費者にスポーツウェアの購買欲を促す機能を図ることはよく見かける。消費者の認知は商品の美学機能の形状と見なしたとき、商品の出所の区別ができなく、特殊性を有していないことから、商標識別性の積極要件を備えたものとは言えない。
上告人 ドイツ商・アディダス社(adidas AG)
被上告人 経済部知的財産局

主文
上告を棄却する。
上告審の訴訟費用は上訴人の負担とする。

一 事実要約
本件の上告人は(以下同様)2002年6月20日に「Jacket with 3stripes」の商標(以下係争商標と称する。付図を参照する)が当時の商標法施行細則第49条に規定される商品及び役務分類表第25類の「ジャケット」商品の使用に指定することを被上告人経済部知的財産局に商標登録を出願したところ、審査期間、現行の商標法は2003年11月28日に修正され、立体商標が追加されて施行されることになった。被上告人の審査人員に電話で通知された後、上告人は2005年5月31日付書簡で被上告人に「本案を立体商標登録の出願を『変更』することに同意する」と表示し、新たに立体商標出願書と図案を添付して審査に提出した。被上告人は2006年3月28日商標審決第291848号審決書として、係争の立体商標(出願書の出願日が2003年11月28日付け)に識別性を有していないことを理由に棄却した。上告人は不服として訴願を提起し、被上告人が立体商標出願の形態および適用法規に基づき、審決理由先行通知書の再発行をしなかったので、商標法第24条第2項に抵触すると主張した。被上告人は2006年9月4日付経訴字第09506177400号訴願決定書で元の処分を取り消した。被上告人は再審査をした後、係争の立体商標は消費者に商品を認識させる標識には足らず、更にそれによって他者の商品と区別可能に至らないことを認め、商標の識別性を有していないとして、別に2007年7月13日商標審決第301129号審決書で棄却処分にした(以下元処分と称する)。上告人は不服とし、訴願および行政訴訟を提起したが、すべて棄却されたため、上告したのである。

二 両方当事者の請求内容
原告の主張:略(詳細については判決理由を参照する)
被告の答弁:略(詳細については判決理由を参照する)

三 本件の争点
本件の争点は、係争の商標は上告人が繰り返して大量使用したことにより、取引商品の識別標識となるのか、商標法第23条第4項が適用され、同法第23条第1項第1号および同法第5条第2号が適用されるのか。

四 判決理由の要約
(一) 「商標は文字、図形、記号、色彩、音声、立体形状またはその組み合わせによって構成することができる。」、さらに、「前項の商標は商品または役務の関連する消費者が商品または役務をの標識を示すものであることを認識することに足り、他人の商品または役務と区別できるものでなければならない。」は、商標法第5条第1、2項により明文で規定されている。又、立体商標とは、長さ、幅、高さの3次元空間より形成した立体形状を関連消費者が異なる商品または出所の商標を区別する根拠である。なお、「商標が次に掲げる状況の一に該当するときは、登録を受けることができない。一、第5条の規定に該当しないもの。…」は同法第23条第1項第1号に規定されている。また、同法第23条第4項「…第5条第2項の規定に該当しない場合でも、出願者の使用により取引上にすでに出願者の商品又は役務であることを識別できる標識となっているときは、この規定を適用しない。」よって、立体形状の商標は平面商標(2次元空間)と同じく、識別性を具備して始めて商標の積極的要件に符合し、もし立体形状と商品または役務自体とは不可分の関係を有していれば、消費者の認知によって、それを商品の提供、役務の実用機能または美学機能の形状と見なしたとき、商品または役務の出所を区別できないので、特殊性がなく、識別性を有しないわけである。

(二) 本件の上告人から商標登録申請あった係争の立体商標(付図を参照する)は、その提出した登録出願書の「商標図案の説明」記載によれば「商標は3本線のデザインをジャケットの肩部から袖口に使用し、ジャケットの外形プロフィルは点線で表す。」を、ジャケット商品への使用が指定されている。係争の立体商標は、そもそもジャケットの肩部から袖口の「3本線の図案」より構成されている。社会の通念から、係争の「3本線の図案」が人の目に止まる印象は、主に袖部の装飾図案であり、商品自体とは不可分の関係を有し、かつ関連スポーツウェアの取引市場において、業者が色違いの複数本の線を設計し、スポーツウェアの上着、ジャケットなど商品の袖部の装飾図案として、商品の美学の視覚を向上させ、消費者の注意を引きつけ、消費者にスポーツウェアの購買欲を促す機能を図ることはよく見かける。よって、消費者からの認知により、商品の美学機能の形状の提供と見なしたとき、商品源の区別が付かないため、特殊性を有しないことから、商標識別性の積極要件を備えたものとは言えない。従って、原審がすべての弁論趣旨および証拠調査したところ、係争の商標は前記法規を適用でき、かつ心証の理由を判決理由に記載しており、事実認定および法規の適用について、論理と経験法則にそむくところはなく、判決に法規の適用または判決の不備はなく、事実及び理由が矛盾する法違反も見当らない。

(三) さらに、上告人が係争の商標は商標法第23条第4項を適用可能に対し、原審決の判決に法規の不適用または法規の適用不備がある主張について、商標法第23条第4項は、そもそも識別性を有しない商標を対象とするものであり、申請者によって長期にわたり繰返し使用され、かつ取引において、申請者の商品の識別標識となっているため、係る商標図案は従来の意義のほか、商品源を表す意義(第2層の意義)を形成しており、識別性を有すると認識できる。これを後天の識別性(通称)という。しかし、調べによると、原審は上告人が主張する係争商標が後天の識別性を有することについて、商標法立法の目的はさらに、取引市場での公平な競争および工業、商業、企業の正常発展を含まれている。さらに、スポーツウェア商品業者はすでに複数本の線をスポーツズボン商品の装飾図案または基本の装飾線としている。また、係争の商標は確かに海外で商標権を取得したことは事実だが、我が国の商標法は商標登録を属地主義として属地性との関わりは深い。さらに、国々の国情が異なり、市場の取引慣習も一様ではない。上告人が添付した商品カタログによると、係争の3本線は外国語「adidas」商標または三つ葉の設計図案の商標と組み合わされていることがほとんどであり、係争の商標は単独に使用していない。よって、関連消費者は客観上、外国語の「adidas」および三つ葉の設計図案を、商品源の識別標識としている。それに加え、上告人の市場調査報告書は一部しかサンプリングしておらず、客観性を欠くため、関連消費者が商品源を表す標識と認定することはできない。さらに、被上告人より提示された国内の知名ウェブサイトYahooで検索して得られたスポーツウェア商品によると、国内外のスポーツウェア業者の多くは衣類に1本または複数本の線をスポーツウェアの装飾図案に使用していることから、当業者は常にスポーツウェアの線を装飾デザインの概念は明らかであるなどの要因を含めて斟酌した結果、係争の商標登録を許可することにより、同業他社がスポーツウェアに線を飾る公平競争の自由に影響する恐れがあり、公平性を欠き、商標法の立法目的に相反する恐れがある。よって、上告人が係争の3本線の図案を商標に使用していることから、取引市場において、申請者の識別標識を認めないがために、商標法第23条第4項の適用に不備があるとは言えない。この判断の理由を判決書32-34頁に詳細説明している。この部分についての事実認定および法規の適用に不一致はなく、上告趣旨で指摘された判決に適用されない法規または法規の適用不備、判決理由に不備または理由の矛盾は見当らない。

(四) 上告趣旨はさらに、判決に本件の係争商標は平面商標であることを勘案されておらず、他に多くの国は平面商標の形態により許可されたことの論説はなく、判決理由に不備の違法性があると指摘されている。しかし、調べたところによると、上告人は係争商標を最初の登録出願に平面商標として出願したが、被上告人の審理過程で、商標法は立体商標に改正され、かつ係争商標は3本線の図案を特定のジャケット製品の特定位置(Jacket with 3 stripes)の使用に指定していたため、立体商標の効果を有し、立体商標の性質に当る。被上告人の通知を受けて、上告人は2005年5月31日付けで、被上告人に対して、「本件を立体商標登録に変更する」(元審決ファイル第2巻、148頁を参照する)ことに同意し、また再審査に備える「立体商標登録出願書」が再提出しており(元審決ファイル第2巻、158頁)、被上告人はこれにより、立体商標に基づく審査を行い、元判決は元来の処分機関が係争商標を立体商標の性質として審決し、この部分を判決理由に記載しているため、法に違反するところはなく、判決理由に不備の違法性を認められない。上告趣旨は、本件の係争商標の本質が平面商標云々は、2005年5月31日付けに「本件を立体商標登録に変更する」ことを申請した上、「立体商標登録出願書および図案」も再提出している事実を無視できないことから、認めることはできない。

五 関連条文の抜粋
行政訴訟法第255条第1項、第98条第1項前段(2007.07.04)
商標法第第23条第1項第1号、第4項(2003.05.28)

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