セイコーの商標について、日商2社が台湾で提訴

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I セイコーの商標について、日商2社が台湾で提訴

■ ハイライト
世界の著名時計メーカーセイコーホールディングス株式会社はこのほど、自社が誇る「SEIKO」商標は台湾において、株式会社セイコーアドバンスに使用されていることに気づき、台湾で提訴した。知的財産裁判所の判事は、「SEIKO」商標はすでに国内で多くの消費者によって一般的に認知されており、高い知名度を有するもので、もし株式会社セイコーアドバンスの登録に許可を与えた場合、「SEIKO」商標は希釈化され、一般消費者に両者に関連性があるよう誤認される恐れがあるため、株式会社セイコーアドバンスに敗訴を言い渡した。
株式会社セイコーアドバンスの委任弁護士は、すでに上訴したとコメントし、一方、精工ホールディングス台湾支社は、本件の訴訟は本社にて処理中につき、台湾支社はコメントを控えるとのことでした。
判決書によると、株式会社セイコーアドバンスは2007年に「株式会社セイコーアドバンス(Seiko advance Ltd. 〵SP Device (color))を商標登録出願し許可されている。しかし、精工ホールディングス株式会社は商標が類似していることに気づき、異議を申し立て、審査の結果知的財産局によって取り消し処分にされたが、株式会社セイコーアドバンスはその審決に不服として訴願し棄却されたため、知的財産裁判所に行政訴訟を提訴した。
株式会社セイコーアドバンスは、1948年に会社を設立、塗料と建材を主な業務とし、その後、1950年に正興塗料公司を設立した。そのうち、「正興」の日本語発音はSEIKOであるため、SEIKOに創意性を有しなく、さらに、2つの商標の製品類別に大きな差異があり、商標の外観、読み方もそれぞれ異なるため、一般消費者には混同や誤認の恐れはないと主張している。
株式会社セイコーアドバンスはさらに、台湾と日本との地理位置が近く、双方の往来も極めて頻繁である。台湾の住民は「SEIKO」の日本語発音が成功、精工などについてもなじみがある。このほか、登録してから引き続き今日まで使用してきた「SEIKO」の文字を含めた商標も多いことから、裁判官に処分の取消を要請している。
一方、セイコーホールディングス株式会社は1881年に創立して以来、120年余りの歴史を有するもので、「SEIKO」の商標は1924年から時計商品の標章として使用されている。セイコーホールディングス株式会社から、「SEIKO」は著名商標であり、強い識別性を有し、一般消費者および業者は「精工」を「SEIKO」の商標商品として呼ばれていることから、株式会社セイコーアドバンスの商標登録を許可した場合は消費者の混同や誤認を招き、時間の経過により「SEIKO」の独創性も消えかねないと主張している。裁判官はセイコーホールディングス株式会社の主張を認め、前述の判決を言い渡した。[自由時報20100826A9記者王定伝]

II 判決内容の要約

基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】99,行商訴.20
【裁判期日】990630
【裁判事由】商標の異議
【裁判要旨】商標の類似とは、2つの商標が人に与える全体的印象に類似性があるといい、もし、同じまたは類似商品・サービスに標示したとき、一般知識と経験を有する消費者が購入するときに、一般の注意を払っても、混同して2つの商品・サービスが同じ供給元または異なる供給元に関連あることの誤認恐れがあることをいう。さらに、商標が類似するか否かの判断は、商標全体の図案をもって観察しなければならない。その理由は、商標は商品に表されて消費者の目にうつるものは、各部分をそれぞれに表示することではなく、全体の図案であるからである。

原告 株式会社セイコーアドバンス股份有限公司
被告 経済部知的財産局
参与人 日商セイコーホールディングス股份有限公司

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2007年8月31日に「株式会社セイコーアドバンス〵Seiko advance Ltd. 〵SP Device (color )」商標(そのうち、商標図案にある「株式会社」、「Ltd.」は専用しないことを声明)を商標法施行細則第13条に基づき、商品及びサービス分類表第2類の「染料、顔料、塗料、印刷インキ、油絵顔料、塗装装飾印刷美術用金属ホイル、塗装装飾印刷美術用金属パウダー、錆止め油脂」商品の使用を指定し、元処分官庁の経済部知的財産局に商標登録を出願し、被告から登録第1320614号商標(付図1を参照する。以下、「係争の商標」という。)により登録の許可を受けた。その後、参与人セイコーホールディングス株式会社より、係争の商標が商標法第23条第1項第12号および同第14号に違反することを理由に、異議を申し立てた。本件は被告の審査を経て、係争の商標は商標法第23条第1項第12号後段の規定に違反することを認め、2009年8月28日付け、中台異字第971060号商標異議審決書により、係争の「第0000000号『株式会社セイコーアドバンス〵Seiko advance Ltd. 〵SP Device (color)』に商標登録された登録を取り消しすべき」処置をした。原告はこの審決に不服として訴願し、経済部は2009年12月8日付けで経訴字第09806122470号により、訴願決定を棄却したが、原告はこれにも不服として、本裁判所に行政訴訟を提訴した。本裁判所は本判決の結果は、参与人の権利または法による権益に影響を与えるため、参与人が本件の訴訟に独立参加することを職権命令した。

二 両方当事者の請求内
原告の主張:省略(判決理由を参照ください。)
被告の答弁:省略(判決理由を参照ください。)
 
三 本件の争点
係争の商標と異議を依拠する商標との間に同等または類似を構成するか、係争の商標は商標法第23条第1項第12号後段の登録できない事由に該当するかは、本件の争点である。

四 判決理由の要約
(一) 商標が「他人の著名商標または著名標章に同等または類似し、一般大衆に混同または誤認される恐れがあり、あるいは著名商標または標章の識別性あるいは信用を損なう恐れがあるもの。」は、登録することができない。さらに、商標法第23条第1項第12号に明記した判断の時点は同第2項により、申請時点によることが規定されている。さらに、同条項でいう著名とは、「客観的な証拠をもって、すでに当業者または消費者によって一般的に認識されていることを十分に認めるもの」を指す。なお、いわゆる「著名商標または標章の識別性または信用を損なう恐れがある」ものは、商標または標章で表される商品またはサービスが著名商標権者に連想され、一般大衆は表された商品の供給元または商品の主体に混同または誤認の恐れがあり、もしくは商標を公平でない方式または不正により著名商標の識別性を利用し、他の商品またはサービスに使用されることにより、著名商標の特定商品の供給元との関連性が弱まり、著名商標の価値を減損させるか、あるいは著名商標の信用を利用し、他の商品またはサービスに使用することによって、著名商標の信用またはイメージが損なわれることを指す。

(二) また、商標の類似とは、2つの商標が全体的人に与える印象に類似性があることをいい、もし、同じまたは類似商品・サービスに標示したとき、一般知識と経験を有する消費者が購入するときに、一般の注意を払っても混同して2つの商品・サービスが同じ供給元または異なる供給元に関連あることの誤認恐れがあることをいう。さらに、商標が類似するか否かの判断は、商標全体の図案をもって観察しなければならない。その理由は、商標は商品に表されて消費者の目にうつるものは、各部分をそれぞれに表示することではなく、全体の図案であるからである。係争の商標登録第0000000号「株式会社セイコーアドバンス〵Seiko advance Ltd. 〵SP Device (color)」の商標図案は日本語「株式会社セイコーアドバンス」および英語「Seiko advance Ltd.」を上下に並列した上、左側に図形と組み合わせして構成される。そのうち、日本語の「株式会社」および外国語「LTD.」は会社組織形態の標示に当たり、原告から専用しないことを申し入れしており、一般消費者は自他の商品を区別しにくい部分は、日本語の「セイコーアドバンス」、英語の「Seiko advance 」および三角幾何図形を係争の商標図案として、商品の供給元を識別する主要部分である。一方、参加者が異議の根拠とした「SEIKO」商標は単純に「SEIKO」からなる。2つの商標図案を比較したところ、英語を始めるとこに、両者とも同じく「SEIKO」の文字を有するほか、外観も極めて類似している。さらに、係争の商標の日本語「セイコー」の読み方は「sco」であり、異議を申し立てた「SEIKO」商標の外国語の読み方「sco」に類似している。よって、2つの商標が時間、場所を別々にし、隔離して全体を観察および取引に連帯して呼称したところ、同一またシリーズ商標に連想しかねない。従って、全体を見たところ、一般知識と経験を有する消費者が、購入するときに一般の注意を払っても、この2つの商品を同一供給元または異なる供給元との間に関連性を混同または誤認する恐れがある。よって、高度な類似性の商標に該当することを認める。原告の両者が類似していないとの主張は認められない。

(三) 原告は、国内外業者はすでに外国語「SEIKO」を商標の一部分として登録許可された事例が多く存在することから、「SEIKO」は識別性の低い弱体商標を主張していることについて、調べたところによると、「SEIKO」の外国語は時計、計時計器など商品の形状、品質、機能などの説明ではなく、当該商品に関する情報を伝達していない。よって、「SEIKO 」は、なお商標識別性の任意性標識に該当する。 参加人が外国語「SEIKO」を商標として、はじめて時計、計時計器など商品に使用することは、参加人の創意である。さらに、参加人が長期にわたり幅広く使用することにより、もはや国内消費者によって一般的に認識されており、極めて高い識別性を有する。原告が添付した外国語「SEIKO」を含めた商標の事例の多くは、参加人の会社の所有(そのうち、「服部精工株式会社」は参加人従来の会社名である)であり、その他の商標図案には「成功」、「拡大鏡」、「KURODA」、「黒田精工」、「SUCCESS」などの中国語または外国語を含み、本件とは相当な相違性があり、事例もそれぞれ異なる。比較して引用することが難しく、原告に有利な論点として採用できない。このほか、外国語「SEIKO」の商標登録は参加人のほか、そのほとんどはスポーツ用品会社が所有ものであり、単独に外国語「SEIKO」を商標として登録した事例は日商が縫製機器商品に登録している1社しかない。原告の曰く通り、多数の商標権人が所有するものではない。さらに、前述2つの商標権人は1961年ごろに登録した。その登録申請時間は本件とは異なり、使用態様を裏付けするものが乏しく、当該事例の登録の妥当性問題である。このほかに、「SEIKO」の商標がすでに各業界で幅広く使用されている積極的な証拠もないため、当該商標の登録許可事例をもって、本件2つの商標が必然的に類似を構成しないとは認めがたい。その上、外国語「SEIKO」は異議された「SEIKO」商標図案に唯一な文字のみならず、係争商標図案の主要部分の一つを構成しており、関連消費者は必然的に、この商標図案の主要部分を商品の識別手がかりとしており、被告がこの点を商標類似の対比基礎にしたことには、不備なところはない。よって、原告の請求は採用の余地はない。

(四) 引き続き、経済部2007年11月09日付で経授智字第09620031170号令で制定公布された「商標法第23条第1項第12号著名商標保護の審査基準」3.3.1ないし3.3.5により、「1、当該商標の著名度の要求は同号規定より優位性を有する。2、両者の商標図案の類似度の要求について、商標希釈化の恐れのある商標の類似度に対する要求は混同や誤認の恐れより優位性を有する。3、商標は、もし第三者がすでに幅広く異なる商品・サービスに使用している場合、当該商標の排他的な使用程度は低く、その識別性または信用の減損可能性も低い。4、商標希釈化を保護する客体は、識別性と著名度の高い商標とし、創意性を有する商標は容易にこのような識別性と著名度に達しやすい。5、著名商標の識別性と信用が減損される判断要素は、そのほかに参考する要素がある。たとえば、係争の商標権人は他人にその商標と著名商標に連想させる意図あるかなどで、換言すれば、係争商標権人がわざと係争商標と異議申立の商標のうち、同じ文字を使用または図案を拡大、書体を太字にすることによって、係争の商標権人がその商標を著名商標と連想させる意図を推論可能かは、判断の参考要素の一つとなる。」など。よって、両者商標の商品・サービスの市場は別々にあり、かつ商業利益の衝突は明らかではない。消費者は同じまたは関連する供給元を誤認することはないが、係争商標の登録を許可した場合には、異議申立の商標の識別性または信用に損害を与える恐れがある場合は、たちまち、商標希釈化を保護するに解決すべき課題となる。調べたところによると、1、一般業者は外国語「SEIKO」を含めた文字を商標図案として、被告が各種商品・サービスに商標登録が許可されるまで、その商標権がなお有効に存在しているものは、合計123件もある。そのうち、91件は参加人の会社所有(そのうち、「服部精工舎株式会社」は参加人従来の社名である。)であり、他の商標図案は「成功」、「拡大鏡」、「KURODA」、「黒田精工」、「SUCCESS」などの中国語または外国語を含むが、本件とは相当な違いがある。さらに、そのほとんどは1961年頃かまたは1996年頃に登録申請されたものであり、本件ファイルに添付した検索結果の注記表によって裏付けされている(本裁判所ファイル68~74頁を参照する。)。さらに、異議申立の商標は参加人によって、長期にわたり幅広く使用しており、代表する識別性および信用は国内の大部分地域のほとんどの消費者によって、一般的に認識されている。前述とおり、異議申立の商標の排他的な使用程度は高く、その識別性および信用の減損可能性も高いと認める。

五 関連条文の抜粋
行政訴訟法第98条第1項前段(2007.07.04)
商標法第23条第1項第12号(2003.05.28)

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